28(未)

残された時間を生きるほかはなく花を眺めて歌を歌って
覚悟を決めよう 泥でも塵でも芥でも 命あるだけ命を生きる
六月十八日 今日は辛い日になった 石榴が割れるようにざっくり
煉獄のこの世を出でて蓮の花迎えるお釈迦様の世界へ
南無地獄 南無南無地獄 殺生の噂絶えざるこの世の地獄
四万斗の雨降りそそぐ梅雨の空 ゆきて帰らぬ鳥のいる空
梔子の雨に打たれて変わりゆく蜜蜂色に変わるその色
梔子と百合が開いた雨あがり 昨日の雨が茎をのぼって
そしてまた田村高広さんの声がする干潟の二重ドキュメントのナレーション
生きてゆく世界はいつも苦しくて 空ゆく鳥の喘ぐ 声無く
『一塊の土』思い出す芥川の 淡々としたモノクロームの
戦争に往かせないため目を刺した清作の妻のその物語
モノクロの映画でよかった鮮血の飛び散る様を見ないでよかった
この二人合うのだろうか「模範兵」清作と反抗的人間、情念の妻
あらくさのしとねに逢瀬重ねゆく 清作とその妻になるひと
『清作の妻』を観ている 亡くなった田村高広も出ていて若尾文子と
急速に興味なくしてゆくように言葉が消えてゆく夏の闇
銅に見る塩素の反応 黄の煙たちこめる試験管
「折り返し鍛錬」という鍛え方「繰り返し鍛錬」まで昇格する刀鍛冶
明日もまた暑さの中で働いて それが思えば格差であるか
スキャナーには頭蓋の形撮られていてシンメトリーの影絵のように
保護膜のように時間が必要で空間もまた必要ではある
いつだって変わらない時がめぐって深夜のルーシー・ショー
しとしととなお降る雨を喜んで蝸牛這う葉裏ありけり
六月の雨は静かに降るものを コサックダンスするような雨
ムツゴロウ泥の中にて立ち上がるそれが求愛の姿だという
たましいのさいはてに咲く花に似て火縄銃にも人の手が要る
春の夜の夢は幻過ぎゆけば シルヴェスター・リーヴァイ楽曲の誘惑
私の場合はここに抜け道があると思っていた真暗闇
蝋燭は今華やかに炎えていて 絵本の中の白鳥は死ぬ
今日一つだけいいことがありました 綺麗な声で鳴く夏の鳥
再放送を見ておりました なでしこや芍薬の咲くターシャさんの庭を
腹を摺るコギー犬ではあるけれど日陰を選ぶ花の木の下
この年になれば許されるというターシャさん 貴女ならいつでも赦されている
どんな日か忘れてしまうどんな日か 北北西に雲が流れる
その庭の紫色の勿忘草 ここにいるよと咲いてきたよと
もうここに何があるかもわからないそんな時にも水仙香る
九十歳のターシャさんは痩せてコギー犬のメギーは太って花の咲く庭
ターシャは言う 「春は奇蹟ね」花が咲き鳥が鳴きだす命生まれて
春は来る いつでもそれは突然に 緑がそよぐ 風が生まれて
ターシャにはターシャの時間流れゆき 黄金の明りのきらめく絵本
待つことに喜びがある 小机にスケッチブック開くその人
窓際のゼラニウムにも陽は射してターシャの庭の温室がある
雪の庭 ターシャの庭に花はなく暖炉に燃える薪はぜる音
金魚絵や菖蒲の団扇配られて 紫陽花もまだ咲き誇る頃
薔薇の木も瓦礫に埋まるとナレーション ヒルデスハイムの薔薇の閲歴
重力をもって飛ぶから凧 びゅんびゅんと今風を切る音
暴力は連鎖するという そんなとき攻撃的な競技始まる
この国は集団発狂していると ゴミを漁ってつついてカラス
毎日のように事件は起こるらし 親子が殺しあって梅雨空
小授鶏がチョットコイチョットコイって鳴いている雨が上がった上水の道
月光はなお燦々とふりそそぎ いざなってゆく夜の恒河沙
満天の星空、銀の河の水 天の柄杓を傾けて汲む
流星も蛍も虹もやませみもその山奥の村で見る夏
この夜の果てを旅してゆくような綺麗な軌跡描いて消えて
お隣に板坂さんがおりましていささか先生と言いそうになる
雨の日の雨のモビール透明の青のモビール雨の雫の
チョットコイ、チョットコイって小授鶏が 水色の尾の尾長が雨に
かたつむり、蛙、紫陽花、シャガの花 雨が好きなら私の仲間
熱っぽい今日は一日降る雨のこの密やかさ愛していたり
『さよならをもう一度』をもう一度 イブ・モンタンやイングリッド・バーグマンを
臆測が飛び交う風土 百年も経ってもきっと変わらぬ風土
多分あの勝気な人はそのこともすでに気に入らないのであろう
この頃はエレベーターもシャッターも殺人あるいは殺人未遂を
鉄焼ける匂いがしたよ 火事の夢 殺人事件の報道ばかり
第一の犯罪隠すためにある第二の場合の理由の詳述
中国の映画であって山奥の村をつないでいる道がある
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:20 * comments(0) * trackbacks(0)

27

三連の水車が回る川岸に木切れ集めて焚き火する人
このようにして六月の蟹遊ぶ 死者と生者を分かつ水際に
カクレミノ、隠れ隠れて枯れるまで その葉の蔭に瑠璃色の蝶
シュノーケル青蛙という全身が黄色い蛙や梟の話題
寒気団、心に入りくる六月の鬱々として楽しまぬ日の
説明の代りに流れる音楽があればいいのに何もないのだ
左手を息子の肩に置き歩く 木村栄文氏のドキュメント
藁屋根に灯ともる遠景に楡の枯れ枝、早春の雪
愛媛県の小さな町の座敷雛 初節句の子の雛を町中で
初生りの苺一粒ようやくに 延命地蔵の前垂れの赤
レンゲツツジ、ドウダンツツジ、山ツツジ 蜜蜂、蜜をあつめるツツジ
花がらを摘めば花がら山となり水盤になお数日生きる
塩山に大菩薩あり高原も三窪高原近くの躑躅
人工の花で覆った祭壇に虚ろなものの満ちる夕暮れ
やっぱりとみんなが思うその人が事情聴取を受けるその朝
復讐を遂げたる者のありやなし第七の封印解かれる朝
トリュフォーの「隣の女」グルノーブル郊外に住むひとりの女
木曽路には奈良井宿あり清水湧く中仙道の馬つなぐ石
その町は郡上八幡、湧き水の水の音聴く水の音楽
白鳥の雛が生まれる水無月の湖の岸、岸辺の家族
燭光が見えるようなら十字星 離れて光るあの遠い星
そろそろかまだか諸株は崩落し明日の行方はまだ霧の中
無理矢理の分離が起こり血が流れ分離不能なもののゆくさき
世界には破壊願望あるらしく世界とは神であるかもしれず
世界同時株安再び 再建の途上にあって危うき足元
天上に吊り上げられてゆく船があり再び落下する船があり
失速をしている日本経済のこの先にまだ何があるのか
希臘には希臘の青があるようにヒマラヤの空映す青い芥子
気まぐれで生きているとは思わない 夏咲く花は夏に逝くばかり
西空に夕日が沈むその後は小曾根真のボレロで終わる
いま雪が降ってほしいな見てみたいな 冷たい雪の切片などを
今月ももうお終いということにまたもどこかで傷ついている
眠くって眠くて半分死んでいる 十五時を打つユンハンスの時計
雲仙の峠道には桃色のミヤマキリシマ咲いて朧に
六甲は滴る緑、初夏の海の光りの中に兆す死
あのひとも今さまよっている死線 海の光りを見る白い部屋
切ないねみんな誰かに育てられみんな誰かに見守られて逝く
沖合いに浮かんだ大きな貨物船 係留されてだるま船もゆく
はしけが曳く本船であるだるま船 万世橋のたもとに舫う
夢みれば夢のまにまに立つ影の小さくゆれて傾いだ影の
切なさを今見ています牡蠣舟と水辺の葦と降る雨の川
折からの雨に濡れていた泥の道 右と左に分かれていった
希望もなく目標もなく生きてきた 何かが私を助けてくれた
第四章「きのうの雨」が好きだった 菜月さんの歌集『空は卑怯だ』
大切な時間が過ぎているはずの今をどうしていいかわからない
「吾輩は文豪であって悪霊ではない。」と、主婦みどりなる漱石居士は
欲しいです雷蔵映画のDVD 「炎上」「ぼんち」「ある殺し屋」など
狂四郎シリーズなど観たいもの 円月殺法、月光の青
メイショウサムスン勝ってダービーも終わりいよいよ六月、水無月に向かう
木はのぼり木は広がって密生す ジャスミンの木の香る三叉路
降るような降らないようなとある日に 三叉路の家のジャスミン香る
雨上がる 烏がそれを告げている 等間隔に啼いて晴れると
パリの空の下セーヌは流れ♪フイッツジェラルド夫妻の背景に流れ
500円のDVDで見ています『グランド・ホテル』『雨の朝パリに死す』
太陽を孕んで産んで殺したと神話の女なげく雨降り
雨降って雨降って雨降って 降って私の心も濡れる
「恐ろしいのはお前の心」鶴屋南北の見た人の闇
その手紙見せよと迫る鬼女がいて 脚曳き歩く歌舞伎の女
さて歌も書かずはなりて候ほどに『一体二つの命ならずや』
退屈とたたかうために人生があるわけじゃなく木漏れ日の土曜日
少年の童心もちて夕茜 空と水とのあわいに染まる  
もう遠い昔のことだ過ぎ去った水の流れと時間の記憶
遠浅の海へ流れる川がある 昔遊んだ海と砂浜
その町の白い教会、異人館 蔦が覆っていた空き屋敷
教会にあった小さな尖塔が夕日を浴びて輝いていた
山があり川と林と海があり 酒造会社に湧き水があり
遠くからでも見えた赤い屋根 鳥が運んだ実が育つ家
その町の砂を含んだ感触は松林まで続く感触
その日から現在までを俯瞰する望楼などはどこにもなくて
暖炉には火が燃えていて冬だった あなたが生まれたその年の冬
また無理をしている せっかくの気分をそして台無しにする
風吹けば風の歌書き雨降れば雨の歌書く今宵雨の歌
今年もまた同じ日の朝咲いている梅花うつぎの白い花房
命無き乾いた花の異様さとさびしさがあり五月闇あり
人間という名の修羅の鬼子母神 <子盗ろ子盗ろあの子が欲しい>
特別に哀しい結果生むような花の明かりもない五月闇
たゆたって生きて虚しい日暮れどき逢魔が刻に華やぐものが
体調の不調なんかも言い訳に 午前が終わり午後過ぎてゆく
物事の処理能力に欠けている 読むべき本も積んで久しく
夏に病む母であったと今思う 夏の別れは短かかったと
水濁り水は流れる浮橋を叩いて夏の川は流れる
その知らせはいつか来るはず その日を恐れその日を思う
蓮池から今垂れている一本の糸に縋って救われたくて
カンダタの蜘蛛の糸です銀色のか細い糸が垂れて蓮池
人間の中にも深い洞窟や砂漠があって翡翠の泉
「欲望」のヴィヴィアン・リーもM・ブランドも銀河の彼方だれもいなくて
桜の湯、桃の湯、そして茉莉花の湯 日暮れになれば淋しきものを
人間てさびしい存在なんですねいつか必ず死ぬ私たち
巧妙に隠されている思いでも伝えてしまう波動粒子が
フラミンゴと言えばブランチの『欲望という名の電車』のホテル・フラミンゴ
フラミンゴ色にやさしい花びらの数葉を巻き起きあがる朝
燭台に赤い蝋燭立つように紅花橡の木、落葉高木
画面では霧の中厳かにレクイエム流れラクリモサ流れ
ヒトツバタゴ、なんじゃもんじゃの木の花の白く地上を染めて夏の日
失敗に人は懲りないものであり懲りたところで失敗はする
傍らを通りすぎてゆく人生に その大袈裟な帷子を脱げ
懐かしい思いは常に一定の容量を持ちあなたへ向かう
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:18 * comments(0) * trackbacks(0)

26

午後からは病院にゆく 曇るもよしいっそ止まない雨もまたよし
浅草を歩いた荷風山人の日々の天気と日々の足跡
先行きは吹雪であるかもしれぬゆえ 非情な時代の美しき危うさ
東証の株価指数も崩落し冷気漂う 夏になるのに
無患子(むくろじ)の実で羽子板の羽根を作る 今朝のTV の荻窪散歩
夜だから霧が湧くから雨だから理由は何でも風の扉開く
風が奔り月の仔馬が走り出す 翼を持てばペガサスとなる
幸福は第一楽章ではなくて第三楽章あたりに芽生える
私の今一番の友だちは小曽根真のピアノ きっとね
音楽と時間と怠惰 それだけですでに半分癒されている
私には一人の時間があるけれどもし無かったら・・・恐怖ではある
私に色があったら色を描き音があったら音を書くのに
歌などというもおこがましい徒然の日記に過ぎない気の葉言の葉
半分は私の心も病んでいて そのため書いている歌かもしれない
恋に狂い花に狂っているような 二人椀久、保名のような
木陰から木陰へ移動してゆけば蜜蜂が来て薔薇に触って
えごの木はちしゃのき、野茉莉、Japanese snow bellとも呼ばれサポニンを含み有毒という
誘拐を怖れることもないらしき 唯懼れつつ見ているばかり
第二楽章弦の音から始まってピアノへ 祈りのように移りゆく過程
『題名のない音楽会』で聴いたのはフジコさんの弾く繊細な《皇帝》
とても長い歳月が流れ 音を視る力を失ってゆく歳月が流れ
えごの花また咲く季節 木の枝に地に水面に二度三度咲く
雨ののち黄色く咲いて棕櫚の花 むっくり起き出した亜熱帯
雨の日の川の岸辺にエゴの花 稚魚も成魚も消えた水辺に
雨の中うすむらさきのシャガの花 白山藤の樹の下に咲く
疎水には風も流れて飛び石の庭につづいてゆく小径あり
錦鯉たくさんいたが今はいない雪解け水が流れていた町
生成の秘密、偏見あると知る 幾千年の時が流れる
雑草の伸び放題の逞しく 地を這うものは滅びを知らず
清浄無垢 私たちにはそれがない 絵巻の中に雪月花あり
この花は知ってるだろうか私たち人間がどんなに沢山人を殺したか
何をするでもなくて日が暮れて ぼんやり浮かぶ白い満月
雨雲の動きをヤフーで確かめる 伊豆上空を通過している
遅生まれ低気圧ゆえ迷走し力弱くして洋上に去る
五月闇 雲が覆って月もなく花の明りを見ることもなく
五月半ば薄曇る空暮れかかり 花の明りも木の下に消え
牛、豚、鶏、鳥獣の命を喰べて地球を荒らして
例えばヒロシマ・ナガサキ、例えばアウシュヴィッツ、数限りなく
どれほどの人を殺してきたのだろう21世紀までに人類
橡の木の花は似ているルピナスに 樹の中に灯る白い蝋燭
悲しいくらい明るい陽が落ちて海はまもまく金色となる
アレクセイと命名された犬でさえ 狩の時間も眠ってしまう
それぞれの時間の中で生きてゆく 午睡の時間過ぎて翳る陽
モスクワとぺテルブルクを行き来する 孔雀時計は兄を示す
この世にはとても幸福な人がいて祝福された人たちがいて
いつまでか此処に彼処に飛び散らう魂の幾つか 青蛍となむ
時折は紙片のような蝶が来て 遥かな時を伝えてくれる
骨董の値打ちはひとつ今を生き今を感じる器であること
空木咲く季節にいつかなっていた 花明かりする上水の道
霧雨が上がれば夏の上水か 夏の扉が開く雨の朝
双頭の鷲の国から流れ出て薔薇の刻印背にさまよって
雪の降るぺテルブルクの片隅で1907年と刻印されて
クレムリン宮殿のあの葱坊主 騎馬連隊の青い制服
死の方はできれば御免蒙りたく されど我儘通り申さず
私は多分望んでいるのでしょう 夢の中なる一生午睡
選べば選べるかもしれない 「生涯連休」望まれますか
まだ蕾、蕾ばかりの紫陽花と 蝸牛這う櫟の若葉
六月はまだ紫陽花の片陰に眠り 漠然と不安のみ白く
新しい地平が現れても黄昏はここに 紫に空を染めて
退屈な午後ひとときの軽やかさ小曽根真の<ジュノム>カデンツァ
何か一つ突き抜けてゆくその時に手応えがある硬質の触感
『日曜日の朝』という絵の六匹の猫と出会った秋の日の画廊
踏み潰す相手がだんだんなくなって巨象の大足置き場所に困る
次期総理に安倍氏がなれば明らかに危険が増すと思うしかなく
ちゅんちゅんと雀が鳴いて薔薇咲いて良い雨が降る五月の朝
そのように過ぎてゆく日のありやなし 武蔵野の果ての逃げ水
あれは夢?そう夢だった何もかも全ては夢の出来事だった
福音書の一節に言う忘れがたく <怒りのために罪を犯すな>
重なって重なってゆく音韻のさやかに平安京の名残りの
琴弾浜その白砂の白よりも白き馬立つ八朔の馬
海辺には海辺の町の風習が 端午の節句と馬の節句と
馬節句、白馬の節句 八朔の団子の飾り馬の懐かし
帯止めになった私のお祖母さん 箪笥の一番右の抽斗
白珊瑚 珊瑚の海の薔薇の精 小さなピアスになってしまった
海蛍、いいえ私は蛍烏賊 青く光って漂う生体
ウニ、ヒトデ棘皮動物荒金の針千本に似ぬ柔らかさ
烏が鳴きまた現実が戻ってくる カクレクマノミ隠れ家は無し
足跡のほかには何も残さない その足跡も波が消し去る
そこもまた一つの故郷 黒アゲハ樹間に消える大菩薩の道
白樺とツツジと高く飛ぶ雲と 甲州市とは塩山、勝沼
行き暮れて見上げる空の太陽の白く翳りて墜ちる幻
春紫苑咲いて陽あたる道端に信号待ちをしている犬よ
なんとなく疲れきったという顔の老犬がいて黄金週間
鈴蘭の白、空白の時間あり 「鈴蘭の日」という五月一日
夏草の茂る廃屋 太陽が今薔薇色に染めてゆく海
雪が降り不協和音が奏でられ舞台にはまた時間が巡る
何かしら嘘の気配が濃厚で 夏の雲湧く螺旋階段
つくづくと薄情者で非人間 それが私と雨を見ている
はつなつのひかり放って今日の川 小鷺も鴨も消えた用水
具体性なき歌を書く私の具体性なき日常である
夢があり夢の色した街があり薔薇色の海を見ていた昨日があった
いかがわしい明日であればみんな纏めて引っ括られる覚悟はよいか
出獄の許可あり出獄する人あり 「共謀罪」論議なくして成立の運び
白樫の間に黄薔薇、蜆蝶 こわれた船の部品の木椅子
残されて一人の川を越えゆけば都大路の桜かがやく
母の手が取ったであろう黒電話 二十年前その部屋にいて
常夜灯一つ残して幕は下り舞台の上の光りも消える
金色の鳥籠に似た天蓋の線と鎖と光りの渦と
半眼の河馬の一日 終日を水に浸かって何を想って
手紙を書く 手紙嫌いの私が 今タンポポの綿毛が飛んだ
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:17 * comments(0) * trackbacks(0)

25

愕然としている 何もかもなんと迂闊に過ぎたことだろう
『炎を孕む』蔵本さんの歌集が来た 白い孔雀が炎となって
花終わる季節であれば花疲れ 四月最後の木曜の午後
蟹味噌と洗濯物もお土産に新入社員研修終わる
歌いたくなくなったのなら歌をやめればいい牛蛙来て牛蛙啼く
ヤマボウシ、ミズキいずれか上水に 胡蝶のように 落下流水
遅れ咲く紫木蓮にも陽があたり 遠い記憶の中の歌声
誰かが語り始めると夜が明けるという 聞き逃しているかもしれない私  
まだ少し眠り足りない猫柳 橡の若葉が生まれる朝
寒暖の二つの季節摩擦する 空がこんなに悲鳴を上げる
落ち込んでいます地蜂の溺死体 水溜りには今日も青空
中村屋! まだ暮れ残る春の空 舞台には猶舞う紙吹雪
明らかにここ過ぎてゆく落ちてゆく卯月の雁を眺めておりぬ
ヤコブ病、認知症との境界の曖昧にして不明の構図
人間を殺してしまうためにある 全世界的儲けの機構
古山の楮、三椏、漆の木 千年和紙の里に星降る
まだ何も変わっていない地球にはシュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星近づく
権力が仕掛けた罠と生贄と 堀江貴文まだ塀の中
移動性高気圧が呼ぶ花や鳥 人の動きも忙しくなる
水色の空に光りの泉あり 空の楽譜を奏でていたり
透明な天使クリオネ別の名をハダカカメガイ肉食の貝
残された時間もなくて成し遂げたい夢もないから日常である
生きてゆく手立て一つも持たないで この世に生を受けて飛び立つ
純粋といえば純粋プリシラは 極楽鳥のように純粋
一日の終わりは早い 散り急ぐ花であったと時間を思う
何事もなくて幸福 それぞれの虚しささえも幸福の徴
火山性微動、空には地震雲 そのようなことになりませんように
じわじわと感染してゆく牛がいて ホモ・サピエンス春の朦朧
本日は休日なりの看板を掲げて花のかたえに休む
何一つ変わっていないつまらなさ敵と味方を取り違えても
天空に大いなる虹または塩 葉っぱに乗った水滴の虹
天上の銀の塩降る砂時計 蛞蝓を消すゲームだという
曇り日の空の下には上水の花を集めてゆく花筏
この辛夷今年は花を咲かせない 去年伐られた兄妹の樹よ
橡の木の目覚めはとても明瞭な目覚めであるから天を突く芯
動物は多分死にたいと言わない そのせいだろう綺麗な瞳
どこまでも遠くゆらいでゆく火影 失ってゆく時間の記憶
密林の奥に潜んでいた虎が火に追われている カンボジアの赤い土 もちろんこれは映画の話
孤児になった迷子の虎がいて まだ乳をのむベンガル虎で
今危機を脱出したというように逃がしてやりたい森の奥へと
幸福の記憶鮮やかに甦る 青空の下咲く花水木
眠り病かもしれないと思います 身体の中に眠る春です
生きていることも生きていないことももしかしたら同じ月の裏表
忘れたいことや忘れるべきことに足をとられて躓いている
前世を占う人の多くして末世があらば末世であろう
花びらが吹き寄せられる汽水域 海と川とが相会うところ
胸騒ぎする夜があり朝がある 禽獣を抱く森に風立つ
ジャングルに残っているのはナマケモノ 水没ジャングル泳いで渡る
立ったまま眠る大木 森の木々 水没ジャングルアロワナの森
好きなのは水没ジャングル いえ水が何より好きなだけかもしれない
大陸がそこにあるからこの空に黄砂が舞って春の日本
現実と少し違って繊細な虚数微妙に配合されて
木々の間に光を追ってゆくように 声追うばかり鶯はどこ 
深夜にポール・マッカートニーLiveを視る ブラームス2番に続く放送
華麗なる春がゆくとき一斉に芽吹きはじめる夏の草木
繊毛は何を探してそよぐのかミカドウミウシ裸鰓目
寄りかかるところ失くしてヤドカリのヤドカリとして終える一生
学校の兎は死んだらしいという 兎のいない校庭の小屋
いつのまにか飼われていたよ その兎 誰にも望まれないのにいつか
落ち着かず眠れない日がありまして不安のようなものがよぎって
木の枝に木の枝が触れて告げるでしょう 季節が変わる四月の朝
十重二十重取り囲まれて藪の中 現実というしがらみの中
実存を鷲づかみする方法を知っているって言ってましたが
爛漫の春の光の青空に 紙飛行機の一つが消える
誰も最後は知らなくてただひとときの夢の波照間
花散らす雨が降るから湖に小舟もなくて春のみずうみ
いつまでの桜吹雪か生きて逢うこれが最後と四月の吹雪
金色の浄土とも見る大乗寺、開け放つ時、応挙の伽藍
春の日が窓越しに射す館内の小さな白い動物の骨
雨の日に晴れの日に咲く花があり 花をゆらしてすぎる風あり
昨年の秋、叔母が死にわが家の私までの血脈終る
長く長く生きてみるのもよいものと百歳の翁笑みつつ語る
しかしまた泥の中にも咲く蓮があると春の日その曙に
格差あり格差の下のその下の下に溜ってヘドロとなって
世の中は弱肉強食 食されて砕けて消えた命だろうか
埃及の王墓の壁のレリーフに猫の手らしき肉球の跡
あの世から見ているような写真があり生前、死後を渡る精霊
生きるともいえない生活ともいえない鵺のようなる生の実体
わが内の鳥獣戯画を完成し涅槃の釈迦のそばにやすらう
死んでいた あなたの大事なあの人は 墓地には小雨が 映画の話
一週間前まで元気だった人 敬礼をして去るように逝く(追悼・久世光彦)
どくどくと血潮見せれば怯えよう 桜咲く日も散る日も淡く
(桜の樹の下には死体が埋まっているというが)
だらだらと過ごしていれば日は移り花咲き散って日も暮れかかる
白色の鶏走る庭にして 生々流転、死の側に入る
そういえば他には思いようもなく束の間の生、束の間楽しむ
リアリスト牛くんの教え現実を受容すること幸福の掟
ビッグママ、羊が連れられて行ったのは七面鳥が炙られる朝
一言を聞き逃したらその後は百万年後の夜になるはず
賢明な人なら解る偽善でも愚かな私たちには嬉しい
虹色の毛糸玉であるそのわけは鼠の合唱隊のご所望
転がった毛糸玉にも行き先があって運命みたいに
演説が上手なアヒル 「助けてほしいんだよブタくん」
犯罪を企む家鴨の共犯者 お馴染みのベイブの出番
何という悲しい朝が来ているの 遠い水面に落ちてゆく雨
だんまりのような春来て薄闇を動く人影、散るさくら花
小忌衣(おみごろも)得体知れない衣装なれど義経が着れば貴人の衣
地震来てゆれているのを感じながら遠野の雪の画面見ている
花に嵐 さすがに風も吹いてきて夜には雨も降り出すという
鹿の絵の郵便切手10円の切手の中の草炎える春
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:16 * comments(0) * trackbacks(0)

24

「ふるさと切手・近畿の花」  枝垂桜の白き憂鬱
九州で地震があった。震度5弱 春の列島ゆらぎはじめる
あの頃は見知らぬ町の見知らぬ川 その川の今ほとりに住んで
南天荘書店ってあの頃ありました 震災後の駅をまだ知りません
六甲の八幡神社のその社殿囲む緑の中の鳩たち
架橋駅、阪急六甲 急行とバスの背中が・・・ 遠くに海も
死に上手 白木蓮の咲く頃のとある日暮れの落花のように
桜咲く 春の心は朧にて衆院懲罰委員会の質疑は続く
感情を剥き出しにして磨かれてその牙高値で売られておりぬ
コヨーテは橋を通ってやってきた 風は深夜に駆け抜けていた
柳田さん吉増さん本当の学者や本当の詩人 瞳を見ればそこにあるもの
言葉にも日溜りがある 日溜りに土筆んぼうが顔を出している
まんさくの花が咲いたよ花言葉は「呪文・霊感」春の先駆け
原爆と等価交換されていた天皇制の存続が今
生死には関わりもなき病にて無病にあらぬ 人の世疲れ
危うくて危うくなくて時は春 やさしい風となる沈丁花
何事もないように来る春があり 蕗の薹出る陽だまりがあり
紫の花大根や菜の花の咲く春が来て春がまた来て
当然のように季節はめぐるのに 桜大樹は伐り倒されて
wbn Ra m pt太陽神ラーが昇って天空へ ヒエログラフの鮮やかな鳥 
双頭の鷲が統べていた帝国の地方貴族のオブローモフは
羽の無い白鳥に似て野鴨にも劣る存在 オブローモフよ
寝台に埋もれたままの一生が穏やかに過ぎ 逝きて春の日
白漆喰、千本格子、虫篭窓 光があれば影も生まれる
憂鬱になるきっかけはどこにでも ふっと嫌いな名前を見たり
野火止の土手に桜が咲いていて鶯の初鳴きも聴く三月半ば
母の樹の樹皮から生まれ育つ苗 千年の時湛えブナの樹
古書店に「氷の宮殿」の原稿が流れていると村上春樹
どうしようもなく気分が悪いこんな日はどうすればいい 低気圧のせい?
新田次郎、藤原てい氏のご子息と伺いましたが不思議な言辞
精神のヤコブ病かもしれないね藤原正彦氏の説く日本の伝統
いいですとまた断っている声が聞こえて今日の春日は暮れぬ
押し倒し蹴倒し前へ前へ進む集団があり身を引く自転車
或いはそのひしゃげたブーツの中にでも 小人を隠した森の中にも
しかしその世界がどこにあるかしら向日葵畑の向日葵の種
本当は世界を一つ創造し世界を一つ葬ることだ
墓地近き蜜柑畑やオリーブの畑にも降る春日照り雨
耕して天に至るという村の蜜柑畑にも雨降りやまず
雨降っていますね雨が花びらがどこかでひらきはじめていますね
花びらを散らして春の疾風吹き九道の辻を巻くつむじ風
花びらは去年の花を漬けたもの塩漬け桜の花びらである
縞々のPさんちの猫がいて桜の花を食べたいという
おそらくは世界は背中で裂けている 一筋の血が流れ始める
フィジー諸島、イロイロ大統領を選ぶ3月8日ネットニュースに
憂鬱がそこまで来ていて立ち止まり窺っている黄昏の垣根
疲れ疲れ疲れ疲れて足跡も残さず去って夢の負い紐
半分は崩れたままに身をさらす 西の館の分れと呼ばれ
樫の木の樽の中にはの葡萄酒ねむる冬の地下室
みなすべて普通のことと思いたい 変わらぬことも変わったことも
結局のところ財力なのであり高きところにハイデルベルク
渦巻いているのは汚れ塵芥 春の川面に泡立つ濁り
何がこう悲しいのかもわからないだけど悲しい時があるよね
それらの全てが夢であったと解ったのはずっと後 醒めてからしばらく後の
それがリアルであるために幾つの山川抜けて春来ぬ桃色の
川霧の中に白鷺立っている 三月五日、雛の日も過ぎ
花歌会、冬には冬の花が咲き春には春の花が咲くこと
白鳥の大量死する映像や「へたり牛」なる牛の映像
鳥類の悲惨は続く 白鳥が今朝十万羽焼却された
軽蔑の心が生まれてくることをとどめようなく嘴太烏
違和感の塊となる気がしている微分細分したる大鋸屑
インフレの足音だって聞こえてくるこの先の道が怖いね
姫神が担当していたふるさとの伝承シリーズその音源に関わる
真実の深い心で話せたら 消えてしまった砂の風紋
生きてゆく場所が違って青空の飛行機雲の線も崩れて
残された記憶のような一本のほつれ始めた機のより糸
紡いだり縄をなったりするように荒れた大地を耕して春
歌声は深く優しく響くとも諸行無常と鳴る鐘の声
哀しみについては既に語れない 檸檬の苗木育つ裏庭
湖に花びら流れ岸近く渦巻くものも見えて春の日
何事か変わった気がする二人にも長い時間がいつか流れて
明日また楽しい夢を見られたら 半年という試練の後に
それにしてもこの羊たちはどうやって演技をしたのでしょう それから豚も
人間が考えることは唯一つ 働かなければ食べてしまうこと
生きている間は豚で死んじゃえば豚肉になると 猫が教える
ポークとかベーコンになると教えている 性格の悪い猫だと名指された猫が
「おやすみママ」 ベイブはフライを母さんと思っているのか信頼している
狼は羊を殺した 青草は倒れた羊の血で汚された
敷藁に臥せっているのはママ犬のフライ 友だちの羊がまた襲われた
犬が追い羊が逃げる牧羊豚ベイブがお話ししている間
狼の一族だった犬などとはそこが違うと諭されている
羊には羊のやり方がありまして 素直に優しくそして丁寧に
ボス犬は同居している牧羊犬 黒毛のフライそしてレックス
ベイブ君今日は大活躍なのです羊泥棒から羊を守る
ベイブにはしっかり者のボス犬が見守っているから大丈夫だね
教育が絡めばまたも怒りだす人がいるのさ弥生の春に
無関心な人々がいて湖の透明な水が映す青空
今夜には雨が降りだす模様ゆえ白鳥はもう姿を見せず
天皇という矛盾あり存在に絶対矛盾があって統合を欠く
海近い道ゆえ砂を含む道 芦屋、魚崎 今は昔の
光る風 浜に吹く風 きさらぎの終りとなればボートもあらず
「夏頃に孫が生まれる予定なの」 放射線科に入院の報
生きる希望 死ぬ覚悟をも越えるから 豌豆の芽が今育つから
塔があり教会があり川がある 海へつづいてゆく松並木
エストニア生まれの果実 エストニア土産の絵皿ならここに在り
あの川のほとりに建っている教会 白い小さな教会の塔
舞台にはロシアの雪が降っていて 架空の雪といえどロシアの
何事にも既に動かされなくなっている 連翹の一枝に咲く花
面接は終りましたか新卒の求人広告すでにしてゴミ
どんよりと緞帳下りるそのように雪の匂いをさせて曇り日
空白の時が待ちうけ空虚より他には風も通らない道
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:15 * comments(0) * trackbacks(0)

1

千年の夢を夢見るボロボロの駝鳥が立った砂丘のオブジェ
ぼろぼろの駝鳥を今日の自画像と 北の海には白い流木
ゆっくりと頂上めざす甲虫 光は木々の頂上にある
雨、雨、雨、森に大地に木の枝に、天道虫ののぼる葉末に
太陽が海を離れた 金色の海に浮かんだ帆影、舟影
金色の海の向こうにお日さまが昇るよ 夢はどこにでもある
そしてまた全ては過去へ流れゆき南の空に十字星光る
誰もいない何にもない辿り着くその空間を死と呼んでみる
ひとかけらの希望すらないこののちの真っ暗闇と知って点る炎
和邇族の裔たる人の瀟洒な墓 簡素、清明、古拙な字体
眠れますように 眠れるといいね 満月が浮かぶこの夜
意味もなく不安を抱いて眠れない 泡立つように咲く百日紅
他者の死が意識の底を離れずに魂を病む一夏がある
七夕の願いは届き一年を 夕顔白く映る中空
破損した羽根数枚に罅があり原発はなお稼動するという
静かなる黎明として見しものを薄暮の空と知る人も出で
生きている悲しみもあれ 白球の行方の空の虹消えた空の
逃げろと言う『若者殺し』の著者が言う 殺されず殺さぬために引き籠るのか 
銀の鈴鳴らして来ればしゃんしゃんと子馬、親馬、祭りの神馬
炎のように水が奔って野を分けて 千年昏く沈む大河か
産卵を終わったモリアオガエルらしい紫陽花の根方の池で一休み
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:15 * - * -

23

ここよりさき何も無いっていうときに 海か山かへ分け入ってゆく
前へ前へ進んでゆけばいつかしら進めまない時に直面もする
金色のあるいは青い透明な海に向かって桟橋に立つ
共感はできないまでも理解ならできると言って理解の限界
「希望、血潮、トゥーランドット」 カラフ王子の答えた言葉
治郎氏が次郎氏、となる一行に春の斑の雪の足跡
潮満ちてくるらし春の魚のぼる汽水域あり春の河あり
水仙の花が咲いたら春だよと尾浦へ抜ける崖で老人
午後からは雨降るというその通り春らしくもない冷たい雨が
鳥籠にあなたは眠り鳥籠にあなたは目覚め 鳥籠の時間
天空を羽ばたくような双頭の鷲が統べていたロシアの大地
ニコライの治世の終わる頃出でて帰ることなき懐中時計
ヒロインのアンナの胸に吹く吹雪 『欲望という名の電車』へとつながる
シンプルな舞台美術の真髄を僅かな素材だけで見せている
松井るみ その人の描く色彩と線の繊細さと大胆さ
最後には光の中へ消えてゆく光りとは闇の終点
原作を読んでみたいと思います 家出老人レフ・トルストイ
冒頭に、ラストに雪が、人工の雪降りづづく『アンナ・カレーニナ』
精神を病む人多い春真昼 異形の鬼の立つ交叉点
母親が捕らえられたという続報 以前にもあったね園児の母が
小さな子がまた刺されたというニュース 午前九時過ぎの滋賀県の事件
十分な捜索をされることもなく海底に 多分そのまま海の藻屑に
紅海に沈んだ船のそののちの数百人の行方不明者
この世のこと何事も思うようにはなりませぬ バオバブの種に水遣り
永遠の不死を願ったエジプトの眠るミイラの華奢な左手
クローンで復活することさえもある三千、四千年前の死を超え
国民のために開いてもらいたい天皇陵という古代への扉
皇室はおそれ多くもかしこくも触れてならない神聖家族?
許されることがあるなら唯一人、徳仁天皇の時代だろうか
「箸墓のもとに戦う」壬申の乱があり 卑弥呼の墓とも言われる箸墓のもとに
レプリカの剣を祀るそれもよし三種の神器というただ徴ゆえ
ラムセスやクフ王の墓、発掘し天皇陵はなぜ開かれない
不確かな歴史の闇にさす光 御陵に眠る古代史がある
古代史の解明のため国民の総意のもとに御陵を開く
天皇陵、とりわけ仁徳・応神陵 御陵を開ける時が来ている
午過ぎの懈怠だろうか春ゆえのだるさだろうか理由なく頭痛して
春の鬱 微熱とともにくるだるさ しばらく身体を休めましょうか
四字熟語「天真爛漫」「支離滅裂」「臥薪嘗胆」←最後の、それが運命
奪われぬためには奪うこともある宮廷女官チャングムの世界
「大奥」と「チャングムの誓い」の共通項 厨房から世界を覗く
追放も毒殺もある 政変とリンクしている宮廷のたたかい
そしてなお続く政争、新王朝 阻止し奪取し擁立もする
昔読んだ『貴族の階段』 舞台裏の駆け引き、策謀、政略、陰謀
宮内庁、官邸、東宮、弟宮邸、皇居もまじえてドラマがあった
故に血をもって尊しとなす考えをそろそろ考え直しませんか
万世一系と言っても、薄まった一系でありさらに薄まる一系である
素盞雄が出雲に至り出雲を支配して 追われた神は隠れ棲むなり
男神月読でもなく素盞雄でもなく女神天照大神であった理由は如何に
宇佐、隼人、菊池一族 神やどる青き洞窟、満ちて黄昏
天を分け地を分け争う原因の一つとしての血の哀しみよ
燭台を盗んだ男に声かける神父の歌の心しむ優しさ
それよりも明日の危険は年金の給付見直しだったりもする
使用済み核燃料や肉骨粉 身辺危険材料ばかり
御懐妊一色となる日本のマスコミであり国民であり
積雪のある日のニュース その雪のように寂しく聞く人もあれ
東京に今年二度目の雪が降り 多摩には少し積雪もあり
そしてまたマスコミ狂奏曲起こり これに乗じて忘却を願う人あり
望まれ願われ企まれて粛々と終わった一つの完全犯罪
超音波診断結果の発表は その日を迎えるまでないのでしょう
争乱の火種は尽きぬことといえ再び起こる壬申の乱
輪をかけて男系、女系、姦しく内閣、世論二分してゆく
秋篠の宮に男子が生まれたら 皇位継承のことは如何にと
演奏の途中で弦が切れるより悲惨なるものではないのでしょうか
この雪がしんしん積もりどこまでも町を埋めて降りつぐでしょう
ヒルズ族は額に汗することなく、と コメンテーターと称する人が
「誤解を怖れずに言えば」という前置きはどういうわけか省略されて
「何だってお金で買える、金が全てと思うホリエモン」と要約されている
エジプトの人たちでなくアメリカやヨーロッパの国の人でもしあったなら
人間の命に軽重はないという 言葉だけならそれは言えるね
死者、行方不明者数百人に及ぶという BS7のみの放送
「アル・サラーム98号」紅海に燃えて沈んで多数の行方不明者
今夜には雪降るという東京の和光の時計が指す11時
肉球の跡点々と雪の中 ドン氏と呼ばれる猫の足跡
階層が固定してゆく社会から弾き出された泥球一つ
九月には辞めると言った総理はその時から炉心溶解始まる高炉
死に体はともかくレイムダックって差別用語にならないのかしら
粛清の嵐が吹くのでございましょう 峡谷に水凍えるように
遥かなるミトコンドリアDNA 春は優しく光りをつなぐ
終焉は薔薇の垣根の向こうにも春の朧のような空にも
急がなければならない時が来ています既に終りが始まっている
日本にとって貴方が何なのか時に考えてみたい時がある
純粋な培養液の中に棲む諸行無常を培う因子
複雑な縫合線が美しいアモンの神の鹿の角笛
始まりは雌雄同体 七千年前にっぽんは海の水底
男系の場合父方を辿ってゆけば天皇に至るという。アンモナイトよ
血に頼り血を尊いとしてつなぐ十六花弁の菊の紋章
国体に関わると言い国体の護持と言い国体とは単にただ唯一の
ここにまた「国体」の二文字現れて 終戦を遅らせた時に似て
少子化の悩み等しく覆うから断絶の危機そこにあるから
女系を選んだとしてそれでいったい何代続かせられる
男系を選んでみたとしてそれでいったい何代続くのだろう
何ゆえになぜ尊いかの議論なく尊いゆえに尊きとして
その真偽 詳しく問えば何かしら整合性を欠くこともあれ
万世が一系というそのことの何が尊く またはそうでなく
南北朝時代は知らずそののちもその前にもある空白の時
天皇のルーツ辿って辿り過ぎ 分岐地点でうやむやとなり
旧宮家の皇籍復帰をするべきと 宮家経費の膨張私案
血の系譜 どの血の系譜 男系の女系の 天皇とは何
明日の日の約束の無い偶然に頼って生きてのちの千年
その他にいったい何が そのことを皇祖の御霊告げているかに
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:14 * comments(0) * trackbacks(0)

22

危機感がそうさせたのかもしれなくて この後のこと次の世のこと
この国の安らけきこととこしえにと代る人なく祈りを捧げ
三殿の祭りに最も熱心な天皇であり皇后であり
古稀すぎてハードな日々を送られる天皇、皇后の長い歳月
天皇と皇后陛下のおつとめの宮中三殿参拝のこと
天皇といえば昭和であったころ生まれて美空ひばりも聴いて
天皇の即位を御大典と呼ぶ記念の百年ほど前の古冊子
東禅寺山門に降る春の雪 「立春大吉」降る雪の寺
突然に曇る空から降るみぞれ 霙のなかの連翹の花
春鹿が水を飲みに来る行者川 その川沿いの山葵田の春
樅の木の森があったね山梨のおじいさんが育てた西の平に
約束の時間はすでに過ぎたのに森はめざめの時を忘れて
水流れ林に雪が降り積もり 落葉の上に新雪積もり
分身の術かもしれない正体は 等圧線がぎっしり埋めて
ゆったりとちゃらんぽらんにたゆたって地獄極楽どちらへとなりと
運命に後ろ髪なしチャンスより後退するべき道の崖っぷち
蛸足が広がるように殖えてゆく 弛緩し飽和しもう無関心
怒るべき事件も事故も多すぎて矛先すでに曲がり始める
飽き性の日本人ゆえどのような事件も事故も忘れてしまう
現実のあなたがそこにいないから聞けば聞こえる脈打つ鼓動
青草のグラスホッパー飛んでゆけ しゅわしゅわと鳴る尾にも飛び乗り
幽閉の青山半蔵にも似たり 乗馬しているシシィにも似て
一度目は悲劇、二度目は喜劇だと言いますけれど 乖離する病い
身動きもならないようになるのです ほんの少しの油断のために
過去、伝説の二千六百数十年 百二十数代を継ぐ身となれば
象徴という抽象であり具体 生身の人間でもある不思議さに
如何ともなしがたきかな血をもってつなぎゆくこと 千年の闇
天皇が男系であれ女系であれ存続のこと危うからずや
春の日は黄の菜の花や紫の花だいこんを用意している
木に花が咲くとき遠い空の下 蜃気楼見る氷見の海岸
その寺も港も町も寂れては 今は昔の物語となむ
萬屋の嘉左衛門さんが造ったといわれる港の寺の猫塚
萬屋の船でも猫を飼っていた ロシアをおろしゃと言っていた頃
昔はね船には猫を飼っていた 北前船の時代日本でも
有名なワインを守る猫の話 酒造会社の正社員猫
その毛並 というよりは粗々と反り返る素材それが可愛く
ピーターとジェニーの旅が始まって 白猫ピーターと虎猫ジェニー
グラスゴー行きの船から見えるのは空に瞬く北斗七星
人間の船に乗ったら仕事をする 猫の仕事は鼠を捕ること
船倉にもぐり込んだよ猫たちは グラスゴーへ行く船に飛び乗り
これはねぇポール・ギャリコの原作でただ今お気に入りの人形劇
貧しくても気楽に気まま暮らそうよって誘われる 貧しいおじいさんは良い人?
ピーターは教えられている「ミルクは舌を使って飲むのよ」
ほんとうは人間だっていう猫が一人前の猫になるよと
銭湯のタイルに描かれた絵のような富士など見えて西方の空
雪煙上げる富士山その映像、公魚釣りも解禁という
富士を見る南斜面に桃、杏、ブルーベリーの花く畑
だんだんと溶けてゆくのがたまきわるいのちあるいは雪の運命
ここに来て保守本流の揺り戻し 女系天皇論も揺り戻し
改革の最後は何気なく天皇制解体だったらある意味凄い
屋台曳き歩くおばあさんの映像が一月最後の日曜日の映像
筑紫の君「磐井」の墓があるという 密やかにして叛乱の系譜
「八女」という地名は松本清張の『砂の器』でいうなら「亀嵩」
簡単に自殺と断定されたゆえ耳に残って鳴る非常ベル
本当に自殺だったかも知れないが もう少し慎重さがと誰でも
思惑がただあるだけで実態は何も無くて見事に空洞
官憲の取り締りという言葉がありルールを守れと諭されている
地検とは軍部に似ていて粛清の嵐も吹いて来るようですね
不安から不安へ針が動くとき 最大級の雪崩が襲う
ライブドア関係者野口英昭氏 何を知りえて命を落とす
すみやかに遺体は灰になったゆえ灰に尋ねよ死亡の理由
古典的殺人事件であるならば古畑さんに復活願う
この国に闇の世界があるという「刺客」と言っても現実のお話
事件とか疑獄と呼ばれる何らかに集約されるその国の性質
質問中落ちつかなげに何回も安倍氏の口に運ばれた水
安全な場所かもしれない塀の中 万里の長城ほどに築けば
烏羽玉のblack moneyに手を出せば闇に烏が啼くと言います
朝焼けの海は薔薇色 禍々しい噂も出でて日本の早春
送信は失敗しました蝶々は韃靼海峡越えられません
春風が通って行ったようでした 木橋を渡る蝶がいました
「生協の白石さん」のような優しいお答えを待っております春待つ蛙
草原に雪降りつもり雪上がり 野兎が今目覚めたところ
叡山を焼き討ち髑髏を酒盃とす 水無月二日明け方の死者
信長の望遠鏡に地球儀に 春の陽炎ゆれていたこと
「人間の屑」と誰かが呼んでいて 屑と呼ばれるまで落ちた人
風穴は再びめでたく塞がれて安泰である無風空間
このような方法がまだあると次回からは教えられる外資に
粉飾は確かにいけませんけれど日本国に比べればまだ
老人や金持ちばかりに占有を許さない方法の一つが消える
国債という名の不良債権も積もると聞きます罪は問われず
厖大な赤字を黒字に見せかけて虫喰いだらけの葉っぱも替えて
虚偽にして涙ぐましく時価総額上げる方法 あなたの場合は?
クリフォード・バクスター氏と野口氏と双方一人自殺していて
雪国に猶まだ雪の降り続く ポーランドでは死者150人という
情報はタダでも要らない時代だと要約されてタイトルを読む
このように一罰百戒あるゆえに 磔獄門、さらし首など
一人消えまた一人消えこの国の地下を流れてゆく黒い水
あるいはまた急ぐ理由のもう一つ誰もこれ以上死なないために
そのために消えた噂もありましてほっとしている政治家もいて
こんなにも地検特捜部が動くのは それも絶妙のタイミングにして
風説の流布なり偽計取引なり どのような兇悪犯罪なのでございましょうか
風説を流布した罪も深いという 他ならぬマスコミがそう伝えています  
「容疑者の声」を放送されている 推定無罪の原則はどこに
その身柄確保しなければ殺されるとでもいうように急ぎましたね
「切ないって言葉わかるかい?」天井の軋む音と降る雪
新潟県津南町にも雪積もり 秋田県上小阿仁村にもまた雪積もり
昨日見たテレビの中のおばあさん 新潟県津南町の独り住まいの
明日は晴れ されど寒さはいや増すと 北北西の風と落葉が
凍結に注意と呼びかけられている 水道道路と呼ぶ遊歩道 
キラキラと光る塔です六本木ヒルズに雪が降っていました
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:01 * - * -

21

木の橋や鉄の小さな橋架かる 小川に雪が降って流れて
そういえばもうすぐ雛の祭りです 桃の節句にも雪降るかしら
横浜の海には雪が降っていたと 海に降る雪を初めて見たと
おぞましいニュースが続く今週の日本列島 雪国に春はいつ
雪豹もレッサーパンダも喜ぶと寒気団来る6時のニュース
積雪は13cm綿帽子被った垣根の山茶花の赤
氷点下1.1度に冷え込んで北風も吹く東京という
県警が自殺と断定した上に焼いてしまえばそれまでですね
巨悪あり極悪ありの世の中に ホリエモンとは如何なる悪か
一日で雪は降り止み川岸に身を寄せあった水鳥がいる
黄金の門は閉ざされ黄金のドームが見える丘からのエルサレム
日は昇り日はまた沈む 有為転変、諸行無常の一期の空を
花束が微かにゆれて陽がさして その陽のようなゆらめきの中
過ぎ去った日々は短く成し遂げたことは何もないなんてこと
いつか死ぬ人と私と冬日中、湖に来る白鳥の多さを
何ものも変わらぬまでも時に雪、時に氷雨と濡れて歩けり
もう過去のものと葬り去るようなこの書き方だって問題ではある
青空に風車が回る映像の白い風車の三本の翼
世の中は結局何も変わらずに絶好調の社会でしょうか
延々とのびてゆきます中国の万里の長城 夕日果てるまで
砲火台、シルクロードを見下ろしてポプラのそよぐ畑の中に
それならばわざわざ断ることもなく自分の道を行けばよいだけ
雨を呼ぶ霧であろうか 慈雨とよぶべき雨降るや降れ
そしてまた生まれたばかりの蝶々が吹雪のように飛び立つだろう
処理能力限界値をも越えゆきて売買停止に陥る東証
今回のドラマのクライマックスは何と言っても東証の暴落
乱高下しながら上げるトレンドもチャートも全て焼き払う勢い
いつだってその息の根を止められる 生殺与奪の権限誇示す
主流なす力を持つのは相変わらず私達と霞ヶ関が
銀杏を一つ一つ剥いて焼き食べております翡翠銀杏
額に汗し体を労することのない人に災い降ることもあれ
摩天楼知らずに育った世代ゆえ低層階に落ち着く暮らし
ゆくりなく落ちてゆくのも致し方なしと思えて自然に落ちる
愚鈍なる多くのものと俊敏な少数者がいてヒルズの栄え?
笑えますがまた一方で真実の側面もある要約の方法
親の子の子の子の孫のその子まで意欲低きは下流の徴と
その上に二度と復活できないと孫子の代まで烙印を捺され
低層というより既に最下層 奴隷に近い昨今である
要するに上と下とは分けられてその一方の低層にいる
下流とは下層と違うと言うけれど言っている意味はほぼ同じ意味
自分らしく生きてやがては蔑まれ落ちてゆくのは意欲なきゆえと
かにかくに敗者復活なきものと『下流社会』は教えていたり
集落が集落をなす限界を自然が奪う冬が来ている
地震が襲い、水害が襲い雪が襲い 雪崩が襲う村の棚田か
青年を待つ両親は心臓を病んで仮設の住宅にいた
道を作りブルドーザーを動かして一人こつこつ作っていた池
願わくは積もる雪にも潰れずに春待つ池と親鯉であれ
暖かい町の養殖池などにもう引越しているかな鯉は
青年が精魂こめて作っていたあの池は今どうなったのだろう
気になるものの一つに 山古志の鯉を養殖していた棚田  
木蓮の固い蕾が膨らんで紫色の光りを放つ
川岸の氷が溶けてさらさらと水が流れてクロッカス咲く
黄の色の蝶が来ていて陽だまりに小さな花が咲く雨あがり
錦郡槐の根方に埋める符 乾、巽は鬼門にて候
透明なネットに包む夜の闇 インターネットの水の痕跡
忘却は一部のことと思いたり その蕁麻に火を放たれて
ミネルバの梟鳴いて夜が来て 魑魅魍魎の支配する夜
透明な水晶、砂金に似た光り 野生のけもの湯治する川
上尾根に日本トナカイ見たという ただ一頭で見下ろしていたと
木小屋にも畦にも雪は降り積もり 露天の水桶、筧も凍る
街にいて山奥に降る雪のこと思ってみても仕方がないが
人は何故どうして生きる孤立する集落がある新雪が降る
間違いがまたもう一つ増えただけ 淵がだんだん深くなるだけ
みごもった真珠の虹を見つけたら貝は自身を溶かしたものと
暗い暗い暗い人生の虹がどこかに立つと暗渠の蜆
三十数か所とも言われ切り刻まれて蘭奢待香る
香木の蘭奢待さえ切り取られ権力の座にあるものの傍へと
人生の苦難を負って生まれてきたヤドカリに似た貝の文様
そのような思いは一度もなくて死ぬ 黄昏の中沈む日輪
そののちを一人生きれば用水に流れた芥かもしれぬ生
桜散るドラマの中ではらはらと花びらが散る若き死がある
問題は終わってしまってから生きるその生き方のことではあるが
桃畑少なくなって一葉の道の桃源境もいつまで
お隣の木小屋に薪はうずたかく積まれて越冬準備は万全?
遠く遠く視界は広く富士山に南アルプス連山に雪
二本木の道を登れば上萩原、大久保平、白樺の道
養蚕の町でもあった甲州市、甘草屋敷のある旧塩山市
和紙の里、市川大門 桑の葉の饅頭を作り饂飩を作り
夢を見る獏の人生なんてもうとうに終わってしまったんだねきっと
結局のところ他人の生であり夢喰う獏とは関係がない
山村を漁村を時代は呑みこんで何事もないかのような風雪
私たちの田舎の家もいつか消えただ生い茂る藪となるべし
山村では人は住めない 過疎の村今年度幾つ消失するか
私をうちのめしているものが何なのかもちろん私は知っております
脱力し発熱したり寝込んだり 雪も降らない東京にいて
「敗北の太鼓」が鳴って迎えに来る遠い未来が挿入される
熱の出る前兆、人それぞれに違い 何か酸っぱい心臓の痛み
このようにスタートしている新年は芹の芳香、すずしろの白
誤発注基金も創設されるという 気安く間違い気安く補填し
今回は大和証券SMBC 膨れ上がった出来高の陰に
温かい雨降るという東京の液晶画面を吹く磁気嵐
その海の浅瀬でそよぐ海苔、若布 しばらくぶりにお台場に雨
ノリヒビに網掛けられて海苔の芽は海の浅瀬で育つというが
私が海苔であったら海苔巻きにされるのは多分いやであろうな
あるいは死もまた一つの生であり 生の欠片であるやもしれず
白い空、白い心をもてあます 白雪冴えて涼しかるらむ
そう言って死んだ作家がいましたが 雪の季節の三鷹を歩く
無理でした 生きる力に欠けていて生まれて来たのは間違いでした
ぎりぎりと最終局面が迫り しんしんとなを降り積もる雪
楯無鎧、風林火山の旗、南蛮具足の二匹の蜻蛉
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 00:01 * comments(0) * trackbacks(0)

20

人は城、人は石垣とは言えど黄金費えて武田氏滅ぶ
国宝も分散されてそれぞれの神社にありて眠る四百年
「城崩し」なる異名もつ築城のプロでもあって金山奉行
人口に比べて常に多すぎる寺の理由か甲州金山
金山と温泉の湧く道筋に寺社仏閣の堂宇の数多
黄金を掘っていたその鉱山に沿って流れていた黄金沢
冬なれば桃も葡萄の木も眠り枯れ草色の高原に雪
眼下には桃源境が広がって葡萄の丘がそれに続いて
生きてゆくことの重さに似ています 積雪4メートルを記す新聞
春の夜の夢の浮橋とだえたり 途絶えしのちも逆しまに顕ち
新しい悲劇は生まれ前代のそれより速く巻き込んでゆく
もう既にその足音は聞こえていて時代は確実に変化していて
団塊の世代が去って夜が明けて2007年日本は変わる
抒情して春の雪さえ消えるゆえ命ながらうべきにもあらず
許されて楽しく軽やかだった日の昔日となる須臾の間にして
こののちに生きてあること衰えて貧しく老いて 雪の重みに
最低限、生きていかなければならない 欠片、切片、木っ端に砕け
青空の向こうの向こうまで一人 一番好きな時間の形
自衛隊、軍隊、郷土防衛隊 どんな名前にしても兵隊
空母があり零戦があり嬉々として見入る男の掌のプラモデル
雪鬼の降らせる雪の身の丈を越えたころから春までの燦
加賀山中、白山山中、能登金剛 寒気団来て白い氷壁
結局のところ「大和」が誇らしく「大和」を愛しむ人たちがいて
背後の人、命令下す人のこと 何処にもなくて『戦艦大和』
ある時は核攻撃もやむなしと ある時そこに風が生まれて
死者と死者、他者と他者とを交換する 殺しているのは敵だけという
たとえそれがどんな人たちなのであれ置き換えられる立場にはなく
命令を下されるため私たちは生まれて来ているわけではなくて
守れずに死んでゆくもの戦争は 殺し合うこと殺されること
再びの水漬く屍や再びの死屍累々の戦艦大和
末端はそうして働かされて死に 血で染められた《日の丸》残る
戦禍なを心にいたるこの国が 未だ醒めない夢を見ている
そのように男は召され女たちはそして子どもは殺されていった
自分よりかよわいものを守るという (そんな戦争なんてなかった)
自分よりかよわいものを守るという (そして戦禍は拡大してゆく)
自分よりかよわいものを守るという (そんな論理にすりかえられる)
そのことについては語らないことにするしかなくて虚無よりも虚無
そう言ってさらに罪のない人たちを虐殺もする 集団となり
玉藻よし讃岐の国の玉垣の八幡宮の鯨捕る絵馬
養殖に活路見い出す人もあり活魚に販路を開拓する人あり
天然の海を回遊する魚 稚魚のたぐいも獲りつくされて
それが今は海の扉が閉められて酸素不足になったかのよう
その海の鯛、海老、平目、蟹やシャコ 海はゆたかに耀めいていた
昔々瀬戸内海にも天然の鯛がたくさんいました「魚島」の季節
蓄養という名の漁業 養殖のマグロの餌になる天然魚
養殖の海老に蓄積する薬害 過密、腐乱と抗生物質
マングローブの森の薬草、海老や蟹 失い失われていった楽園
蜘蛛の巣の糸が震えて雨の中 幾何学模様の牢獄がある
海に雪、町に雪降る寒の入り サンパウロは気温30度という
最終のランナーが来て大手町ゴールに多くの戦い終わる
山を登り海辺を走り倒れこみバトンを渡し続けてここに
10秒差 この10秒が来年を決定的に分ける10秒
ギリギリで入りましたね日体大、東洋大学、シード権をとる
亜細亜大が初優勝になるかしら駒沢大の五連覇はなく
そのタスキ渡して倒れることだろう 難波祐樹の走る姿が
蛇行してセンターラインをゆれながら難波祐樹がゆれて走って
監督がボトルを持って給水に 強い陽射しとアクシデントと
給水のポイント過ぎて先頭の難波祐樹の脱水症状
2位争い激しく競ってあと6km 順天堂大、難波祐樹を追う
芦ノ湖のゴール地点に雨は降り 往路1位の今井が入る
雲はいま峰を下ってゆくからに往路のクライマックスも来る
山道も悪路も関係ないという 今井正人が5人抜き去る
順天堂、今井正人が抜いてゆく後6kmを残してトップに
次々とスーパールーキーなるものが現れ出でて入れ替わる1位
氷雨降るゆえに痙攣起こるらし 残り9.2kmが苦しくなるらし
霙降る箱根駅伝、宮ノ下の急坂登る 霧も出ていて
浮橋の途絶えてのちも中空にたなびく雲の思い橋一つ
切断をしました今後の予定なら北斗十字の柄杓に汲んで
新年の挨拶なども出来ませんが 波が描いた文字を見ました
活動を停止しているあなたです 雨、雪、霰、氷雨が続く
店晒しされているこの一冊の本にもあったはずの春の日
やがてもう死もなく生もない世界 時が洗っていった砂浜
姫神の曲も終わってふるさとの潮騒すでに聴こえなくなる
時を隔て波を隔てて語りあう 幾千の闇越えて見たもの
浜辺には連歌の人の庵跡 遠浅なれば波青の漣
弟の、その子の、養子先のなど烏帽子・直垂の絵を分かつ如
そのように自害した人幾人も連枝連雀、炎の蒔絵
城は火を放って落ちる 自害してその人の子も夢も炎に
一切の敵に離れて春の城 連歌に遊ぶ 滅びてあらむ
一滴の血のつながりのありやなし 四季花鳥図のかささぎほどの
その人が愛した茶碗と掛け軸と歌に連なる一筆の書と
「いつも口髭のあたりに春風が遊んでいるような男」と司馬遼太郎の書くその人
キリスト教布教を許した戦国の武将は微風を纏うその人
信長が開く以前に開かれて許す以前に許されていた
その町は活気に溢れ賑わった自由交易都市の始まり
修羅の人信長以前、キリスト教布教を許し茶人利休を友としていた
大徳寺襖絵に見る花鳥図のエネルギッシュな中世の力
長袴、烏帽子の射手が放つ矢と墨で書かれた隠れ字の鬼
百手という弓矢の神事 本年の的を射抜いた射子、徹君
神楽舞う男ありけり昼の舞、夜の舞、なお続く炎の舞
聚光院殿、歌に連なり歌を書き利休の墓に並び眠れる
掛け軸も襖も常に変わらずにそこにあるかのように鈍色
八百年続いた井戸の透明さ 神の社につながった水
懸けのいおと発音している智恵さんはウオではなくてイオと懸けの魚を
田畑を失くし山林を失くしあらゆる一切を失くし 儀式行事だけを伝える
灰を持ち清めているのは智恵さんで支店から来た本家のお嫁さん
正月が終って家屋敷清める魔除けの灰も一周
神棚に飾る注連縄を作るのは男の仕事とオモのおじさん
民俗の伝統辿るシリーズの一巻として《ふるさとの伝承》
白砂に波打ち寄せてふるさとはNHKの画面の中に
祥  * 『倉庫・風の連弾』 * 18:10 * comments(0) * trackbacks(0)
このページの先頭へ