<淡々とこのかなしみに堪えること>イエティの棲むネパールの空
『玲瓏』1992年4月号「優しい悪魔」
この歌を書いてから、もう25年も経っている。
四半世紀前になるということに。
結局、25年経っても、
この人の世に関する私の感想は何も変わらない。
より深く絶望している。
この頃は、まだ全否定ではなかったのだろう。
不条理はあっても、受け容れていたのだろう。
今は、堪えても無駄だと思っている。
受け容れられない。
受け容れられないままで、
私には受け容れ難い世界と和解することなく、
いつか死ぬのだろう。
張り裂け、轢かれた蟇蛙のようになって。
気分は、この世とさよならだ。
いつまでか生きては行くが、
ただ生きているだけだ。
虚構の世界までは否定しない。
私が否定するのは現実での世界の在り様だけ。
お芝居や音楽のもたらす至福の喜びは消えるわけではない。
多分、そういうものは、私はあの世まで持って行くだろう。