どんぐりが帽子被って落ちているゆうべ風が吹いたらしくて












・少しだけ暗いところが好きだった陽あたる丘に住んでいたから
・木陰から木陰へ続く小径より栗のいが踏み上る石段
・夕暮になれば富士山影になり石段降りる猫も影になり
・栗の木の栗落ちる音えごの木の実の雨だれに似て風に鳴る音
・くぬぎの実ならの実しいの実けやきの実かしの実も落ちよ風の連弾
・夕暮の富士シルエットになってゆく想い出だけで生きてみようか  
                                                                       旧作
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 05:23 * comments(0) * trackbacks(0)

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3013 ひさかたの光のどけきゆえ多忙 『若草物語』なども視ながら
3012 溶岩の隙間に生まれた鳥の子が 雪降る湖の雪を見ている
3011 ゆすりかの幼虫がいて殻を脱ぎ 蚊柱となる外つ国の湖
3010 ストーブや焚き火が好きで洋燈や篝火も好き 火の色の秋
3009 その切なさがいちいち私にはわかりそれでいてただ通りすぎている
3008 逆らおうという心さえなくなってすでに長病む心であるよ
3007 添削を受けた短歌を自歌などと呼べる心の疑わしくて
3006 押し込められたというのは原武史氏の説ではあるが説得力を持って昨今
3005 背景としての自由の時代も遠ざかり 遠眼鏡にて見てもなお遠く
3004 その前後、大正デモクラシーの時代、銀座にはモボ・モガ 阪神間には阪神間モダニズム
3003 思えばあの大正天皇は押し込められ彼の時代の自由も終わり
3002 誰かの思ういい国と誰かの思ういい国は違う  子供たちに残したい国も
3001 明らかにするべきことが沢山ある 硝子の書庫にあるβファイル
3000 木洩れ日の道を通るよ 泥色の鯉がゆったり泳いでいたよ
2999 秋日和だっていうのに体調が少し悪いという日も続く
2998 少しずつ秋が深まり少しずつ木の葉が散って鴨遊ぶ水
2997 ならず者、テロリストって言うけれど あなたたちのことは何て呼べばいい
2996 核のない世界は夢のまた夢か みな黒焦げになるまで戦うのか
2995 冷酷さの代償として受け取った 小さな核の模型とメモを
2994 そして今、北朝鮮の人は飢え 北朝鮮は世界の鬼子
2993 日韓を併合したのは日本だし戦勝国米・ソ(露)は半分こしたのであるし
2992 そもそもの一つの国家の分断に至る原因の当事者でもあって責任のある日本は
2991 北朝鮮の将軍様は真似をする三万発の核超大国
2990 今はただ参賀の風景にてあれど日の丸の小旗振る人の行進
2989 天皇に万歳をして土下座して そんな昔の皇居前広場
2988 「ならず者国家」と比較するなって流れ弾など飛んで来ませんよう
2987 戦前の日本に似ている北朝鮮 窮鼠猫をの構図のところ
2986 レトリックで生きる生物ねこじゃらし短歌31音の詩形
2985 未知からの遭遇に似て辿りつく一つのコミュのURL
2984 千年の森の時間が止まるとき地球の皮を一枚捲る
2983 まだ少し生ある時間続くから 緋色の糸も切れ切れながら
2982 ある時は時代の転換点にいて右往左往を常態として
2981 「なめてる」という人たちがいる 「なめてる」ってなぜ言うのかな
2980 中学校の保健室に架かっていた額に《七つの子》がいて烏の子がいて
2979 戦略的互換関係たしかめて敵はその敵を助けるものと知る
2978 ガジュマルは寺院に絡み被さって 滅んでいるのか育っているのか
2977 神獣が向き合う カンボジアにはタプロムという樹をもつ遺跡
2976 黒い馬、茶色い馬や白い馬草原をゆく尻尾ゆらして
2975 嫌われていたのでしょうか何ゆえに普通に烏というだけなのに
2974 漆黒の水彩に描く濡羽色 あざやかにして美しい黒
2973 木橋には烏、小川には小鷺  多色刷りにはなりえぬ構図
2972 ニューヨーク、マンハッタンにビルは燃え 午前四時半のニュースの中に
2971 黒猫が来たみたいです 私が毎日見ている『ねころぐ』の家に
2970 『悲しい本』の装丁が好きで谷川俊太郎さんの訳文も好きで
2969 何ともまぁ今夜のジュゲムは重かった 待つことを繰り返して朝である
2968 何事も因果応報 原因はあるものである あるものであるよ
2967 眠れない夜のためにはミステリーよりもよく効く星座の話
2966 大丈夫大丈夫なんて言われたくないだろうけど大丈夫(ダトオモイマスヨ)
2965 大切なものは平衡感覚と希臘の酒盃や李朝の壷が
2964 「通常の波形と異なる地震波」の第2回目を感知したという
2963 時空間移動するだけ 死んだってつまらないから生きていましょう
2962 秋の日の薄桃色の雲見えて夕暮れは来る雪の山頂
2961 北朝鮮の核実験が実施され この秋の日の青空の下
2960 ロシアでは記者が殺され日本でもいつしか消えているものがある
2959 秋晴れとはこのようなものなのか 風はさやかに赤とんぼ来よ
2958 真っ青な雲一つない空でありただそれだけの晴天である
2957 社会的適応をして私は大事なものを棄てて来ました
2956 中天に十五夜の月かがやいて 喪の日からはや一年が過ぎ
2955 雨上がりの川を小白鷺が歩いている いつのまにかそんな季節に
2954 重力の違いであったという説明 その大きさが決めた運命と
2953 なんとなく命からがら生きているような昨今 雨は激しく 
2952 アメリカの轡しっかり嵌まっている <言わない>総理はとてもおとなしい
2951 水面には波紋広がる 水馬、蜻蛉、蛙、井守よぎった
2950 私はどう生に関わり私の生はどう私に刻印されているか 書くことはそれを知ること
2949 フロンティアだったメイフラワー号だった水平線にマストが見えた
2948 屈託がないと言っているSさんやFさんの方がずっと屈託がない
2947 そのように離れる思いだけがあって雲は流れる光り播きながら
2946 突然に絶望的になることがあります歌から離れます
2945 「駄目教師はやめていただく」(まず最初に愛国心の無い教師から)
2944 IDは不在、でもそこにいた人の言葉を信じています
2943 抵抗の手段としては弱すぎる もちろんそういうことはあります
2942 秋の日の玉蜀黍畑の黄金の風 鳴沢村字ジラゴンノの風
2941 さて今日は九月最後の土曜日です 「罪と罰」など観ているのです
2940 平凡にただ悲しげに今日の空 秋空なれば翳りやすき陽
2939 秋色の紫陽花があり夕暮れの川のほとりに白い彼岸花咲く
2938 現実を突き抜けなければ現実は見えないというパラドックスが
2937 無重力空間までのあと一歩 強引に今、風を切る音
2936 「美しい星」や「音楽」書いた人、三島由紀夫の憂国の季節
2935 <綺麗は汚い、汚いは綺麗>お芝居の中だけの台詞と思った
2934 殺人の時効制度に意味はなく廃止にするのが妥当と思われ
2933 警察の無能のせいで結果的に時効になった時効など無効
2932 内耳にも聴こえる言葉あるならば イガにまだ包まれて栗
2931 一切を遮断するのも方法の一つであって秋は来にけり
2930 あの頃はよかったなんて言いたくはないがあの頃はよかった なんてさ
2929 半分まだふらついている白狐 野分吹くころ左近の狐
2928 大昔、星が生まれたその星が巻貝になり私になった
2927 吾も亦紅く咲く花、吾亦紅 その色あかと呼ぶには暗く
2926 「日の丸を掲げて斉唱え君が代を」 知らぬことよと咲く吾亦紅
2925 物足りないくらいでちょうどいいのです そうです風が吹き荒れました
2924 三ヶ月経ったんですね蔵本さん 何も変われずにいる私です
2923 何にしろ強制するのは自然には誰にも尊敬されない場合に限られ
2922 観音寺、豊浜、箕浦、伊予三島 夕日に染まる金色の海
2921 観音寺16時07分発、松山行き 海に沈んでゆく夕日あり
2920 私の拒否反応の半分は 死んでしまった誰かのものかも
2919 焼け出され、引き揚げて来た知人、親類も二年近くを暮らしたという
2918 あの街を焼いた炎の中にいた 当時の人も大方は死んだ
2917 「美しい国」を語っている人に戦争も多分美しいのだろう
2916 お隣と家を残して焼け野が原 母が語った記憶とともに
2915 真実の一つも私は知らないが脳遺伝子に記憶している
2914 消え去った幻だろう その校舎講堂に置かれた死体
2913 小学校校舎に残る黒い跡 『火垂るの墓』の頃の名残りと
2912 ひったりとゆたかに充ちていたるゆえ その蝦蟇、痩せ蛙となる
2911 その頃の芦屋、神戸の悲惨など知らざりしかな 彼の郷の人
2910 酒樽が醸造用の酒樽が防火用水桶になった時代と
2909 頂いた大きな大きな酒樽でわが家は燃えることをまぬがれ
2908 お隣の山邑さんやわが家にもその日、落ちたという焼夷弾
2907 戦前に住んでいた家の家具調度、ロシアの人が残したものと
2906 皇帝の別荘のある村映る 19世紀ロシアの話
2905 私も宣戦布告したらしい宣戦布告したくなる日の今日に
2904 この人は誰なんだろう解らないまま日々読むブログ
2903 平然とナショナリストを自認する人を選べば陥る地獄
2902 言葉などもう持つことを諦める カケスにはあれカケスの言葉
2901 秋の風吹いてくる日の裏通り 一心不乱に咲く酔芙蓉
2900 安倍さんが新総裁に就任する 暗い時代の秋の日に入る
2899 その亀の齢(よわい)は250歳 死亡調書は老衰とあれ
2898 日常の中に張られた死の鎖 死の連環を閉じるその時
2897 一頭の蝶と数えてみるときに白粉花の花にまぎれる
2896 一匹の黄色い蝶が迷いこむ 棕櫚の葉陰の野火止の道
2895 とぐろ巻くものはともかくとりあえず作るというから美しい国
2894 鉄塔で首を傾げている烏 嘴太烏の羽濡らす雨
2893 一対一、空間未満のつまりはもう窒息しそうな関係がある
2892 親殺し、子殺し、夫、妻殺し 煮詰まってゆくカプセル家族
2891 転がってゆくとき石は重くなり生木も土も巻きこんでゆく
2890 などと言っても大勢は「九条廃棄」、「憲法全面改正」へ
2889 九条を世界の憲法にすれば・・・そのために努力する国でありたい
2888 ファシズム、新興宗教、社会主義、 集団主義はみな同じ顔
2887 映像のムラヴィンスキーの指先が心臓外科医のように触るよ
2886 イスラムの教義は邪悪とベネディクト16世は言い?波紋広がる
2885 夏中をがんばってきた臓器たち冷房病という説もある
2884 伽羅の木の枝一本と残されたロシアの画家が描いた海の絵
2883 水色の尾を持つ鳥が羽ばたいてジャスミンの木に別れを告げる
2882 夏越えてもうおやすみと言っている霧か靄かが湧いてきている
2881 そうやっていつも出鱈目書いていていつかあなたには罰があたります
2880 などと続ければ、それだけが本当のような嘘の領分
2879 なんてTVを見ましたが地上に月も描かれていて
2878 嘴の長いハチドリ描かれてナスカ地上絵コンドルも飛ぶ
2877 折鶴蘭、風船蔓、鳳仙花 霧雨降れば霧雨の中
2876 その当時、言葉のアヤと言ったのは言葉のアヤであったのでしょうか
2875 鬱陶しい日本になってゆくような ただ一本の道の行く先
2874 ボランティア義務の位置づけ兵役の義務へといつか移行してゆく怖れ
2873 液晶の画面の青の涼しさの 後輪が轢く露草の青
2872 歌を書く賽の河原に石を積む 今日も夕日の射す瀬戸の島
2871 「局地的豪雨」のあとに雨上がる 9.11、から5年目という
2870 悲しみの連続として生があり 部分月蝕にも似て欠けて
2869 橡の実は栗に似ていてしっとりと光沢帯びて九月の朝
2868 栗の木に栗の花咲き橡の木に橡の実が生るキウイにも似た
2867 このままでお終いにする方法考えている橡の実に雨
2866 長い長い長いへびです六メートル 羊をのんで羊のかたち
2865 星の王子さまの象をのみこんだ帽子の形の絵のような羊をのんだニシキヘビがいて
2864 湯を抱くと書いて湯抱温泉と呼ぶ温泉のレポートを視る
2863 安倍さんの時代が来ると人のいふ おそろしい時代が始まっている
2862 いつ雨が降ったのだろう水たまり一つ残って映る秋空
2861 「どす黒いまでに孤独」と麻生氏の修辞なかなか秀逸と思う
2860 ゆっくりと頂上めざす甲虫 光は木々の頂上にある
2859 雨、雨、雨、森に大地に木の枝に、天道虫ののぼる葉末に
2858 この夏が終わる椿も沙羅も枯れ 水の無い木は枯れよと照る日
2857 ペンギンはペンギン同士固まってブリザードから身をよけてきた
2856 本日の〈虚構新聞〉によれば太平の世の一日である
2855 大仰な言葉が溢れ氾濫し 火事の夢から目覚めた朝
2854 夏草に倒れ伏したり、川底に沈んでいたり。放置自転車
2853 精密な線で描かれる蒔絵には 「琵琶湖の芦辺のクマネズミの毛」
2852 のであればと人工の毛も試みられ 未だことごとく成功しない
2851 代替は不可能にして輪島塗蒔絵の承継危ういという
2850 擦れこすれ摩滅している大都市の鼠の毛では描けないという
2849 水毛という一際細い毛がないと漆の流れは調節できないという
2848 蒔絵筆師、村田九郎兵衛氏の語る 琵琶湖の芦辺のクマネズミの毛
2847 鼠の毛で作った黒毛で書く蒔絵 琵琶湖の芦辺の鼠の毛がよいという
2846 皇統の男子出生喜んで「慶び溢る大八洲」とは勝谷誠彦氏
2845 論争に参加したくはないけれどその論点に意義の数々
2844 鳥たちのアウシュヴィッツのその後に人間たちのアウシュヴィッツが
2843 人を殺すほどに傷んでいたことを 窓をつたった雨の雫を
2842 暗闇が夜明けを連れてくるような ゆきどまりには海あるような
2841 あの頃は自由であったと今思う 真っ先に脱け出す自由
2840 この世という遠いところに生まれ逢いやがて離れゆく二つの影か
2839 秋刀魚焼く煙も見えず秋はきて失意のままに逝く秋も来て
2838 鈍色の光りを放つ中世の絵巻の中の鈴虫と月
2837 金銀を螺鈿を漆、朱の塗りを 風の館の鎮まる櫃に
2836 月光を宿した真珠、瑠璃、珊瑚 小函の中に納った秘密
2835 mixiという場について規定するコメントがあり?と思う
2834 こうあらねばなどという場は特になく と思うのは未成熟ゆえ?
2833 火炙りの刑にあってる そののちの罪と罰とを問うな夢人
2832 このように螢のように明滅し 宙の故郷へ帰る私たち
2831 そしてまた神の劫火に灼かれたり 戦場に 否 人を焼く炉に
2830 一瞬に あるいはゆっくり順番に ただそれだけの違いとも言える
2829 鶏にとっても受難の年だった 人間たちが襲って来た年
2828 安倍さんの理想の国を思ったら暗澹とする『火垂るの墓』思う
2827 水母浮き安倍さんがいて日本は再び歩む皇国化の道
2826 イツダッテミンナガソレヲノゾンデル ソウイウワケデウマレタ水母
2825 分身の術を使えば倍々の相乗効果、繁殖の秘密
2824 水母の子、零点3mm手と口を一杯使って大きくもなる
2823 透明に浮いて沈んで浮遊して六億年を生きた水母だ
2822 千本の触手を持てば毒針の効果も千倍、千の餌食を
2821 ぼろぼろの駝鳥を今日の自画像と 冬の渚の白い流木
2820 千年の夢を夢見るぼろぼろの駝鳥が立った砂丘のオブジェ
2819 太陽が海を離れた 金色の海に浮かんだ帆影、舟影
2818 金色の海の向こうにお日さまが昇るよ 夢はどこにでもある
2817 意味もなく不安を抱いて眠れない 泡立つように咲く百日紅
2816 光り射す直下に向かい地震あり雲の隙間を洩れ来る光り
2815 向日葵の最後の夏を見届けて いまゆっくりと地震波襲う
2814 宿題を残したままの八月が終わって五輪候補地も決まる
2813 自傷する形で愛を告げている求めていると解説の人
2812 何者か歩き出すとき死は兆し 研究室の森閑と夏
2811 ロマノフ朝最後の皇帝二コライの夏の離宮の夕暮れの鳩
2810 1907年製の湯沸しのニコライ帝の治世の刻印
2809 モスクワが全市が焼けているという ナターシャが見た炎えるモスクワ
2808 切っ先となって尖端、痛かろう 冥王星の彼方まで行け
2807 何だって一人で生きてゆけないか 多分、類人猿としての習性
2806 和邇族の裔たる人の瀟洒な墓 簡素、清明、古拙な字体
2805 草の葉のしっかり巻いて巣を作る 鬱蒼とした森で名も知れぬ虫
2804 岩山にも僅かに水分あるらしく蘇鉄が茂る森もあるという
2803 歌を書くことも暴力、どこまでも暴¥¥力なんぞ美しからぬ
2802 間引かれているかもしれない私たち 遺棄、ネグレクト、燦と照る月
2801 耐性菌少なくなって死んでゆく漂う卵、水槽の澱
2800 飢えたことがないので飢えた時きっと真っ先に死ぬのであろう
2799 インドでは死体流れて悠久の大河流れてガンジスの夕べ
2798 ひたすらに退屈である退屈を紛らわせること優先課題
2797 ミンミンがツクツクボウシが鳴き交わす 魂を病む一夏がある
2796 精神の不安思えばある意味では(肉体の)病気は健全なのかもしれない
2795 生きている悲しみもあれ 白球の行方の空の虹消えた空の
2794 静かなる黎明として見しものを薄暮の空と知る人も出で
2793 ジャコメッティ眠る小さな白い墓地 「あともう少し」と語った人の
2792 彫像は光りに透けてやがてその光りに吸収されてゆく線
2791 最後は死 ゆえにひとえに唯今に 瑠璃色の蝶めざめる朝
2790 『まほろ駅前多田便利軒』駄目なら駄目で駄目なまんまで
2789 逃げろという『若者殺し』の著者がいう殺されぬため引き籠るのか 
2788 何かしら不貞腐れている魂が私の中にあって満月
2787 破損した羽根数枚に罅があり原発はなお稼動するという
2786 水蛸が卵を守る 岩の間に卵を抱いて仮眠している
2785 もぎ取って来たのは鬼の片腕に似ているようでもある現実
2784 銀の鈴鳴らして来ればしゃんしゃんと子馬、親馬、祭りの神馬
2783 夢に来た子がブランコを漕ぐという月光公園、風のブランコ
2782 炎(ひ)のように水が奔って野を分けて 千年昏く沈む大河か
2781 ひとかけらの希望すらないこののちの真っ暗闇と知って点る炎
2780 想像力には意味がなく言葉にも意味はなく 空っぽらしく
2779 それに語り継ぐ何ものも持っていない 何も無い世代だったし
2778 経験しなければ解らないのならそうすればいい語っても無駄なら
2777 この国の誰かに絶望するのではなく『神々の微笑』に書かれた日本の泥土
2776 適切に判断しますという人の脳葉に棲む薄羽蜻蛉
2775 絶望は小泉さんのその後に安倍さんが来る繰り返されるだろう愚かしさ
2774 一台の柩のような車が来て 一人の男現れて去る
2773 超A級戦犯もいたはずなのに 氷雨降る雨、黙する森よ
2772 そしてまた全ては過去へ流れゆき南の空に十字星光る
2771 誰もいない何にもない辿り着くその空間を死と呼んでみる
2770 眠れますように 眠れるといいね 満月が浮かぶこの夜
2769 静かなる黎明として見しものを薄暮の空と知る人も出で
2768 逃げろと言う『若者殺し』の著者が言う 殺されず殺さぬために引き籠るのか
2767 残された時間を生きるほかはなく花を眺めて歌を歌って
2766 覚悟を決めよう 泥でも塵でも芥でも 命あるだけ命を生きる
2765 六月十八日 今日は辛い日になった 石榴が割れるようにざっくり
2764 煉獄のこの世を出でて蓮の花迎えるお釈迦様の世界へ
2763 南無地獄 南無南無地獄 殺生の噂絶えざるこの世の地獄
2762 四万斗の雨降りそそぐ梅雨の空 ゆきて帰らぬ鳥のいる空
2761 梔子の雨に打たれて変わりゆく蜜蜂色に変わるその色
2760 梔子と百合が開いた雨あがり 昨日の雨が茎をのぼって
2759 そしてまた田村高広さんの声がする干潟の二重ドキュメントのナレーション
2758 生きてゆく世界はいつも苦しくて 空ゆく鳥の喘ぐ 声無く
2757 『一塊の土』思い出す芥川の 淡々としたモノクロームの
2756 戦争に往かせないため目を刺した清作の妻のその物語
2755 モノクロの映画でよかった鮮血の飛び散る様を見ないでよかった
2754 この二人合うのだろうか「模範兵」清作と反抗的人間、情念の妻
2753 あらくさのしとねに逢瀬重ねゆく 清作とその妻になるひと
2752 『清作の妻』を観ている 亡くなった田村高広も出ていて若尾文子と
2751 急速に興味なくしてゆくように言葉が消えてゆく夏の闇
2750 銅に見る塩素の反応 黄の煙たちこめる試験管
2749 「折り返し鍛錬」という鍛え方「繰り返し鍛錬」まで昇格する刀鍛冶
2748 明日もまた暑さの中で働いて それが思えば格差であるか
2747 スキャナーには頭蓋の形撮られていてシンメトリーの影絵のように
2746 保護膜のように時間が必要で空間もまた必要ではある
2745 いつだって変わらない時がめぐって深夜のルーシー・ショー
2744 しとしととなお降る雨を喜んで蝸牛這う葉裏ありけり
2743 六月の雨は静かに降るものを コサックダンスするような雨
2742 ムツゴロウ泥の中にて立ち上がるそれが求愛の姿だという
2741 たましいのさいはてに咲く花に似て火縄銃にも人の手が要る
2740 春の夜の夢は幻過ぎゆけば シルヴェスター・リーヴァイ楽曲の誘惑
2739 私の場合はここに抜け道があると思っていた真暗闇
2738 蝋燭は今華やかに炎えていて 絵本の中の白鳥は死ぬ
2737 今日一つだけいいことがありました 綺麗な声で鳴く夏の鳥
2736 再放送を見ておりました なでしこや芍薬の咲くターシャさんの庭を
2735 腹を摺るコギー犬ではあるけれど日陰を選ぶ花の木の下
2734 この年になれば許されるというターシャさん 貴女ならいつでも赦されている
2733 どんな日か忘れてしまうどんな日か 北北西に雲が流れる
2732 その庭の紫色の勿忘草 ここにいるよと咲いてきたよと
2731 もうここに何があるかもわからないそんな時にも水仙香る
2730 九十歳のターシャさんは痩せてコギー犬のメギーは太って花の咲く庭
2729 ターシャは言う 「春は奇蹟ね」花が咲き鳥が鳴きだす命生まれて
2728 春は来る いつでもそれは突然に 緑がそよぐ 風が生まれて
2727 ターシャにはターシャの時間流れゆき 黄金の明りのきらめく絵本
2726 待つことに喜びがある 小机にスケッチブック開くその人
2725 窓際のゼラニウムにも陽は射してターシャの庭の温室がある
2724 雪の庭 ターシャの庭に花はなく暖炉に燃える薪はぜる音
2723 金魚絵や菖蒲の団扇配られて 紫陽花もまだ咲き誇る頃
2722 薔薇の木も瓦礫に埋まるとナレーション ヒルデスハイムの薔薇の閲歴
2721 重力をもって飛ぶから凧 びゅんびゅんと今風を切る音
2720 暴力は連鎖するという そんなとき攻撃的な競技始まる
2719 この国は集団発狂していると ゴミを漁ってつついてカラス
2718 毎日のように事件は起こるらし 親子が殺しあって梅雨空
2717 小授鶏がチョットコイチョットコイって鳴いている雨が上がった上水の道
2716 月光はなお燦々とふりそそぎ いざなってゆく夜の恒河沙
2715 満天の星空、銀の河の水 天の柄杓を傾けて汲む
2714 流星も蛍も虹もやませみもその山奥の村で見る夏
2713 この夜の果てを旅してゆくような綺麗な軌跡描いて消えて
2712 お隣に板坂さんがおりましていささか先生と言いそうになる
2711 雨の日の雨のモビール透明の青のモビール雨の雫の
2710 チョットコイ、チョットコイって小授鶏が 水色の尾の尾長が雨に
2709 かたつむり、蛙、紫陽花、シャガの花 雨が好きなら私の仲間
2708 熱っぽい今日は一日降る雨のこの密やかさ愛していたり
2707 『さよならをもう一度』をもう一度 イブ・モンタンやイングリッド・バーグマンを
2706 臆測が飛び交う風土 百年も経ってもきっと変わらぬ風土
2705 多分あの勝気な人はそのこともすでに気に入らないのであろう
2704 この頃はエレベーターもシャッターも殺人あるいは殺人未遂を
2703 鉄焼ける匂いがしたよ 火事の夢 殺人事件の報道ばかり
2702 第一の犯罪隠すためにある第二の場合の理由の詳述
2701 中国の映画であって山奥の村をつないでいる道がある
2700 三連の水車が回る川岸に木切れ集めて焚き火する人
2699 このようにして六月の蟹遊ぶ 死者と生者を分かつ水際に
2698 カクレミノ、隠れ隠れて枯れるまで その葉の蔭に瑠璃色の蝶
2697 シュノーケル青蛙という全身が黄色い蛙や梟の話題
2696 寒気団、心に入りくる六月の鬱々として楽しまぬ日の
2695 説明の代りに流れる音楽があればいいのに何もないのだ
2694 左手を息子の肩に置き歩く 木村栄文氏のドキュメント
2693 藁屋根に灯ともる遠景に楡の枯れ枝、早春の雪
2692 愛媛県の小さな町の座敷雛 初節句の子の雛を町中で
2691 初生りの苺一粒ようやくに 延命地蔵の前垂れの赤
2690 レンゲツツジ、ドウダンツツジ、山ツツジ 蜜蜂、蜜をあつめるツツジ
2689 花がらを摘めば花がら山となり水盤になお数日生きる
2688 塩山に大菩薩あり高原も三窪高原近くの躑躅
2687 人工の花で覆った祭壇に虚ろなものの満ちる夕暮れ
2686 やっぱりとみんなが思うその人が事情聴取を受けるその朝
2685 復讐を遂げたる者のありやなし第七の封印解かれる朝
2684 トリュフォーの「隣の女」グルノーブル郊外に住むひとりの女
2683 木曽路には奈良井宿あり清水湧く中仙道の馬つなぐ石
2682 その町は郡上八幡、湧き水の水の音聴く水の音楽
2681 白鳥の雛が生まれる水無月の湖の岸、岸辺の家族
2680 燭光が見えるようなら十字星 離れて光るあの遠い星
2679 そろそろかまだか諸株は崩落し明日の行方はまだ霧の中
2678 無理矢理の分離が起こり血が流れ分離不能なもののゆくさき
2677 世界には破壊願望あるらしく世界とは神であるかもしれず
2676 世界同時株安再び 再建の途上にあって危うき足元
2675 天上に吊り上げられてゆく船があり再び落下する船があり
2674 失速をしている日本経済のこの先にまだ何があるのか
2673 希臘には希臘の青があるようにヒマラヤの空映す青い芥子
2672 気まぐれで生きているとは思わない 夏咲く花は夏に逝くばかり
2671 西空に夕日が沈むその後は小曾根真のボレロで終わる
2670 いま雪が降ってほしいな見てみたいな 冷たい雪の切片などを
2669 今月ももうお終いということにまたもどこかで傷ついている
2668 眠くって眠くて半分死んでいる 十五時を打つユンハンスの時計
2667 雲仙の峠道には桃色のミヤマキリシマ咲いて朧に
2666 六甲は滴る緑、初夏の海の光りの中に兆す死
2665 あのひとも今さまよっている死線 海の光りを見る白い部屋
2664 切ないねみんな誰かに育てられみんな誰かに見守られて逝く
2663 沖合いに浮かんだ大きな貨物船 係留されてだるま船もゆく
2662 はしけが曳く本船であるだるま船 万世橋のたもとに舫う
2661 夢みれば夢のまにまに立つ影の小さくゆれて傾いだ影の
2660 切なさを今見ています牡蠣舟と水辺の葦と降る雨の川
2659 折からの雨に濡れていた泥の道 右と左に分かれていった
2658 希望もなく目標もなく生きてきた 何かが私を助けてくれた
2657 第四章「きのうの雨」が好きだった 菜月さんの歌集『空は卑怯だ』
2656 大切な時間が過ぎているはずの今をどうしていいかわからない
2655 「吾輩は文豪であって悪霊ではない。」と、主婦みどりなる漱石居士は
2654 欲しいです雷蔵映画のDVD 「炎上」「ぼんち」「ある殺し屋」など
2653 狂四郎シリーズなど観たいもの 円月殺法、月光の青
2652 メイショウサムスン勝ってダービーも終わりいよいよ六月、水無月に向かう
2651 木はのぼり木は広がって密生す ジャスミンの木の香る三叉路
2650 降るような降らないようなとある日に 三叉路の家のジャスミン香る
2649 雨上がる 烏がそれを告げている 等間隔に啼いて晴れると
2648 パリの空の下セーヌは流れ♪フイッツジェラルド夫妻の背景に流れ
2647 500円のDVDで見ています『グランド・ホテル』『雨の朝パリに死す』
2646 太陽を孕んで産んで殺したと神話の女なげく雨降り
2645 雨降って雨降って雨降って 降って私の心も濡れる
2644 「恐ろしいのはお前の心」鶴屋南北の見た人の闇
2643 その手紙見せよと迫る鬼女がいて 脚曳き歩く歌舞伎の女
2642 さて歌も書かずはなりて候ほどに『一体二つの命ならずや』
2641 退屈とたたかうために人生があるわけじゃなく木漏れ日の土曜日
2640 少年の童心もちて夕茜 空と水とのあわいに染まる  
2639 もう遠い昔のことだ過ぎ去った水の流れと時間の記憶
2638 遠浅の海へ流れる川がある 昔遊んだ海と砂浜
2637 その町の白い教会、異人館 蔦が覆っていた空き屋敷
2636 教会にあった小さな尖塔が夕日を浴びて輝いていた
2635 山があり川と林と海があり 酒造会社に湧き水があり
2634 遠くからでも見えた赤い屋根 鳥が運んだ実が育つ家
2633 その町の砂を含んだ感触は松林まで続く感触
2632 その日から現在までを俯瞰する望楼などはどこにもなくて
2631 暖炉には火が燃えていて冬だった あなたが生まれたその年の冬
2630 また無理をしている せっかくの気分をそして台無しにする
2629 風吹けば風の歌書き雨降れば雨の歌書く今宵雨の歌
2628 今年もまた同じ日の朝咲いている梅花うつぎの白い花房
2627 復讐の雨降ることもあるような 川の流れの濃く深き淵
2626 命無き乾いた花の異様さとさびしさがあり五月闇あり
2625 警察に復讐するということもあるのだろうか事件の背景
2624 復讐的犯行として犯人と特定されるその家のX
2623 人間という名の修羅の鬼子母神 <子盗ろ子盗ろあの子が欲しい>
2622 特別に哀しい結果生むような花の明かりもない五月闇
2621 たゆたって生きて虚しい日暮れどき逢魔が刻に華やぐものが
2620 体調の不調なんかも言い訳に 午前が終わり午後過ぎてゆく
2619 物事の処理能力に欠けている 読むべき本も積んで久しく
2618 夏に病む母であったと今思う 夏の別れは短かかったと
2617 水濁り水は流れる浮橋を叩いて夏の川は流れる
2616 その知らせはいつか来るはず その日を恐れその日を思う
2615 蓮池から今垂れている一本の糸に縋って救われたくて
2614 カンダタの蜘蛛の糸です銀色のか細い糸が垂れて蓮池
2613 人間の中にも深い洞窟や砂漠があって翡翠の泉
2612 「欲望」のヴィヴィアン・リーもM・ブランドも銀河の彼方だれもいなくて
2611 桜の湯、桃の湯、そして茉莉花の湯 日暮れになれば淋しきものを
2610 人間てさびしい存在なんですねいつか必ず死ぬ私たち
2609 巧妙に隠されている思いでも伝えてしまう波動粒子が
2608 フラミンゴと言えばブランチの『欲望という名の電車』のホテル・フラミンゴ
2607 フラミンゴ色にやさしい花びらの数葉を巻き起きあがる朝
2606 燭台に赤い蝋燭立つように紅花橡の木、落葉高木
2605 画面では霧の中厳かにレクイエム流れラクリモサ流れ
2604 ヒトツバタゴ、なんじゃもんじゃの木の花の白く地上を染めて夏の日
2603 失敗に人は懲りないものであり懲りたところで失敗はする
2602 傍らを通りすぎてゆく人生に その大袈裟な帷子を脱げ
2601 懐かしい思いは常に一定の容量を持ちあなたへ向かう
2600 午後からは病院にゆく 曇るもよしいっそ止まない雨もまたよし
2599 浅草を歩いた荷風山人の日々の天気と日々の足跡
2598 先行きは吹雪であるかもしれぬゆえ 非情な時代の美しき危うさ
2597 東証の株価指数も崩落し冷気漂う 夏になるのに
2596 無患子(むくろじ)の実で羽子板の羽根を作る 今朝のTV の荻窪散歩
2595 夜だから霧が湧くから雨だから理由は何でも風の扉開く
2594 風が奔り月の仔馬が走り出す 翼を持てばペガサスとなる
2593 幸福は第一楽章ではなくて第三楽章あたりに芽生える
2592 私の今一番の友だちは小曽根真のピアノ きっとね
2591 音楽と時間と怠惰 それだけですでに半分癒されている
2590 私には一人の時間があるけれどもし無かったら・・・恐怖ではある
2589 私に色があったら色を描き音があったら音を書くのに
2588 歌などというもおこがましい徒然の日記に過ぎない気の葉言の葉
2587 半分は私の心も病んでいて そのため書いている歌かもしれない
2586 恋に狂い花に狂っているような 二人椀久、保名のような
2585 木陰から木陰へ移動してゆけば蜜蜂が来て薔薇に触って
2584 えごの木はちしゃのき、野茉莉、Japanese snow bellとも呼ばれサポニンを含み有毒という
2583 誘拐を怖れることもないらしき 唯懼れつつ見ているばかり
2582 第二楽章弦の音から始まってピアノへ 祈りのように移りゆく過程
2581 『題名のない音楽会』で聴いたのはフジコさんの弾く繊細な《皇帝》
2580 とても長い歳月が流れ 音を視る力を失ってゆく歳月が流れ
2579 えごの花また咲く季節 木の枝に地に水面に二度三度咲く
2578 雨ののち黄色く咲いて棕櫚の花 むっくり起き出した亜熱帯
2577 雨の日の川の岸辺にエゴの花 稚魚も成魚も消えた水辺に
2576 雨の中うすむらさきのシャガの花 白山藤の樹の下に咲く
2575 疎水には風も流れて飛び石の庭につづいてゆく小径あり
2574 錦鯉たくさんいたが今はいない雪解け水が流れていた町
2573 生成の秘密、偏見あると知る 幾千年の時が流れる
2572 雑草の伸び放題の逞しく 地を這うものは滅びを知らず
2571 清浄無垢 私たちにはそれがない 絵巻の中に雪月花あり
2570 この花は知ってるだろうか私たち人間がどんなに沢山人を殺したか
2569 何をするでもなくて日が暮れて ぼんやり浮かぶ白い満月
2568 雨雲の動きをヤフーで確かめる 伊豆上空を通過している
2567 遅生まれ低気圧ゆえ迷走し力弱くして洋上に去る
2566 五月闇 雲が覆って月もなく花の明りを見ることもなく
2565 五月半ば薄曇る空暮れかかり 花の明りも木の下に消え
2564 牛、豚、鶏、鳥獣の命を喰べて地球を荒らして
2563 例えばヒロシマ・ナガサキ、例えばアウシュヴィッツ、数限りなく
2562 どれほどの人を殺してきたのだろう21世紀までに人類
2561 橡の木の花は似ているルピナスに 樹の中に灯る白い蝋燭
2560 悲しいくらい明るい陽が落ちて海はまもまく金色となる
2559 アレクセイと命名された犬でさえ 狩の時間も眠ってしまう
2558 それぞれの時間の中で生きてゆく 午睡の時間過ぎて翳る陽
2557 モスクワとぺテルブルクを行き来する 孔雀時計は兄を示す
2556 この世にはとても幸福な人がいて祝福された人たちがいて
2555 いつまでか此処に彼処に飛び散らう魂の幾つか 青蛍となむ
2554 時折は紙片のような蝶が来て 遥かな時を伝えてくれる
2553 骨董の値打ちはひとつ今を生き今を感じる器であること
2552 空木咲く季節にいつかなっていた 花明かりする上水の道
2551 霧雨が上がれば夏の上水か 夏の扉が開く雨の朝
2550 双頭の鷲の国から流れ出て薔薇の刻印背にさまよって
2549 雪の降るぺテルブルクの片隅で1907年と刻印されて
2548 クレムリン宮殿のあの葱坊主 騎馬連隊の青い制服
2547 死の方はできれば御免蒙りたく されど我儘通り申さず
2546 私は多分望んでいるのでしょう 夢の中なる一生午睡
2545 選べば選べるかもしれない 「生涯連休」望まれますか
2544 まだ蕾、蕾ばかりの紫陽花と 蝸牛這う櫟の若葉
2543 六月はまだ紫陽花の片陰に眠り 漠然と不安のみ白く
2542 新しい地平が現れても黄昏はここに 紫に空を染めて
2541 退屈な午後ひとときの軽やかさ小曽根真の<ジュノム>カデンツァ
2540 何か一つ突き抜けてゆくその時に手応えがある硬質の触感
2539 『日曜日の朝』という絵の六匹の猫と出会った秋の日の画廊
2538 踏み潰す相手がだんだんなくなって巨象の大足置き場所に困る
2537 次期総理に安倍氏がなれば明らかに危険が増すと思うしかなく
2536 ちゅんちゅんと雀が鳴いて薔薇咲いて良い雨が降る五月の朝
2535 そのように過ぎてゆく日のありやなし 武蔵野の果ての逃げ水
2534 あれは夢?そう夢だった何もかも全ては夢の出来事だった
2533 福音書の一節に言う忘れがたく <怒りのために罪を犯すな>
2532 重なって重なってゆく音韻のさやかに平安京の名残りの
2531 琴弾浜その白砂の白よりも白き馬立つ八朔の馬
2530 海辺には海辺の町の風習が 端午の節句と馬の節句と
2529 馬節句、白馬の節句 八朔の団子の飾り馬の懐かし
2528 帯止めになった私のお祖母さん 箪笥の一番右の抽斗
2527 白珊瑚 珊瑚の海の薔薇の精 小さなピアスになってしまった
2526 海蛍、いいえ私は蛍烏賊 青く光って漂う生体
2525 ウニ、ヒトデ棘皮動物荒金の針千本に似ぬ柔らかさ
2524 烏が鳴きまた現実が戻ってくる カクレクマノミ隠れ家は無し
2523 足跡のほかには何も残さない その足跡も波が消し去る
2522 そこもまた一つの故郷 黒アゲハ樹間に消える大菩薩の道
2521 白樺とツツジと高く飛ぶ雲と 甲州市とは塩山、勝沼
2520 行き暮れて見上げる空の太陽の白く翳りて墜ちる幻
2519 春紫苑咲いて陽あたる道端に信号待ちをしている犬よ
2518 なんとなく疲れきったという顔の老犬がいて黄金週間
2517 鈴蘭の白、空白の時間あり 「鈴蘭の日」という五月一日
2516 夏草の茂る廃屋 太陽が今薔薇色に染めてゆく海
2515 雪が降り不協和音が奏でられ舞台にはまた時間が巡る
2514 何かしら嘘の気配が濃厚で 夏の雲湧く螺旋階段
2513 つくづくと薄情者で非人間 それが私と雨を見ている
2512 はつなつのひかり放って今日の川 小鷺も鴨も消えた用水
2511 具体性なき歌を書く私の具体性なき日常である
2510 夢があり夢の色した街があり薔薇色の海を見ていた昨日があった
2509 いかがわしい明日であればみんな纏めて引っ括られる覚悟はよいか
2508 出獄の許可あり出獄する人あり 「共謀罪」論議なくして成立の運び
2507 白樫の間に黄薔薇、蜆蝶 こわれた船の部品の木椅子
2506 残されて一人の川を越えゆけば都大路の桜かがやく
2505 母の手が取ったであろう黒電話 二十年前その部屋にいて
2504 常夜灯一つ残して幕は下り舞台の上の光りも消える
2503 金色の鳥籠に似た天蓋の線と鎖と光りの渦と
2502 半眼の河馬の一日 終日を水に浸かって何を想って
2501 手紙を書く 手紙嫌いの私が 今タンポポの綿毛が飛んだ
2500 愕然としている 何もかもなんと迂闊に過ぎたことだろう
2499 『炎を孕む』蔵本さんの歌集が来た 白い孔雀が炎となって
2498 花終わる季節であれば花疲れ 四月最後の木曜の午後
2497 蟹味噌と洗濯物もお土産に新入社員研修終わる
2496 歌いたくなくなったのなら歌をやめればいい牛蛙来て牛蛙啼く
2495 ヤマボウシ、ミズキいずれか上水に 胡蝶のように 落下流水
2494 遅れ咲く紫木蓮にも陽があたり 遠い記憶の中の歌声
2493 誰かが語り始めると夜が明けるという 聞き逃しているかもしれない私  
2492 まだ少し眠り足りない猫柳 橡の若葉が生まれる朝
2491 寒暖の二つの季節摩擦する 空がこんなに悲鳴を上げる
2490 落ち込んでいます地蜂の溺死体 水溜りには今日も青空
2489 中村屋! まだ暮れ残る春の空 舞台には猶舞う紙吹雪
2488 明らかにここ過ぎてゆく落ちてゆく卯月の雁を眺めておりぬ
2487 ヤコブ病、認知症との境界の曖昧にして不明の構図
2486 人間を殺してしまうためにある 全世界的儲けの機構
2485 古山の楮、三椏、漆の木 千年和紙の里に星降る
2484 まだ何も変わっていない地球にはシュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星近づく
2483 権力が仕掛けた罠と生贄と 堀江貴文まだ塀の中
2482 移動性高気圧が呼ぶ花や鳥 人の動きも忙しくなる
2481 水色の空に光りの泉あり 空の楽譜を奏でていたり
2480 透明な天使クリオネ別の名をハダカカメガイ肉食の貝
2479 残された時間もなくて成し遂げたい夢もないから日常である
2478 生きてゆく手立て一つも持たないで この世に生を受けて飛び立つ
2477 純粋といえば純粋プリシラは 極楽鳥のように純粋
2476 一日の終わりは早い 散り急ぐ花であったと時間を思う
2475 何事もなくて幸福 それぞれの虚しささえも幸福の徴
2474 火山性微動、空には地震雲 そのようなことになりませんように
2473 じわじわと感染してゆく牛がいて ホモ・サピエンス春の朦朧
2472 本日は休日なりの看板を掲げて花のかたえに休む
2471 何一つ変わっていないつまらなさ敵と味方を取り違えても
2470 天空に大いなる虹または塩 葉っぱに乗った水滴の虹
2469 天上の銀の塩降る砂時計 蛞蝓を消すゲームだという
2468 曇り日の空の下には上水の花を集めてゆく花筏
2467 この辛夷今年は花を咲かせない 去年伐られた兄妹の樹よ
2466 橡の木の目覚めはとても明瞭な目覚めであるから天を突く芯
2465 動物は多分死にたいと言わない そのせいだろう綺麗な瞳
2464 どこまでも遠くゆらいでゆく火影 失ってゆく時間の記憶
2463 密林の奥に潜んでいた虎が火に追われている カンボジアの赤い土 もちろんこれは映画の話
2462 孤児になった迷子の虎がいて まだ乳をのむベンガル虎で
2461 今危機を脱出したというように逃がしてやりたい森の奥へと
2460 幸福の記憶鮮やかに甦る 青空の下咲く花水木
2459 眠り病かもしれないと思います 身体の中に眠る春です
2458 生きていることも生きていないことももしかしたら同じ月の裏表
2457 忘れたいことや忘れるべきことに足をとられて躓いている
2456 前世を占う人の多くして末世があらば末世であろう
2455 花びらが吹き寄せられる汽水域 海と川とが相会うところ
2454 胸騒ぎする夜があり朝がある 禽獣を抱く森に風立つ
2453 ジャングルに残っているのはナマケモノ 水没ジャングル泳いで渡る
2452 立ったまま眠る大木 森の木々 水没ジャングルアロワナの森
2451 好きなのは水没ジャングル いえ水が何より好きなだけかもしれない
2450 大陸がそこにあるからこの空に黄砂が舞って春の日本
2449 現実と少し違って繊細な虚数微妙に配合されて
2448 木々の間に光を追ってゆくように 声追うばかり鶯はどこ 
2447 深夜にポール・マッカートニーLiveを視る ブラームス2番に続く放送
2446 華麗なる春がゆくとき一斉に芽吹きはじめる夏の草木
2445 繊毛は何を探してそよぐのかミカドウミウシ裸鰓目
2444 寄りかかるところ失くしてヤドカリのヤドカリとして終える一生
2443 学校の兎は死んだらしいという 兎のいない校庭の小屋
2442 いつのまにか飼われていたよ その兎 誰にも望まれないのにいつか
2441 落ち着かず眠れない日がありまして不安のようなものがよぎって
2440 木の枝に木の枝が触れて告げるでしょう 季節が変わる四月の朝
2439 十重二十重取り囲まれて藪の中 現実というしがらみの中
2438 実存を鷲づかみする方法を知っているって言ってましたが
2437 爛漫の春の光の青空に 紙飛行機の一つが消える
2436 誰も最後は知らなくてただひとときの夢の波照間
2435 花散らす雨が降るから湖に小舟もなくて春のみずうみ
2434 いつまでの桜吹雪か生きて逢うこれが最後と四月の吹雪
2433 金色の浄土とも見る大乗寺、開け放つ時、応挙の伽藍
2432 春の日が窓越しに射す館内の小さな白い動物の骨
2431 雨の日に晴れの日に咲く花があり 花をゆらしてすぎる風あり
2430 昨年の秋、叔母が死にわが家の私までの血脈終る
2429 長く長く生きてみるのもよいものと百歳の翁笑みつつ語る
2428 しかしまた泥の中にも咲く蓮があると春の日その曙に
2427 格差あり格差の下のその下の下に溜ってヘドロとなって
2426 世の中は弱肉強食 食されて砕けて消えた命だろうか
2425 埃及の王墓の壁のレリーフに猫の手らしき肉球の跡
2424 あの世から見ているような写真があり生前、死後を渡る精霊
2423 生きるともいえない生活ともいえない鵺のようなる生の実体
2422 わが内の鳥獣戯画を完成し涅槃の釈迦のそばにやすらう
2421 死んでいた あなたの大事なあの人は 墓地には小雨が 映画の話
2420 一週間前まで元気だった人 敬礼をして去るように逝く(追悼・久世光彦)
2419 どくどくと血潮見せれば怯えよう 桜咲く日も散る日も淡く
2418 (桜の樹の下には死体が埋まっているというが)
2417 だらだらと過ごしていれば日は移り花咲き散って日も暮れかかる
2416 白色の鶏走る庭にして 生々流転、死の側に入る
2415 そういえば他には思いようもなく束の間の生、束の間楽しむ
2414 リアリスト牛くんの教え現実を受容すること幸福の掟
2413 ビッグママ、羊が連れられて行ったのは七面鳥が炙られる朝
2412 一言を聞き逃したらその後は百万年後の夜になるはず
2411 賢明な人なら解る偽善でも愚かな私たちには嬉しい
2410 虹色の毛糸玉であるそのわけは鼠の合唱隊のご所望
2409 転がった毛糸玉にも行き先があって運命みたいに
2408 演説が上手なアヒル 「助けてほしいんだよブタくん」
2407 犯罪を企む家鴨の共犯者 お馴染みのベイブの出番
2406 何という悲しい朝が来ているの 遠い水面に落ちてゆく雨
2405 だんまりのような春来て薄闇を動く人影、散るさくら花
2404 小忌衣(おみごろも)得体知れない衣装なれど義経が着れば貴人の衣
2403 地震来てゆれているのを感じながら遠野の雪の画面見ている
2402 花に嵐 さすがに風も吹いてきて夜には雨も降り出すという
2401 鹿の絵の郵便切手10円の切手の中の草炎える春
2400 「ふるさと切手・近畿の花」  枝垂桜の白き憂鬱
2399 九州で地震があった。震度5弱 春の列島ゆらぎはじめる
2398 あの頃は見知らぬ町の見知らぬ川 その川の今ほとりに住んで
2397 南天荘書店ってあの頃ありました 震災後の駅をまだ知りません
2396 六甲の八幡神社のその社殿囲む緑の中の鳩たち
2395 架橋駅、阪急六甲 急行とバスの背中が・・・ 遠くに海も
2394 死に上手 白木蓮の咲く頃のとある日暮れの落花のように
2393 桜咲く 春の心は朧にて衆院懲罰委員会の質疑は続く
2392 感情を剥き出しにして磨かれてその牙高値で売られておりぬ
2391 コヨーテは橋を通ってやってきた 風は深夜に駆け抜けていた
2390 柳田さん吉増さん本当の学者や本当の詩人 瞳を見ればそこにあるもの
2389 言葉にも日溜りがある 日溜りに土筆んぼうが顔を出している
2388 まんさくの花が咲いたよ花言葉は「呪文・霊感」春の先駆け
2387 原爆と等価交換されていた天皇制の存続が今
2386 生死には関わりもなき病にて無病にあらぬ 人の世疲れ
2385 危うくて危うくなくて時は春 やさしい風となる沈丁花
2384 何事もないように来る春があり 蕗の薹出る陽だまりがあり
2383 紫の花大根や菜の花の咲く春が来て春がまた来て
2382 当然のように季節はめぐるのに 桜大樹は伐り倒されて
2381 wbn Ra m pt太陽神ラーが昇って天空へ ヒエログラフの鮮やかな鳥 
2380 双頭の鷲が統べていた帝国の地方貴族のオブローモフは
2379 羽の無い白鳥に似て野鴨にも劣る存在 オブローモフよ
2378 寝台に埋もれたままの一生が穏やかに過ぎ 逝きて春の日
2377 白漆喰、千本格子、虫篭窓 光があれば影も生まれる
2376 憂鬱になるきっかけはどこにでも ふっと嫌いな名前を見たり
2375 野火止の土手に桜が咲いていて鶯の初鳴きも聴く三月半ば
2374 母の樹の樹皮から生まれ育つ苗 千年の時湛えブナの樹
2373 古書店に「氷の宮殿」の原稿が流れていると村上春樹
2372 どうしようもなく気分が悪いこんな日はどうすればいい 低気圧のせい?
2371 新田次郎、藤原てい氏のご子息と伺いましたが不思議な言辞
2370 精神のヤコブ病かもしれないね藤原正彦氏の説く日本の伝統
2369 いいですとまた断っている声が聞こえて今日の春日は暮れぬ
2368 押し倒し蹴倒し前へ前へ進む集団があり身を引く自転車
2367 或いはそのひしゃげたブーツの中にでも 小人を隠した森の中にも
2366 しかしその世界がどこにあるかしら向日葵畑の向日葵の種
2365 本当は世界を一つ創造し世界を一つ葬ることだ
2364 墓地近き蜜柑畑やオリーブの畑にも降る春日照り雨
2363 耕して天に至るという村の蜜柑畑にも雨降りやまず
2362 雨降っていますね雨が花びらがどこかでひらきはじめていますね
2361 花びらを散らして春の疾風吹き九道の辻を巻くつむじ風
2360 花びらは去年の花を漬けたもの塩漬け桜の花びらである
2359 縞々のPさんちの猫がいて桜の花を食べたいという
2358 おそらくは世界は背中で裂けている 一筋の血が流れ始める
2357 フィジー諸島、イロイロ大統領を選ぶ3月8日ネットニュースに
2356 憂鬱がそこまで来ていて立ち止まり窺っている黄昏の垣根
2355 疲れ疲れ疲れ疲れて足跡も残さず去って夢の負い紐
2354 半分は崩れたままに身をさらす 西の館の分れと呼ばれ
2353 樫の木の樽の中にはの葡萄酒ねむる冬の地下室
2352 みなすべて普通のことと思いたい 変わらぬことも変わったことも
2351 結局のところ財力なのであり高きところにハイデルベルク
2350 渦巻いているのは汚れ塵芥 春の川面に泡立つ濁り
2349 何がこう悲しいのかもわからないだけど悲しい時があるよね
2348 それらの全てが夢であったと解ったのはずっと後 醒めてからしばらく後の
2347 それがリアルであるために幾つの山川抜けて春来ぬ桃色の
2346 川霧の中に白鷺立っている 三月五日、雛の日も過ぎ
2345 花歌会、冬には冬の花が咲き春には春の花が咲くこと
2344 白鳥の大量死する映像や「へたり牛」なる牛の映像
2343 鳥類の悲惨は続く 白鳥が今朝十万羽焼却された
2342 軽蔑の心が生まれてくることをとどめようなく嘴太烏
2341 違和感の塊となる気がしている微分細分したる大鋸屑
2340 インフレの足音だって聞こえてくるこの先の道が怖いね
2339 姫神が担当していたふるさとの伝承シリーズその音源に関わる
2338 真実の深い心で話せたら 消えてしまった砂の風紋
2337 生きてゆく場所が違って青空の飛行機雲の線も崩れて
2336 残された記憶のような一本のほつれ始めた機のより糸
2335 紡いだり縄をなったりするように荒れた大地を耕して春
2334 歌声は深く優しく響くとも諸行無常と鳴る鐘の声
2333 哀しみについては既に語れない 檸檬の苗木育つ裏庭
2332 湖に花びら流れ岸近く渦巻くものも見えて春の日
2331 何事か変わった気がする二人にも長い時間がいつか流れて
2330 明日また楽しい夢を見られたら 半年という試練の後に
2329 それにしてもこの羊たちはどうやって演技をしたのでしょう それから豚も
2328 人間が考えることは唯一つ 働かなければ食べてしまうこと
2327 生きている間は豚で死んじゃえば豚肉になると 猫が教える
2326 ポークとかベーコンになると教えている 性格の悪い猫だと名指された猫が
2325 「おやすみママ」 ベイブはフライを母さんと思っているのか信頼している
2324 狼は羊を殺した 青草は倒れた羊の血で汚された
2323 敷藁に臥せっているのはママ犬のフライ 友だちの羊がまた襲われた
2322 犬が追い羊が逃げる牧羊豚ベイブがお話ししている間
2321 狼の一族だった犬などとはそこが違うと諭されている
2320 羊には羊のやり方がありまして 素直に優しくそして丁寧に
2319 ボス犬は同居している牧羊犬 黒毛のフライそしてレックス
2318 ベイブ君今日は大活躍なのです羊泥棒から羊を守る
2317 ベイブにはしっかり者のボス犬が見守っているから大丈夫だね
2316 教育が絡めばまたも怒りだす人がいるのさ弥生の春に
2315 無関心な人々がいて湖の透明な水が映す青空
2314 今夜には雨が降りだす模様ゆえ白鳥はもう姿を見せず
2313 天皇という矛盾あり存在に絶対矛盾があって統合を欠く
2312 海近い道ゆえ砂を含む道 芦屋、魚崎 今は昔の
2311 光る風 浜に吹く風 きさらぎの終りとなればボートもあらず
2310 「夏頃に孫が生まれる予定なの」 放射線科に入院の報
2309 生きる希望 死ぬ覚悟をも越えるから 豌豆の芽が今育つから
2308 塔があり教会があり川がある 海へつづいてゆく松並木
2307 エストニア生まれの果実 エストニア土産の絵皿ならここに在り
2306 あの川のほとりに建っている教会 白い小さな教会の塔
2305 舞台にはロシアの雪が降っていて 架空の雪といえどロシアの
2304 何事にも既に動かされなくなっている 連翹の一枝に咲く花
2303 面接は終りましたか新卒の求人広告すでにしてゴミ
2302 どんよりと緞帳下りるそのように雪の匂いをさせて曇り日
2301 空白の時が待ちうけ空虚より他には風も通らない道
2300 ここよりさき何も無いっていうときに 海か山かへ分け入ってゆく
2299 前へ前へ進んでゆけばいつかしら進めまない時に直面もする
2298 金色のあるいは青い透明な海に向かって桟橋に立つ
2297 共感はできないまでも理解ならできると言って理解の限界
2296 「希望、血潮、トゥーランドット」 カラフ王子の答えた言葉
2295 治郎氏が次郎氏、となる一行に春の斑の雪の足跡
2294 潮満ちてくるらし春の魚のぼる汽水域あり春の河あり
2293 水仙の花が咲いたら春だよと尾浦へ抜ける崖で老人
2292 午後からは雨降るというその通り春らしくもない冷たい雨が
2291 鳥籠にあなたは眠り鳥籠にあなたは目覚め 鳥籠の時間
2290 天空を羽ばたくような双頭の鷲が統べていたロシアの大地
2289 ニコライの治世の終わる頃出でて帰ることなき懐中時計
2288 ヒロインのアンナの胸に吹く吹雪 『欲望という名の電車』へとつながる
2287 シンプルな舞台美術の真髄を僅かな素材だけで見せている
2286 松井るみ その人の描く色彩と線の繊細さと大胆さ
2285 最後には光の中へ消えてゆく光りとは闇の終点
2284 原作を読んでみたいと思います 家出老人レフ・トルストイ
2283 冒頭に、ラストに雪が、人工の雪降りづづく『アンナ・カレーニナ』
2282 精神を病む人多い春真昼 異形の鬼の立つ交叉点
2281 母親が捕らえられたという続報 以前にもあったね園児の母が
2280 小さな子がまた刺されたというニュース 午前九時過ぎの滋賀県の事件
2279 十分な捜索をされることもなく海底に 多分そのまま海の藻屑に
2278 紅海に沈んだ船のそののちの数百人の行方不明者
2277 この世のこと何事も思うようにはなりませぬ バオバブの種に水遣り
2276 永遠の不死を願ったエジプトの眠るミイラの華奢な左手
2275 クローンで復活することさえもある三千、四千年前の死を超え
2274 国民のために開いてもらいたい天皇陵という古代への扉
2273 皇室はおそれ多くもかしこくも触れてならない神聖家族?
2272 許されることがあるなら唯一人、徳仁天皇の時代だろうか
2271 「箸墓のもとに戦う」壬申の乱があり 卑弥呼の墓とも言われる箸墓のもとに
2270 レプリカの剣を祀るそれもよし三種の神器というただ徴ゆえ
2269 ラムセスやクフ王の墓、発掘し天皇陵はなぜ開かれない
2268 不確かな歴史の闇にさす光 御陵に眠る古代史がある
2267 古代史の解明のため国民の総意のもとに御陵を開く
2266 天皇陵、とりわけ仁徳・応神陵 御陵を開ける時が来ている
2265 午過ぎの懈怠だろうか春ゆえのだるさだろうか理由なく頭痛して
2264 春の鬱 微熱とともにくるだるさ しばらく身体を休めましょうか
2263 四字熟語「天真爛漫」「支離滅裂」「臥薪嘗胆」←最後の、それが運命
2262 奪われぬためには奪うこともある宮廷女官チャングムの世界
2261 「大奥」と「チャングムの誓い」の共通項 厨房から世界を覗く
2260 追放も毒殺もある 政変とリンクしている宮廷のたたかい
2259 そしてなお続く政争、新王朝 阻止し奪取し擁立もする
2258 昔読んだ『貴族の階段』 舞台裏の駆け引き、策謀、政略、陰謀
2257 宮内庁、官邸、東宮、弟宮邸、皇居もまじえてドラマがあった
2256 故に血をもって尊しとなす考えをそろそろ考え直しませんか
2255 万世一系と言っても、薄まった一系でありさらに薄まる一系である
2254 素盞雄が出雲に至り出雲を支配して 追われた神は隠れ棲むなり
2253 男神月読でもなく素盞雄でもなく女神天照大神であった理由は如何に
2252 宇佐、隼人、菊池一族 神やどる青き洞窟、満ちて黄昏
2251 天を分け地を分け争う原因の一つとしての血の哀しみよ
2250 燭台を盗んだ男に声かける神父の歌の心しむ優しさ
2249 それよりも明日の危険は年金の給付見直しだったりもする
2248 使用済み核燃料や肉骨粉 身辺危険材料ばかり
2247 御懐妊一色となる日本のマスコミであり国民であり
2246 積雪のある日のニュース その雪のように寂しく聞く人もあれ
2245 東京に今年二度目の雪が降り 多摩には少し積雪もあり
2244 そしてまたマスコミ狂奏曲起こり これに乗じて忘却を願う人あり
2243 望まれ願われ企まれて粛々と終わった一つの完全犯罪
2242 超音波診断結果の発表は その日を迎えるまでないのでしょう
2241 争乱の火種は尽きぬことといえ再び起こる壬申の乱
2240 輪をかけて男系、女系、姦しく内閣、世論二分してゆく
2239 秋篠の宮に男子が生まれたら 皇位継承のことは如何にと
2238 演奏の途中で弦が切れるより悲惨なるものではないのでしょうか
2237 この雪がしんしん積もりどこまでも町を埋めて降りつぐでしょう
2236 ヒルズ族は額に汗することなく、と コメンテーターと称する人が
2235 「誤解を怖れずに言えば」という前置きはどういうわけか省略されて
2234 「何だってお金で買える、金が全てと思うホリエモン」と要約されている
2233 エジプトの人たちでなくアメリカやヨーロッパの国の人でもしあったなら
2232 人間の命に軽重はないという 言葉だけならそれは言えるね
2231 死者、行方不明者数百人に及ぶという BS7のみの放送
2230 「アル・サラーム98号」紅海に燃えて沈んで多数の行方不明者
2229 今夜には雪降るという東京の和光の時計が指す11時
2228 肉球の跡点々と雪の中 ドン氏と呼ばれる猫の足跡
2227 階層が固定してゆく社会から弾き出された泥球一つ
2226 九月には辞めると言った総理はその時から炉心溶解始まる高炉
2225 死に体はともかくレイムダックって差別用語にならないのかしら
2224 粛清の嵐が吹くのでございましょう 峡谷に水凍えるように
2223 遥かなるミトコンドリアDNA 春は優しく光りをつなぐ
2222 終焉は薔薇の垣根の向こうにも春の朧のような空にも
2221 急がなければならない時が来ています既に終りが始まっている
2220 日本にとって貴方が何なのか時に考えてみたい時がある
2219 純粋な培養液の中に棲む諸行無常を培う因子
2218 複雑な縫合線が美しいアモンの神の鹿の角笛
2217 始まりは雌雄同体 七千年前にっぽんは海の水底
2216 男系の場合父方を辿ってゆけば天皇に至るという。アンモナイトよ
2215 血に頼り血を尊いとしてつなぐ十六花弁の菊の紋章
2214 国体に関わると言い国体の護持と言い国体とは単にただ唯一の
2213 ここにまた「国体」の二文字現れて 終戦を遅らせた時に似て
2212 少子化の悩み等しく覆うから断絶の危機そこにあるから
2211 女系を選んだとしてそれでいったい何代続かせられる
2210 男系を選んでみたとしてそれでいったい何代続くのだろう
2209 何ゆえになぜ尊いかの議論なく尊いゆえに尊きとして
2208 その真偽 詳しく問えば何かしら整合性を欠くこともあれ
2207 万世が一系というそのことの何が尊く またはそうでなく
2206 南北朝時代は知らずそののちもその前にもある空白の時
2205 天皇のルーツ辿って辿り過ぎ 分岐地点でうやむやとなり
2204 旧宮家の皇籍復帰をするべきと 宮家経費の膨張私案
2203 血の系譜 どの血の系譜 男系の女系の 天皇とは何
2202 明日の日の約束の無い偶然に頼って生きてのちの千年
2201 その他にいったい何が そのことを皇祖の御霊告げているかに
2200 危機感がそうさせたのかもしれなくて この後のこと次の世のこと
2199 この国の安らけきこととこしえにと代る人なく祈りを捧げ
2198 三殿の祭りに最も熱心な天皇であり皇后であり
2197 古稀すぎてハードな日々を送られる天皇、皇后の長い歳月
2196 天皇と皇后陛下のおつとめの宮中三殿参拝のこと
2195 天皇といえば昭和であったころ生まれて美空ひばりも聴いて
2194 天皇の即位を御大典と呼ぶ記念の百年ほど前の古冊子
2193 東禅寺山門に降る春の雪 「立春大吉」降る雪の寺
2192 突然に曇る空から降るみぞれ 霙のなかの連翹の花
2191 春鹿が水を飲みに来る行者川 その川沿いの山葵田の春
2190 樅の木の森があったね山梨のおじいさんが育てた西の平に
2189 約束の時間はすでに過ぎたのに森はめざめの時を忘れて
2188 水流れ林に雪が降り積もり 落葉の上に新雪積もり
2187 分身の術かもしれない正体は 等圧線がぎっしり埋めて
2186 ゆったりとちゃらんぽらんにたゆたって地獄極楽どちらへとなりと
2185 運命に後ろ髪なしチャンスより後退するべき道の崖っぷち
2184 蛸足が広がるように殖えてゆく 弛緩し飽和しもう無関心
2183 怒るべき事件も事故も多すぎて矛先すでに曲がり始める
2182 飽き性の日本人ゆえどのような事件も事故も忘れてしまう
2181 現実のあなたがそこにいないから聞けば聞こえる脈打つ鼓動
2180 青草のグラスホッパー飛んでゆけ しゅわしゅわと鳴る尾にも飛び乗り
2179 幽閉の青山半蔵にも似たり 乗馬しているシシィにも似て
2178 一度目は悲劇、二度目は喜劇だと言いますけれど 乖離する病い
2177 身動きもならないようになるのです ほんの少しの油断のために
2176 過去、伝説の二千六百数十年 百二十数代を継ぐ身となれば
2175 象徴という抽象であり具体 生身の人間でもある不思議さに
2174 如何ともなしがたきかな血をもってつなぎゆくこと 千年の闇
2173 天皇が男系であれ女系であれ存続のこと危うからずや
2172 春の日は黄の菜の花や紫の花だいこんを用意している
2171 木に花が咲くとき遠い空の下 蜃気楼見る氷見の海岸
2170 その寺も港も町も寂れては 今は昔の物語となむ
2169 萬屋の嘉左衛門さんが造ったといわれる港の寺の猫塚
2168 萬屋の船でも猫を飼っていた ロシアをおろしゃと言っていた頃
2167 昔はね船には猫を飼っていた 北前船の時代日本でも
2166 有名なワインを守る猫の話 酒造会社の正社員猫
2165 その毛並 というよりは粗々と反り返る素材それが可愛く
2164 ピーターとジェニーの旅が始まって 白猫ピーターと虎猫ジェニー
2163 グラスゴー行きの船から見えるのは空に瞬く北斗七星
2162 人間の船に乗ったら仕事をする 猫の仕事は鼠を捕ること
2161 船倉にもぐり込んだよ猫たちは グラスゴーへ行く船に飛び乗り
2160 これはねぇポール・ギャリコの原作でただ今お気に入りの人形劇
2159 貧しくても気楽に気まま暮らそうよって誘われる 貧しいおじいさんは良い人?
2158 ピーターは教えられている「ミルクは舌を使って飲むのよ」
2157 ほんとうは人間だっていう猫が一人前の猫になるよと
2156 銭湯のタイルに描かれた絵のような富士など見えて西方の空
2155 雪煙上げる富士山その映像、公魚釣りも解禁という
2154 富士を見る南斜面に桃、杏、ブルーベリーの花く畑
2153 だんだんと溶けてゆくのがたまきわるいのちあるいは雪の運命
2152 ここに来て保守本流の揺り戻し 女系天皇論も揺り戻し
2151 改革の最後は何気なく天皇制解体だったらある意味凄い
2150 屋台曳き歩くおばあさんの映像が一月最後の日曜日の映像
2149 筑紫の君「磐井」の墓があるという 密やかにして叛乱の系譜
2148 「八女」という地名は松本清張の『砂の器』でいうなら「亀嵩」
2147 簡単に自殺と断定されたゆえ耳に残って鳴る非常ベル
2146 本当に自殺だったかも知れないが もう少し慎重さがと誰でも
2145 思惑がただあるだけで実態は何も無くて見事に空洞
2144 官憲の取り締りという言葉がありルールを守れと諭されている
2143 地検とは軍部に似ていて粛清の嵐も吹いて来るようですね
2142 不安から不安へ針が動くとき 最大級の雪崩が襲う
2141 ライブドア関係者野口英昭氏 何を知りえて命を落とす
2140 すみやかに遺体は灰になったゆえ灰に尋ねよ死亡の理由
2139 古典的殺人事件であるならば古畑さんに復活願う
2138 この国に闇の世界があるという「刺客」と言っても現実のお話
2137 事件とか疑獄と呼ばれる何らかに集約されるその国の性質
2136 質問中落ちつかなげに何回も安倍氏の口に運ばれた水
2135 安全な場所かもしれない塀の中 万里の長城ほどに築けば
2134 烏羽玉のblack moneyに手を出せば闇に烏が啼くと言います
2133 朝焼けの海は薔薇色 禍々しい噂も出でて日本の早春
2132 送信は失敗しました蝶々は韃靼海峡越えられません
2131 春風が通って行ったようでした 木橋を渡る蝶がいました
2130 「生協の白石さん」のような優しいお答えを待っております春待つ蛙
2129 草原に雪降りつもり雪上がり 野兎が今目覚めたところ
2128 叡山を焼き討ち髑髏を酒盃とす 水無月二日明け方の死者
2127 信長の望遠鏡に地球儀に 春の陽炎ゆれていたこと
2126 「人間の屑」と誰かが呼んでいて 屑と呼ばれるまで落ちた人
2125 風穴は再びめでたく塞がれて安泰である無風空間
2124 このような方法がまだあると次回からは教えられる外資に
2123 粉飾は確かにいけませんけれど日本国に比べればまだ
2122 老人や金持ちばかりに占有を許さない方法の一つが消える
2121 国債という名の不良債権も積もると聞きます罪は問われず
2120 厖大な赤字を黒字に見せかけて虫喰いだらけの葉っぱも替えて
2119 虚偽にして涙ぐましく時価総額上げる方法 あなたの場合は?
2118 クリフォード・バクスター氏と野口氏と双方一人自殺していて
2117 雪国に猶まだ雪の降り続く ポーランドでは死者150人という
2116 情報はタダでも要らない時代だと要約されてタイトルを読む
2115 このように一罰百戒あるゆえに 磔獄門、さらし首など
2114 一人消えまた一人消えこの国の地下を流れてゆく黒い水
2113 あるいはまた急ぐ理由のもう一つ誰もこれ以上死なないために
2112 そのために消えた噂もありましてほっとしている政治家もいて
2111 こんなにも地検特捜部が動くのは それも絶妙のタイミングにして
2110 風説の流布なり偽計取引なり どのような兇悪犯罪なのでございましょうか
2109 風説を流布した罪も深いという 他ならぬマスコミがそう伝えています  
2108 「容疑者の声」を放送されている 推定無罪の原則はどこに
2107 その身柄確保しなければ殺されるとでもいうように急ぎましたね
2106 「切ないって言葉わかるかい?」天井の軋む音と降る雪
2105 新潟県津南町にも雪積もり 秋田県上小阿仁村にもまた雪積もり
2104 昨日見たテレビの中のおばあさん 新潟県津南町の独り住まいの
2103 明日は晴れ されど寒さはいや増すと 北北西の風と落葉が
2102 凍結に注意と呼びかけられている 水道道路と呼ぶ遊歩道 
2101 キラキラと光る塔です六本木ヒルズに雪が降っていました
2100 木の橋や鉄の小さな橋架かる 小川に雪が降って流れて
2099 そういえばもうすぐ雛の祭りです 桃の節句にも雪降るかしら
2098 横浜の海には雪が降っていたと 海に降る雪を初めて見たと
2097 おぞましいニュースが続く今週の日本列島 雪国に春はいつ
2096 雪豹もレッサーパンダも喜ぶと寒気団来る6時のニュース
2095 積雪は13cm綿帽子被った垣根の山茶花の赤
2094 氷点下1.1度に冷え込んで北風も吹く東京という
2093 県警が自殺と断定した上に焼いてしまえばそれまでですね
2092 巨悪あり極悪ありの世の中に ホリエモンとは如何なる悪か
2091 一日で雪は降り止み川岸に身を寄せあった水鳥がいる
2090 黄金の門は閉ざされ黄金のドームが見える丘からのエルサレム
2089 日は昇り日はまた沈む 有為転変、諸行無常の一期の空を
2088 花束が微かにゆれて陽がさして その陽のようなゆらめきの中
2087 過ぎ去った日々は短く成し遂げたことは何もないなんてこと
2086 いつか死ぬ人と私と冬日中、湖に来る白鳥の多さを
2085 何ものも変わらぬまでも時に雪、時に氷雨と濡れて歩けり
2084 もう過去のものと葬り去るようなこの書き方だって問題ではある
2083 青空に風車が回る映像の白い風車の三本の翼
2082 世の中は結局何も変わらずに絶好調の社会でしょうか
2081 延々とのびてゆきます中国の万里の長城 夕日果てるまで
2080 砲火台、シルクロードを見下ろしてポプラのそよぐ畑の中に
2079 それならばわざわざ断ることもなく自分の道を行けばよいだけ
2078 雨を呼ぶ霧であろうか 慈雨とよぶべき雨降るや降れ
2077 そしてまた生まれたばかりの蝶々が吹雪のように飛び立つだろう
2076 処理能力限界値をも越えゆきて売買停止に陥る東証
2075 今回のドラマのクライマックスは何と言っても東証の暴落
2074 乱高下しながら上げるトレンドもチャートも全て焼き払う勢い
2073 いつだってその息の根を止められる 生殺与奪の権限誇示す
2072 主流なす力を持つのは相変わらず私達と霞ヶ関が
2071 銀杏を一つ一つ剥いて焼き食べております翡翠銀杏
2070 額に汗し体を労することのない人に災い降ることもあれ
2069 摩天楼知らずに育った世代ゆえ低層階に落ち着く暮らし
2068 ゆくりなく落ちてゆくのも致し方なしと思えて自然に落ちる
2067 愚鈍なる多くのものと俊敏な少数者がいてヒルズの栄え?
2066 笑えますがまた一方で真実の側面もある要約の方法
2065 親の子の子の子の孫のその子まで意欲低きは下流の徴と
2064 その上に二度と復活できないと孫子の代まで烙印を捺され
2063 低層というより既に最下層 奴隷に近い昨今である
2062 要するに上と下とは分けられてその一方の低層にいる
2061 下流とは下層と違うと言うけれど言っている意味はほぼ同じ意味
2060 自分らしく生きてやがては蔑まれ落ちてゆくのは意欲なきゆえと
2059 かにかくに敗者復活なきものと『下流社会』は教えていたり
2058 集落が集落をなす限界を自然が奪う冬が来ている
2057 地震が襲い、水害が襲い雪が襲い 雪崩が襲う村の棚田か
2056 青年を待つ両親は心臓を病んで仮設の住宅にいた
2055 道を作りブルドーザーを動かして一人こつこつ作っていた池
2054 願わくは積もる雪にも潰れずに春待つ池と親鯉であれ
2053 暖かい町の養殖池などにもう引越しているかな鯉は
2052 青年が精魂こめて作っていたあの池は今どうなったのだろう
2051 気になるものの一つに 山古志の鯉を養殖していた棚田  
2050 木蓮の固い蕾が膨らんで紫色の光りを放つ
2049 川岸の氷が溶けてさらさらと水が流れてクロッカス咲く
2048 黄の色の蝶が来ていて陽だまりに小さな花が咲く雨あがり
2047 錦郡槐の根方に埋める符 乾、巽は鬼門にて候
2046 透明なネットに包む夜の闇 インターネットの水の痕跡
2045 忘却は一部のことと思いたり その蕁麻に火を放たれて
2044 ミネルバの梟鳴いて夜が来て 魑魅魍魎の支配する夜
2043 透明な水晶、砂金に似た光り 野生のけもの湯治する川
2042 上尾根に日本トナカイ見たという ただ一頭で見下ろしていたと
2041 木小屋にも畦にも雪は降り積もり 露天の水桶、筧も凍る
2040 街にいて山奥に降る雪のこと思ってみても仕方がないが
2039 人は何故どうして生きる孤立する集落がある新雪が降る
2038 間違いがまたもう一つ増えただけ 淵がだんだん深くなるだけ
2037 みごもった真珠の虹を見つけたら貝は自身を溶かしたものと
2036 暗い暗い暗い人生の虹がどこかに立つと暗渠の蜆
2035 三十数か所とも言われ切り刻まれて蘭奢待香る
2034 香木の蘭奢待さえ切り取られ権力の座にあるものの傍へと
2033 人生の苦難を負って生まれてきたヤドカリに似た貝の文様
2032 そのような思いは一度もなくて死ぬ 黄昏の中沈む日輪
2031 そののちを一人生きれば用水に流れた芥かもしれぬ生
2030 桜散るドラマの中ではらはらと花びらが散る若き死がある
2029 問題は終わってしまってから生きるその生き方のことではあるが
2028 桃畑少なくなって一葉の道の桃源境もいつまで
2027 お隣の木小屋に薪はうずたかく積まれて越冬準備は万全?
2026 遠く遠く視界は広く富士山に南アルプス連山に雪
2025 二本木の道を登れば上萩原、大久保平、白樺の道
2024 養蚕の町でもあった甲州市、甘草屋敷のある旧塩山市
2023 和紙の里、市川大門 桑の葉の饅頭を作り饂飩を作り
2022 夢を見る獏の人生なんてもうとうに終わってしまったんだねきっと
2021 結局のところ他人の生であり夢喰う獏とは関係がない
2020 山村を漁村を時代は呑みこんで何事もないかのような風雪
2019 私たちの田舎の家もいつか消えただ生い茂る藪となるべし
2018 山村では人は住めない 過疎の村今年度幾つ消失するか
2017 私をうちのめしているものが何なのかもちろん私は知っております
2016 脱力し発熱したり寝込んだり 雪も降らない東京にいて
2015 「敗北の太鼓」が鳴って迎えに来る遠い未来が挿入される
2014 熱の出る前兆、人それぞれに違い 何か酸っぱい心臓の痛み
2013 このようにスタートしている新年は芹の芳香、すずしろの白
2012 誤発注基金も創設されるという 気安く間違い気安く補填し
2011 今回は大和証券SMBC 膨れ上がった出来高の陰に
2010 温かい雨降るという東京の液晶画面を吹く磁気嵐
2009 その海の浅瀬でそよぐ海苔、若布 しばらくぶりにお台場に雨
2008 ノリヒビに網掛けられて海苔の芽は海の浅瀬で育つというが
2007 私が海
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 14:32 * comments(0) * trackbacks(0)

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2000 人は城、人は石垣とは言えど黄金費えて武田氏滅ぶ
1999 国宝も分散されてそれぞれの神社にありて眠る四百年
1998 「城崩し」なる異名もつ築城のプロでもあって金山奉行
1997 人口に比べて常に多すぎる寺の理由か甲州金山
1996 金山と温泉の湧く道筋に寺社仏閣の堂宇の数多
1995 黄金を掘っていたその鉱山に沿って流れていた黄金沢
1994 冬なれば桃も葡萄の木も眠り枯れ草色の高原に雪
1993 眼下には桃源境が広がって葡萄の丘がそれに続いて
1992 生きてゆくことの重さに似ています 積雪4メートルを記す新聞
1991 春の夜の夢の浮橋とだえたり 途絶えしのちも逆しまに顕ち
1990 新しい悲劇は生まれ前代のそれより速く巻き込んでゆく
1989 もう既にその足音は聞こえていて時代は確実に変化していて
1988 団塊の世代が去って夜が明けて2007年日本は変わる
1987 抒情して春の雪さえ消えるゆえ命ながらうべきにもあらず
1986 許されて楽しく軽やかだった日の昔日となる須臾の間にして
1985 こののちに生きてあること衰えて貧しく老いて 雪の重みに
1984 最低限、生きていかなければならない 欠片、切片、木っ端に砕け
1983 青空の向こうの向こうまで一人 一番好きな時間の形
1982 自衛隊、軍隊、郷土防衛隊 どんな名前にしても兵隊
1981 空母があり零戦があり嬉々として見入る男の掌のプラモデル
1980 雪鬼の降らせる雪の身の丈を越えたころから春までの燦
1979 加賀山中、白山山中、能登金剛 寒気団来て白い氷壁
1978 結局のところ「大和」が誇らしく「大和」を愛しむ人たちがいて
1977 背後の人、命令下す人のこと 何処にもなくて『戦艦大和』
1976 ある時は核攻撃もやむなしと ある時そこに風が生まれて
1975 死者と死者、他者と他者とを交換する 殺しているのは敵だけという
1974 たとえそれがどんな人たちなのであれ置き換えられる立場にはなく
1973 命令を下されるため私たちは生まれて来ているわけではなくて
1972 守れずに死んでゆくもの戦争は 殺し合うこと殺されること
1971 再びの水漬く屍や再びの死屍累々の戦艦大和
1970 末端はそうして働かされて死に 血で染められた《日の丸》残る
1969 戦禍なを心にいたるこの国が 未だ醒めない夢を見ている
1968 そのように男は召され女たちはそして子どもは殺されていった
1967 自分よりかよわいものを守るという (そんな戦争なんてなかった)
1966 自分よりかよわいものを守るという (そして戦禍は拡大してゆく)
1965 自分よりかよわいものを守るという (そんな論理にすりかえられる)
1964 そのことについては語らないことにするしかなくて虚無よりも虚無
1963 そう言ってさらに罪のない人たちを虐殺もする 集団となり
1962 玉藻よし讃岐の国の玉垣の八幡宮の鯨捕る絵馬
1961 養殖に活路見い出す人もあり活魚に販路を開拓する人あり
1960 天然の海を回遊する魚 稚魚のたぐいも獲りつくされて
1959 それが今は海の扉が閉められて酸素不足になったかのよう
1958 その海の鯛、海老、平目、蟹やシャコ 海はゆたかに耀めいていた
1957 昔々瀬戸内海にも天然の鯛がたくさんいました「魚島」の季節
1956 蓄養という名の漁業 養殖のマグロの餌になる天然魚
1955 養殖の海老に蓄積する薬害 過密、腐乱と抗生物質
1954 マングローブの森の薬草、海老や蟹 失い失われていった楽園
1953 蜘蛛の巣の糸が震えて雨の中 幾何学模様の牢獄がある
1952 海に雪、町に雪降る寒の入り サンパウロは気温30度という
1951 最終のランナーが来て大手町ゴールに多くの戦い終わる
1950 山を登り海辺を走り倒れこみバトンを渡し続けてここに
1949 10秒差 この10秒が来年を決定的に分ける10秒
1948 ギリギリで入りましたね日体大、東洋大学、シード権をとる
1947 亜細亜大が初優勝になるかしら駒沢大の五連覇はなく
1946 そのタスキ渡して倒れることだろう 難波祐樹の走る姿が
1945 蛇行してセンターラインをゆれながら難波祐樹がゆれて走って
1944 監督がボトルを持って給水に 強い陽射しとアクシデントと
1943 給水のポイント過ぎて先頭の難波祐樹の脱水症状
1942 2位争い激しく競ってあと6km 順天堂大、難波祐樹を追う
1941 芦ノ湖のゴール地点に雨は降り 往路1位の今井が入る
1940 雲はいま峰を下ってゆくからに往路のクライマックスも来る
1939 山道も悪路も関係ないという 今井正人が5人抜き去る
1938 順天堂、今井正人が抜いてゆく後6kmを残してトップに
1937 次々とスーパールーキーなるものが現れ出でて入れ替わる1位
1936 氷雨降るゆえに痙攣起こるらし 残り9.2kmが苦しくなるらし
1935 霙降る箱根駅伝、宮ノ下の急坂登る 霧も出ていて
1934 浮橋の途絶えてのちも中空にたなびく雲の思い橋一つ
1933 切断をしました今後の予定なら北斗十字の柄杓に汲んで
1932 新年の挨拶なども出来ませんが 波が描いた文字を見ました
1931 活動を停止しているあなたです 雨、雪、霰、氷雨が続く
1930 店晒しされているこの一冊の本にもあったはずの春の日
1929 やがてもう死もなく生もない世界 時が洗っていった砂浜
1928 姫神の曲も終わってふるさとの潮騒すでに聴こえなくなる
1927 時を隔て波を隔てて語りあう 幾千の闇越えて見たもの
1926 浜辺には連歌の人の庵跡 遠浅なれば波青の漣
1925 弟の、その子の、養子先のなど烏帽子・直垂の絵を分かつ如
1924 そのように自害した人幾人も連枝連雀、炎の蒔絵
1923 城は火を放って落ちる 自害してその人の子も夢も炎に
1922 一切の敵に離れて春の城 連歌に遊ぶ 滅びてあらむ
1921 一滴の血のつながりのありやなし 四季花鳥図のかささぎほどの
1920 その人が愛した茶碗と掛け軸と歌に連なる一筆の書と
1919 「いつも口髭のあたりに春風が遊んでいるような男」と司馬遼太郎の書くその人
1918 キリスト教布教を許した戦国の武将は微風を纏うその人
1917 信長が開く以前に開かれて許す以前に許されていた
1916 その町は活気に溢れ賑わった自由交易都市の始まり
1915 修羅の人信長以前、キリスト教布教を許し茶人利休を友としていた
1914 大徳寺襖絵に見る花鳥図のエネルギッシュな中世の力
1913 長袴、烏帽子の射手が放つ矢と墨で書かれた隠れ字の鬼
1912 百手という弓矢の神事 本年の的を射抜いた射子、徹君
1911 神楽舞う男ありけり昼の舞、夜の舞、なお続く炎の舞
1910 聚光院殿、歌に連なり歌を書き利休の墓に並び眠れる
1909 掛け軸も襖も常に変わらずにそこにあるかのように鈍色
1908 八百年続いた井戸の透明さ 神の社につながった水
1907 懸けのいおと発音している智恵さんはウオではなくてイオと懸けの魚を
1906 田畑を失くし山林を失くしあらゆる一切を失くし 儀式行事だけを伝える
1905 灰を持ち清めているのは智恵さんで支店から来た本家のお嫁さん
1904 正月が終って家屋敷清める魔除けの灰も一周
1903 神棚に飾る注連縄を作るのは男の仕事とオモのおじさん
1902 民俗の伝統辿るシリーズの一巻として《ふるさとの伝承》
1901 白砂に波打ち寄せてふるさとはNHKの画面の中に
1900 新年と言っても昨日の今日である 何も変わらぬ日常である
1899 新月のおおつごもりの夜にして 静かに溢れているだろう宙の井戸
1898 救われぬ一人であれば満身創痍 三日月がまた昇り始める
1897 この国の悲惨極まる年の暮れ 救われぬもの救われぬまま
1896 mixiもそろそろ入って半年くらいになるかしら流星のように過ぎてゆく人影
1895 かと思えば《uni》という人もやって来てこちらは母校つながりらしくて
1894 白黒の模様は何の貝合わせだったか思い出の中の時間割
1893 《su》という人の浅蜊の写真が可愛くて見てしまうプロフィール写真
1892 四分儀座流星群が現れる一月四日 戌年の初め
1891 安心して溶けてゆけるよ消えられる何にもなかった頃の無心に
1890 何もする必要が無いということが解り非常に安心する雪だるま
1889 その声を聞いてみたくて書いてみる おそらくさらばさにあらばあれ
1888 却下する この案件は無きものと 無条件降伏を受諾したその日
1887 「若干の損害を蒙った模様」という 当日の新聞の中の広島
1886 そんな時代など一度でもあるわけはないと闇の声
1885 この国にかつて安寧あったという貪り殺しあう少し前
1884 人生は運だし格差は必然と勝ち組経営陣の大笑
1883 北海道、九州地区の悲惨など知らないこととあかねさす街
1882 抑制をされている側 労働者側に立ってみれば 悪質な回復
1881 それゆえに非常に質の良い回復 ゆるやかに今、川遡る
1880 労働者コストが下がって景気は回復し金利の上昇はまだ抑えられ
1879 明日死ぬ行路病者に保険なく家なく家族なく国は無い
1878 行き倒れそのまま死んでゆく人がいるというのに景気は上々
1877 麗々しいパックの中にあるものはイワシ かよわき鰯の消えゆく漁場
1876 本鮪一匹競値1111万円也 景気は順調に回復という
1875 満天の星空の下ひっそりと息をひきとる冬の鳥獣
1874 車道には轢かれて死んだ猫の死体 九道の辻に舞うつむじ風
1873 スピードは思いであると誰かが言う 思いがあれば出来るのだろうか
1872 結局は横着なだけなんだわと知る 私には気持ちが無いのだと
1871 地吹雪の救出現場を中継するニュースで終る2005年か
1870 羽越線事故の現場を通るもの 遮るもののない海だった
1869 行く年の最後に虹を見るように 五ヶ瀬川産鮎の昆布巻
1868 五ヶ瀬川、きらめく鮎の集めたる日の温かさ昆布巻にして
1867 宮崎の五ヶ瀬川なる川の鮎、慶びの魚、若鮎を食む
1866 風光る五月の鮎の香りして 凍てつく冬の食卓和む
1865 宮崎の五ヶ瀬川なる川ありて透明の魚(いお)生まれるという
1864 病巣は木の洞に根に土にあり 冬青空は透明に澄み
1863 水鳥の羽毛につつむうつしみのそらみつやまと日も暮れにけり
1862 誰一人訪ねる人のない家に似ている 風が過ぎた青空
1861 丘の上、雑木林と五軒の家 その丘に建つ一棟の屋根
1860 残骸を曝すだけなら美しい国立駅は消えるべきかも
1859 国立の駅は解体されるという移転費用もない国立市
1858 歴史ある東京駅は残された春の朧の帝都であれば
1857 夕焼けと同じ色の柿色の三角屋根の駅舎があった
1856 赤松の林も雑木林さえ伐られとうとう街は駅舎を伐った
1855 北口が開発されてマンションが三角屋根の背にそそり立ち
1854 スカラ座が壊され駐車場になり大学通りに次々にビル建ち並び
1853 夕日が見え富士山が見え街が見え遠く丹沢が耀いていた
1852 あの駅が好きで選んだ街だった 国立駅が美しい頃
1851 犯罪に近い開発競争に三角屋根の駅舎は追われ
1850 それももう今は昔の物語 そそり立つマンション群の下の蟻んこ
1849 オレンジの瓦の三角屋根が見え 林が見えて崖(はけ)のあの家
1848 赤松の林と駅舎、一橋大学のあった国立は遠い
1847 国立の駅舎保存は否決され跡形もなく消えるというが
1846 悲しみはフラッシュバック 『幾度目かの最期』を書いて久坂葉子は
1845 海沿いの散歩道など変貌を遂げたといえどまだ紫の雨煙り
1844 横転をしている列車、雪原に飛び散る椿、山茶花の赤
1843 雪国に雪降り積もり関東に空っ風吹く 西方のやわらかな青
1842 抑揚が決定してゆくすべてのこと内容よりも如実に明らかに
1841 刺々しいっていう場合の棘って文字通り刺すと痛くて触るとさらに
1840 ふるさとの涅槃の仏微笑んで樹木のように眠る千年 
1839 朝焼けの海に帆船浮かばせて 風が運んでくる森の声
1838 家鴨、鴨、猫も数匹 街路でも庭でも女たちが織る布
1837 荷駄のように運ばれてゆく 河舟で むかし都と呼ばれた町へ
1836 楼門に草を生やして石窟の毘盧遮那仏の崩壊進む
1835 平原を列車が走る 平行し蛇行し河は水は流れる
1834 システムの欠陥、強度不足など雪降る冬の日本海溝
1833 新しい畑に百合を植え替える 病原菌を絶つためという
1832 真剣で真摯であればあるほどに闇の深さも増しゆくばかり
1831 「男たちの大和」なんていう映画その製作意図のいかがわしさ
1830 雪が降る森の川岸 巣の中の生後三日の雛の灰色
1829 縄張りを主張している徴という赤い鶏冠の際立つ一羽
1828 和歌にある姉歯の松のみちのくの枕詞の悲しくもあるか
1827 四ヶ所、阿○○、姉歯という今週のニュースの中の珍しい名前
1826 犯意ある契約ならば無効では? 契約以前の姿に戻せば?
1825 一ヶ月何も食べずに息絶える蛸の母親、蛸の産卵
1824 吉兆という農鳥を見る富士の 麓の町の御師の宿坊
1823 鵜祭りの鵜様が台の上にのぼり来る年は豊年約束される
1822 湖に一艘の舟浮かんでいて 薄紫の朝靄の中
1821 猫の目が深い碧に耀いて温度差のある冬の一日
1820 <性格が運命を決める>とコンスタン 怠け者には怠け者の運命
1819 深海の底にも森も丘もあり光りを放つ洞窟もある
1818 完結に向かって歩き始めたらもう引き返すことはできない
1817 《ここでメッセージを送信しますか はい いいえ》 下弦の月に別れを告げる
1816 WEBの果てを旅して遠ざかる薄紫に光る物体
1815 温かい声で再会約束し遠い旅へと旅立った人
1814 氷山を眠らせながら漂って 遠い夢から醒めて砕けて
1813 夢色の帽子を被った道化師が手招きをする 三角鬼か
1812 落葉には夕日の色や風の色 氷雨の匂い 虫喰いの痕
1811 その椅子は花梨の椅子か枇杷の木を植えた海見る小さな家の
1810 システムに異常ありという冬の日に半月昇る 水際の月
1809 どこかから歌が 遠くから歌が 近づいて消える どこかから歌が
1808 寒がりのパンダはいない? 鶯が呼ぶまで岩穴暮らしのパンダ
1807 パンダななぜ竹を食べるの 竹だけを食べて何年生きたのでしょう
1806 明日また病院 三つ先の駅の駅前の病院 それでも寒い
1805 プログラム作成したのは誰なのか迷宮の闇深まる夕べ
1804 「プログラムに問題あり」と藤田東吾氏が語ってすべて当て嵌まる謂い
1803 枸杞の実は愛の妙薬ではなくて不老不死なる薬膳の友
1802 鶏ガラのスープで煮込む老酒で五彩の変化愉しみながら
1801 薔薇色の人生のため薔薇は散り薔薇は薔薇の実、残して行った
1800 私はもう壊れている潰れている それでも多分生きてはゆくよ
1799 幸福を追求すれば幸福は遠ざかってゆく 雲が崩れる
1798 原作は野坂昭如だったらしい 道理で鋭い映画であった
1797 ナレーションその一勤める渥美清 時代を風刺する田阪具隆
1796 渥美清、小沢昭一、三木のり平 黄金期喜劇人の出演
1795 「スクラップ集団」という映画らしい不思議な映画を作っていたね
1794 象牙など取り出している業者いて昔の松竹映画であった
1793 つまりまぁやっぱり死んでいるんですね なんと解体されてゆく象
1792 この象はただ寝ているの死んでるの 巨石のように動かない象
1791 水色のコンチェルト弾く韓流のピアニストいてBS5
1790 傷ついてしまったんだねあの人は 日暮れの空の白い月影
1789 雪降れば雪の精霊 風吹けば風の精霊 祝祭の夜
1788 手紙には童話の挿絵が描かれていて赤い蝋燭、金の燭台
1787 折り紙で作ったベルやキャンドルやトナカイなどもあって休日
1786 日なたには真っ赤な辛子、唐辛子 クリスマスには飾りになって
1785 つつましく暮らす他なしつつましく暮らす幸せなどもあるらむ
1784 小春日和の今日は何して暮らそうか 明日から寒くなるという今日
1783 「三丁目の夕日」の世界にあったもの マンションはなく長屋があった
1782 空洞に風が吹き込む 空洞の闇は膨らむ 膨らんだ影
1781 私という名の絶望が書いている 落葉のマントに隠れる蝦蟇
1780 退屈な第二楽章、曇り日の窓の向こうに落ちた太陽
1779 貧すれば鈍するという然り然り 私の上にある冬の空
1778 青狐、子連れの狐、絶海の孤島に棲んで万世一系
1777 猫だって夢を見るからフクロウも夢見るだろう真昼の森で
1776 夢を見る猫がいるってぽっぽさんの日記で読んで猫を見ている
1775 最悪の体調、明日からの不安 生きてどこまで無事でいられる
1774 美しくやさしく年をかさねゆく冬夕ぐれの中の廃村
1773 山に雪、水辺に薔薇の咲くからに冬を愛する黒鶫あり
1772 風でした海を渡っていったのは 主従八十余騎の武者絵の
1771 見えていたのは小島です木々の向こうの海の向こうの
1770 五階建てみたいな楽譜亡くなった菅野さんちで見かけた楽譜
1769 どの歌もつまらないなと思うとき私の中の愛は空っぽ
1768 人間はこうも年とるものなのかポール・マッカートニーが微笑む写真
1767 少しずつブログを畳んでゆきましょうパタリパタリと屏風を畳む
1766 夜は雪 冬晴れののち曇る空 日本上空に寒気団来て
1765 緊張とドキドキのなか冬の日は白い魔物も引き連れてくる
1764 明後日手術日 嗚呼嗚呼嗚呼 烏が啼いてその日が来ます
1763 「誰か代わりに生きてくれ私がうたた寝をしている間」贋作オブローモフ
1762 そう言って連れて行かれたんだよ戦争に〈我より大事な我ら〉のために
1761 かつてそう言って死んでいった人たちがいたよね《お国のために》
1760 危険には二種類あって一方の危険性には硝煙匂う
1759 われよりも大切なわれらあるという 六十年を過ぎて巡る日
1758 純粋な思いゆえなお為政者に利用もされて死なしめし学徒
1757 美しい言葉は酔わす遠つ国の賢き御世の賢き人よ
1756 街に降り人に降る雨 鳥ゆきてゆきて悲しむ空の果てより
1755 蕭条と雨降り雨の日の川を流れる桜、櫟の落葉
1754 弟を喪くし子どもを喪くし中也が歌う空の悲しみ
1753 幼い日 瞳に映る青空を曇らせる雲 誰に罪ありて
1752 人知れず自分も知らずに侵す罪 「私の罪」と言って人逝く
1751 夜明け前、黎明の時過ぎてゆく 2007年世界が変わる
1750 一本の線はよれよれ捩じられて捩じり切られてゆくのであろう
1749 生きてゆくことが不得手で不得意で亀の甲羅は乾くばかりで
1748 人生の奴隷になっていないかしら この頃雨の音を聴かない
1747 あの時も真っ暗だったそういえば明日の夢も何も無かった
1746 日々は明け日々は暮れゆく大公孫樹2005年の銀杏零す
1745 新月の一日前の月かかる 薄紫の夜明けの空に
1744 桜咲く 小春日和のかえり花 大きな猫の眠る日だまり
1743 炭筏、あれはいいねぇ、炭並べ湖水浄化を図る計画
1742 睡蓮もいいけど睡蓮を浮かべた池の水や水の中の雲
1741 煮付けって言えば鰈の煮付けかなエンガワのあの膠質の美味
1740 公演の最後は島根、出雲の国 阿国の国のギエムのボレロ
1739 幽明の境彷徨うかのように明かりに浮かび暗きに沈み
1738 ちょっとした手術 で死んだりもする そんなこともある 冬の朝ですね
1737 「座頭の木」・・・第何回目なんだろう市原悦子と常田富士男と
1736 貧しくても生きられる方法はない?権兵衛の昔話が始まっていた
1735 《広大なサハラ砂漠の端ニジェールでは数万人の瀕死の子供達が救援の・・・・・》
1734 中空に炎となって舞うギエム 速水御舟の〈炎舞〉にも似て
1733 人間が人間を超えることがある その一瞬を視ることもある
1732 歳月は無残なるかな 歳月を味方に為してシルヴィ・ギエム
1731 北風と太陽ならば太陽のような昨日の優勝コメント
1730 明日からはBプログラム秋燦々 シルヴィ・ギエム最後の〈ボレロ〉
1729 水色の万年筆の筆跡の高瀬一誌と記した太さ
1728 火達磨になって狂って病んで書く 春のうつつに見ざりしものを
1727 悲しいがまだコトノハは忘れないテニヲハ少し怪しくなるも
1726 また聴くよ1986年のマリリン、ミス・サイゴンのキム 本田美奈子さんにさよなら
1725 その他に紙で作った人形も  雛人形に似た人型の
1724 お土産を郵送されておりました夢のまにまに木彫りの熊を
1723 鬱蒼と樹木は茂り雨粒が羊歯の葉陰に溜まっていった
1722 埋めなければ危険だからとも思っていたせめて子供が落ちないようにと
1721 深い井戸、洞窟がある夢を見た 水を湛えた洞窟の森
1720 せめてあと10年せめてあと5年命をあげたい欲しい命が
1719 11.11の丸の内 冬が来たのね帽子を被り
1718 岩棚に枯れ木枯れ枝、草の束 遠く巣立って帰らざる巣の
1717 鷹と鷹たたかう画像 草原に降る雨と霧 霧の草原
1716 死の序章奏でて冬の雲流れ冷たい雨が降り出す予告   
1715  虚しさはかぎりなきかな冬空に取り残された鳥の巣一つ
1714 烏羽玉のドン・ヴィト・コルレオーネ眠りける <老女の夏>と呼ばれる小春
1713 栗、胡桃、渋柿、百目、酸漿の色に染まった夕日の里の
1712 「あしたに死し、ゆふべに生るるならひ〜」などと語るも無常を言うも
1711 「あだし野の露消ゆるときなく鳥部山の煙〜」などと言っても詮なきを ただひたすらの
1710 黄色くて斑点のある物体は 秋の轍に轢かれた蛙
1709 生きている虚しさよりも貝よりも静かに波に触れる儚さ
1708 少し前まで誰かを愛していたような真っ赤に炎えている七竈
1707 早く早く死にたい私であるのかもこの後の生を思えば思えば桜
1706 超人の孫か曾孫のようなその小さな脳に宿れる嗜虐
1705 抑えるということがどんなに大事かと『シービスケット』を観ていて思う
1704 増税と九条廃棄決まる日の黄昏どきの赤い惑星
1703 銅版の腐食をいつか愉しんで 紙片に写す頭蓋の形
1702 この身体一つ失くせば新しい世界が視える夜明け前にも
1701 私は破綻している何一つ出来ないままで終わってしまう
1700 いつとなく綻びは来てやがて知る縫い目に沿って裂ける傷口
1699 狙撃兵一人立ちゐて 嗚呼とうとうゐなんて書かせて死亡宣告
1698 それは風、それは雨音 夕焼けが綺麗であったことなども夢
1697 地震あり僅かに揺れている気配 獣の通り道が見えてくる
1696 秋の声が聞こえるような気がします 透き通る青 晩秋の空
1695 終末に向かって歩む 終末はあっけなく来てあなたは終わる
1694 あれは鷺 白い烏じゃありません 六羽の鷺が止まる電柱
1693 絶望はどこからやってくると思う 今朝見た鷺は烏に似ていた
1692 どこかでは何かが動いているのかしら例えばKの新人賞など
1691 精神の<禁治産者>があるならば100%私のこと
1690 慎ましい祈りのような暮らしには殆ど適さぬことも思われ
1689 深く深く深く絶望して終わる そういう時が来ているのかも
1688 「いつどこで何が起きてもおかしくない」 そう言いながら信じていない
1687 一年が経っても何も変らない 忘れ去られていたその時間
1686 山あいの無人の駅に下り立って芒、萱原ざわめくを聞く
1685 この先はどこへ行くかもわからない列車に乗って見るような月
1684 田沢湖は龍伝説の湖で湖の岸には一匹の雉猫がいた
1683 環状遺跡の意味を思うまもなくブナの輝く広葉樹林へ
1682 特急と言っても二両だったりする 能代、大館、十和田南へ
1681 と、これはその前。放牧の馬がゆっくり近づいて関口さんの鼻を舐めていた
1680 八戸から野辺地へローカル線の旅 放牧された馬の歩く道
1679 NHKの番組に付いていってみる。→まずは東北地方から。青森発特急電車
1678 日ごと死は近づいていて一心に後生の大事せよと古典は
1677 人は去り人は私の中に入る 私の悲に変わる人の悲
1676 真言の経のみ聞いていたけれど浄土信ずる経もまた良き
1675 蓮如の悲、人を癒さん 空海の一人即身成仏したるその後
1674 音楽のように一音ずつのばし僧が経よむとき起こる風
1673 一陣の風吹き入りて黒蜻蛉二つ連なりともに来たれり
1672 遍き苦その身を離れ浄らかな鏡のような世界に入るか
1671 白骨の書に言う「後生の一大事」徒然草にもあったと思う
1670 この世にはこの世の鬱があるようにあの世の鬱もあるのだろうか
1669 私には不思議に何の悲しみも湧いてこなくてそれがわからない
1668 柩には入れてもらった?大切に大切に生き守った何か
1667 もうこれで○家の戦前を知る者がみんな途絶えてしまいましたね
1666 言いようのないさびしさが襲うのも普通のことで今日のさびしさ
1665 根っからの薄情者であるといえいったいどうしたのだろうか私は
1664 満月の夜にあなたもあなたの妹もこの世を離れてゆく神無月
1663 林檎には林檎の果汁 熟れ乾き熟れ滴って一つの林檎
1662 雨雨雨雨雨雨雨 大地に海に降りしきり 流されてゆく昨日の世界
1661 遠い死が私を呼び 明日さえも知らない夜の蟋蟀がいる
1660 貧困を直撃したという嵐 貧しさという低湿地帯
1659 鰐を見た幌馬車を見た 災害時、大地は元の姿に帰る
1658 完璧に打ちのめされてゆくことも まだこの後の私の生
1657 暖炉には薪がくべられ丸ごとの鶏こんがり狐の色に
1656 窓辺には陽を好む花ゼラニウム 今が一番幸せという
1655 脱皮する蛇の営み待ちながらターシャの庭の歳月めぐる
1654 働かず寄生しているヤドカリが宿を失くせば浮遊する雲
1653 ニートと言いヒッピーと言う明治には高等遊民などとも言って
1652 七転び八起きの八が来ないからショーソン作曲「詩曲」の中へ
1651 火の一族と土の一族の隔たりか 燃え上がる火よ木を焼き尽せ
1650 白い蛾と瑠璃色の蝶ゆっくりとピンで刺されて標本となる
1649 心臓が破れるほどに痛かった 小狡さに似た針に刺される
1648 白い蛾が浮かんでいたよ水盤に 睡蓮鉢の隅っこに寄り
1647 白鳥が視界をよぎっていったという皇居のお堀を見る窓の中
1646 どことなくいつとなく暗い顔 生きる力を問われているか
1645 緩慢な自殺を遂げているように春夏が過ぎ秋冬が逝く
1644 お終いは突然に来てレクイエム奏でるように蜩も鳴く
1643 限りなく膨れ上がった政権党 破裂するまで膨らんでゆけ
1642 いっぱいに儚い夢を詰め込んで膨らみ続ける蛙のお腹
1641 邪魔っけな尻尾を切っただけのこと火蜥蜴ならば再生もする
1640 その視線遮るための遮蔽幕 絽か紗くらいに透けてはいるが
1639 血を吐いて死んだらしくて泥のなか黒い部分が少し残って
1638 日本にも吹いたらしいねハリケーン 水浸しだし泥まみれだよ
1637 生きてゆくべき場所がない生きられる空間がない覇王の日本
1636 アナーキーとは如何なるものか 2005年の秋の夕映え
1635 終わる前は燃え盛るもの 蝋燭の炎が燃えて終わった宴
1634 半地下に水が入って水浸し 隠れ家としての役目が終る
1633 ここでもうお終いですというように春の日向の夢見るように
1632 特別のことは何もなく終わる命をまた見てしまう
1631 こうなったのはあっという間の出来事だったと青いテントの男
1630 降水は心に及び雫して行方不明の安穏がある
1629 何もかも良くはならないような気がして絶望してしまう
1628 虹よりも虹に似ている水溜り一杯に今広がる油膜
1627 常夜灯一つともして幕は下り舞台に残る一枚の羽根
1626 悲しみを忘れるという花言葉 薮甘草の朱に埋もれる
1625 小平の中島町の薬草園 桔梗、甘草、花咲く明かり
1624 休止するジャングル化した野草園 秋の七草月に供えて
1623 『浮雲』の森雅之の魅力とは黙って愚痴を聞いている男
1622 その壁を覆うタペストリーの絵の貝殻で描く海底の青
1621 汚されたような気がして嫌になる 死が開くという季節の初め
1620 一つ終り一つ始まる 禿鷹が狙い定めるサバンナがある
1619 『砂の器』菅野光亮作曲の「宿命」のテーマと加藤嘉と
1618 うっすらと薄日も射してみたりする「断続的な雨」の合間に
1617 多摩南部大雨洪水注意報、警報に変わるころ終演か
1616 殆どもう直撃コース 白鳥は多分ずぶ濡れの白鳥である
1615 誰が悪かったっていうよりもつまりはみんなで歩いた道だ
1614 竹杭や石など積んで堰きとめて簗を作って捕る山の魚
1613 死ぬことを考えるのはまだ早い 驟雨が過ぎて会う夏燕
1612 栗よりも大きな栗に似た木の実 西洋とちの木マロニエの道
1611 右目だけ開けて見ている世界にも虹の飛瀑は溢れて消えて
1610 夏のすべての日曜日 花火を見るよ 今宵満月
1609 しんしんと寿命が尽きてゆくようなそんな気がして見る夜の月
1608 打ち寄せる水の青さに染まりゆく小さな村は浦島の村
1607 水のない讃岐の国の水のない村であったか花崗岩の台地
1606 鉄筋の庁舎、橋げた、墓地の跡 ここに暮らした人々の気配
1605 貯水率0になったという高知県早明浦ダムのひび割れた湖底
1604 四国路を遍路の道を海沿いの町をたどって会う夕茜
1603 素九鬼子という作家がいたが『旅の重さ』は変わらないかも
1602 アルルには円形闘技場がありゴッホも見たかもしれない羅馬
1601 『鞄を持った女』の中の長い発車ベル、雨音、汽車が去って行く音
1600 ジャック・ぺランも出ていたねニュー・シネマ・パラダイスのあの人が
1599 モノトーンの画面の中に青空が一瞬見えた気がする波も
1598 その向こうに海が見えているカルディナーレの笑う向こうに
1597 何もかもと言って誤魔化す他はなくこの憂鬱のほんとうの理由
1596 不安というのに顔があるのならムンクじゃなくてそのどんな顔?
1595 硝煙の匂いはしない1970年代戦争は海の彼方で広がっていた
1594 「朝日の当たる家」という歌があり星条旗に包まれた大統領がいた
1593 蝙蝠は豚に似ている何となく薄桃色の貌をしている
1592 草食の象、バッファロー、雌ライオン 画面の中の水の紋章
1591 早起きのキリンに続いて縞馬が水場の水にこうべをつける
1590 後ろ肢、前肢、忙しく蹴って川底近く逃げてゆく河馬
1589 半眼をひらいて河馬が眠ってる 小さな耳の河馬の母と子
1588 行くべきは悲しむべきはひともとの花もよるべもなき夏の道
1587 呼びかけたい夏の白雲、白い鳥 過ぎ去ってゆく短い時間
1586 真桑瓜、蔓を離れて独り立ち 瓜の奈良漬け食べたい盛夏
1585 なんとなく窒息しそうなその感じ解らなくもなく解りすぎるかも
1584 まだ未定 何にも入力していない 機銃掃射もされてはいない
1583 今朝は雨 小雨降る朝 尾道の造船所跡のセットが煙る
1582 枇杷の木の根方に蝉の屍骸埋め 海見る海は薔薇色の海
1581 草も木も眠り眠れず鳥獣も眠り眠れず銀河の真砂 
1580 海の見える家 その描線の青と白 水平線に消える帆船
1579 校門は遥か遠くて高くって 地獄坂って呼ばれた坂道
1578 みんみんが猶鳴き交わし鳴き尽くし 海に降る雨見る夏の駅
1577 春蝉の骸うずめて枇杷の木は 坂道に立つ海の見える家
1576 怒りって多くの場合どこに向けていいかわからない怒り
1575 ほんとうはいったい何がしたかった 南瓜くりぬき蝋燭燈す
1574 理不尽と何かを思う理不尽の震源地にして流刑地の杉
1573 月光の川を流れて笹舟のきららきらきら光りを弾く 
1572 人さまの言葉を借りて書く日記 天気予報では今日は大雨 
1571 隻眼の猫の名前は六郎太 黒猫、黒田六郎太と聞く
1570 春の夜の夢はまぼろし隻眼の豹のまなざし遥か遥かの
1569 このままで死んでしまえはむなしいねカランコロンと夏の坂道
1568 1516年レオナルド・ダヴィンチが来るフランソワの部屋
1567 エアコンの効いた涼しい部屋で思う想像だけのヒロシマの夏
1566 などと書いている私がいるのは2005年夏の東京
1565 去ってゆく投下飛行機 その下に焼け爛れ燃え尽くす市街地
1564 エノラゲイ空に現れ一瞬ののちの広島 焼きついた影
1563 日常はそんなときにも日常であったであろう投下直前
1562 燕来て燕去る夏 原爆が投下された日の広島の空
1561 船に影、白壁に影、道に影 杉玉吊るす酒造家の軒
1560 豊漁のニュース漁協の建物に夕日さす頃夕日の入り江
1559 家良漁港 海を見るとき海に虹 背黒鰯の跳ねる突堤
1558 局地的豪雨が降ると言っている炎暑さなかの日本列島
1557 耳下腺がまた腫れている 夏空の下に蝉の死屍累々
1556 その前に日本人は。。世界の人に先だって忘れるヒロシマ
1555 まだ生きていますけれども生きてないそんな気がするかなかなが啼く
1554 時に霧、時に野分の立つところ東京の果て日の入るところ
1553 暗い暗い暗い私がここにいて 午前零時の川が流れて
1552 ここにだけまだ少しだけ夏椿 別の名を沙羅 沙羅の片枝
1551 お終いになるかもしれないもうここで絶滅危惧種絶滅に至り
1550 鯨骨を棲家とする老婆 指なき海の神よセドナよ
1549 惑星の名前はセドナ 極寒の凍れる星の海の女王
1548 憂鬱は深くしずかに潜行し木に咲く花のように身を裂く
1547 雷は時速40キロで移動する 浮き輪が浮かんでいる夏の海
1546 人体を伝って落ちて張り裂けて右から左へ抜けた魂
1545 エリートは弱いものだと言われている 一日にして終わる一生
1544 遠く聞く 夏の祭りの笛太鼓  子ども神輿も笹括り付け
1543 また眩暈 地震が多いとき起こる眩暈であれば私は鯰
1542 さくさくと茄子を刻んで瓜切って夕日沈めば厨の灯り
1541 開かれてあるこそよけれ開かれて川に流して水に晒して
1540 結局のところ東大、東工大 院卒だったりして長谷川君
1539 太陽系十番目の星発見のニュースに並ぶシャトルの傷痕
1538 謎めいた言の葉、落穂、露の色 生きていることだけ確かめる
1537 魂にもかき氷など欲しい夏 よしず、風鈴、夕顔の白
1536 わけもなく悲しい気分になるという旅立つ人の行き先は遠野
1535 青空に雲一つないさみしさを 液晶画面に消えた鳥影
1534 擁壁を崩す猪 猪は百合の根っこを食べに来ている
1533 その年もとりわけ暑い夏と聞く芥川龍之介のいた昭和二年の夏
1532 河童忌も過ぎて東京下町の本所の水は夕暮れの水
1531 これがもう最後の宴だったならワルキュール・ワルロー真夏の祭り
1530 人間はみんな血みどろ 朝焼けの海に浮かんで漂うカモメ
1529 薔薇色の波紋がゆっくりひろがって湖を満たせば湖は薔薇色
1528 宿命のように絡んだ糸と糸 蜘蛛は解析しながら描く
1527 這い登り這い上がりくる蔦蔓、滅びるものは滅びに任せよ
1526 蟻地獄というならこれも蟻地獄 擁壁工事必要という
1525 東尾根、古屋敷、海斗、八幡平 小塚様には狐の曾孫
1524 我が家にも大型地震が発生しこの問題は相談も出来ず
1523 台風も日本に向けて北上中 梅雨明け以来波乱の様相
1522 エジプトの死者もだんだん増えてゆくカイロの薔薇は血に染まる薔薇
1521 向日葵は向日葵畑に自生して音楽の波広がるように
1520 「だめでした」「治りません」「思うようになりません」銀河に続く深夜のmail
1519 燃える火のようなカンナと消火栓 夏が烈しくそこに来ている
1518 揺れました震度5弱の地震です 黄色い望の月を見ました
1517 もう誰とも何とも関係したくない そういうわけにも参りませぬと
1516 満月が南の空に中天に 燕の雛の眠る軒の巣
1515 幽かなる光りの糸を吐きながら蜘蛛が紡いでゆくいのちあり
1514 曇り空 葦の陰から見守れば雨が降るよと遠田の蛙
1513 偶然の積み重ねにしか過ぎなくて秋咲く花のまだ固き種
1512 ほんとうにしなければならないことを置き忘れ たまさか今日をやり過ごす ただ
1511 「あぁ悲しい何だか悲しいとてもとてもとても」 鵯よりもお喋りな伯母
1510 厄除けの団扇を買ってきておくれ 烏小天狗、魔除けの団扇
1509 杏咲き桜が咲いて日本の農村地帯に似る村の墓地
1508 カジャールという小さな村に眠る人 サガンの白いただ白い墓
1507 許されたとは思わずに思えずに再び夏の光のさ中
1506 生きている甲斐なく生きて砂浜に打ち上げられたきらめく鰯
1505 水揚げをされたホッケの開いた口 渚に上がるカタクチイワシ
1504 知床の自然をカメラが写していて海の底から伝えるいのち
1503 移動する海老や蟹にも手足あり 手足なければ泳げたものを
1502 疲れきって頭の中が空っぽだ 鳥が羽ばたく 空の濁音
1501 封印を解いてあなたは何思う 何一つない明日のために
1500 どことなく不機嫌そうな猫の場合最後の最後まで牢名主っぽく
1499 緋縅の鎧冑に金色の太刀持つ人の漆黒の船
1498 黒塗りのただ一艘の盲船 竜神祀り天翔ける船
1497 暁の村上水軍、八幡船 霧の中より黒塗りの船
1496 海賊と言っても海賊大名の九鬼様もいた中世の海
1495 擬態する 空中静止する葉っぱ 楡の若葉にさみどりの葉に
1494 熊野沖、船が炎上しています 九鬼水軍の海だった海
1493 一ミリもなくて生まれる団子虫 枯葉の寝床に雨待ちながら
1492 「なせばなるなるようになるケセラセラ」百歳の人笑って言えり
1491 永遠がただ一本の樹となって吹雪く花びら散らす夕ぐれ
1490 古典と言い伝統という様式の劇性露わにしてほとばしる
1489 それゆえに今日のひと日の明るさと陽の耀きとひとときの燦
1488 命炎え心炎やしてやがて死ぬ 例外もなく消えゆくあかり
1487 この後の悲喜にどうして堪えてゆく靄と霞と霧の差ほどの
1486 近づいてみれば空洞だったから ただびゅうびゅうと風の音して
1485 この場合夢をあきらめたわけでもなく夢すらなぜか胡散臭くて
1484 夕日には夕日の事情ありまして 雲に隠れる日もありまして
1483 さらになお闘う人の眼も視える かつて歌いし「地球(てら)を蹴る」歌
1482 来週の二十四日は河童忌で芥川龍之介が命絶った日
1481 何事も変わらぬままに変わりゆく日々に疲れて散る沙羅の花
1480 夏の花、沙羅のみずえに花咲けば 自死を果たした人の眼も見ゆ
1479 消防士そのものに似た消火栓 黄色いカンナが囲む工場
1478 退屈という名の至福あるように弛緩している七月の蝶
1477 幾度目の夏がめぐって乱れ雲 あとどれくらい生きていられる
1476 雪降れば雪、風吹けば風 最後の日にも雲雀は揚がる
1475 また今日もすすき、刈萱、萩、桔梗 音韻として生まれる生は
1474 幕開きの桜吹雪と鏡面のほかには船の率い出される
1473 なんという長い退屈 絢爛な退屈として「十二夜」がある
1472 その穴子背びれ胸びれ削ぎゆけば 身をくうるりと反らせる稚さ
1471 船端に潮満ちくれば牡蠣舟の牡蠣の生簀にめざめる小海老
1470 母さんに抱きついている小猿にもやがて生存競争の刻
1469 その人の瞳の中を落ちてゆく夏降る雪に似てえごの花
1468 えごの木の花降りやまぬ夕つ方 彼岸の風もここ過ぎながら
1467 山の辺のなんじゃもんじゃの花降れば木下闇の夕べの明かり
1466 雨降れば雨の三鷹の禅林寺 あの頃はまだ小堀杏奴も
1465 今日七月九日三鷹禅林寺 森林太郎の墓に雨降る
1464 雪の朝、隣家があるということに気づいた 1年が過ぎていた
1463 王国の王の選任補佐官の支配被支配拡大の域
1462 死の淵をさまよっている魂が 月みれば月に花みれば花に
1461 微笑みを湛えた画家のキャンバスに雨の朝に生まれた蕾
1460 今朝の雨 夜通し降ると言っていたあの雨だろう 文月の雨
1459 swingをしながら歌うその人の声が掠れてきたのを知った
1458 雨の日に蝸牛這い枝を這い 黒鍵の音弄るらしき
1457 「天邪鬼」それは私だ 炎え上がる不動の像の下の石塊
1456 蜂蜜のようにとろりと金色の夢を蒐めて海馬は眠る
1455 ドラゴンの口から水が溢れ出る龍頭の滝と呼ばれる蛇口
1454 明日は雨 傘のマークが並んでる龍伝説の池に雨降る
1453 出航の銅鑼鳴り鎮む船体の傷に明日も降り注ぐ雨
1452 紫陽花の小径を通り涼しげな蹲に浮く睡蓮二つ
1451 隠れ家のような小さなパン屋さん 学園通りの裏道に入る
1450 1500万ヒットだそうだ勝谷誠彦氏「イラク3馬鹿」等とまだ書き
1449 さびしさの理由は☆がいないこと雨が巣立ちを促している
1448 ほんとうは今日は私は何をしたく何をしたくなかったのか懼れる
1447 一本の木になったとき一本の木は汲み上げる水の百年
1446 ただ踊る踊るに任せ褒めもせず叱りもせずに育てるという
1445 黒翁の面を被った子供舞 神楽を舞えば神楽の心
1444 旋回し眩暈している中枢の薔薇星雲の無限混濁
1443 梔子の色鮮やかに純白に やがて汚れる花ゆえの白
1442 採取され攪拌された血液は夏の真昼を眠っているか
1441 限りなく胃を傷めながら胃はこのままでもいいのかと問う
1440 目の錯覚かと思ったら向こうで扇風機が回っていた
1439 破竹茹で蕗茹で雨の日の無聊 雨には雨の光りあること
1438 六月も今日で終りという朝 花も蝸牛も聴く雨の音
1437 サングリア ジュリエッタにはこの酒を フェデリコ・フェリーニ注ぐ旨酒
1436 お終いになるまで少しある時間 木は空洞に音を楽しむ
1435 苦しくてならぬと傾(かし)いでゆく身体 大王松の一生終わる
1434 絶望に傾いてゆくこの町の送電線にカラスがとまる
1433 碾き臼を引くとき驢馬は何思う 窓を持たない小屋と碾き臼
1432 身を窶し心を隠す夜叉鬼が夜の神楽の男となりぬ
1431 その中に現人神であった人 万歳三唱されていた人
1430 歴史という一つの言葉に括られて大方の人、罪免れて
1429 何ゆえに沖縄であり何ゆえに本土ならざる上陸だったか
1428 水無月の「傾く」歌会・「褻」の歌会 言霊というものの怖さよ
1427 映像に映る飛行機、人骨をよぎって泳ぐ綺麗な魚
1426 帰りゆく時の流れのその果てにバンザイ・クリフという奇妙な名
1425 万歳と天皇陛下万歳と身を投げた海 バンザイクリフ
1424 ただ青くただ美しく見えるだけサイパン島の今日の映像
1423 赤ひげのような先生いる町の診療室の二十四時間
1422 金色の海に浮かんだ島影が遠くなるまで夢になるまで
1421 石段の上にも下にも湯煙が 滾る地底の水底の青
1420 やがてこの夕闇の中に消え或いは溶けてしまう群青
1419 紫陽花に雨、茗荷に雨、暑さが嫌いな私にも雨 でも昼頃には上がるらしい
1418 山の実が熟れてあなたを迎えます もう夏の日の風をまとって
1417 瑠璃色の帽子の中の木苺のオリーブ色の光りの泉 
1416 木苺の熟れた粒々太陽と山の恵みの甘さ酸っぱさ 
1415 永住を放棄したわけじゃない 蜜蜂が移動を開始しはじめだけ
1414 最悪の結果を招いた経過ならその過去ログが保存している
1413 こんにちは おはよう おはよう こんにちは 鸚鵡のように交わす挨拶
1412 悲しみが木苺色に染まるとき もう夕焼けは始まっている 
1411 木苺が風に揺られていたという 夏の陣馬に吹く青い風
1410 たらの芽は用心深い 山菜の王と呼ばれるたらの芽なれば
1409 夏なれば守宮もガラス這うらしき感情という棲家に入りて
1408 漂流は始まっている 一艘の小舟も隠す海の朝霧
1407 陽のあたる石の隙間に見えていた 蜥蜴の尻尾が生えてくる
1406 たらの芽は頂芽の他に脇芽、胴芽あり 予備の芽多く持った山菜
1405 一切は流れ流れて空の果て 彩雲生れて老残を見ず
1404 傾(かぶ)くこと好きだったのか江戸末期、水色袴の日記の断片
1403 確実に何かが終わったと感じている歌人の多さが塚本さんの死
1402 靖国にこだわっている(小泉さんの)日本の 孤立してゆく思想の行方
1401 六月の朝さかれた魂が再び出逢う天国の門
1400 大切なものも次々消えてゆきもうおしまいかな十薬匂う
1399 死の螺旋めぐりめぐりて夏の朝 再び生れむ湖(うみ)の巻貝   
1398 退屈で死にそうなのと青虫を産みつけに来た揚羽がひらり
1397 サボテンは水がなくても生きるのか駱駝は水を湛えているか
1396 変わったこと何もなくても死にそうな気分が残る烏も鳴くし
1395 戦争の責任ならば全員に なかんずく天皇の名で始められ
1394 行き暮れて心乞食はさすらってこの世の水を甘露と飲んだ
1393 アドルフと言えば私にはコンスタンのアドルフ。 ヒトラーじゃなく
1392 赤裸々に生な自分を描けと言う 『アドルフの画集』の画商の言葉
1391 「傾いた道しるべ」という歌があり その歌が好きな私がいた
1390 あの街を襲う雨粒、窓叩く ただ真っ白な驟雨 六月
1389 もう一度海への手紙書いてみる 梅花空木がまた咲きました
1388 重なってゆくとき理由は消えてゆきただ憂愁の兆す夏の日
1387 藤の木に白い藤咲き藤散れば夏が始まる水無月の川
1386 野火止に残った鴨も旅立って ただエゴの木の白い花散る
1385 流されて流れて育つ水鳥の姿見かけず夏とはなりぬ
1384 ST波下がる理由はともかくも暑い季節に散歩は無理です
1383 さざめきが聴こえるでしょうどこからか平原綾香の声に向かって
1382 染五郎、松緑、海老蔵、菊之助、獅堂、勘太郎 七之助も加わって公演終る
1381 シルエットから始まって絢爛の豪奢にいたる次第、夜の部
1380 はなやかなその色彩は一転しモノクロームの雪降る世界
1379 雪になり紅葉になって映える死の 嗜虐美という繚乱の華
1378 欠点といえば面白すぎること 鷺娘ほどの静謐がよく
1377 野田秀樹の頭の中の広さそのまま舞台の広さ
1376 野次馬の残酷さには変わりなく 取り巻き、囃し、殺しを好む
1375 日本版瀕死の白鳥「鷺娘」 玉三郎の鷺の凄絶
1374 野田秀樹、勘三郎の共通項煮含めて出す『研辰の討たれ』
1373 魚屋も飛脚も手代も虚無僧も 遊女も瓦版売りも通って行った
1372 舞台には時空をこえる橋が架かり 江戸のすべてが通って行った
1371 生きていてよかった助かった そう思った時、討たれて死んだ
1370 仇と言い敵と呼ばれ逃げ惑う俄侍、辰次の最期
1369 大勢の町人どもが囃し立て追いつめられて辰次は死んだ
1368 「研辰の討たれ」討たれ紅葉のように血は散って命大事の辰次は死んだ
1367 黄金色の鶏がいて薔薇咲いて絵本の 中の噴水の青
1366 花を食べ木の実を食べて育つから綺麗な声で鳴くのだろうか
1365 雨期の森 蝶、蝉、飛蝗 ヤマセミの運ぶ餌にも流れる時間
1364 勾玉も鯨の骨も埋めている海辺の村の火祭りの夜
1363 彼岸への旅に似ている巡礼は 夕暮れ時に飛ぶしろばんば
1362 神さまと仰いでいたのか白い山 霧の向こうに滝の向こうに
1361 恐竜も鯨も虹を見たかしら 嵐が置いてゆくという虹
1360 仲間を持ち家族をもって恐竜は群れて集って滅びて行った
1359 板状の骨は飾りじゃないという防御、調温機能もないと
1358 新説は仲間を見分けるためというステゴザウルス背中の秘密
1357 コククジラ背筋から痩せ肉落ちて東京湾に溺れ死ぬという
1356 ボラボラ島 エアーメールの写真にはその「絶海の孤島」が浮かぶ
1355 一日中南の風が吹いていた 虹は嵐の後に立つもの
1354 特になし何にもなしという理由 理由に非ずと退けられる
1353 必要もないのに撮っているような レントゲンには映らない翳
1352 透明の意味を思っておりましたレントゲンには透ける心臓
1351 かなしみの極まりゆけば他愛ない指人形や影絵の劇が
1350 雹が降る嵐のような雷雨あり ゴッホ展を待つ長い行列にも
1349 えごの花うつむいて咲き仰向いて落ちる 着地するとき翻る花
1348 ゆっくりと築いてさっと突き崩す 終わりはいつも突然の雨
1347 本を捨てる多分三百冊くらい 資源ゴミの日まで二週間
1346 二年余り花を見花の枯れるを見 淡い時間が流れて消えて
1345 完全に削除するのは簡単なさるさる日記web日記
1344 旧街道脇本陣の菖蒲園、紫陽花寺につづく石畳
1343 この後の驟雨の季節蘇る旧い街道沿いの庭園
1342 「具体的に進まなければ前へ前へ」そうね行きなさい
1341 倦怠は秘かに兆す夏の日の陽炎ゆれる道に水辺に
1340 後ずさりしている蝦蟇の背後にはヤマカガシ棲む雑木の林
1339 清浄な骸は光る 透明な雨の雫のような音楽
1338 話せない死者の代りに語るべき車両も次々片付けられる
1337 運転士死亡のために甦る 古い諺、死人に口無し
1336 事故車両、関連現場の保存なく 撤去、解体、切断される
1335 整備不良、欠陥車両のこともあり ブレーキ痕のない理由など
1334 コククジラ、虹を作るという鯨 東京湾は今日花曇り
1333 コククジラ東京湾に現れて 灰色鯨は藤壺を乗せ
1332 違うんじゃないのと思ういつもながら その意味を取り違えること再三再四
1331 山中というわけでなく住宅街 二十分は長くはないか
1330 救急車、消防車の到着は遅いからいつでも現場住民が頼り
1329 墜落し炎上しやがて爆発し警視、警部、警部補焼き尽くす
1328 警察のヘリが墜落してからの救急、消防、警察が来るまでの遅さも
1327 点は点、線は線でしかないことに 集合体に脳がないこと
1326 あるとしても全く機能していないことに更に驚く
1325 危機管理情報室らしきもののない交通機関があるということ
1324 報道が報道としての役割を果たすためには何が必要だろう
1323 うんざりだなんていったらもしかして非国民とか言われるのかしら
1322 いつのまにか沈む夕日の中にあり石見の人、森林太郎とのみ刻む
1321 まっすぐに稲田を渡り海に出て風はひとりであることを知る
1320 そのように時間は過ぎて機能麻痺、運動麻痺が近づいて来る
1319 白夜でもないのだろうに黄昏も過ぎただろうに妙に明るい
1318 構造と捉えてみれば明らかに 平井弘の仕事の意味も
1317 震災のあった工場の多い町 尼崎という町で起きたこと
1316 音楽も色彩もまた上昇する 風は砂漠の形を変える
1315 初夏の川、橋の袂のせせらぎの音聞く音の中の魚
1314 密集と過密の悲劇 空間、時間、生命奪う
1313 私たち日本人の生き方が背景としていつでもあって
1312 秒単位で生きる日本人だから無言の重圧かけているから
1311 設計のミスもあるかもしれないねレールと車体、カーブの曲線
1310 羽根ペンのマークの記事を書いている 半月が覗く硝子窓の中
1309 算盤の珠を弾いて計り売り そういう時間が昔はあった
1308 魔の時間ふっと来る人だったのか 瞬間的な記憶喪失
1307 きっかけは何であっても暴走し加速し制御不能となっていたもの
1306 むごたらしいまでに晴れている朝 大型連休初日の金曜日
1305 106人目の遺体を収容し襤褸襤褸になった車体を引き出す
1304 マンションの外へ引っ張り出されてきた運転士のいた先頭車両
1303 「ありえない」ことがありえて浮き上がり転覆脱線した事故車両
1302 「プレッシャーのない教育はない」というJR西日本会長の言
1301 脱線時自ら巻き上げ巻き込んだ砂礫痕ゆえ軽微な痕跡 
1300 出来るなら置き石であれと願うようなJR発表「粉砕痕」
1299 JR西日本の会見は沈黙するに等しい会見
1298 岩井俊二『花とアリス』の一場面 沙羅の花弁が開いたような
1297 春四月、地獄の季節 すごいねと風が囁く春の跳躍
1296 川底の石に似ている何かがいて動き出します 山椒魚です
1295 春雷が通り雨にも伴って 執拗にまだ糸を張る蜘蛛
1294 どの鶴がリーダーだろう海を見て河を見て越えてゆく
1293 燦々と降る月光の川があり 筏となって流れるさくら
1292 いつしかに逸脱すれば逸脱の果てに青空流れゆく雲
1291 温度差はただ我儘と解されて伝わざりしか皇太子の思い
1290 レプリカの剣神器となるもよし更なる軽さ求めてやまず
1289 天皇の選択としての「国体護持」 雨師でありしか稲穂の国の
1288 遅らせたその数日のために死んだ広島の人長崎の人
1287 八咫鏡、草薙の剣、八尺瓊勾玉  「国体護持」と原爆投下
1286 遥かなる雲の上にも人はいて砂噛むような日常もあれ
1285 病気ではなくて気質であるならば気質を矯正させることもまた罪
1284 その事については自由で民法の適用事例の一つに過ぎず
1283 病気なら治せるはずだし環境を変えて出直すことも出来るし
1282 大正天皇の場合は何という病気であったか心身を病む
1281 雅子さんの統合失調症という病気については情報がない
1280 存亡の危機にある時発揮される蓄積された情報の力
1279 足利家15代、徳川家15代 天皇家125代 際立って高いノーハウを持つ
1278 岐阜蝶のその営みは静かにして葉裏に卵産みて休めり
1277 巣作りを始めてコゲラ  女帝には禁忌も少し多くなるという
1276 稲を植え、蚕を飼って祀りして 長く続きし尊卑の文脈
1275 天皇というより主に祭祀長 雪のごとくに降り積む言の葉
1274 最悪のこともありうる最悪の事起こりうる漂流家族
1273 原武史、小熊英二氏1962年、島田雅彦氏1961年の生まれ
1272 何となく引くタイトルではあるけれど島田雅彦ならやさしいサヨク
1271 紀伊國屋書店へ行った 島田雅彦と二人の学者の「いま天皇・皇室を語る」
1270 巣穴からジャッカルの子が顔を出す 海辺の砂漠に生きるジャッカル
1269 見えませんここには梟はいないから 唯青空に伸びてゆく杉
1268 フクロウの子の三つ四つ止まる枝 NHKの深夜放送
1267 花に鳥 何の憂き世と思うまで 花喰い鳥の憩う時の間
1266 辛夷散り山桜散る野火止の黄の菜の花や大根の花
1265 「私は葡萄畑の葡萄摘み」法王庁の空飛ぶ鶫
1264 香櫨園、芦屋、魚崎、石屋川 生まれ育った街の水際
1263 紫の花だいこんに陽はさしてしずかに時は流れてゆけり
1262 病院と海水浴場だけがあった 海と砂浜だけが見えていた
1261 遠い昔 遥かに遠い昔のこと 埋め立て以前の風の砂浜
1260 潮風と海の匂いのする駅は阪神電鉄香櫨園駅
1259 紫の雨が降るらむ 六甲に硝子を伝う雨があるらむ
1258 四月尽 見知らぬ駅で降りてみる花降る銀河鉄道の夜
1257 ちょっとした偶然、それで人生は決まる 霧が谷底から湧いて来る
1256 優しさが残酷さでもあるような晩春の風身にまといゆく
1255 見放され見棄てられたと感じている 強制収容所を想像している
1254 真実を告げることこそ良心であるから残酷さとは優しさ
1253 思いやり深い神さま最後までせめて一緒に戦う医者を
1252 「私にはもうしてあげられることがない」 医師である人の言葉を思う
1251 そして今も初めて会った日のように無防備なまま生きている人
1250 15年前のあの日を忘れない 無防備だった心が出会い
1249 唐突にサイトを閉じる日が来たら ある日の風がページを捲る
1248 氷雨にも耐えた桜が微風にも散ってゆきます春暮れる頃
1247 六甲の緑芽吹く日 Kさんが四度目になる入院をする
1246 その国は阿片の毒に酔ったように日本の下にも苦しんだこと
1245 中国をわざわざ「支那」と勝谷誠彦氏 1000万アクセス誇るというが
1244 カンボジア・ベトナム・ラオス・インドネシア・タイの場合も同じく思う
1243 ある時は奪われながらも抵抗し抵抗しながら生んだ文化か
1242 私は何も知らないことを知る この隣国の通史でさえも
1241 日本の周りにはあった海もなく護りの盾となる山もなく
1240 大いなるあの中国の支配から逃れ続けた国の不思議さ
1239 私がとっても不思議に思うのは半島にあった国の千年
1238 隣国の歴史を知れば軽蔑や憎悪は起こりようもなく消え
1237 元々は誰のものでもない島や海が分割、領有される
1236 争えば果てしもあらぬ境界は山にあり海にあり 入り合う
1235 入り合いという制度あり 入り合って分け合っていた天地の恵み
1234 「自虐史観」 あの人たちはよくそう言う 他虐よりよいかと思う
1233 フリージァが咲いていることにも気づかずに 桜ばかりに気を取られていて
1232 次々に書き換えられて空白に 従軍慰安婦、侵略戦争。
1231 水曜の午後もまだ降る春の雨 シャガ、花大根、連翹に降る
1230 誤解される方もいるので念のため申し添えれば獏は私
1229 永遠の命を持った木のように静かに雨を聴く雨蛙
1228 耳垂らすポチの看板、中国では。 「リチャード・ギア似の」小泉首相
1227 原爆を日本が忘れないように日本の侵略も歴史の事実
1226 九条を改悪したり常任理事国入りをしたりそれは嫌です春の獏でも
1225 本当はこれが現実なのでしょう 日本人は嫌われている
1224 「熱狂をしやすい人たち」とも言うが (日本が)理性を失くし起こした戦争
1223 「好戦的な国」とあなたは言うけれど 自覚症状ない日本も
1222 居なかった無かったことに教科書が 歴史はいつか書き換えられて
1221 反日の感情激しくかの国に、また別の国に現実にある
1220 これほどの憎しみの対象として私たち 憎悪のシチュー煮詰まって今
1219 花言葉、検索されている文字のどんな言葉も分身の花
1218 隠し廊下、座敷の間の壁一つどんでん返しを遊んだ姉弟
1217 茗荷沢、滝の逃げ道 鉱泉に続く迷路のような裏道
1216 鬱蒼と山は覆って黄金沢 鉱泉近きただ細き沢
1215 金山を秘かに護り伝え来て千諏訪公の古屋敷の址
1214 静脈も指紋も認証されなくて透明人間だとわかるまで
1213 掌で認証させるそのためにあなたは誘拐されるかもしれない
1212 その麻は雪に晒され藍鼠色の小千谷縮みの涼しさとなる
1211 題詠の「背中」まで来てさらす背の 尾羽ふうわりと雪の白さに
1210 未確認飛行物体現われて桜吹雪の空のまぼろし
1209 見上げれば唯一点の切片の核弾頭の幻の見ゆ
1208 爛漫の春の最中に人はいて 黒点一つ無き青空を
1207 日本に桜が咲いて陽が照って 恙無ければ恙無き如
1206 国連の常任理事国入りを果たし憲法を変える 望んでもいないのに
1205 反日のデモが起きても興味なく 日本政府と日本国民
1204 春の夜は眠れ眠れよ夢ふかく 泡浮く水の中に病む魚
1203 さみどりの欅若葉や花水木 季節は移る ふりむけば夏
1202 爛漫の春の吐息の中にいる 鬱陶しさの極まる卯月
1201 岩を抱き天に向かって伸びてゆく巨木の腕に擁かれていた
1200 鳳凰が羽を休めるその閑に歴史は動く動かされてゆく
1199 知ることを教えなかった双方の歴史があって小さき島や
1198 江戸時代竹を刈るとも竹島はさらに遡ること何世紀もあり
1197 我が国の歴史を共に主張して知らざりしかな隣国の歴史
1196 そもそもが歴史のどこに現われてどこから消えてどこへ行くという
1195 双方が主張している島のこと 中国人は「岩」と言ってた
1194 昨日より暖かくなる季節の中 陽炎もえるようなさびしさ
1193 大切な一人の不在 鳥はもう海峡を越えただろうか
1192 淋しさの中心にいる火のように沈む小石のようにひとりで
1191 火を煽る風があるなら火を鎮め心労わる風もあること
1190 和楽器と競演しているヴァイオリン 許されなかった罪を歌って
1189 木管が恋の炎のクレッセンド 哀しみ誘うハープの調べ
1188 半鐘と共演しているヴァィオリン 八百屋お七を弾くヴァィオリン
1187 ただ眠り眠り続ける春の日の三寒四温身を過ぎてゆく
1186 私はこの頃空を見ていない 花の向こうに空はあるのに
1185 地震雲を見たって親子の乗客が バスの窓から富士が見える日
1184 菜の花のような四月の日暮れ時 あなたは元気にお過ごしですか
1183 だからってキリンのようにうなだれて遠い眼差しするだけなんて
1182 いいのかな言われっ放しでそのままで理路整然と片づけられて
1181 宮崎県産シラス、しらす干し 未だ幼く海を忘れず
1180 「冬将軍」眉を動かすばかりなり さよなら春はもう半ば過ぎ
1179 正直のレベルを上げよと山田ズーニー氏 春三月の花の明るさ
1178 正直の練度のことを言っている 司馬遼太郎の言葉だという
1177 破線にて縫い取る世界があるならば縫い取られない私も生まれる
1176 変らない日々の中にも終楽章もう近いことを告げて花咲く
1175 落ち着けば?あんまり水を跳ねないで 金魚に言っても仕方ないけれど
1174 サンミシェル私の時は流れゆきすべての先に死があることを
1173 まだこんな時間に起きている私 いったい何をしているのだろう
1172 動かせない最終期限をケツカッチンとは知らなかったよ嗚呼今日だよ
1171 柿のへた、柿のたねではありません。枇杷のへたってないようですね。
1170 人は人、私は私 春の日の気球が浮かぶ空の水色
1169 アライグマ捕獲作戦 迂闊にも捕獲されたと「不機嫌なアライグマ」
1168 ギロチンのようにガラスが落下する夢を見ました夢でよかった
1167 ビル街の高層界からギロチンが、ガラスの雨が降る未来形
1166 北前船船主寄贈の随身門 金襴、緞子、祭礼の絵馬 
1165 丸亀藩婆沙羅の系譜、宇和島藩伊達の系譜の綺羅好む血よ
1164 三月の二十七日観音寺琴弾公園にて勢揃い
1163 一本は四国へ一本は鞆へ七卿落ちの道にも分かれる
1162 太鼓台伝播のルート辿る時、見えて来るもの街道が囲む
1161 戦国の支配領域に重なって伝播したらしい太鼓台文化圏
1160 ちょうさという祭りがあって太鼓台文化の祭り祇園山鉾
1159 LA CHAMADE 敗北の太鼓にならないよう 遠い太鼓は空耳だろう
1158 春の日は静かに暮れてゆくばかり 遠く聴こえる祭りの太鼓
1157 効き過ぎる薬は効かない薬より怖いものだと年寄りも言う
1156 タミフルという名の薬の副作用いまさらながら怖いと思う
1155 路地裏の焼肉屋さんの室外機どういうわけか猫のお気に入り
1154 一匹はその夜、次の朝ほかの子が 春というのに凍えて死んだ
1153 物置で白い野良猫は子を産んだロミオのようなハンサムな子を
1152 この猫は随分人気があるらしい手を折り曲げて眠っている猫
1151 三月の乳白色の空の下 白木蓮の花に降る雨
1150 今日の雨 白木蓮は七分咲き 静かに降っている雨がある
1149 茗荷沢 タラの芽、蕨、ふきのとう 苦味ほろほろ今年の春の
1148 お彼岸は毎年寒いと子規の母 この山里は日向の匂い
1147 浮き島にユリカモメ来て鳴く夕べ サティのチョコの溶けゆく甘さ 
1146 香水になぜか兎が付いて来て大きな耳を垂れております
1145 この日射しつよくあかるくのどかにて上水に呼ぶオナガ、鶯
1144 華麗なる変奏曲を聴くように春の逃げ水走る野火止
1143 心臓に硝子の破片突き刺さる 硝子は虹のように輝く
1142 何だったあれは風ではなかったか ただ裏山の夜の梟
1141 野火止の鴬が鳴く彼岸です諏訪湖の水もぬるむ頃です
1140 フランソワ一世、黒い毛のプードル 引っ越してゆく人の飼い犬
1139 夢の中夢から覚めても騒ぐのは赤い和金の金魚注意報
1138 昨夏の嵐に崩れ流木が溜まったままになった北浦
1137 信じたい思いの先に何がある あの人ならば出来るかもしれない
1136 劇的なことは何も起こらない  そういうことに馴れ過ぎていた
1135 道のりの一歩一歩を確かめるようにゆっくりゆっくり歩くこの旅
1134 『腐れ外道』と誰かが」言っていた 腐れ外道ゆえ書けることもある
1133 完全に死んだかどうか確かめる 何を 私のブログの行方
1132 夜毎聴く魑魅魍魎や鵺の声 異形の鬼を垣間見る春
1131 あの人の登場こそが期待され今日も見にゆく「題詠マラソン」
1130 海賊が今でも出没するというマラッカ海峡 船の名は「韋駄天」
1129 そして死が森を覆った 秘かに爛れてゆく記憶です
1128 この人の心に傷をつけたこと多分一生忘れない思い
1127 風はただそこに吹くだけ木はそこにただ眠るだけ 水よ流れよ
1126 不器用に生きて滅んだ一族の何を伝えて火祭り残る
1125 水辺には淡いピンクの睡蓮とウオーター・レタス数匹の稚魚
1124 合戦の記憶いずれか遺伝子に残るともなく百手、流鏑馬
1123 横町の猫の集会、豆腐屋のタマは近頃なかなかの威勢
1122 金絲猴、ロクセラーヌの鼻のサル 金色の夢、金色の風
1121 半分は眠って暮しておりまして花粉降るころ私は眠る
1120 一刹那一瞬の青奔り去る 風が光りを光りが風を 
1119 前線を突破してゆくホリエモン 今コーナーを回ったところ
1118 剥離して浮遊してくる何ものか微熱のように憂鬱な春
1117 集会を仕切るボス猫 閉店を決めた丹後屋酒店の猫
1116 春の日の猫の集会、妊娠をしているらしい白い雌猫
1115 あの人がもういないのに私が歌を書いたって何になろうか
1114 三月の雪降る降れば降るならば黄の菜の花や紫すみれ..
1113 亜熱帯日本になったと思ったが豪雪地帯でもあって日本
1112 暖かくなって花粉も飛ぶという憂きこと多き春浅き空
1111 クリスタルビーズのような耀きを知らずに今朝の泥に汚れて
1110 川岸の鴨が寒さに蹲る 鴛鴦模様の彩色の鴨
1109 或いはそれは自信の問題かも知れず水仙の咲く水辺水際
1108 春なれば蛙も土竜も顔を出し記念撮影するらしかしこ
1107 大小の足跡つけて雪の道 三月四日歩くほかなく
1106 さらさらと細雪降る雛の夜 明日東京は白い街になる
1105 曖昧な距離感覚の朝靄の中に小鷺か鴨か見分け難くいる
1104 千年を遥かに越えて生きている大きな樹ならわかってくれる
1103 三月は優しい雲と逃げ水と 玉川上水沿いの蝋梅
1102 濁流にのまれていった人、車 深夜再び見ている『津波』
1101 三月には祖母と舅の命日があって陽射しもやわらかくなる
1100 急坂をのぼれば台地、八幡と隣りあうのが主(おも)と西新屋
1099 清薫院真蓮妙観大姉なる位牌の祖母に故郷の水仙
1098 降る降らぬ決して降っていない雪 春の心を吹く紙吹雪
1097 明日から弥生三月 こぶし咲き木蓮が咲き名残り雪降る
1096 まるで一人の人が語ったように世界は語られる 複数の私によって
1095 金箔と漆がつくる空間に珊瑚の粒子のような残照
1094 魂に低温火傷あるらしくまだひりひりと 小雪降る夜
1093 牡丹雪降れば降るゆえ降るからに明日の雪道、早朝の道
1092 肩が凝って肩が凝ってと言いながら冷たい骨になっていたらどうする
1091 日干しする煉瓦に命奪われて石窟寺院の壁画の剥れ
1090 今日は普通明日も普通 水辺には揺れる水草、黄金色の鯉
1089 お隣りの日記は誰が書いている 日々変りゆく「お隣り日記」
1088 過去ログは時間を生きる 悠久の言葉、言の葉、言霊の森
1087 地獄変屏風の炎、人々の頬を照らして焼けゆく牛車
1086 土色の遺跡の中の壁画には極彩色の釈迦とその弟子
1085 リコ・グルダ、パウル・グルダに父グルダが愛していると伝える楽譜
1084 フリードリヒ・グルダのためのコンサート 弦とピアノと一つの記憶
1083 エストニア土産のカップ 可愛いね どうぞ増田さんによろしく
1082 円柱は静かに光浴びており甲府湯村のエンタシスの寺
1081 戦国の時代に生まれ露草の命を武器に戦って殺されていた前世の鷹
1080 楡の木が育てる水の豊かさを確かめている春の雌鹿
1079 ここにおいでここにあなたの枝がある不格好だが座ってごらん
1078 私ならきっと話してしまうだろう 枇杷の木に吹く風のことなど
1077 解ってます解ってます解ってます解ってますが悲しいのです
1076 トネリコの大樹は空を覆うかと思うまで高しトネリコの空
1075 外は雨、氷雨降る朝 関東の直下の鯰身をうねらせる
1074 存在が威圧そのもの 当然のように無言の石臼の稗
1073 とりわけて最長老の雀右衛門 枝折戸に置く手の美しさ
1072 雀右衛門、芝翫、鴈治郎、富十郎 四人ながらの手の美しさ
1071 保名より保名のように妖艶にあはれに舞って「二人椀久」
1070 鴎外の小品原作「ぢいさんばあさん」は伊織とるんのあかるさがいい
1069 久松の籠かき二退三進し花道を去る 籠かきにも花道
1068 去ってゆく上手下手の花道に 久松は籠、お染は舟に
1067 全部嘘、たとえそれでもいいじゃない 舞台には降る太鼓の雪が
1066 あの日からずっとひとりで生きている あなたのいない時間が過ぎる
1065 何回も書き直した線が綺麗であるわけがない推敲を認めない
1064 カンガルーの赤ちゃん2,5cm体重 1g! 私の猫が目を瞠る画面
1063 変換が利かないキーで打っている 羅馬字入力事始哉
1062 島民が帰った村は神が待ち墓が位牌が待つ埜古呂島
1061 「北海道が舞台になってる本ない?」文庫一冊旅行鞄に
1060 ヘラヤガラ、黄色い竜の胤し子(に似たもの)が珊瑚の林泳いでいます
1059 いろいろなことどうしたらいいかわからない軒先に降る雨の雫よ
1058 瀕死なのは海か私か まやかしでさえありえない今日
1057 黄金の油凪ではありえない 瀕死の海の穏やかな顔
1056 完璧に停止している何もかも この苛々はそのせいなのだ
1055 タイタン 雨を降らせる海があり風を起こして飛ぶ宙がある 
1054 ホイヘンス降下してゆく風の音 地球に届く風の産声
1053 退屈な木曜日です午後三時 孔雀時計は宮廷で鳴る
1052 蜃気楼はるかに見えて春の海 海の真青を求めていたり
1051 明らかになればなるほど実体は淋しいばかりの夕暮である
1050 ネットにはネットの歌人がいるという 街の烏とお山の烏
1049 牡蠣舟の残骸のこす財田川 三架橋から見る冬の川
1048 しんとして雪降るような曇り空 薄柔らかな衛星タイタン
1047 北限の猿は追われていたりけり 青森、下北半島脇野沢村の猿
1046 野火止の朝靄のなか泳ぐ鴨 鴨が川面をたたく水音
1045 見知らない人の歌垣、篝火の火影が照らす歌垣の森
1044 湧水も小径もすでに消え絶えて蝶の行方もまた霧の中
1043 村人は何処の森の 銀色の茸も普通の茸も消える
1042 銀色の茸のありて愉しめど洞窟すでに彼を生やさず
1041 荒廃はなお魂に及ぶから タイタン画像の水の痕跡
1040 再びは帰らぬ海の丸木舟 月の小舟は雲の間に消ゆ
1039 原人はどこへ行ったか洞窟に描かれているのは唯未知の鳥
1038 意味もない不安なのかも漣がひたひたと今砂地を洗う
1037 水惑星僅かに歪みなお僅か自転の速度早まるという
1036 石積みの隙間を水と草が被いやがては水と草だけになる
1035 大いなる樹があり樹には魂が春の日向を流れるように
1034 「始まりは鳥が運んだ一粒の種」であったとナレーションに言う
1033 人混みの人をカウントする人の手に集って統計その2
1032 駅前の舗道に置かれたポックスにアンケート用紙が回収される
1031 GODZILLAなお地球のどこか海底の火口湖にその卵を産みつけ
1030 怪獣の足が通って行きました富士五湖でしょうかあの湖は
1029 従兄弟がねゴジラ映画の助監督をしておりました何本かですが
1028 「唯一人のみを除いたどなたでも」 さよならゴジラさらば怪獣
1027 TVではカサゴが大きな口を開け石野彩子さんの手で捌かれる
1026 魂に晩年は来て明日から柔軟体操はじめるという
1025 人生に幾つの闇があるのだろう たった一つの闇にも消える
1024 人間としての心が傷ついて傷つけられてゆく過程です
1023 何という言葉もなくて明ける年 被災している脳の中枢
1022 ナイアガラの滝が襲ってくるように高波が来る津波の映像
1021 沢山の高提灯が先導し三社祭の神輿が帰る
1020 浄瑠璃の三味は太棹 「守・破・離」というは芸の真髄
1019 人形といえども人形使いの太夫ほどある身丈心の丈も
1018 人形の手足幾つもぶら下がる古典芸能文楽の楽屋
1017 三色の幕が上がれば登場する世阿弥の語る花継ぐ面
1016 「千里が外も雲晴れて」能の本を書くこと世阿弥命也
1015 高貴なるという幾人か高みにあり群集は振る小さな旗を
1014 宮城に向かう人々掲げ持つ「天皇陛下萬歳」の旗
1013 一万人あまりの人が宮城に向かって歩き日の丸を振る
1012 晴れの日も雨の日もなく薄氷張る一月の水甕の水
1011 冬らしくなってストーブ赤々と大晦日まで後2日です
1010 スペインに大雪スリランカに津波 滾り始める冬の環礁
1009 微笑みの国にも津波襲うという 押し上げられて来る水位線
1008 疎外感満ちて夕日の校舍裏 校内マラソン大会終る
1007 否定する人の多さが変わらない喫水線を越えることなく
1006 半島と孤島の間に隠岐の島、西ノ島ありて櫂流れつく
1005 空海の命日ゆえに京都では東寺に師走の市が立ちます
1004 何もない多分何も無い毎日 でもその中に私がいる
1003 川岸に茶色い馬の数頭が水を飲むらし雲湧く村に
1002 野生馬もやがて捕われ牧畜や農耕の具として生きる一生
1001 草原は穏やかに暮れ穏やかに夜の帳にすべてをつつむ
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 14:18 * comments(0) * trackbacks(0)

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1000 草原を流れる水の一筋が仔馬養い人の子養う
999 連れ帰る馬の一頭まだ乳を飲みたがってる子馬であれば
998 野生馬を追う青年の手の長い紐つきの棒 犬獲りを思い出す
997 草原に白い羊が群れていてそこがモンゴルだろうと思う
996 「悲しい人生」と誰かが呟いて始まる映画 米国の映画
995 退屈といえば退屈日曜の午後も見ているwowowの映画
994 幸福の白い梟 北国の森の泉を囲む樹の洞
993 絞り込み検索をして犯人を唯一点に追い詰めてゆく
992 日々何もないのに書く日記何もないから書けるのだろう
991 ささやかな暮らしはさらにささやかに 定率減税廃止の方向
990 初めから無かったものは失ったとは言わないわけであって産土の
989 失った一つの心思うとき遠い地震の二ュースが終る
988 流星群見ることもなく眠れば 朝焼けの空を二つに切りゆくジェット機
987 震度5強 北海道でまた地震 飛行機雲が空を分けた日
986 新月で10日後はもうChristmas 2005年の陽もまた昇る
985 氷雨でもない雨が降り木蓮の蕾が開く不思議な師走
984 片隅に投げ出されている<私>の命名欄の無限空白
983 永遠に書かない人か永遠に書けない人か私の場合
982 大切に大切に大切に御身大切に 過ぎてゆ日の夢になるまで
981 恐ろしい夢だけでなくでも幸福な夢でも明日は警告される
980 暖かい日々が続いて幸福な日々も続いて忘れてしまう
979 どんな奇病かとモザイク病の葉かと 失えば時間は大事
978 元はと言えばあの悪夢 起きた時は蛻の殻
977 気がつけぱのっぺらぼうの今日の冬景色 いつのまにか
976 鰐だったらどうだろう鰐皮の無い鰐になったら
975 一枚ずつそしてふわっと剥がれて 肉体が散逸した
974 あの感じは忘れられない ホラー映画よりも怖かった
973 はらはらとばさばさと剥がれて落ちる そんな怖い夢を見た
972 昨日がなく明日がなくて今もない耀く冬の空のオリオン
971 絵葉書を買って来ました「炎舞」です上村松篁の「白い孔雀」も
970 シチュエーションは十分暗いせめて心は明るく なるほど
969 素裸の木々に電飾施して夜には灯る冬の街路樹 
968 野火止はまだ秋の色 黄金色の秋 素裸の木と黄金纏う木と
967 赤手蟹なるほど確かに手が赤い 満月なれば子を産む儀式
966 別人の可能性ではなく別人 見知らぬ二人分の骨と判明
965 開戦の日でレノンの命日でそしてどちらも忘れ去られて
964 水曜日午後零時半睡魔あり 小春日和のカノンとジーグ
963 書くこともないのに書いている日記 苺の莟ふくらむ小春
962 曇り日の土曜の午後の天気図にコサックダンスする冬将軍
961 ガラの言う宝石よりも美しい麺麭一欠けら春の晩餐
960 究極のシュールは写実であるというダリの直感的なパンの絵
959 しんしんと雪降り積もる雪の夜 赤穂浪士の討ち入りの夜
958 過去ログが速く流れてゆけばよい速(と)く速く流れゆけよ過去ログ
957 目前の死が急がせて1200点の作品群が生まれる
956 鉛筆の素朴な、いえ巧緻な一筆描きのクレーの天使
955 逃げるしかない人生があることを酸漿色の冬の夕暮れ
954 閂(かんぬき)のかかった門の中に降る落葉の中にひきこもる蝦蟇
953 最近見たニュースの中であの人の言葉がそのまま語られていた
952 熱っぽくだるい終日 団栗も気づかぬうちに落ちてこの秋
951 「冬将軍」突然消えてつまらない 「冬将軍」の助命嘆願
950 壊れたら壊れたままでそのままで 過ぎゆくものは過ぎゆくままに
949 NHKの天気予報に「冬将軍」来たりて準備体操をする
948 「冬将軍」まだまだ馬に跨れず 準備体操している画面
947 深まった秋の徴のような雲 黄昏なればこの国の空
946 ほろ苦きこの蕗、佃煮にしてもどうにも煮詰めきれない短歌
945 「両親を殺した」  ミステリー終了次第ニュース始まる
944 退屈な午後は古畑任三郎 再放送であればなおよく
943 明確に似ている点を追うならば動機に至る致死痕がある
942 犯人は確かに特定されたがり発信されてゆく点と線
941 ライブラリー探ってみれば明らかに殺意の動機、受信履歴に
940 犯人は必ず何かをミスるもの 再現される事件の経過
939 切り口がいよいよ鋭利になってゆく立派な喜劇から悲劇まで
938 古畑が演ってみせるよ切っ先も鋭き刃の真剣白羽取り
937 甲羅干し甲羅を洗う石亀も 勤労感謝の日の亀の池
936 混沌と地底にマグマある時も湖の色考えている
935 レイアウト崩れていって神さまも悪魔も今は眺めるだけで
934 残虐も非道も全て許される 許されるものとニュースが語る
933 戦争のニュースが世界を駆け巡る ドラマを映画を封じてみても
932 アメリカの猟奇映画のような事件 その足元を濡らす滴り
931 竜巻が三百棟を壊すのも日本のことと思われなかった
930 アザラシも鯨も日本の川泳ぎ 越前水母が黒潮に入り
929 そういえば異常発生していたね蝉の脱がら舗道に屋根に
928 春頃は私たちにも災難が襲っていたよと鶏も来て
927 牡丹も茄子も兎も猫も豆の花も御舟が描けば御舟の心
926 こんなにも晴れ上がる空  酷いまでではなく普通に綺麗に
925 東京はまだ暖かい日曜の午後で冬薔薇小さく咲いて
924 三匹の猫は二匹となり残る木枯らし2号が吹き降ろす朝
923 一年の後に逢おうと約束し一年後の風の結界
922 遠い遠い星座の絵本に光る星 等間隔に瞬くツリー
921 すり抜けてゆく風だったこともある何時より生えし木の根、草の根
920 もう一歩さらに一歩を踏み込めば引き返すことあたわざる闇
919 とある日の風であったか春の日の夢であったかすれ違う影
918 一歩歩けばガチャリガチャリ頸木の音か足枷の音か
917 もし私が麒麟でも鳩ても梟でもなければ 私は自由であっただろうか
916 さてさよならをしよう暫く この世のことを埋めに行こう
915 秋の陽がためらうように翳る空 白鳥がいま海峡越える
914 華やかな宴の後のシンプルなさびしさにも似て音楽終る
913 永遠の憧れとして存在する 白い孔雀であった火の鳥
912 立錐の余地無く配置されているドミノ倒しのドミノの不安
911 鮮やかに紅葉していた花水木まばらとなって冬の散歩道
910 芙蓉から山茶花までの推移みる白く仄かに香る垣根に
909 クーデター起これば蔦の絡む窓 蔦絡むまま朽ち果てるがよく
908 六文字のメールに写真添付するナビ機能付きケータイの惨
907 つむじ風お前が這った草原の何を攫って舞い上がる風
906 襲われてしまえば終り竜巻に 「上から襲ってくるのが竜巻」 
905 虚しさの理由が解れば虚しさの半分くらいは消えるだろうか
904 雨の日の車道の水を跳ねる音 今日また一人子供が死んだ..
903 死者多き年なり春を待たずまた雪の津軽へ二人で行こう
902 備長炭入ても跳ねるトルマリン入れても跳ねる金魚警報
901 「良心」は消えて兵器が登場する最終兵器ライス長官
900 ある時はただそれだけであることが虚しく思えた日もあったのに
899 私の私による私のためだけの歌、笹の葉の舟
898 星月のさししろしめす空の下 黄金の葉の散り敷く季節
897 さみどりにひかりあふれていつのひかうたのわかれを
896 後鳥羽院御製に続き 横雲の空の景色を 良経の詞書にも見るを
895 昨日知る歌の秘密を 藤原定家の横雲の空の歌 先だって家隆の歌
894 星々が見棄てた空に ただ満ちる雲の絢爛
893 夜空にはもうシリウスもオリオンさえも姿を見せない 冬が来たのに
892 夜明けには啄ばむ雀たちの声 今ではそれも聴こえなくなり
891 山際を明るく染めていた夕陽も見えなくなり月の光りも見えなくなった
890 音楽が聴こえない音楽が聴こえない いつからか
889 死の町になってしまったファルージャを最後に 去ってゆくパウエル氏
888 私の歌は日記でしかなくてそれ以上でもそれ以下でもなく
887 本当のことも書けないでも嘘は書きたくないWEB日記の曖昧の靄
886 もっこりとふくらむ鴨が水を掻く 冬が来ている野火止用水
885 オレンジの飛行機雲と星と月 午前六時の東京の空
884 ファルージャの総攻撃も支持すると小泉純一郎氏は語る
883 笛を吹く男に貌がないことも見えない 後ろ姿を追えば
882 私たちがんじがらめにされながら抗う力も奪われながら
881 胎動も微動もなくて滾る熱 空白域の直下に溜まる
880 白い月、白い金星、白い心 2004年の日本の秋
879 日本を戦場にする首相でも或いはだからか支持率上がる
878 作中の二重構造 作者とか作中主体の着ぐるみの熊
877 美しい三日月の舟浮かぶ空 木立の影の透ける朝の
876 変わり果てた姿になって 少しずつ土嚢積まれて水の引く村
875 逆説と皮肉に満ちた一章を読んでいました「アメリカ日和」
874 ひりひりと誰かが告発するのだろう飛蝗が地球を覆う夏の日
873 そしてその理由はどんなわけがあり或いはなくて切断の首
872 やがて死はその足元に這うだろう貴方や私のこの足元に
871 子犬の生よりも軽いという生の相対死観の真実の位置
870 そうではなくもしも自分の嗤いならその嘲笑に地球は乾く
869 自分ではなくて他者を詠っているんだね他者の傍観、軽視の中の死
868 馬鹿笑いされながら死ぬ気分とは嵯峨直樹氏の詩を読みながら
867 試練につぐ試練につぐ試練につぐ試練 永久被災のパンドラの函
866 残酷な性剥き出しにして過ぎる 一本の川そこを過ぎゆく
865 されど川は水嵩を増し抜けゆけりその本来の姿のままに
864 タイミング悪く語れば非難あれ 土砂災害の土砂の言い分
863 濁流と呼ばれる水が突き刺さる濁れる川の水底の村
862 すぐそこに今手が届くそのそこにあなたの影が角を曲がった
861 一揺れで覆すのが天然の自然の性質で本来の姿
860 見過ごしているはずがないから見逃してあげているのねあの人らしく
859 日本ではまず同胞に殺される 愚か者よと切り捨てられる
858 生きていることが淋しく辛い日は賀茂茄子の味噌田楽でも如何
857 ブッシュ氏の再選決る夜の月 東の空の黄なる半月
856 ブッシュ氏の勝利宣言も真近くて生暖かい晩秋である
855 恐ろしい時代が来るという気がする罅割れている時代の背中
854 心地よく街を吹く風天国はこの世にあると風に吹かれて
853 楽天の夢は叶って平泉黄金郷の夢をまた見る
852 顎鬚に白さ目だってビンラーディン 誰に向かってか話し始める
851 「証生」は生の証と青年の母の語る日晒された首
850 言の葉に言霊こもると猶思う身をもって証かす明らかにする
849 空を飛ぶ鯨を見ない編隊を組んだ雁金部隊も見ない
848 母さんに似てるねそんな器用さも纏ってゆく髪の流れも
847 アジア系男性の遺体発見と 未明の空を過ぎる遠雷
846 映すのはやめて下さい被災者の一人は疲れた明日の私
845 ふらふらと歩いていたら何故悪い 無防備は悪といつからなりぬ
844 「待っててね、待っててね」強い強い強い男たちの優しい言葉
843 諦めてしまえば終わり二歳児が教えた無垢のしなやかな力
842 情報は二転三転しているが香田証生、生命証して
841 蜜蜂の目覚めはいつも静かだが時々死んでいることもある
840 穏やかで何もない日の何もなさ 今朝、山茶花が零れ始めた
839 憂うつなのは世界中の時計が止まったせいじゃない
838 海を見る覚城院の一隅に在りし都の花零れ咲く
837 鞆の浦、福山、鷲羽、仙酔島 流され公卿七人の戯歌
836 廻船の航路はとだえ常夜燈、港に遺る 三国に鞆に
835 海上を西に東に往来し 北前船は夢運ぶ船でありしか
834 殺されて投げ出されている満月の夜選ばれた生贄として
833 いつだって笑い飛ばしてしまえたら だからって何も変わらず
832 明日というのはどこにあるのだろう どこにもあるはずもなくて秋です
831 奇跡の終わりを告げて光りが消えてゆく
830 執拗に狙って向ける銃口の先にいったい何があるのか
829 包む毛布、担架、青いシート、照明灯 生と死がせめぎ合う
828 人間はこんなこともできるのか暗闇の中光り在る所
827 生きていた!!落石と土砂の重なる岩の真下で
826 日本の過疎を襲った大地震 過密を襲う日もカラス啼く
825 病いの時は病いに任せ死の時は死に任せ 出来たらねそれは
824 終わりなき旅の始まり良寛の手紙の中の一節思う
823 教室に人集っている何の集りかと見れば短歌の集り
822 新幹線車両トキ325号 ニッポニア・ニッポン乗客ヲマモリシス
821 全身でその衝撃を受け止めて新幹線「とき」横たわる
820 心身ニ血ガメグラナイソンナヒハ心筋虚血ノ禽デノミアル
819 震度6強 地震が襲う天心が断層を切る月の引力
818 幼い日見た映像の大地震 道の亀裂に落ちた人たち
817 快晴の空の下にも泥土とか裂け目があって見る鰯雲
816 不確かな月の引力、半月は地球を切断する磁気送る
815 (遠くまで飛べないだろうか)海深くある日思った<天使の翼> 
814 半月は置き去りになる不確かな記憶のように置き去りになる
813 何もせず何もできない一生がまだもう少し続くのだろう
812 モノクロの画面と静かなナレーション「突然炎のごとく」死は来る
811 画面ではジャンヌ・モローが微笑んで車と共に沼に沈んだ
810 濁流にのまれていった家のことあのあたりと指す人を見ている
809 神様に語りかけても神様はきっとお留守でこざいませうね
808 その声に拒否されていることもありダウンロードは叶わざりしよ
807 アクセスが集中する時アクセスの中心にある一つの言葉
806 雨傘はもう要りません私の心を隠す傘はないから
805 最終の戦いの日に雨降れば傘の花咲く雨の球場
804 傘さして見ている川の泪橋 落葉病葉渦巻き流れ
803 安曇野の月にかかった暈だとか富士の傘雲を愛した人に
802 流星のような驟雨の洗礼を受けて降り立つ折笠千秋
801 大雨か濡れてならない雨なのか傘をさそうよ尾鷲の傘を
800 吊り革がゆっくり揺れて吊り革の先に透明傘が一本
799 台風は蜥蜴という名と知りました昨日伊波さんの日記で
798 枇杷の木にケサランバサラン晴れた日の富士に笠雲 優しさは嘘
797 暗闇に燈るランプと月の暈 水晶宮に降る秋の雨
796 落葉あり おまえが散って明かるくなる 木々の根方にただ降りしずめ
795 いっそもう蛙にでもなっておしまい いっそもうこの世の果てへ行っておしまい
794 どこでもないどこか誰もいないどこか 魂だけで生きられたなら
793 白孔雀の子育てこそは忙しい尾羽の端にも気を遣わねば
792 レミングを追って飛びます白ふくろう雛は洞で餌を待ってます
791 目も開かない郭公の子が駒鳥の卵を落とす駒鳥の巣で
790 白鳥は嘴汚し胸汚し大飛行する旅に備える
789 群れをなす白鳥がいて湖は月光に濡れ狭霧に濡れる
788 湖では泳ぐばかりではありません速さを合わせ滑走もする
787 浮き巣には子どもが餌を待っているカイツブリには暇も非ず
786 子育てをするには派手では危険だと雌の野雁は薄い茶羽色
785 正常で普通であってそれゆえに悪と思えり悪であらんと
784 されどまた狂気などにも興味はない 綺麗な玩具、夢の白鳥
783 美しいもの以外には興味がない ノイシュバンシュタイン、冬の白鳥
782 貝殻の中には夢と後悔と潮騒に似た夜の音楽
781 千年の血のつながりを疎んじた私の何が反応している
780 瀬戸大橋渡ってゆけば私の何かが疼く 紫紺の島影
779 今すごくゆっくりゆっくり揺れている遠い地震があったのだろう
778 「一期は夢よただ狂え」狂いて死せる宅間守か
777 悲しみを悲しみとして生きてゆく素直に生きて縊られる鶏
776 ゆっくりと俯瞰してゆく鳥の眼の視野の外なる彼岸の桜
775 虚しさもいかがわしさも同義語に思えて来たり動悸する如
774 目に映ることのいろいろ目にしたままこの絶望の世界の外へ
773 知ってます?おけらの花が咲いてます万葉植物園の陽だまり
772 草炎える不知火炎える野分来て神無月の真輝く赤
771 空中にプールを描く親子にも雨降り続く トタン屋根にも
770 ワールドカップ、オマーン戦は延々と続いて最前線の
769 日暮れはもうそこに来ているミッキーとプルートの時間始まる
768 さよならを練習すればさよならは永遠となるモニターの零
767 偶然の一つであれば私たち羅列されたる数字2・4
766 踏切を渡れば海で階段を上れば駅でその下が川、架橋駅
765 恐竜の痕跡こそが大切と毟り取られる鳥族の羽根
764 静岡県石廊崎では67,7m、生温かい風渦巻く東京
763 いつもは平手で今回は拳で殴る台風22号 
762 どうしても≪続きを読む≫が消えませんいったいどうしたらよいのでしょう
761 おそらくはそこにはいないあの人に 二度と逢えない胡弓の楽に
760 今日までの晴天となる空にして下弦の月のかかる中空
759 失ったものは言葉や物じゃない燃えていたのは火鼠の皮衣
758 何事もなく過ぎたわけじゃない何事もない毎日を望んだ狐
757 細心の注意を払って生きない昨日生まれた月の繊さで
756 曇り空また台風が発生し南洋上蛇行しながら
755 雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨 甍に軒に私に降る
754 あの人の心がどこかへ行った日の遠い火の色の曼殊沙華
753 飢餓線上這ってゆく虫一列になって冬へと向かって歩く
752 ゆっくりとレールは別れ海に入る 船は入り江に生簀を運ぶ
751 気がつけばもう十月で閉じられた頁のように私がいる
750 人は死ぬ必ず死ぬと教えられ 姫神、森の中にて死せり
749 透明な青の世界に秋の月 星も瞬く夜明けであった  
748 台風が縦断してゆく列島の無月の空によしなしごとを
747 私の歌ならいつでもどこにでも自由に転載してくださいな
746 「転載を禁じます」って紹介をしたいと思ったページの隅に
745 朱の回廊、水の回廊 海に浮き水鳥のごと羽を広げて
744 琵琶法師哀れを語る厳島 社殿冠水して神無月
743 雨でした雨のさなかの夕ぐれを赤いバイクが角を曲がって
742 時々は青空もみえた曇り空 次第に雲が厚くなってゆく
741 火の山河、水の山河を渡りつつ ニッポニア・ニッポン滅びてゆくも
740 ありがちな脚本だけど伝説の曲が流れて涼しいラスト
739 存在という不可思議の芒野を流れる川の岸辺の家族
738 幾度目の拒否を経験するマウス悲しみらしき青の点滅
737 いつだって置き去りになる石ならばいっそ知らせよ石塊の重さ
736 回廊を御柱を打つ波があり寄せくるときも青き潮騒
735 秋は好き秋に生まれた人といる彼岸の風のように儚く
734 鬱熱が潜熱となり気化熱となりゆくまでに滴る通草(あけび)
733 アクチュアリティとリアリティは違うと養老孟司氏がTV画面の中にて語る
732 黙示録の頁を捲る風があり今ほろほろと崩れゆく塔
731 海(かい)という名前の猫の本を読む海と子猫の海辺の日記
730 小紫、紫式部の園芸種  野火止の水ゆるやかな秋
729 沈黙に似つかわしくない夜だから昔話をしてみたばかり
728 砂を吐く浅蜊のように砂を吐く もっと美味しく食べてください
727 彼岸花咲く野火止の土手にして子猫の生まれた秋の日である
726 棚田には棚田の景色見えながら遠い夕やけ雲も映すよ
725 川底に無数の卵産み落とし黄金の鯉流れてゆけり
724 少しずつ時間を錯覚してゆくよ 五分遅れの時計のように
723 主語の無い世界に生きていますから雲と霞と消える煙硝
722 大阪と福岡拘置所に於いて死刑執行同日二人
721 花は葉を葉は花を恋う彼岸花 泥色の稚魚泳ぐ野火止
720 十五歳少年の行く遍路道 雨の宇和島を過ぎて讃岐へ
719 「思川」という川の橋 その橋が投下地点と特定される
718 追いつめて追いつめられて草の原 放り出された二つの心
717 火柱となった心が炎えるから 鎮め給えな海を這う龍
716 荒れた野の向こうに木立 木立の向こうに青空がある
715 曼珠沙華夕べの道に灯るのは 赤々と咲き赤々と死す
714 さよならと手を振っていた母だった永遠の別れになると知ってた
713 丸亀に多度津に京極、宇和島に伊達 都に遠き流離の心
712 いずれわれら婆裟羅の裔の萩、桔梗 吹く風に萎え降る雨に散れ
711 海沿いの町が故郷 萩、すすき、彼岸花咲く丹尾の城跡
710 亡くなった人の日記にハーブと本 花と大きな猫とオレンジ
709 列島に猛烈な風吹き付けて増幅された何かも襲う
708 津波来るという警報に醒まされる逆流をする川を見た人
707 偶蹄目、牛科ミミナガヤギのこと母の命日だったあの日の
706 堪えかねて噴く火の色の美しさ千年神の水を湛えて
705 満ち潮は高潮となり風孕み月が引きゆく海の高鳴り
704 栗に似て栗より大きい滑らかな殻と木の実が落ちていました
703 マラトンの丘駆け抜ける選手団 希臘の青の澄みゆく時間
702 発酵を待つ詩やパン種や葡萄樽  驟雨の後に光る雨粒
701 失って滅びていつか消えてゆくそれでも人は夢見るさくら
700 始まりも終わりも知らず生きていた知らないことが強さであった
699 火祭りの写真をどうもありがとう篝火はまだ燃えていますか
698 せせらぎの音聴きながら歩く道 木下闇をゆく水の音
697 紫蘇、茗荷、山葵、シシトウ、生姜など夏の終りの薄闇の胃腑
696 やがて死がそこにひっそり掛けるから古い木椅子は木洩れ日の中
695 みんみんがつくつくぼうしが鳴き交わす晩夏になれば晩夏の心
694 九月になったら私は何をするだろう九月になればチェホフを読むよ
693 曇り日が好きな黄金色の鯉 橋のたもとの澱みの中の
692 向日葵の種と蜜蜂 太陽に背いて墜ちたイカルスの裔
691 立秋も過ぎて八月十三日 残暑お見舞い申し上げます
690 まどろんでめざめる朝の白い蜜 季節はずれの鶯の声
689 頼るものないとき頼る言の葉と今宵生まれた繊い三日月
688 キスツス=私は明日死ぬだろう 8月8日の花言葉です
687 雨の日は飴細工師の小父さんも兎も犬も鳩もお休み
686 炎える樹は炎える火柱、火柱の尖端にして炎の骸
685 光る魚一網打尽にする網が見つからなくて月光遊魚
684 戦争は間違いだった間違いで滅んだ国の亡霊の夏
683 空白の時が流れて七月の海に浮かんだ島影一つ
682 アボカドもキウイも伸びて七月の朝は紫紺の花も開いて
681 ネアンデル渓谷 遺伝子のネアンデルタール人の故郷
680 限りなくレイアウト崩れゆき私の歌は消えてしまった
679 鶏の頸締め付けているあの声だ高音で歌うのは疲れるだろう
678 夏空の乳白色の雲の舟ローラースケートしているピエロ
677 どれ程の取引をして日本はこの決定を得たのでしょうか
676 雷雲は遠くへ去って行きました あの大雨は嘘のようです
675 天邪鬼踏み据えられても逆らって逆らう程に怒りに触れる
674 WEBページ消えて半身不随に似て 水栽培のアボカド林
673 極端と極端会えば一点に還元されるヤコブの原理
672 富士に雪、新潟三条には豪雨そして梅雨明け今日の東京
671 七月の金魚が水に眠る午後 水はさゆらぐ光りの窓辺
670 天からは一瞬止んだだけの雨 日本の行方まだ雨の中
669 約束の海の歌です遠い日の記憶のように光る海です
668 ペテン師のペテンの語源は知らないが逃げ水という夏の陽炎
667 無理解は悪。 『沖縄ノ骨』の作者がそう語る 珊瑚の白い骨と混じって
666 大切な一日のため雨よ降れ しずかにひらいてゆく雨の薔薇
665 晴れの日も傘の用意は忘れずに梅雨は終ってからが本番
664 アリゲーターブルーアリゲーター深夜に奔る風を見つけた
663 生き残る人ゆえ覚悟の足りなさを責められている鬱熱の森
662 愚かしいことと思えてやめました二足歩行に戻る人鳥類
661 戦闘色消えたらしくて野を奔る王蟲の赤も一夜にて消ゆ
660 少しずつ気道を確保するようにゆっくり と夜の帳は下りぬ
659 約束の虹がどこかに立つという 探査衛星カッシーニの旅
658 眠くなる 最後は眠くなって死ぬのだろうか 鳥たちも
657 仰ぎ見る文月の空の流れ星 戦場に人は撃たれていたり
656 雷雲にまけてはいない入道雲 青い薔薇咲く2004年夏
655 少しずつ眠るためまた生きるため真夏の夢の浅瀬を渡る
654 川底にいても蛍は光るという 弟の手から姉へと蛍
653 拒否よりも手をさしのべてみる勇気 蔓性植物であろう何かも
652 ライラック苦しきことを忘れんと買い求めくる水無月の花
651 天空を走る列車に名づけよう 薔薇星雲を横切る列車
650 「死に至る病」ではない憂鬱というのでもない 雨の気配か
649 退屈の病に私は侵される 病であるから治るのだろう
648 山椒魚、山椒魚って可愛いね 石を枕にうたたねの夢
647 誰かが歌い始めても夜は明けないかもしれないが
646 雨のない六月だった台風が壊していった日除けを替える
645 桜桃忌すぎて三日の夕ぐれは哀しきものの見ゆる夕ぐれ
644 さみしくて嵐が去った空を見る遠い山野に棲む獣たち
643 なんとなく批判をされているような夏来て白い太陽の下
642 一匹の鼠が町を走り出し真昼の雲が白く輝く
641 多分もう私はこれでお終いと紫陽花の青、紫陽花の雨
640 汚された時間のようにそこにある削除できない何かのように
639 夏空に雲一つなき桜桃忌 台風はまだ東シナ海
638 前線は活発ならず空は晴れ桜桃の実もつややかに生り
637 逝く人があれば生まれる人があり生誕祭となる桜桃忌
636 O音の優雅さ雨の桜桃忌、鴎外忌にも驟雨来て去れ
635 さみと゜りの夏来て雨の桜桃忌 さくらんぼのようなあなたの
634 眠ろうとしても何だか眠れない 普通に戦争している時代
633 水無月の鬱をかかえて紫陽花の半球すでに黄昏れてゆく
632 夕暮れに風が通れば振り向けばあなたの背中見えた気がする
631 水色の海と空とのあわいから聴こえる音をタクトにのせて
630 隙間から一瞬見えた愛に似たものが欲しくて殺してしまう
629 心肺に貝殻虫が棲みついて殺してしまう少女がひとり
628 誰にでもある空洞に鳥を飼う 傷を負ってる鳥の目の青
627 鳥籠に鳥を飼ったら青空の果てを見せてはいけないという
626 地の底につづく階段下りてゆく黄泉とは蛆の湧く土の底
625 窒息をするより前に死んでいた 狭い隙間も埋められていた
624 新鮮な生みたて卵のような黄の花芯もゆれて梔子の朝
623 家事をして運動をしてよく眠る さよなら私の夢に逢う獏
622 水無月の雨降る雨は心にもこの素晴しい世界の片隅
621 皮肉にも時間は流れ蛍沢、蛍田という地名も消える
620 満月が悪かったんだ射す月のひかりの中の緑色の蝶
619 コメントは父の言葉で語られて新聞記者の目で綴られて
618 同級生に切られて小6の女児が死亡とテロップ流れる
617 南風吹く東京の日暮どき 檸檬のような月も浮かんで
616 ダービーを制したキングカメハメハ 府中の空に浮かぶ半月
615 まだ熱が引かないけれどそのせいで見えるのかしら歪んだ檸檬
614 名も忘れ一人の男が虎になる中島敦の小説思う
613 感覚の教会に鳴る釣鐘や天井画など五月の空に
612 水色の尾長が飛んで上水に夏来る 夏の涼しさの青
611 ゴミからもアートは作れ工房の中、鎮座するプラスティック蛙
610 熱が出る前の症状 動悸して片腕片肺酸っぱくなって
609 羊水の中から始る絵日記のような万智さんの「プーさんの鼻」
608 戦争が始る時と終る時 雨は烈しく降るゆえ儚
607 サッチモの声が聴こえたサッチモは「この素晴しい世界」と歌う
606 紫陽花の青の花火のひらく朝 小さく青く雨の紫陽花
605 何もかも重くなってる何もかも そう何もかも何もかも重い
604 突然にカミキリムシが這い出して紙切るという噛み切る勿れ
603 あきらかに社会的適合欠いている天道虫は星で分けられ
602 関わりもなく生きている淋しさに 美しいもの峠を行くも
601 石塊の僅かばかりの土にさえ咲く紫の花のひとひら
600 ここに咲く花の苞衣の中に充ち花の力となる何ものか
599 こんなにも暑い日なのにあのひとは痩せた分だけ寒いと言って
598 スカーフを帽子代わりに巻いてゆくと 締め付けられる痛さがないと
597 猫さへも何かを感じていなくなり庭先はもう二匹の広場
596 イラクでは毎日人が死んでいて殺害報告にも慣れる長官
595 基本的に安否の確認などできず仰せのままに頷くばかり
594 夕暮れの水の流れに沿ってゆく水の流れに運ばれてゆく
593 春日井建、享年六十五歳の訃 一人の定家黄泉へ発つ夕
592 白皙の詩人は一人旅立ちぬ皐月の空に発つ白い鳥
591 脱落と脱出の違い知らぬままこの世の淵をさまよっている
590 春の野の逃げ水、昼下がりの驟雨 夏には夏の烈しさに降る
589 日曜の小川に沿った道でした 鴨も小鷺も帰った夏の
588 香枦園、海と川との汽水には渦巻くものが見えて夏の日
587 川沿いに歩いて下る散歩道 美術館までゆっくり歩く
586 あの人はどうしているかと訊かれても訊かれなくても寂しい明日
585 ポルトガルの洗濯女という風情 曇りのち晴れの空が青くて 
584 空想と空想むすぶ接点に空の巣があり燕やすらう 
583 台風に散らされなくてよかったね 台風はもう熱帯低気圧
582 泥川に川魚かしら鯰かしら一瞬ゆれて再び沈む
581 木々の影、魚の影も見えている 湖の岸近くの葦原
580 葦の葉をのぼる天道虫のこと 蜘蛛の巣作り見ていたことも
579 川鵜来て鳥の楽園伝説の円形の縛、縮めてゆきぬ
578 遠く去る鳥には鳥の歌があり水没樹林に降る雨がある
577 飛ぶ蝶の無数無声の映像の夕映えてゆく金の鱗粉
576 鱗翅目、蝶や蛾にある鱗粉の身を守るため赦される毒
575 六月のドナウデルタの葦原の水と光りと小さな魚影
574 ペリカンが上昇気流に乗って飛ぶ 桃色ペリカン灰色ペリカン
573 やがて陽はシュヴァルツヴァルトの森蔭に蒼い馬棲むその森蔭に
572 断片は断片として断片の断片でしかない夢を夢見る
571 墨色の壷の一に銀彩は隠れてしまう芒の穂波
570 台風が近づいて雨、終日の雨に降られて空木の白が
569 本能寺の変よりときは今にして田楽刺しになる心地する
568 蒸し暑い夜には理科と算数を午前3時の3chで
567 遠くから「暫」の声 暫くと声をかけたるものの見えなさ
566 映像と詩も夢をみる 異次元の入り口に咲く一本の薔薇
565 攻撃の背後にあった八割の支持を充たした奇妙な果実
564 せっかくの自由も空しくなるわけを少年の目は見ていただろう
563 金銭に代えられないというけれど金銭のこと量り難しも
562 計算し演出し演じてみせヒトラーがヒトラーになる一つの過程
561 ヒトラーのあの髪型の何分の一の狂気を分かつ私たち
560 今日は雨 雨の中にいる幸福を感じているか葉裏の蝸牛
559 日の国は火の国、赤く篝火が炎えて 望月に矢も放たれて
558 地下深く深く堆積滞留し核を守っているマントルよ
557 温泉は蔵王の含鉄釜の湯の湯の花の咲く蓬生のお湯
556 汚れなくイノセントであるということの 初夏の空の
555 春蝉が啼いていました新緑の萌える林の一本
554 春蝉が啼く季、遠い日の夕べまどろむように沈む太陽
553 なんとなく残骸めいた掲示板 桔梗咲く頃削除しましょう
552 黄金色の麦藁帽子出荷する小さな町の小さな港
551 鮮やかな血の色に染まる基督のメル・ギブソンの映画も完成
550 私には見られないけれど意味はあるそのリアルには必要性が
549 ある人は父をある人は母を亡くして母の日の雨
548 今日の日が無事に過ぎたということの続きに咲いて深山苧環
547 「右ゑちご左やまみち」道標の紫に猶暮れ惑う道
546 塩倉に釘は使わず 塩運び塩を守って千国街道
545 多分どの一首であっても同じこと一首は既に全体である
544 大相撲夏場所がもう始ると 水面に光りさす隅田川
543 非表示の選択あれば埋もれ木の埋もれるままに朽ちゆくもあれ
542 フェルディナンド・フォン・ツェッペリン伯爵の飛行船 その中空の船
541 虚しさのかぎりもなくて赤い月 明け方に見る皆既月食
540 欠けてゆく月の黒紙魚、月の隈 銃身の色帯びてゆく夜
539 七つの子歌いつつゆく「二十四の瞳」の中の岬の子供
538 花水木はらはら散れば花筏 一期一会としたためよ歌
537 言の葉の繁りて散りて五月雨 メイストームの過ぎてしばらく
536 猫だって家出もするさ家出した猫が子猫を連れて帰るよ
535 屋根裏に蛇の脱殻、雀の巣 鼬も出入りした穴の跡
534 憂鬱に似た感情の夕まぐれ 気まぐれ気まま我儘の果て
533 川原にも陽が射し石に蜆蝶 ナンジャモンジャの花咲いて夏
532 東北に行ってみたいと思います角館とか太宰の金木
531 夏の日に剪定鋏光らせて花咲く花の咲かせ方など
530 いずこにか鋸菊が育つからもう枯れ始めているベンジャミン
529 花壇にも教育主事は入り来たりタチツボスミレの谷の群落
528 めひかりの眼の海の色誰だって海を釣り上げられない釣り人
527 誰だって海を釣り上げることは出来ない 神が釣り糸垂れる夕暮れ
526 雨の日の竜巻、晴れのつむじ風 何の尻尾か見えて日が没る
525 竜巻は上から旋風は下からと解説されている連休二日目
524 蚕豆が弾けて夏はもう間近 遠くでゆれている青い麦
523 やわらかく弦の音から始って木管楽器が続くその後
522 マーラーの『復活』を聴く演奏はルツェルン祝祭管弦楽団
521 流木が打ち寄せられて来るように悲しい心の切片もまた
520 妖艶な鐘馗空木の花が咲き 上水の夏始るらしき
519 いつまでも若く美しくあらねばならぬと『火の鳥』の婆
518 ファルージャは萌黄色に見える萌黄色の中の桃色の炎
517 まだ青い小さい苺が二つ三つ四月下旬の涼しい朝
516 眠くってだるくて疲れてしんどくてそんな日ばかりの春ではあった
515 シマウマの後姿を見ています夕陽に向かって歩くシマウマ
514 象がいてキリンがいて河馬がいて縞馬がいる 地球楽園伝説を継ぐ
513 金太郎飴よく見ればみな違う顔 それぞれに泣きそれぞれに笑う
512 春が逝く四月が終る蜜蜂の羽音が聴こえ蝶も生まれる
511 薔薇も咲き守宮も硝子戸を這って迷宮の森ひらくこの朝
510 竜川と書いてリョンチョン爆風に吹飛ばされた国境の町
509 前近代ぬっと顔出す春の闇 火山性ガス噴き出す気配
508 それぞれの中の戦争も終るから静かに頁閉じられてゆく
507 大方は主義や主張にあらずして多分表情筋の迷走
506 列島を寒波が襲う四月尽 春夜の夢に帰り紛れて
505 イラクへはもう戻れないとアナン氏が 紅砂の海に埋まる部隊
504 こんなにも殺風景になったわけ 紙風船のような黄のチューリップ
503 国境の駅のある町壊滅する黒い地蜂が群れて飛ぶ朝
502 すでにあるものなぞっているだけの危機という名の安逸の胡麻
501 ニューサマーオレンジ、小夏、日向夏 柑橘系の夏が来ている
500 宿題を残したままの20日間 風邪後遺症だるさがとれず
499 黄の花が終れば次は白い花 小さな虫喰いだらけの絵本
498 雨上がる林の道の腐葉土の中のドングリ芽を出す朝
497 漆黒の腐葉土ありて金色の朝陽の中の辛夷、木蓮
496 松毬や泰山木の実の集り 命果ててもなお生きるもの
495 「自爆する男」画面の金の花 田島征三、木の実のアート
494 地に落ちたヤシャブシ伊豆の海岸の岩に置かれて花咲く木の実
493 椿咲く、椿の赤や白の花 渚の水を水盤として
492 木の実って生命力の塊でゆえに滅びて後もつよくて
491 今朝落ちた木の実のうすいやわらかい明日花咲くばかりの花胞
490 海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
489 知らされなければ知らないで今日の一日の画面の向こう
488 なま物の命を運ぶ春の月 花水木咲き躑躅も咲いて
487 突然に夏来るように最後の日 難読氏名の話題の続き
486 魂には晩年 亦来る春の終る日の風もない日に散るリラの花
485 でそれから誰が報道するのだろうそこに虐殺ある日の朝
484 「揺るがない」大統領と風の墓地 遺体七百埋まるファルージャ
483 花水木が咲きポピーが咲いているこの夕暮れの濁りゆく空
482 湿気のない爽やかな日で見残した桜も咲いて今日の一日
481 夕焼に染まって緋色の鳥となる熱帯雨林の鳥かと思う
480 港から夕陽が見える金色の海に続いてゆく道がある
479 薄闇に包まれながら目覚めたら昨日か今日か解らなくなる
478 ほの甘き千枚漬けの千枚の襞に隠れている赤唐辛子
477 長さんも弥七も逝って東京に四月の雪を降らせていって
476 これが春これが四月の気温差か雨が上がれば欅の若葉
475 折鶴蘭、ムラサキシキブ遅れ咲く薔薇の一輪雨の日の雨
474 恐ろしい真実は唇が閉じたがって言えない 春浅く黄泉をゆく舟
473 木苺と射干の花咲く裏道の水のほとりの羊歯にも降る雨
472 朧月、卯月の空の月の暈 さくら花びら散りゆく刹那
471 花ぴらはもう葉桜のやまざくら透ける翠の白い花びら
470 孔雀はもう羽根をたたんだ月光の銀青色の夜が来る前に
469 街空に煙たなびき消えゆけり卯月の木の芽さみどりの苗
468 桜散る空掘川の河川敷 渡り鳥来て今年の春も
467 川霧がたちこめていたのは冬の頃あの頃すでに鷺は来ていた
466 雨の中咲いて仄かに匂う花 深夜零時に雨雲は去り
465 紫木蓮、白木蓮が並び立つ白木蓮から零れて落ちる
464 満開の桜が空に吸われてゆき吹雪となって散る地蔵堂
463 風もなくお花見日和 今頃はアークも桜祭りの頃か
462 晴れた朝詩人の誰がいなくてもさくらさくらと声低き歌
461 花が咲く季節は花を雪の舞う季節は雪を月は見ている
460 晴れた空が青かったから思い出す空の色
459 川縁に桜が咲いて待っている春の終りの雨が降るのを
458 夜になって雨 雨のなか走り去る時曳く雨の音
457 バイパスを作ったというバイパスの管を通ってゆく舟がある
456 白湯で服む薬のいくつほんとうの薬であるのか毒であるのか
455 木蓮が茶色くなって枯れている春に三日の命もなくて
454 明日はまた雨降るという三月の雪に変わってゆく夜の雨
453 モビールのイルカが泳ぐモビールを動かす春の風があるから
452 存在を主張している背表紙に別れを告げて今日の花びら
451 アルヤバン日本も次に標的にしているというニュースの一文
450 木蓮、辛夷、桜の莟 のんびりとした春の水曜
449 東讃の屋島、西讃の観音寺おなじ四国のサヌカイト哉
448 日本はテロと戦うということで警備の警官多数見かける
447 混迷を深めているねバグダッド レジスタンスは激しさを増し
446 なるようにしかならないのだし運なんだしって言って顰蹙を買う
445 ある時は死にかけていた琉金も春を迎えた奇跡のようだ
444 爛漫の春よ驕りの春であるよ昨日縊れた鳥もいた真昼
443 賑わいの市に背を向け山麓の道の傾斜をゆっくり上ると
442 山麓の南病棟、陽が当たり月も仄かに射してよいと言う
441 満月は一昨日だったそういえば花のもとにて春死ぬ烏
440 ぴったりと風がやんだね夕凪の夢のまどろみにも似たやすらかさ
439 水際に風が流れて風がやむ海岸線に河口にカモメ
438 洋燈に照らされている雪の日の硝子工房、運河のほとり
437 混乱は全て収束する形 終息までは言えない形
436 千年を眠るためには千年を眠れる言葉が必要であり
435 中和する形としての一章を今からそこに書き加えます
434 忘れているわけではないが忘れている他人事だった私にとって
433 朴の葉に餅を包んで藁蘂でとじて村の社の天狗にしんじょ
432 簡単にあなたも私も殺すだろう虐殺列島住人なれば
431 鳥、卵、山積みになり棄てられて 殺して埋めてヒト科のヒトは 
430 群像の絡んだ腕と腕と腕 乳白色の丸い眼球
429 アポロンが追いかける時ダフネーの指が木の葉に変わるその時
428 熊の仔は走る熊の親も走る 阿寒の冬は終ったらしい
427 砂漠には優美なピューマ 一億二千万年前の猫
426 雪の予報覆ってさて晴れのち雪のち大夕焼けの西空
425 菜の花の芥子和えとかこの季節食べたくなって程よき季節
424 満開の梅が誘って国立の谷保天神の座牛に逢いに
423 午前三時 宙に無数の水の星 水汲み上げる滑車の音も
422 雛の夜 火星に水とオポチュニティー 時の甘露を白酒として
421 火星には確かに水があったという 地球に残る水の儚さ
420 小雪舞う東京の春、今日もまた鷺は冷たい小川に立って
419 いつのまにか中継は終っていた醒めない夢の中にまだいる
418 朝のうち小雨ゆっくりと天気は回復すると言っていたのに
417 テロップが流れるだけの死であってホーゼンフェルトの最後を思う
416 宗鑑が庵を結ぶ一夜庵 室町幕府とゆかりの土地に
415 港から夕陽が見える金色の海に続いてゆく道がある
414 アーケード撤去されゆく柳町 財田川にも鷺が来ている
413 木蓮がそして辛夷が咲くだろう 春ですあなたは死んではいけない
412 三月は優しい季節しゃんしゃんと鈴を鳴らして神社の仔馬
411 午前四時の幼児番組ゆっくりと精霊たちの揺らすぶらんこ
410 月と星、離れ離れに西の空 軒に届くと思うばかりに
409 まだ吹雪く空と天気図示す人 冬の最後の抵抗という
408 北西の風つよく吹き東北はまだ氷点下の日もめぐるらし
407 エメラルド・グリーンの果肉切り分けて春の空虚も切り分けてゆく
406 カリフラワー、キャベツの仲間ではあるが脳葉に似て春の虚しさ
405 霜焼けを起こした紫ブロッコリー 花の蕾を食べられてしまう
404 殆どもう破滅を待っているような紫ブロッコリーのような夕闇
403 そしてまたモスクワ時間を生きていて午後は一様に退屈である
402 冬川を水が流れて水が去る 猫柳もう芽吹いていよう
401 安部英あなたが無罪であるならば老いゆく時間も大切である
400 一人でいい一人がいいと春の月 いつしか水に還った海月
399 変わらない日常があり変わらない人がいるのに溺死する月
398 物思うキカイであれば物思う 抒情というは何処のキカイ
397 潰れてはいなくて、でもどこにも見当たらない そういう存在なのかもしれない
396 みんなが行くという方には多分行かない 数が多すぎる
395 書くこともない 七七を付け足し埋めている空白
394 安静に 動けない人にはどうか別のsuggestionを
393 文体の句切れ或いは句切れ無し 章句、文節、韻律の鷹 
392 もう終りだという声がする雲は春 私は私でなくなっている
391 野火止の鴨の平穏確かめて小さな橋のたもとを通る
390 その他に何もなかった 毎日は機銃掃射がただ無いだけの
389 曇り日の空は悲しい夜までも星もまばらで小さな星で
388 湖の岸を周れば湖の向こうで見えた星も見えない
387 鬱蒼と茂る森には白梟 煌く星を隠した森の
386 春の日が菜の花飾る鶏舎にも。真珠のひかり宿す春の日
385 薄闇に包まれながら目覚めたら昨日か今日か解らなくなる
384 だんだんと機嫌が悪くなるような春一番が砂塵を上げて
383 桃色の舌もつ貝がちろちろと覗っている町屋の厨
382 スクレイピー、プリオン、ヤコブ、海綿が吸い取るだろうメタル・スポンジ
381 伝統は確かに生きて生きのびてスポンジ脳に点る春の灯
380 街空に煙たなびき消えゆけり吉野屋さんの牛丼も消え
379 美しい茨木童子、日々荒みその片腕も綱に落とされ
378 百円で売られるまでの暫くの歌集が歌集らしくある時
377 光彩を放っているね移り気な忘恩の花ラナンキュラスよ
376 息長く伝え伝える歴史です たった今始まったところです
375 桶屋にもなれざりしかばビイドロや飴細工師らもなれないだろう
374 柿の葉の鮨を食べたよ和歌山の海岸走る電車の中で
373 霜柱踏んでみましたお隣の庭に繋がる草むらに立ち
372 星の砂掬ってあげる結晶の雪の形の風に鳴る砂
371 平和堂、平和公園、平和通り、どこまで続く日本の平和
370 菱餅は山の旧家の慣わしの雛の節句の無礼講でも
369 春だから白木蓮の花が咲き天に向かって祈りの形
368 野原には春がすぐ来る土管とか地面に近い草の葉に来る
367 筆に似て土筆、杉の子、春の花 菜の花そして大根の花
366 フィレンツェへ、ベニスへ風の商人は巨万の富を積むフレスコ画
365 封印は華やかに且つ軽やかに誰も知らない秘密の時間
364 この舞台、いつかどこかで見たような記憶の島に漕ぎ出す小舟
363 春までは持たない命だったからさまようのです冬蚊のように
362 冬田には水凍るから月凍り心も凍る稲田の二月
361 枕木にする栗の木は黄金沢の日当たる斜面の栗の木林に
360 草分けの夫婦漫才の漫才師 市場の外れの二階の夫婦
359 岬から入り江をめぐる道に咲くハマユウゆれて夏は来るらし
358 名誉ある撤退という選択肢すでに焼かれて砂漠の戦争
357 紋付の紋は九曜の日月の七曜越えた二つは死星
356 八百屋にはタラの芽、蕨、フキノトウ 苦味ほろほろ今年の春の
355 八雲立つ出雲の峰にかかる月 月が出ずれば隠れる獣
354 黄金の山吹一重八重に咲く山路を行けば山路の黄金
353 一片の雪の結晶、天上に生まれたままに降る北の国
352 洋梨のジャムを一壜ヤマモモの壜も一壜、花梨は酒に
351 浴槽に浮いた花びら桜湯の季節になればさくらの花の
350 温厚な人が垣間見せる横顔に狂った王の徴、青痣
349 泥の中きれいな花を咲かせても無意味無意味と蛙が騒ぐ
348 蜜柑風呂、夏蜜柑の木のある庭の黄金色の蜜柑のお風呂
347 蒸し器には竹の蒸篭とアルミ製蒸篭があってもちろん竹製
346 メロンパン大好きだったあの人に持って行こうねお彼岸だから
345 木綿とか絹ごしだとかお豆腐はやさしい繊維の名前がついて
344 予想ではパドックにいる馬のうち唯一頭だけ抜け出すだろう
343 何事も無かったことにして終る なお見解を異にする鯊
342 慈しむ愛というのもあるんだね月に零れる蝋梅の花
341 鳥、獣、雨の中なる十字路の樟の大樹に降る雨の音
340 羊歯族の裏白の蔭、無限大 水を湛えて澄む羊歯の森
339 白金耳焔に焼けばシャーレーの内に今宵の雪降りしきる
338 既に死んでいたものが改めて死んでも何も不思議はない
337 丈高き芒一本掃き流し銀彩の壷冷えてゆく冬
336 こんなにも争う人と人と人 ベツレヘムには神の子の教会
335 摩天楼犇く街を黒葡萄一房さげて茂吉が行くぞ
334 大晦日というものらしい冷え冷えと冬らしい年の市
333 先端にいたあの人が今どこにいるのかはいつも気になる
332 青空で木枯らしも止み穏やかで 旧い映画の中の抱擁
331 透き通る容器に入れて匿った 水より淡いウラヌスの卵
330 明け方に雨は上ってイランでは夢の続きのような大地震
329 ジャスダック、マザーズ&ヘラクレス 地平を僅か染める黎明
328 薄曇る空に氷が生まれたら煙になったロンの命日
327 富士山が林の向こうに見えた日の記憶の中の赤い日輪
326 日常が集積すれば正確で緻密なカレンダーになるのか
325 こんなにも退屈なのは午後五時の太陽がまだ青いせい
324 冬の日は短く川も枯葉色 落葉のマントに包まれる蝦蟇
323 置き忘れの文が一葉、冬木立 空を流れてゆく銀の星
322 戦争の放棄を放棄するために派遣されるのだろう誰かも
321 過去ログのどこへ消えたか解らない貴方の歌を探しています
320 空を飛ぶ魔女がいるから猫だって空を飛びます或いは羊
319 どんよりと空が曇れば藻の陰に尾鰭胸鰭隠して眠る
318 紗や絽や羅、透ける衣を織れば夏 蛍も蝉も蜻蛉もいる
317 91年湾岸戦争から12年 砂粒よりも小さく「ハンタイ」
316 寒いから真紅の熾で暖めて霙のような雪降る前に
315 回顧録の中の祖父たち降りしきる雪の中なる緑色の暈
314 疾風のように再び戦争がそこに来ていて冬の稲妻
313 ベケットは人間嫌い 変わり者 甥のフレディとはお友だち
312 清王朝滅びて後の蟋蟀の手足不自由ならむ貴種なれば
311 日の暮に橙色の月が昇るファラオのような黄金の月
310 忘れたい何があるのだ忘れても忘れても追って来るのか
309 青空に雲なく粉引に碧の茶 見えない雲が棚引いている
308 孔雀を飼い鶴を飼うのも退屈な山の暮らしに倦いてだったか
307 湖底には里村一つありましてダム干上がれば水車小屋の跡
306 とめどなく太鼓は打たれとめどなく舞台の雪が降りしきる
305 安定という幻がある限り 金太郎飴歪んでいても
304 もう戻れない時間の中で燃える炎を見ている真昼
303 ゆっくりと飽和状態ゆっくりと終りに向かう炎える草叢
302 木の断片 素朴な十字架 雨の日は雨の洗礼ラーラのために
301 書割かト書きのように月が出て夜汽車が向かっている無人駅
300 誰も彼もみんなが死んでしまったら 焼け野原なら猶完璧に
299 左手はいつも同じ音の繰り返し黄金の秋が来ていても
298 音楽は途切れても囁く雨ブロッサム・デアリーみたいに
297 偶然なんていくらでもある私がこの世に生まれたことも
296 いつだって気むずかし屋のアルルカン 明日は天気になるのだろうか
295 火喰鳥、花喰い鳥は梢離れ 雨期の沼地の森へ帰るよ
294 私の金魚が仮死した日 花道引いてゆく船弁慶
293 だとしても死者の手紙も届きます もうすぐ青い夜が来て
292 結局のところいつか私も焼き場の煙 「煙」という名の猫もいました
291 雪、霙すぎゆきし日の冬の雨 夜の香りやロシアの香り
290 タイトルを入力するのも面倒な気分だけれど秋空の青さ
289 厳島海に浮かんで潮満ちて潮引くまでのときを蕩う
288 花が咲き実が生り花は花疲れ 曇り空から白い太陽
287 野ざらしの石の仏よ微笑仏 誰が彫ったか夕焼けの道
286 紫の花が咲いてる唐辛子もうすぐ五色の宝玉になる
285 微生物よりもやさしく強力に水素が水に戻る力で
284 月光の天心微かに翳らせて 帆船一艘隠す洞窟
283 餅搗いて竜神様に供えます海に呑まれる船なきことを
282 剥げ落ちた青の色彩その質感 少し混じって夕焼けの色
281 蟷螂が振り立てている垂直の斧であるから折れやすき斧
280 今日という日が終っても明日が来て野鼠水漬き日にも曝され
279 鬱々と籠もる一日の終るころ祭りの山車が勢揃いする
278 虚しさに襲われている秋の日は鷺も烏も見分け難くなる
277 屋上より落下物ありと朝の掲示板 落下してゆく人型の影
276 夕映えの道に老人 年老いてゆくとき影は全てとなって
275 地獄花死人花ともいうけれど猫も家鴨もいる土手に咲く
274 汗ばんで葡萄の雫光ります まだ夏雲の浮かぶ空です
273 ラングドシャ舌に溶けゆく午後三時 まだ鳴き足りないヒグラシの声
272 簡単な文字少しずつ間違えて再入院のあなたのメール
271 どこからか胡弓聴こえる昼下り夏の最後の日曜日です
270 黒猫がそこを通って行ったから今宵新月 火の星を見る
269 菊人形、遥か彼方のウルトラの母が呼んでる月光公園
268 葦の影、薄の影や虫の影 影絵のような世界があった
267 白孔雀、鳳凰描く打掛けを纏って熱き加納幸和
266 椰子の実が椰子の高さで見たものは南の島に降る夏の雪
265 金色の海に太陽、薔薇色の海に駱駝やきりんの夢が
264 抜け殻になったら逢おう魂の三重連の水車が回る
263 九星と波紋映して漆椀 濁った鬱のゆき場なく秋
262 六万年ぶりに接近するという火星ゆらゆらひんがしの空
261 冷害の東日本、欧州の熱波 火星近づく年のできごと
260 夏去りて抜け殻のこし白蛇は大屋根の梁つたって消える
259 夏空を見れば「夏空の櫂」思う骨の髄まで侵されている 
258 退屈な雨の夏にも蝉しぐれ ひとしきり鳴く裏山の蝉
257 あの貨車は今どのあたり過ぎている遠い銀河をゆく夏燕
256 晩年は楽しからずや ハルウララそう、もっと駆けなさい
255 ハルウララ91戦敗け続け 夏すぎてなお走りつづけよ
254 遠からず死は現実のものとなる 雨に打たれている曼珠沙華
253 日向灘、嵐の後の静けさに朔日の月昇る中空   
252 海の幸ひかりの幸を引き寄せて大網を引く日向の月が
251 雲助の将棋を打つなと阪妻の旧い映画で三條美紀が
250 嘴が痛くはないの? 木を叩き木をつつく鳥ちいさいコゲラ
249 嵐、虹そして何もない明日 吹き飛ばされた蝉は秋蝉
248 切なさの色よりも濃い原色の虹がいつもの虹になるまで
247 一人に向かって人は歌うという 海酸漿を鳴らして遊ぶ
246 魚、貝、草の葉そして恐竜の卵 埋もれた砂の中の私
245 満ちてゆく月からっぽの心抱き波の兎と遊べば暮れる
244 点と点つながることがいいという考えもあり蝉時雨降る
243 追い風と向かい風では違うよね 雲の動きが見分けられない
242 纏わりつくような暑さが堪えられない暑熱のうさぎ耳垂れる夏
241 こーこーと鳴き朱鷺が飛び天女のような翼があった
240 混沌も夜明けもいいね深夜に咲いている青薔薇も
239 夜明けには川霧のぼる川霧は無明の闇の底からのぼる
238 星たちの駱駝のそしてオアシスの力 きれいな形にめざめる水よ
237 八月葉月月見月月齢三日稚月満月にはまだ暫くあって
236 あと数日で立秋という短い夏にまだ蝉の声が聴こえない
235 誕生の約30万年後に晴れ上がる 自由であれば屈折もなく
234 いつかきっと宇宙の果ても見えるだろうどこまでも透明に晴れた空間
233 液晶のモニターに見る遠花火 江戸の花火を忘れずに咲く
232 隅田にも西武園にも行かざりし 花火が見せていた万華鏡
231 花が咲き花火が咲いて胸の花ほどけゆきたる五彩の色に
230 夜の波 川面を走り帰らざる 船、人、花火 夏は逝くべし
229 八月の青さの中に溶け込んで帰らぬ兄の頭蓋のうつろ
228 タッちゃんと浅倉南の声がする 多分夏休みも始まっている
227 ハルウララ91戦敗け続け 巻貝が抱く螺旋の記憶
226 雪見れば雪の静内放牧場 もう走れなくなるまで走
225 忠実に従いましたが丑の日の鰻裂かれて焼かれる煙
224 体系化されつつあれば体系化逃れてゆかむ遊びせむとや
223 大量に打ち寄せるのは満月の死骸にも似る越前海月
222 虹がどこかに見えたと思ったよあれは夢だったのだろうか
221 水中に゜゜゜゜゜゜゜゜泡見えるとき夏空の青を映した魚がよぎる
220 あの人の歌が切り刻まれている切り刻まれるあの人の歌
219 簡単に歌は生まれて歌は死ぬ 雲ひとつない空は嫌いだ
218 この雨に変わってもうすぐ蝉時雨 24度で初鳴きという
217 ゆっくりと繋がれている どこに? どこか知らない明日に
216 悲鳴ってみんな似ているそれが誰の声でも関係なく
215 「モデラート・カンタービレ」の悲鳴から始まる全八章
214 この雲をスクランブルして飛ぶ機影 入間基地から飛ぶ軍用機
213 サイパンに大きな虹がかかる頃火炎樹にいま雨降り注ぐ
212 ブリスベンに入港してゆく白い船 コアラやカンガルーに会いにゆくんだね
211 ゴキブリはゴキブリとして生存し生を終えるかかなしくもあれ
210 血の山河、夏の山河を渡りつつ ニッポニア・ニッポン滅びてゆくも
209 あの時は逃げられなかった今ならば逃げられるかしら列を乱して
208 金星の他には誰も見ていない 早起きの鵞鳥とアヒルが村を出てゆく
207 夏の海、月の浜辺に椰子の実が流れ着くらし海月も浮けり
206 音楽のきれいな先生「しろばんば」みたいな恋が終って少年
205 淋しい子、強がり泣き虫見栄っぱり 絵日記に描く白い帆船
204 泉蔵院、城壁に似た白壁の道を曲がれば七月の海
203 三架橋、琴弾八幡、神恵院 楠の大樹と涅槃の釈迦と
202 銭型の寛永通宝、白砂に描かれて琴弾浜海水浴場
201 射吹島、亦島、菊紋円神島 箕浦走る海岸電車
200 三豊郡、十六箇村の年貢米納めて昏き蔵屋敷なれ
199 流金も和金も川を流れ来る金魚問屋の庭陰の川
198 雨霧城、由佐城、仁尾城、九十九城 讃岐は城もお結びコロリン
197 四国路の衛門三郎、伝説に蓮華微笑のような昇天
196 透き通る希望があれば希望など笹の葉流す七夕祭り
195 明日入院あさって手術と知らされる 「世界に一つだけの花」が聴こえる
194 何事もないかのように朝は来る消えた楽譜の淋しい音符
193 紫蘇に雨、羊歯に霧雨、竹の秋 睡蓮はまだ眠っているね
192 一晩中、屋根を濡らして霧雨が降っていたこと知っていました
191 再起動繰り返し書く一つの名 消えてゆくから素敵なWEB
190 眠りましょう私に何が起ころうと今日の眠りは私のもの
189 再び雨 雨また雨 雨のち雨の東京の空に氷雨を曳き飛ぶオナガ
188 悪声のオナガの青い美しい尾にも見惚れよ斑の犬よ
187 もうこれでお別れですね透明な水の卵を産む魚たち
186 死屍累々、象は墓場へ辿り着く 歌も墓場へ向かうのだろう
185 長い夜明けて木洩れ日さす森に水蒸気立つ風が流れる
184 夕べには薄紫の風が出て梔子がもう腐りはじめる
183 花火にも鳥にもなれず胞子飛ぶ とても虚しい日暮れが来るよ
182 また何もしないで終る一日か 少し暑いと疲れやすくて
181 日々は夢 宮脇檀氏の教え 豪奢、逸楽、雑にして楽
180 アカシアの白い花散る夏の雨 小猿は白い花に埋もれて
179 山芋の蔓がこんなに伸びてきて零余子も幾つか生ってるみたい
178 枇杷の葉に枇杷の葉の雨 枇杷茶飲み枇杷湯に浸り浸り而して
177 いつか見た風景の唐突さ変わっていないね 鎌鼬かな?
176 気圧の差、皮膚が切れたり血が出たり擦り傷の痕ゆえに消えない
175 アルビレオ、デネブ、銀河を飛ぶ鳥が白鳥であるこの世の優雅
174 しんどくてだるくてでもねそれが普通 タップダンスは踊れませんが
173 胡桃の実、植木鉢にでも置いてみて胡桃林になるはずだから
172 沈黙が怖くて話す最速で走ってしまう竹群に風
171 不規則に生きているから不規則に身体も傷む 急がなければ
170 太っちょのポーランドから来た指揮者のタクトから雨は降る
169 義妹の植える紫陽花、百合、ハーブ 霧の鬼無里の草分けの道
168 叩かれて打たれた鍵と擦られた弦が薔薇の崩れる刻を見ている
167 おそらくは鹿も帰って来ないから雌鹿、牡鹿の白蝋の谷
166 第五期はラストステージ常夜灯舞台にともる終焉序曲
165 また一羽欠けて街空広くなる 鴉も見ているお引越しだね
164 まぁいいさが口癖で 終る時もいつか来る 春ならいいな
163 この世は所詮生者の宴 月の裏側には蟹がはりつく
162 温存をしてはなくしてしまうのは温存選ぶ愚かさのため
161 日々捨ててゆくべきものを煮凝りか膠のようになるまで置いて
160 六粒の薬飲み込むことさえも画面で言えばあの砂嵐
159 昨日、今日、そして明日も出かけます白い廊下が続いて寒い
158 一瞬の眩暈で消えた歌のため水撒けばそこに立つ虹
157 燦々と月光降れば燦々とかなしみも降る 夜の汀に
156 暖かい羽毛のような悲しみが満ちて来ること 雨季の悲しみ
155 紫陽花に雨が降らずに睡蓮に水辺がなくて来る夏に似て
154 話し合うために用意をされた椅子 椅子から生えている薔薇の棘
153 Xには限界がある つまりそのX ′の脳の限界
152 水性のインクで書いた歌だから滲んで消える雨の朝は
151 前頭葉杳くて雨の黄昏も水溜りには青の紫陽花
150 夏の庭 古い庭には古井戸と思い出だけが住んでいました
149 状況は悪化している 或いは悪化させつつ嵐の前夜
148 八月の海に鯨を見たというそんな映画も記憶の水辺
147 何かしら悲しい音がするようだ水禽がまた浮巣を作る
146 雨の歌、心に雨の降るときに 雨の雫のきらめく午後に 
145 心臓も疲れています休みなく働き続けた心筋なんです
144 湖の岸に沈んだ葦舟も鳰の浮き巣も降る雨の中
143 月と星二つ並んである時間 蝙蝠が飛ぶ町の夕空
142 雨の音聴きながら見る財田川 財田川河口の廃船
141 隠れ家の屋根裏にある天窓を抜けたら銀河星雲の船
140 魂が孤独死しそうな朝だからお帰りなさい母船(マザー・シップ)に
139 虚しさに蟇は篭りて桜桃忌 宇宙塵ともなりゆく蛙
138 上水に雨降る雨の木の葉闇 きりもなきむなしさの桜桃忌
137 どくだみの白い十字が美しい 木の下闇に死蝋は満ちる
136 「借物の翼で飛んでいた」という映画の台詞 灰色の翼
135 雨上がる玉川上水渦巻いて流れるままに消える病葉
134 降りそうで降らない白い空の下 紫陽花暗く首を傾げて
133 弦の音だけが聴こえる朝クーセヴィッキー「小さなワルツ」
132 ヴィオロンもコントラバスも歌います 緋色の椅子にあの人がいます
131 どこから来てどこへ行くのかだけを問題にしていた ここにいるのに
130 さびしさはこのふるさとのゆうまぐれ竹の林の月光の雨
129 虚しさも寂しさもまた始まって木々の葉末に降る雨になる
128 蓮根が綺麗な花を咲かせても無意味無意味と蛙が騒ぐ
127 床屋にはくるくる回る棒があり目印かしら鋏の絵文字
126 天使には天使の羽が重かった  魚になったその理由です
125 青虫が蜜柑の葉を食べている白い蔓薔薇も咲いている
124 この世界、灰色の世界に見えるときいつもあなたの声が聴こえた
123 翠鳥の青き夕闇歌っていた誰かも見たのだろうか死の谷
122 桐の花むらさきに濡れ紫の雨に打たれて咲く花の雨
121 夏の夜も海月は赤子産み落とし月光の降る時間へ帰る
120 初夏の金魚は眠り足りなくて終日さゆらぐ藻のなかの赤
119 武蔵野はここ過ぎてなお春の闇 逃げ水という水のあること
118 宝塚ホテルの蔦は見ていたね大劇場が傷んでも猶
117 雑踏の中に一つの肩がありその肩で見る炎の祭り
116 機械屋さん発明屋さんお父さんあなたの何を私は継いだ
115 教えてねいつかロマンチストの一生が幸福だったか不幸だったか
114 辛夷散り孔雀も羽を閉じたから木々は迎える驟雨の夏を
113 プーランクの第二楽章聴いている 小鳥が聴いた風の囁き
112 お終いにしようね夏が来ているよ蜜蜂の受粉も終った
111 山吹も藤も城下の鯉が好き さくら吹雪も忘れぬ疎水
110 江戸の茶屋 隅田の川の花吹雪 花はあの世もこの世も美しき
109 藤の花はもう咲いているかしら紫の、そして白の藤の花
108 船舶用吊り下げランプ点燈し緑色した時間始まる
107 何日ももう何日も何日も 月が覗くよ死の翳の谷
106 終る春 かなしみ知らぬ橡の木も若葉の五月迎えただろう
105 ときじくの実が熟れ海の潮騒が聴こえるような春の満月
104 満月が零した滴集まって夜は優しく プーランク「シンフォニエッタ」
103 非時香菓(ときじくのかくのこのみ)のかぐわしく雨の春夜も日照りの夏も
102 第二楽章、中でも最も美しい数節の連弾が消えている
101 見憶えがあることつまらないことが気になる雛壇の雛
100 難有りと指摘する人される人 春は朧の月も出る頃
99 月光が覗いていった夜でした あなたが来たって思いましたよ
98 曲線は重なってゆくピアノから半身既に抜け出している
97 2台のピアノのための協奏曲 第1楽章から始まる朝
96 十六夜の月の翌朝の蝙蝠や白梟の眠りのために
95 五・七・五で書く病気まだ癒えず さよなら▼また来て■
94 無造作にそこにあるから顧みず振り返らずにそろそろ枯れる
93 *************蜿蜒と蜿蜒と続く鉄条網の中
92 花びらを浮かべて夜の水溜り 飛行機雲はもう映さない
91 ロスアラモス、原子の光生れる場所 オッペンハイマー博士の双子
90 Atomic bomエノラ・ゲイ号が運ぶのはリトル・ボーイと名づけた爆弾
89 Atomic bombボックス・カーが運ぶのは太った男と名づけた爆弾
88 エノラ・ゲイはこんな飛行機 ぬばたまのヒロシマの雨降りしきる
87 おそらくは歴史への無知が私たちをやがて滅ぼすいつかのように
86 鉱泉が湧いている宿 黄泉の国、黄泉の霊泉などと看板
85 いのちは陽炎なんて誰が言ったのだろう 雲雀は雲を突き抜けただけ
84 欠けて満ち満ちて欠けゆく月影に葉月の恋は生まれたばかり
83 鳳仙花歌えばそこは青い海 遠く離れて海燕飛ぶ  
82 湧き水の中に青玉沈む淵 水無月、水の輝く季節
81 いずかたへゆくとも知らぬ旅なれど<同行二人>と手を引く聖 
80 梅雨すぎて暑熱の夏が来るとても涼しき瞳持つらむ童子
79 臨終を待つ夜叉神の荼枳尼天  狐とも言う狸とも言う
78 たまゆらに出逢いし光り虹に似て朝日夕日を負う火喰鳥 
77 大いなる原生林に育てられ清楚な花となる水がある  
76 大空と呼ぶには小さき空なれど手をさしのべてみたい絵の空  
75 土蜘蛛は何嘆くなく山中に屍さえものこさぬものへ  
74 隠れ里 流れる人の一族を虹立つ滝の裏に隠して
73 虚しさに日暮れの道を辿るとき紫の花、夢の紫
72 夕暮れの道が仄かに明るむはこの紫の大藤のため
71 藤色の花の夕暮れお祖父さんと歩いている子とお散歩の犬
70 伐られてもなお咲くさくら今生に愁いなきごと光りまとえば
69 長寿の樹、薄墨桜花降らせ死者を弔う風になること
68 薄切りの茗荷か青紫蘇。茄子は皮目から油に入れて
67 包丁は少し寝かせて三枚におろした鯵の背に切目を入れる
66 玲瓏と日月暮るる金色に 雨季には湖になる熱帯林
65 偏って舟は水没ジャングルへ 櫂を流した舟の行く末
64 筍もまだだったらしい山はまだ富士桜など咲いている春
63 ノビルいっぱい 韮でもラッキョウでもないお土産の
62 帆を上げよ 五月の沖の打たせ網 白帆に孕む西海の風
61 果実酒も今年はお休み 青梅が笊に並べば桐の花咲く
60 ほのぼのと絶望的な光景が広がってゆく木下闇に
59 ゆっくりとしずかに深く絶望は地表を流れ春の逃げ水
58 水は逃げ水は去りゆく陽炎か蜃気楼かは知らず武蔵野
57 『空とぶ女友達』のような歌集が作りたかったいつでも
56 戦争という名のスキャンダルがありSARSがありまだ続く
55 悲しみは疾走すると誰か言う モーツァルトを愛した人か
54 素描で描けるのならば素描で油彩が必要ならば油彩で
53 進化には関係あるかあらざるかロンサム・ジョージ100歳の亀
52 エスパニョーラ島のイグアナ その身体赤くしている別れの予感
51 ゲットーに囲い込んだら夕焼けがそこにあったという気分だよ
50 カラコルム、天山南路越えてゆく風に逢いたいウィグルの馬 
49 もう初夏と思う暑さの午前 驟雨のひびき懐かしむ午後
48 日溜りに猫がいる 野火止に散る桜を見ている
47 夕闇の岸にうっとり三椏が もうすぐ春は終るのですね
46 臆病なジョージだったが成長しGOTHAM CITY のボス猿となる
45 湾岸の青い蛍火 聖霊に祈りを捧げて飛んだみさいる
44 クレマチスあなたが残した風車  風車に向かえキ・ホーテの孫
43 紫の煙が春の野を覆う 高麗の里は武蔵野の果て
42 「魂の娯楽煮」ですか、なるほどね井上雄彦さんって素敵ね
41 エマニエル・シカネーダーも言っていた「ザッツ・エンターテイメント」で
40 弾痕はどこにも見えず気づかれず理想の都市の中庭の傷
39 アカデミア橋を渡れば浮き彫りの商館見えるカナルグランデ
38 戦争の世紀終れど戦争は始まっている クック・ロビンよ
37 そういえば死者を焼く煙もまた空の雲に紛れる 春なのだろう
36 戦争が始まる夜も終る夜も世界は澄んだ透明な青
35 その強さ、その激しさが同じなら離れていよう集会の夜
34 眼裏に光きらめく 今朝生まれ今朝死んでゆく虹の断片
33 やさしさは儚く脆い夢に似てあなたのいない朝が来ること
32 約束し約束守る兎には硝子の櫂や水晶の舟
31 川岸に立って鵞鳥を見ている子 平和なころのイラクの岸辺
30 『空ヲ飛ブ羊モ空ニ鳴る鈴モ♪』こだましてゆく戦争の夜
29 蟋蟀を隠していたのは映画だけ?それともほんとう?溥儀の蟋蟀
28 歴史をみつめているのは人間だけじゃない 例えば溥儀の蟋蟀
27 蝋梅の花を活けたよ蝋梅の匂いしている春の陽だまり
26 貝殻に残っているのは海の傷 巻貝がつつむ青い潮騒
25 たましいを遊ばせている秋の風 木の葉さらって駆ける坂道
24 フクロウがほうほうと呼びモモンガが斜滑降する森の夕ぐれ
23 「勝虫」と人に呼ばれて蜻蛉は武者の兜を飾りていたり
22 銀蜻蛉、透明な羽さしのべてあなたの肩に触れていきます
21 雪落ちる朝のしじまに雪とけて春の先触れ福寿草咲く
20 言葉にはあらざる言葉、梅一輪、小雪舞う日の小鷺の飛来
19 <究極の無機質>なんて言ってたね ハイエナも棲む風のサバンナ
18 天空の窓にも降っていたかしら 飛び散っていた白い羽毛が
17 廃園に増え続けている球根は石榴の実にも似ている水仙 
16 ひとひらの雪の白さの儚さにいつしか閉じてゆく花びらに
15 幸福の第三楽章始まって水仙月に聴くコンサート 
14 谷保天神、座牛の頭を撫でていく風の行方は春の梅林
13 亡くなったあの人が好きな紅梅が二月の雪の晴れ間に咲いた
12 電子体、光体X、私が思ったことが在ったそのこと
11 峪渡るこだまのひらく季節あり 死はすこやかに育ちつつあり  
10 寒気団迫り来るころ魚捕る四万斗の霧凍るこの朝  
9 火を振って魚集めて漁れば魚は桜の色帯びて来る  
8 漁火の海があるから帰るべき海もあるべし空海の幼名は真魚 
7 海彦の裔にして婆沙羅の裔、海の彼方に立つ蜃気楼
6 水仙は春の香りの黄水仙 海を見ていた城の水仙
5 天界につづく階段のぼる霧、朝霧の道帰りゆくひと
4 白鳥の湖沼に羽をたたむとき大菩薩には冬の三日月
3 賀状無く迎える知友また一人 寒中お見舞い申し上げます
2 瑠離色の硝子を抱いた舟がありあなたを連れてゆくよ銀河へ 
1 ジャスミンはしずかに樹液搾られて滴る緑モロッコの夜
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 14:15 * comments(0) * trackbacks(0)

今日は雨だし退屈だし遊び歌など倉庫に運ぶ。



遊戯抄

雨、灯り、藍、赤とんぼ、アイボリー アクサンテギュ、秋、哀愁の赤
いじめとか意地悪だとか意見とか意味と遺恨と今時の意趣
「う」は既にあるから飛ばす鵜飼いの「う」兎追うとも鰻は追うな
ウロンスキー、麗しの国、梅もどき ウの字があって嬉しいじゃない
エゴ、エデン、エキス、エーテル、永遠の、絵本、絵葉書、絵空事の「え」

絵馬、えびす、烏帽子、えんどう豆の「え」は絵巻、縁切り、会者定離の「え」
小倉山、鸚鵡、オーボエ、尾羽、鴛鴦 老いらく、鬼火、温情の「お」が
柿の種、萱釣草に蛙の子 カの字があって可愛いじゃない
雉、汽船、貴婦人、木靴、九官鳥 木苺熟れて気散じな「き」を
鬼面組、奇妙奇天烈、鬼子母神 気障と気楽の気さくな「き」の字

水鶏、蜘蛛、鯨、クマノミ、孔雀の「く」倶梨伽羅紋紋、黒髪の櫛
芥子、化粧、蹴鞠、鶏頭 煙の「け」 血統、結末、計算の「け」が
コウノトリ、格子天井、黄金虫 蝙蝠、胡弓、虎視眈々と「こ」が
沙羅の木も寒さも酒もサがついてさらさらさやぐ淋しさの「さ」が
シクラメン・紫苑・白菊・秋海棠にもシがついている萎れそうな「し」が

鮨、簾、すすき、巣穴のスズメバチ、双六上がる朱雀大路で
スルタンの剣はトプカピ宮殿に天皇(すめろぎ)の剣は熱田の杜に
スルタンにもすめろぎにもスがついてストロー、スードラ、すかんぽの「す」が
酢牡蛎にも鮨にも簾や双六にもスがついている すれっからしの「す」が
戦争も赤貧にもセキセイインコにもにもセがついているセクシーな「せ」が

組織にも蕎麦にも謗られ鴉にもソがついているそれだけの「そ」が
狸にもタワケ者にも田螺にもタがついている黄昏の「た」が
父親も稚児にも地図にもチがついて血で血を洗う血だらけの「ち」が
蔓草も月にも鶴にもツがついてつくづく悲し強がりの「つ」が
天気にも鉄にもテニスや天狗にもテがついているテロリストの「て」が

鶏冠にも鳶にも溶けたトマトにもトがついているとんでもない「と」が
懐かしい名前長崎、奈良、難波 なんで泣きやる清十郎の夏は
懐かしい名前七草、奈良なずな、長屋王(ながやのおおきみ)、情け深い「な」が
菜っ葉にも茄子にも奈良の都にもナがついているなけなしの「な」が
鰊にも楡にもニューロン、ニュートリノにもニがついている煮詰まった「に」が

塗り絵にも糠にも鵺にも縫い子にもヌがついている濡れそぼる「ぬ」が
眠りにも猫にも熱にもネットにもネがついているネガティブな「ね」が
野いちごも農夫も野ばらも農村もノがついている濃縮の「の」が
ハーブにも春にも刷毛にも鋏にもハがついているハレーションの「は」が
蹄にも彼岸桜や柄杓にもヒがついている暇人の「ひ」が

風味にも笛にも風呂にも不安にもフがついている不可思議な「ふ」が
へちまにも蛇にも塀にも兵士にもヘがついているへなへなの「へ」が
帆舟にも捕虫網にも頬髭にもホがついている頬染める「ほ」が
マントにもマンドリンにもマがついて眩しい窓の卍を染めて
ミントにも弥勒菩薩もミがついて幸福祈るミンミンゼミのミ

みちのくの道のみどろの水の道 みみずくなけばみみずくの夜
虚しさも無限も虫もムがついて無視できなくて難しい「む」が
名門も明治もメロンもメがついて滅茶矢鱈と迷惑な「め」が
モモンガもモラルも樅もモがついてもう騙されないもっと文字化け
やくざにも屋形船にも刃にも「や」がついているやさぐれの「や」が

夕顔も夢追い人も夕映えもユの字がついて幽霊の「ゆ」が
夜烏も夜露も夜明けもヨがついて夜に隠れて夜を盗む「よ」が
喇叭にも雷神像にもラがついてラッキョウのラがさびしがってる
林檎にも綸子や栗鼠にもリがあって凛々しい人の「り」であれと思う
ルドンにはルドンの薔薇があるようにルシファー愛でる瑠璃の花びら

歴史にもレジスタンスにもレがあってレースのような冷酷な「れ」が
ローマにも蝋にも老婆の背中にも「ろ」がついているろくでなしの「ろ」が 
輪と輪と輪どこまでいけば輪が果てる輪の字を解けば侘しいの「わ」か
猥褻も笑いも悪(わる)も病葉も若衆、若様、若旦那の「わ」
ザリガニもザラメもザルもザグレブも、ってなんだっけザグレブ クロアチア?

陀羅尼助 和漢の妙薬修験者の傷病癒す生薬という
「だ」の次はどこへ行くのと陀羅尼助 抱っこ駄駄っ子抱いて参ろう
バイソンも薔薇や獏にもバがついて薔薇の実薔薇の棘に膿む傷
バケツにもバロンを名乗る馬鈴薯にも「ば」がついている薔薇色の「ば」が
んわわわあんとわーむほーるのうつそみのくらがりひことあをよぶなゆめ

んとこしょどっこいしょって んと重い石はこぶ運命の「ん」  


2004.03.23 Tuesday

※この歌は、久哲さんの掲示板の何人かの方との、あいうえを遊びの中で生まれました。私の投稿分だけ抜き出したものです。
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 18:38 * comments(0) * trackbacks(0)

[聖母教会]  

いずこにか鋸菊が育つからもう枯れ始めているベンジャミン
花壇にも教育主事は入り来たりタチツボスミレの谷の群落
雨の日の竜巻、晴れのつむじ風 何の尻尾か見えて夕暮れ
誰だって海を釣り上げることは出来ない 海につむじ風
蚕豆が弾けて夏はもう間近 遠くでゆれている青い麦
やわらかく弦の音から始って木管楽器が続くその後
マーラーの『復活』を聴く演奏はルツェルン祝祭管弦楽団
流木が打ち寄せられて来るように悲しい心の切片もまた
妖艶な鐘馗空木の花が咲き 上水の夏始るらしき
いつまでも若く美しくあらねばならぬと『火の鳥』の婆
ファルージャは萌黄色に見える萌黄色の中の桃色の炎
まだ青い小さい苺が五つ六つ四月下旬の涼しい朝
眠くってだるくて疲れてしんどくてそんな日ばかりの春ではあった
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
シマウマの後姿を見ています夕陽に向かって歩くシマウマ
象がいてキリンがいて河馬がいて縞馬がいる 地球楽園伝説を継ぐ
金太郎飴よく見ればみな違う顔 それぞれに泣きそれぞれに笑う
春が逝く四月が終る蜜蜂の羽音が聴こえ蝶も生まれる
薔薇も咲き守宮も硝子戸を這って迷宮の森ひらくこの朝
竜川と書いてリョンチョン爆風に吹飛ばされた国境の町
前近代ぬっと顔出す春の闇 火山性ガス噴き出す気配
それぞれの中の戦争も終るから静かに頁閉じられてゆく
大方は主義や主張にあらずして多分表情筋の迷走
列島を寒波が襲う四月尽 春夜の夢に帰り紛れて
イラクへはもう戻れないとアナン氏が 紅砂の海に埋まる部隊
こんなにも殺風景になったわけ 紙風船のような黄のチューリップ
国境の駅のある町壊滅する黒い地蜂が群れて飛ぶ朝
すでにあるものなぞっているだけの危機という名の安逸の胡麻
ニューサマーオレンジ、小夏、日向夏 柑橘系の夏が来ている
宿題を残したままの20日間 風邪後遺症だるさがとれず
黄の花が終れば次は白い花 小さな虫喰いだらけの絵本
雨上がる林の道の腐葉土の中のドングリ芽を出す朝
漆黒の腐葉土ありて金色の朝陽の中の辛夷、木蓮
松毬や泰山木の実の集り 命果ててもなお生きるもの
「自爆する男」画面の金の花 田島征三、木の実のアート
地に落ちたヤシャブシ伊豆の海岸の岩に置かれて花咲く木の実
椿咲く、椿の赤や白の花 渚の水を水盤として
木の実って生命力の塊でゆえに滅びて後もつよくて
今朝落ちた木の実のうすいやわらかい明日花咲くばかりの花胞
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
知らされなければ知らないで今日の一日の画面の向こう
なま物の命を運ぶ春の月 花水木咲き躑躅も咲いて
突然に夏来るように最後の日 難読氏名の話題の続き
魂には晩年 亦来る春の終る日の風もない日に散るリラの花
でそれから誰が報道するのだろうそこに虐殺ある日の朝
「揺るがない」大統領と風の墓地 遺体七百埋まるファルージャ
花水木が咲きポピーが咲いているこの夕暮れの濁りゆく空
湿気のない爽やかな日で見残した桜も咲いて今日の一日
夕焼に染まって緋色の鳥となる熱帯雨林の鳥かと思う
ほの甘き千枚漬けの千枚の襞に隠れている赤唐辛子
長さんも弥七も逝って東京に四月の雪を降らせていって
これが春これが四月の気温差か雨が上がれば欅の若葉
折鶴蘭、ムラサキシキブ遅れ咲く薔薇の一輪 雨の日の雨
恐ろしい真実は唇が閉じたがって言えない 春浅く黄泉をゆく舟
木苺と射干の花咲く裏道の水のほとりの羊歯にも降る雨
朧月、卯月の空の月の暈 さくら花びら散りゆく刹那
花ぴらはもう葉桜のやまざくら透ける翠の白い花びら
孔雀はもう羽根をたたんだ月光の銀青色の夜が来る前に
街空に煙たなびき消えゆけり卯月の木の芽さみどりの苗
桜散る空掘川の河川敷 渡り鳥来て今年の春も
川霧がたちこめていたのは冬の頃あの頃すでに鷺は来ていた
雨の中咲いて仄かに匂う花 深夜零時に雨雲は去り
紫木蓮、白木蓮が並び立つ白木蓮から零れて落ちる
満開の桜が空に吸われてゆき吹雪となって散る地蔵堂
風もなくお花見日和 今頃はアークも桜祭りの頃か
晴れた朝詩人の誰がいなくてもさくらさくらと声低き歌
花が咲く季節は花を雪の舞う季節は雪を月は見ている
晴れた空が青かったから思い出す空の色
川縁に桜が咲いて待っている春の終りの雨が降るのを
夜になって雨 雨のなか走り去る時曳く雨の音
バイパスを作ったというバイパスの管を通ってゆく舟がある
白湯で服む薬のいくつほんとうの薬であるのか毒であるのか
木蓮が茶色くなって枯れている春に三日の命もなくて
明日はまた雨降るという三月の雪に変わってゆく夜の雨
モビールのイルカが泳ぐモビールを動かす春の風があるから
存在を主張している背表紙に別れを告げて今日の花びら
アルヤバン日本も次に標的にしているというニュースの一文
木蓮、辛夷、桜の莟 のんびりとした春の水曜
東讃の屋島、西讃の観音寺おなじ四国のサヌカイト哉
日本はテロと戦うということで警備の警官多数見かける
混迷を深めているねバグダッド レジスタンスは激しさを増し
なるようにしかならないのだし運なんだしって言って顰蹙を買う
ある時は死にかけていた琉金も春を迎えた奇跡のようだ
爛漫の春よ驕りの春であるよ昨日縊れた鳥もいた真昼
賑わいの市に背を向け山麓の道の傾斜をゆっくり上ると
山麓の南病棟、陽が当たり月も仄かに射してよいと言う
満月は一昨日だったそういえば花のもとにて春死ぬ烏
ぴったりと風がやんだね夕凪の夢のまどろみにも似たやすらかさ
水際に風が流れて風がやむ海岸線に河口にカモメ
洋燈に照らされている雪の日の硝子工房、運河のほとり
混乱は全て収束する形 終息までは言えない形
千年を眠るためには千年を眠れる言葉が必要であり
中和する形としての一章を今からそこに書き加えます
忘れているわけではないが忘れている他人事だった私にとって
朴の葉に餅を包んで藁蘂でとじて村の社の天狗にしんじょ
簡単にあなたも私も殺すだろう虐殺列島住人なれば
鳥、卵、山積みになり棄てられて 殺して埋めてヒト科のヒトは 
群像の絡んだ腕と腕と腕 乳白色の丸い眼球
アポロンが追いかける時ダフネーの指が木の葉に変わるその時
熊の仔は走る熊の親も走る 阿寒の冬は終ったらしい
砂漠には優美なピューマ 一億二千万年前の猫
雪の予報覆ってさて晴れのち雪のち大夕焼けの西空
菜の花の芥子和えとかこの季節食べたくなって程よき季節
満開の梅が誘って国立の谷保天神の座牛に逢いに
午前三時 宙に無数の水の星 水汲み上げる滑車の音も
雛の夜 火星に水とオポチュニティー 時の甘露を白酒として
火星には確かに水があったという 地球に残る水の儚さ
小雪舞う東京の春、今日もまた鷺は冷たい小川に立って
いつのまにか中継は終っていた醒めない夢の中にまだいる
朝のうち小雨ゆっくりと天気は回復すると言っていたのに
テロップが流れるだけの死であってホーゼンフェルトの最後を思う
宗鑑が庵を結ぶ一夜庵 室町幕府とゆかりの土地に
港から夕陽が見える金色の海に続いてゆく道がある
アーケード撤去されゆく柳町 財田川にも鷺が来ている
木蓮がそして辛夷が咲くだろう 春ですあなたは死んではいけない
三月は優しい季節しゃんしゃんと鈴を鳴らして神社の仔馬
午前四時の幼児番組ゆっくりと精霊たちの揺らすぶらんこ
月と星、離れ離れに西の空 軒に届くと思うばかりに
物思うキカイであれば物思う抒情というは何処のキカイ
月と星、離れ離れに西の空 軒に届くと思うばかりに
まだ吹雪く空と天気図示す人 冬の最後の抵抗という
北西の風つよく吹き東北はまだ氷点下の日もめぐるらし
エメラルド・グリーンの果肉切り分けて春の空虚も切り分けてゆく
カリフラワー、キャベツの仲間ではあるが脳葉に似て春の虚しさ
霜焼けを起こした紫ブロッコリー 花の蕾を食べられてしまう
殆どもう破滅を待っているような紫ブロッコリーのような夕闇
そしてまたモスクワ時間を生きていて午後は一様に退屈である
冬川を水が流れて水が去る 猫柳もう芽吹いていよう
安部英あなたが無罪であるならば老いゆく時間も大切である
一人でいい一人がいいと春の月 いつしか水に還った海月
大量に打ち寄せるのは満月の死骸あるいは越前水母
変わらない日常があり変わらない人がいるのに溺死する月
物思うキカイであれば物思う 抒情というは何処のキカイ
潰れてはいなくて、でもどこにも見当たらない そういう存在なのかもしれない
みんなが行くという方には多分行かない 数が多すぎる
書くこともない 七七を付け足し埋めている空白
安静に 動けない人にはどうか別のsuggestionを
文体の句切れ或いは句切れ無し 章句、文節、韻律の鷹 
もう終りだという声がする雲は春 私は私でなくなっている
野火止の鴨の平穏確かめて小さな橋のたもとを通る
その他に何もなかった 毎日は機銃掃射がただ無いだけの
曇り日の空は悲しい夜までも星もまばらで小さな星で
湖の岸を周れば湖の向こうで見えた星も見えない
鬱蒼と茂る森には白梟 煌く星を隠した森の
春の日が菜の花飾る鶏舎にも。真珠のひかり宿す春の日
薄闇に包まれながら目覚めたら昨日か今日か解らなくなる
だんだんと機嫌が悪くなるような春一番が砂塵を上げて
桃色の舌もつ貝がちろちろと覗っている町屋の厨
スクレイピー、プリオン、ヤコブ、海綿が吸い取るだろうメタル・スポンジ
伝統は確かに生きて生きのびてスポンジ脳に点る春の灯
街空に煙たなびき消えゆけり吉野屋さんの牛丼も消え
美しい茨木童子、日々荒みその片腕も綱に落とされ
百円で売られるまでの暫くの歌集が歌集らしくある時
光彩を放っているね移り気な忘恩の花ラナンキュラスよ
息長く伝え伝える歴史です たった今始まったところです
桶屋にもなれざりしかばビイドロや飴細工師らもなれないだろう
柿の葉の鮨を食べたよ和歌山の海岸走る電車の中で
霜柱踏んでみましたお隣の庭に繋がる草むらに立ち
星の砂掬ってあげる結晶の雪の形の風に鳴る砂
天使には天使の羽が重かった 魚になったその理由です
平和堂、平和公園、平和通り、どこまで続く日本の平和
菱餅は山の旧家の慣わしの雛の節句の無礼講でも
春だから白木蓮の花が咲き天に向かって祈りの形
野原には春がすぐ来る土管とか地面に近い草の葉に来る
筆に似て土筆、杉の子、春の花 菜の花そして大根の花
フィレンツェへ、ベニスへ風の商人は巨万の富を積むフレスコ画
封印は華やかに且つ軽やかに誰も知らない秘密の時間
この舞台、いつかどこかで見たような記憶の島に漕ぎ出す小舟
春までは持たない命だったからさまようのです冬蚊のように
冬田には水凍るから月凍り心も凍る稲田の二月
枕木にする栗の木は黄金沢の日当たる斜面の栗の木林に
草分けの夫婦漫才の漫才師 市場の外れの二階の夫婦
岬から入り江をめぐる道に咲くハマユウゆれて夏は来るらし
名誉ある撤退という選択肢すでに焼かれて砂漠の戦争
紋付の紋は九曜の日月の七曜越えた二つは死星
八百屋にはタラの芽、蕨、フキノトウ 苦味ほろほろ今年の春の
八雲立つ出雲の峰にかかる月 月が出ずれば隠れる獣
黄金の山吹一重八重に咲く山路を行けば山路の黄金
一片の雪の結晶、天上に生まれたままに降る北の国
洋梨のジャムを一壜ヤマモモの壜も一壜、花梨は酒に
浴槽に浮いた花びら桜湯の季節になればさくらの花の
温厚な人が垣間見せる横顔に狂った王の徴、青痣
泥の中きれいな花を咲かせても無意味無意味と蛙が騒ぐ
蜜柑風呂、夏蜜柑の木のある庭の黄金色の蜜柑のお風呂
蒸し器には竹の蒸篭とアルミ製蒸篭があってもちろん竹製
メロンパン大好きだったあの人に持って行こうねお彼岸だから
木綿とか絹ごしだとかお豆腐はやさしい繊維の名前がついて
襟元に飾った釦先輩の第二釦をもらった卒業日
予想ではパドックにいる馬のうち唯一頭だけ抜け出すだろう
波頭、嵐の海の予感して 耳従うを待つごとき今
何事も無かったことにして終る なお見解を異にする鯊
既に死んでいたものが改めて死んでも何も不思議はない
丈高き芒一本掃き流し銀彩の壷冷えてゆく冬
天窓が開いて小鳥舞い降りる イスタンブールの銀の空
慈しむ愛というのもあるんだね月に零れる蝋梅の花
鳥、獣、雨の中なる十字路の樟の大樹に降る雨の音
羊歯族の裏白の蔭、無限大 水を湛えて澄む羊歯の森
白金耳焔に焼けばシャーレーの内に今宵の雪降りしきる
大晦日というものらしい冷え冷えと冬らしい年の市
先端にいたあの人が今どこにいるのかはいつも気になる
こんなにも争う人と人と人 ベツレヘムには神の子の教会
摩天楼犇く街を黒葡萄一房さげて茂吉が行くぞ
青空で木枯らしも止み穏やかで 旧い映画の中の抱擁
透き通る容器に入れて匿った 水より淡いウラヌスの卵
明け方に雨は上ってイランでは夢の続きのような大地震
ジャスダック、マザーズ&ヘラクレス 地平を僅か染める黎明
薄曇る空に氷が生まれたら煙になったロンの命日
富士山が林の向こうに見えた日の記憶の中の赤い日輪
日常が集積すれば正確で緻密なカレンダーになるのか
こんなにも退屈なのは午後五時の太陽がまだ青いせい
冬の日は短く川も枯葉色 落葉のマントに包まれる蝦蟇
置き忘れの文が一葉、冬木立 空を流れてゆく銀の星
戦争の放棄を放棄するために派遣されるのだろう誰かも
過去ログのどこへ消えたか解らない貴方の歌を探しています
空を飛ぶ魔女がいるから猫だって空を飛びます或いは羊
どんよりと空が曇れば藻の陰に尾鰭胸鰭隠して眠る
紗や絽や羅、透ける衣を織れば夏 蛍も蝉も蜻蛉もいる
91年湾岸戦争から12年 砂粒よりも小さく「ハンタイ」
寒いから真紅の熾で暖めて霙のような雪降る前に
回顧録の中の祖父たち降りしきる雪の中なる緑色の暈
疾風のように再び戦争がそこに来ていて冬の稲妻
ベケットは人間嫌い 変わり者 甥のフレディとはお友だち
清王朝滅びて後の蟋蟀の手足不自由ならむ貴種なれば
日の暮に橙色の月が昇るファラオのような黄金の月
忘れたい何があるのだ忘れても忘れても追って来るのか
青空に雲なく粉引に碧の茶 見えない雲が棚引いている
孔雀を飼い鶴を飼うのも退屈な山の暮らしに倦いてだったか
湖底には里村一つありましてダム干上がれば水車小屋の跡
とめどなく太鼓は打たれとめどなく舞台の雪が降りしきる
安定という幻がある限り 金太郎飴歪んでいても
もう戻れない時間の中で燃える炎を見ている真昼
ゆっくりと飽和状態ゆっくりと終りに向かう炎える草叢
木の断片 素朴な十字架 雨の日は雨の洗礼ラーラのために
書割かト書きのように月が出て夜汽車が向かっている無人駅
誰も彼もみんなが死んでしまったら 焼け野原なら猶完璧に
左手はいつも同じ音の繰り返し黄金の秋が来ていても
音楽は途切れても囁く雨ブロッサム・デアリーみたいに
偶然なんていくらでもある私がこの世に生まれたことも
いつだって気むずかし屋のアルルカン 明日は天気になるのだろうか
火喰鳥、花喰い鳥は梢離れ 雨期の沼地の森へ帰るよ
私の金魚が仮死した日 花道引いてゆく船弁慶
だとしても死者の手紙も届きます もうすぐ青い夜が来て
結局のところいつか私も焼き場の煙 「煙」という名の猫もいました
雪、霙すぎゆきし日の冬の雨 夜の香りやロシアの香り
タイトルを入力するのも面倒な気分だけれど秋空の青さ
厳島海に浮かんで潮満ちて潮引くまでのときを蕩う
花が咲き実が生り花は花疲れ 曇り空から白い太陽
野ざらしの石の仏よ微笑仏 誰が彫ったか夕焼けの道
紫の花が咲いてる唐辛子もうすぐ五色の宝玉になる
微生物よりもやさしく強力に水素が水に戻る力で
月光の天心微かに翳らせて 帆船一艘隠す洞窟
餅搗いて竜神様に供えます海に呑まれる船なきことを
剥げ落ちた青の色彩その質感 少し混じって夕焼けの色
蟷螂が振り立てている垂直の斧であるから折れやすき斧
今日という日が終っても明日が来て野鼠水漬き日にも曝され
鬱々と籠もる一日の終るころ祭りの山車が勢揃いする
虚しさに襲われている秋の日は鷺も烏も見分け難くなる
屋上より落下物ありと朝の掲示板 落下してゆく人型の影
夕映えの道に老人 年老いてゆくとき影は全てとなって
地獄花死人花ともいうけれど猫も家鴨もいる土手に咲く
汗ばんで葡萄の雫光ります まだ夏雲の浮かぶ空です
ラングドシャ舌に溶けゆく午後三時 まだ鳴き足りないヒグラシの声
簡単な文字少しずつ間違えて再入院のあなたのメール
どこからか胡弓聴こえる昼下り夏の最後の日曜日です
黒猫がそこを通って行ったから今宵新月 火の星を見る
菊人形、遥か彼方のウルトラの母が呼んでる月光公園
葦の影、薄の影や虫の影 影絵のような世界があった
白孔雀、鳳凰描く打掛けを纏って熱き加納幸和
椰子の実が椰子の高さで見たものは南の島に降る夏の雪
金色の海に太陽、薔薇色の海に駱駝やきりんの夢が
抜け殻になったら逢おう魂の三重連の水車が回る
九星と波紋映して漆椀 濁った鬱のゆき場なく秋
六万年ぶりに接近するという火星ゆらゆらひんがしの空
冷害の東日本、欧州の熱波 火星近づく年のできごと
夏去りて抜け殻のこし白蛇は大屋根の梁つたって消える
夏空を見れば「夏空の櫂」思う骨の髄まで侵されている
退屈な雨の夏にも蝉しぐれ ひとしきり鳴く裏山の蝉
あの貨車は今どのあたり過ぎている遠い銀河をゆく夏燕
晩年は楽しからずや ハルウララそう、もっと駆けなさい
ハルウララ91戦敗け続け 夏すぎてなお走りつづけよ
遠からず死は現実のものとなる 雨に打たれている曼珠沙華
日向灘、嵐の後の静けさに朔日の月昇る中空   
海の幸ひかりの幸を引き寄せて大網を引く日向の月が
雲助の将棋を打つなと阪妻の旧い映画で三條美紀が
嘴が痛くはないの? 木を叩き木をつつく鳥ちいさいコゲラ
嵐、虹そして何もない明日 吹き飛ばされた蝉は秋蝉
切なさの色よりも濃い原色の虹がいつもの虹になるまで
一人に向かって人は歌うという 海酸漿を鳴らして遊ぶ
魚、貝、草の葉そして恐竜の卵 埋もれた砂の中の私
満ちてゆく月からっぽの心抱き波の兎と遊べば暮れる
点と点つながることがいいという考えもあり蝉時雨降る
追い風と向かい風では違うよね 雲の動きが見分けられない
纏わりつくような暑さが堪えられない暑熱のうさぎ耳垂れる夏
こーこーと鳴き朱鷺が飛び天女のような翼があった
混沌も夜明けもいいね深夜に咲いている青薔薇も
夜明けには川霧のぼる川霧は無明の闇の底からのぼる
星たちの駱駝のそしてオアシスの力 きれいな形にめざめる水よ
八月葉月月見月月齢三日稚月満月にはまだ暫くあって
あと数日で立秋という短い夏にまだ蝉の声が聴こえない
誕生の約30万年後に晴れ上がる 自由であれば屈折もなく
いつかきっと宇宙の果ても見えるだろうどこまでも透明に晴れた空間
液晶のモニターに見る遠花火 江戸の花火を忘れずに咲く
隅田にも西武園にも行かざりし 花火が見せていた万華鏡
花が咲き花火が咲いて胸の花ほどけゆきたる五彩の色に
夜の波 川面を走り帰らざる 船、人、花火 夏は逝くべし
八月の青さの中に溶け込んで帰らぬ兄の頭蓋のうつろ
タッちゃんと浅倉南の声がする 多分夏休みも始まっている
ハルウララ91戦敗け続け 巻貝が抱く螺旋の記憶
雪見れば雪の静内放牧場 もう走れなくなるまで走
忠実に従いましたが丑の日の鰻裂かれて焼かれる煙
体系化されつつあれば体系化逃れてゆかむ遊びせむとや
再起動繰り返し書く一つの名 消えてゆくから素敵なWEB
眠りましょう私に何が起ころうと今日の眠りは私のもの
虹がどこかに見えたと思ったよあれは夢だったのだろうか
水中に゜゜゜゜゜゜゜゜泡見えるとき夏空の青を映した魚がよぎる
あの人の歌が切り刻まれている切り刻まれるあの人の歌
簡単に歌は生まれて歌は死ぬ 雲ひとつない空は嫌いだ
この雨に変わってもうすぐ蝉時雨 24度で初鳴きという
悲鳴ってみんな似ているそれが誰の声でも関係なく
「モデラート・カンタービレ」の悲鳴から始まる全八章
この雲をスクランブルして飛ぶ機影 入間基地から飛ぶ軍用機
サイパンに大きな虹がかかる頃火炎樹にいま雨降り注ぐ
ブリスベンに入港してゆく白い船 コアラやカンガルーに会いにゆくんだね
ゴキブリはゴキブリとして生存し生を終えるかかなしくもあれ
血の山河、夏の山河を渡りつつ ニッポニア・ニッポン滅びてゆくも
あの時は逃げられなかった今ならば逃げられるかしら列を乱して
金星の他には誰も見ていない 早起きの鵞鳥とアヒルが村を出てゆく
一晩中、屋根を濡らして霧雨が降っていたこと知っていました
夏の海、月の浜辺に椰子の実が流れ着くらし海月も浮けり
音楽のきれいな先生「しろばんば」みたいな恋が終って少年
淋しい子、強がり泣き虫見栄っぱり 絵日記に描く白い帆船
泉蔵院、城壁に似た白壁の道を曲がれば七月の海
三架橋、琴弾八幡、神恵院 楠の大樹と涅槃の釈迦と
銭型の寛永通宝、白砂に描かれて琴弾浜海水浴場
射吹島、亦島、菊紋円神島 箕浦走る海岸電車
三豊郡、十六箇村の年貢米納めて昏き蔵屋敷なれ
流金も和金も川を流れ来る金魚問屋の庭陰の川   
雨霧城、由佐城、仁尾城、九十九城 讃岐は城もお結びコロリン
四国路の衛門三郎、伝説に蓮華微笑のような昇天
透き通る希望があれば希望など笹の葉流す七夕祭り
明日入院あさって手術と知らされる 「世界に一つだけの花」が聴こえる
何事もないかのように朝は来る消えた楽譜の淋しい音符
紫蘇に雨、羊歯に霧雨、竹の秋 睡蓮はまだ眠っているね
一晩中、屋根を濡らして霧雨が降っていたこと知っていました
再び雨 雨また雨 雨のち雨の東京の空に氷雨を曳き飛ぶオナガ
悪声のオナガの青い美しい尾にも見惚れよ斑の犬よ
再び雨 雨また雨 雨のち雨の東京の空に氷雨を曳き飛ぶオナガ
悪声のオナガの青い美しい尾にも見惚れよ斑の犬よ
もうこれでお別れですね透明な水の卵を産む魚たち
死屍累々、象は墓場へ辿り着く 歌も墓場へ向かうのだろう
長い夜明けて木洩れ日さす森に水蒸気立つ風が流れる
夕べには薄紫の風が出て梔子がもう腐りはじめる
花火にも鳥にもなれず胞子飛ぶ とても虚しい日暮れが来るよ
また何もしないで終る一日か 少し暑いと疲れやすくて
日々は夢 宮脇檀氏の教え 豪奢、逸楽、雑にして楽
アカシアの白い花散る夏の雨 小猿は白い花に埋もれて
山芋の蔓がこんなに伸びてきて零余子も幾つか生ってるみたい
枇杷の葉に枇杷の葉の雨 枇杷茶飲み枇杷湯に浸り浸り而して
いつか見た風景の唐突さ変わっていないね 鎌鼬かな?
気圧の差、皮膚が切れたり血が出たり擦り傷の痕ゆえに消えない
アルビレオ、デネブ、銀河を飛ぶ鳥が白鳥であるこの世の優雅
しんどくてだるくてでもねそれが普通 タップダンスは踊れませんが
胡桃の実、植木鉢にでも置いてみて胡桃林になるはずだから
沈黙が怖くて話す最速で走ってしまう竹群に風
不規則に生きているから不規則に身体も傷む 急がなければ
太っちょのポーランドから来た指揮者のタクトから雨は降る
義妹の植える紫陽花、百合、ハーブ 霧の鬼無里の草分けの道
叩かれて打たれた鍵と擦られた弦が薔薇の崩れる刻を見ている
おそらくは鹿も帰って来ないから雌鹿、牡鹿の白蝋の谷
第五期はラストステージ常夜灯舞台にともる終焉序曲
また一羽欠けて街空広くなる 鴉も見ているお引越しだね
まぁいいさが口癖で 終る時もいつか来る 春ならいいな
この世は所詮生者の宴 月の裏側には蟹がはりつく
温存をしてはなくしてしまうのは温存選ぶ愚かさのため
日々捨ててゆくべきものを煮凝りか膠のようになるまで置いて
六粒の薬飲み込むことさえも画面で言えばあの砂嵐
昨日、今日、そして明日も出かけます白い廊下が続いて寒い
一瞬の眩暈で消えた歌のため水撒けばそこに立つ虹
燦々と月光降れば燦々とかなしみも降る 夜の汀に
暖かい羽毛のような悲しみが満ちて来ること 雨季の悲しみ
紫陽花に雨が降らずに睡蓮に水辺がなくて来る夏に似て
話し合うために用意をされた椅子 椅子から生えている薔薇の棘
Xには限界がある つまりそのX ′の脳の限界
水性のインクで書いた歌だから滲んで消える雨の朝は
前頭葉杳くて雨の黄昏も水溜りには青の紫陽花
夏の庭 古い庭には古井戸と思い出だけが住んでいました
状況は悪化している 或いは悪化させつつ嵐の前夜
八月の海に鯨を見たというそんな映画も記憶の水辺
何かしら悲しい音がするようだ水禽がまた浮巣を作る
雨の歌、心に雨の降るときに 雨の雫のきらめく午後に 
心臓も疲れています休みなく働き続けた心筋なんです
湖の岸に沈んだ葦舟も鳰の浮き巣も降る雨の中
月と星二つ並んである時間 蝙蝠が飛ぶ町の夕空
雨の音聴きながら見る財田川 財田川河口の廃船
隠れ家の屋根裏にある天窓を抜けたら銀河星雲の船
魂が孤独死しそうな朝だからお帰りなさい母船(マザー・シップ)に
虚しさに蟇は篭りて桜桃忌 宇宙塵ともなりゆく蛙
上水に雨降る雨の木の葉闇 きりもなきむなしさの桜桃忌
どくだみの白い十字が美しい 木の下闇に死蝋は満ちる
「借物の翼で飛んでいた」という映画の台詞 灰色の翼
雨上がる玉川上水渦巻いて流れるままに消える病葉
降りそうで降らない白い空の下 紫陽花暗く首を傾げて
弦の音だけが聴こえる朝クーセヴィッキー「小さなワルツ」
ヴィオロンもコントラバスも歌います 緋色の椅子にあの人がいます
どこから来てどこへ行くのかだけを問題にしていた ここにいるのに
さびしさはこのふるさとのゆうまぐれ竹の林の月光の雨
虚しさも寂しさもまた始まって木々の葉末に降る雨になる
蓮根が綺麗な花を咲かせても無意味無意味と蛙が騒ぐ
床屋にはくるくる回る棒があり目印かしら鋏の絵文字
天使には天使の羽が重かった  魚になったその理由です
青虫が蜜柑の葉を食べている白い蔓薔薇も咲いている
この世界、灰色の世界に見えるときいつもあなたの声が聴こえた
翠鳥の青き夕闇歌っていた誰かも見たのだろうか死の谷
第二楽章、中でも最も美しい数節の連弾が消えている
桐の花むらさきに濡れ紫の雨に打たれて咲く花の雨
夏の夜も海月は赤子産み落とし月光の降る時間へ帰る
初夏の金魚は眠り足りなくて終日さゆらぐ藻のなかの赤
武蔵野はここ過ぎてなお春の闇 逃げ水という水のあること
伐られてもなお咲くさくら今生に愁いなきごと光りまとえば
宝塚ホテルの蔦は見ていたね大劇場が傷んでも猶
雑踏の中に一つの肩がありその肩で見る炎の祭り
機械屋さん発明屋さんお父さんあなたの何を私は継いだ
教えてねいつかロマンチストの一生が幸福だったか不幸だったか
辛夷散り孔雀も羽を閉じたから木々は迎える驟雨の夏を
プーランクの第二楽章聴いている 小鳥が聴いた風の囁き
お終いにしようね夏が来ているよ蜜蜂の受粉も終った
山吹も藤も城下の鯉が好き さくら吹雪も忘れぬ疎水
江戸の茶屋 隅田の川の花吹雪 花はあの世もこの世も美しき
藤の花はもう咲いているかしら紫の、そして白の藤の花
船舶用吊り下げランプ点燈し緑色した時間始まる
何日ももう何日も何日も 月が覗くよ死の翳の谷
終る春 かなしみ知らぬ橡の木も若葉の五月迎えただろう
ときじくの実が熟れ海の潮騒が聴こえるような春の満月
満月が零した滴集まって夜は優しく プーランク「シンフォニエッタ」
非時香菓(ときじくのかくのこのみ)のかぐわしく雨の春夜も日照りの夏も
第二楽章、中でも最も美しい数節の連弾が消えている
見憶えがあることつまらないことが気になる雛壇の雛
難有りと指摘する人される人 春は朧の月も出る頃
月光が覗いていった夜でした あなたが来たって思いましたよ
曲線は重なってゆくピアノから半身既に抜け出している
2台のピアノのための協奏曲 第1楽章から始まる朝
十六夜の月の翌朝の蝙蝠や白梟の眠りのために
五・七・五で書く病気まだ癒えず さよなら▼また来て■
無造作にそこにあるから顧みず振り返らずにそろそろ枯れる
*************蜿蜒と蜿蜒と続く鉄条網の中
花びらを浮かべて夜の水溜り 飛行機雲はもう映さない
鉱泉が湧いている宿 黄泉の国、黄泉の霊泉などと看板
いのちは陽炎なんて誰が言ったのだろう 雲雀は雲を突き抜けただけ
欠けて満ち満ちて欠けゆく月影に葉月の恋は生まれたばかり
鳳仙花歌えばそこは青い海 遠く離れて海燕飛ぶ  
湧き水の中に青玉沈む淵 水無月、水の輝く季節
いずかたへゆくとも知らぬ旅なれど<同行二人>と手を引く聖 
梅雨すぎて暑熱の夏が来るとても涼しき瞳持つらむ童子
臨終を待つ夜叉神の荼枳尼天  狐とも言う狸とも言う
たまゆらに出逢いし光り虹に似て朝日夕日を負う火喰鳥 
大いなる原生林に育てられ清楚な花となる水がある  
大空と呼ぶには小さき空なれど手をさしのべてみたい絵の空  
土蜘蛛は何嘆くなく山中に屍さえものこさぬものへ  
隠れ里 流れる人の一族を虹立つ滝の裏に隠して
虚しさに日暮れの道を辿るとき紫の花、夢の紫
夕暮れの道が仄かに明るむはこの紫の大藤のため
藤色の花の夕暮れお祖父さんと歩いている子とお散歩の犬
伐られてもなお咲くさくら今生に愁いなきごと光りまとえば
長寿の樹、薄墨桜花降らせ死者を弔う風になること
薄切りの茗荷か青紫蘇。茄子は皮目から油に入れて
包丁は少し寝かせて三枚におろした鯵の背に切目を入れる
玲瓏と日月暮るる金色に 雨季には湖になる熱帯林
偏って舟は水没ジャングルへ 櫂を流した舟の行く末
筍もまだだったらしい山はまだ富士桜など咲いている春
ノビルいっぱい 韮でもラッキョウでもないお土産の
帆を上げよ 五月の沖の打たせ網 白帆に孕む西海の風
果実酒も今年はお休み 青梅が笊に並べば桐の花咲く
ほのぼのと絶望的な光景が広がってゆく木下闇に
ゆっくりとしずかに深く絶望は地表を流れ春の逃げ水
水は逃げ水は去りゆく陽炎か蜃気楼かは知らず武蔵野
『空とぶ女友達』のような歌集が作りたかったいつでも
戦争という名のスキャンダルがありSARSがありまだ続く
悲しみは疾走すると誰か言う モーツァルトを愛した人か
素描で描けるのならば素描で油彩が必要ならば油彩で
進化には関係あるかあらざるかロンサム・ジョージ100歳の亀
エスパニョーラ島のイグアナ その身体赤くしている別れの予感
日付2003-07-13 06:51:33 タイトル:「クック・ロビン」
ゲットーに囲い込んだら夕焼けがそこにあったという気分だよ
カラコルム、天山南路越えてゆく風に逢いたいウィグルの馬 
もう初夏と思う暑さの午前 驟雨のひびき懐かしむ午後
日溜りに猫がいる 野火止に散る桜を見ている
夕闇の岸にうっとり三椏が もうすぐ春は終るのですね
臆病なジョージだったが成長しGOTHAM CITY のボス猿となる
湾岸の青い蛍火 聖霊に祈りを捧げて飛んだみさいる
クレマチスあなたが残した風車  風車に向かえキ・ホーテの孫
紫の煙が春の野を覆う 高麗の里は武蔵野の果て
「魂の娯楽煮」ですか、なるほどね井上雄彦さんって素敵ね
エマニエル・シカネーダーも言っていた「ザッツ・エンターテイメント」で
弾痕はどこにも見えず気づかれず理想の都市の中庭の傷
アカデミア橋を渡れば浮き彫りの商館見えるカナルグランデ
戦争の世紀終れど戦争は始まっている クック・ロビンよ
そういえば死者を焼く煙もまた空の雲に紛れる 春なのだろう
戦争が始まる夜も終る夜も世界は澄んだ透明な青
その強さ、その激しさが同じなら離れていよう集会の夜
眼裏に光きらめく 今朝生まれ今朝死んでゆく虹の断片
やさしさは儚く脆い夢に似てあなたのいない朝が来ること
約束し約束守る兎には硝子の櫂や水晶の舟
川岸に立って鵞鳥を見ている子 平和なころのイラクの岸辺
『空ヲ飛ブ羊モ空ニ鳴る鈴モ♪』こだましてゆく戦争の夜
蟋蟀を隠していたのは映画だけ?それともほんとう?溥儀の蟋蟀
歴史をみつめているのは人間だけじゃない 例えば溥儀
貝殻に残っているのは海の傷 巻貝がつつむ青い潮騒
たましいを遊ばせている秋の風 木の葉さらって駆ける坂道
フクロウがほうほうと呼びモモンガが斜滑降する森の夕ぐれ
「勝虫」と人に呼ばれて蜻蛉は武者の兜を飾りていたり
銀蜻蛉、透明な羽さしのべてあなたの肩に触れていきます
雪落ちる朝のしじまに雪とけて春の先触れ福寿草咲く
言葉にはあらざる言葉、梅一輪、小雪舞う日の小鷺の飛来
<究極の無機質>なんて言ってたね ハイエナも棲む風のサバンナ
天空の窓にも降っていたかしら 飛び散っていた白い羽毛が
廃園に増え続けている球根は石榴の実にも似ている水仙 
ひとひらの雪の白さの儚さにいつしか閉じてゆく花びらに
幸福の第三楽章始まって水仙月に聴くコンサート 
谷保天神、座牛の頭を撫でていく風の行方は春の梅林
亡くなったあの人が好きな紅梅が二月の雪の晴れ間に咲いた
電子体、光体X、私が思ったことが在ったそのこと
峪渡るこだまのひらく季節あり 死はすこやかに育ちつつあり  
寒気団迫り来るころ魚捕る四万斗の霧凍るこの朝  
火を振って魚集めて漁れば魚は桜の色帯びて来る  
漁火の海があるから帰るべき海もあるべし空海の幼名は真魚 
海彦の裔にして婆沙羅の裔、海の彼方に立つ蜃気楼
水仙は春の香りの黄水仙 海を見ていた城の水仙
天界につづく階段のぼる霧、朝霧の道帰りゆくひと
白鳥の湖沼に羽をたたむとき大菩薩には冬の三日月
賀状無く迎える知友また一人 寒中お見舞い申し上げます
瑠離色の硝子を抱いた舟がありあなたを連れてゆくよ銀河へ
ジャスミンはしずかに樹液搾られて滴る緑モロッコの夜
遥かなるイスカンダルの四重奏 手荷物は「アレキサンドリア・カルテット」
スカラベを「ラムセス2世」と名づけていた三谷幸喜の「HR」終る
ラムセスは眠るラムセス、 メンフィスは眠るエジプト最古の都
聖バルバラ、聖母教会 木製のドアもつカイロの美しい薔薇
鳩料理、美酒に酔いしれ喪った 時間の記憶失くしたカイロ
その街は驕りの街に非ずして太陽の裔、高貴の都
金色の海を見ている 鼻欠けのスフィンクスとファラオの砂漠
ナミディアの王の爪切る幸せが永遠ならば眠れ砂漠に
カイロにはカイロの薔薇がそして碧なすアレキサンドリア
光なす碧の海の真珠よりケケケと笑うブリキの玩具
星の精、砂漠の国に降りた裔 蛇、蟲、蝗、女王の猫
スカーフを靡かせながら走らせる アスワンハイダムまで50キロ 
歓楽の都を過ぎて遡る水の上なる逸楽・豪奢
夕陽浴び紅く染まった帆を張って風を孕んでナイルに浮かぶ
河馬がいた動物園を知っている 母校の隣、王子公園
文字の神トトの化身の置物が朱鷺と知らない 文字学ばねば
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 16:30 * comments(0) * trackbacks(0)

空の濁音

水揚げをされたホッケの開いた口 渚に上がるカタクチイワシ
知床の自然をカメラが写していて海の底から伝えるいのち
移動する海老や蟹にも手足あり 手足なければ泳げたものを
疲れきって頭の中が空っぽだ 鳥が羽ばたく 空の濁音
封印を解いてあなたは何思う 何一つない明日のために
どことなく不機嫌そうな猫の場合最後の最後まで牢名主っぽく
緋縅の鎧冑に金色の太刀持つ人の漆黒の船
黒塗りのただ一艘の盲船 竜神祀り天翔ける船
暁の村上水軍、八幡船 霧の中より黒塗りの船
海賊と言っても海賊大名の九鬼様もいた中世の海
擬態する 空中静止する葉っぱ 楡の若葉にさみどりの葉に
熊野沖、船が炎上しています 九鬼水軍の海だった海
1ミリもなくて生まれる団子虫 枯葉の寝床に雨待ちながら
「なせばなるなるようになるケセラセラ」百歳の人笑って言えり
永遠がただ一本の樹となって吹雪く花びら散らす夕ぐれ
古典と言い伝統という様式の劇性露わにしてほとばしる
それゆえに今日のひと日の明るさと陽の耀きとひとときの燦
命炎え心炎やしてやがて死ぬ 例外もなく消えゆく灯り
この後の悲喜にどうして堪えてゆく靄と霞と霧の差ほどの
近づいてみれば空洞だったから ただびゅうびゅうと風の音して
この場合夢をあきらめたわけでもなく夢すらなぜか胡散臭くて
夕日には夕日の事情ありまして 雲に隠れる日もありまして
さらになお闘う人の眼も視える かつて歌いし「地球(てら)を蹴る」歌
来週の二十四日は河童忌で芥川龍之介が命絶った日
何事も変わらぬままに変わりゆく日々に疲れて散る沙羅の花
夏の花、沙羅のみずえに花咲けば 自死を果たした人の眼も見ゆ
消防士そのものに似た消火栓 黄色いカンナが囲む工場
退屈という名の至福あるように弛緩している七月の蝶
幾度目の夏がめぐって乱れ雲 あとどれくらい生きていられる
雪降れば雪、風吹けば風 最後の日にも雲雀は揚がる
また今日もすすき、刈萱、萩、桔梗 音韻として生まれる生は
幕開きの桜吹雪と鏡面のほかには船の率い出される
なんという長い退屈 絢爛な退屈として「十二夜」がある
その穴子背びれ胸びれ削ぎゆけば 身をくうるりと反らせる稚さ
船端に潮満ちくれば牡蠣舟の牡蠣の生簀にめざめる小海老
母さんに抱きついている小猿にもやがて生存競争の刻
その人の瞳の中を落ちてゆく夏降る雪に似てえごの花
エゴノキの花降りやまぬ夕つ方 彼岸の風もここ過ぎながら
山の辺のなんじゃもんじゃの花降れば木下闇の夕べの明かり
雨降れば雨の三鷹の禅林寺 あの頃はまだ小堀杏奴も
今日七月九日三鷹禅林寺 森林太郎の墓に雨降る
雪の朝、隣家があるということに気づいた 1年が過ぎていた
王国の王の選任補佐官の支配被支配拡大の域
死の淵をさまよっている魂が 月みれば月に花みれば花に
微笑みを湛えた画家のキャンバスに雨の朝に生まれた蕾
今朝の雨 夜通し降ると言っていたあの雨だろう 文月の雨
swingをしながら歌うその人の声が掠れてきたのを知った
蜂蜜のようにとろりと金色の夢を蒐めて海馬は眠る
雨の日に蝸牛這い枝を這い 黒鍵の音弄るらしき
「天邪鬼」それは私だ 炎え上がる不動の像の下の石塊
ドラゴンの口から水が溢れ出る 龍頭の滝と呼ばれる蛇口
明日は雨 傘のマークが並んでる 龍伝説の池に雨降る
出航の銅鑼鳴り鎮む船体の傷に明日も降り注ぐ雨
紫陽花の小径を通り涼しげな蹲に浮く睡蓮二つ
隠れ家のような小さなパン屋さん 学園通りの裏道に入る
1500万ヒットだそうだ勝谷誠彦氏「イラク3馬鹿」等とまだ書き
さびしさの理由は☆がいないこと雨が巣立ちを促している
ほんとうは今日は私は何をしたく何をしたくなかったのか懼れる
一本の木になったとき一本の木は汲み上げる水の百年
ただ踊る踊るに任せ褒めもせず叱りもせずに育てるという
黒翁の面を被った子供舞 神楽を舞えば神楽の心
旋回し眩暈している中枢の薔薇星雲の無限混濁
梔子の色鮮やかに純白に やがて汚れる花ゆえの白
採取され攪拌された血液は夏の真昼を眠っているか
限りなく胃を傷めながら胃はこのままでもいいのかと問う
目の錯覚かと思ったら向こうで扇風機が回っていた
破竹茹で蕗茹で雨の日の無聊 雨には雨の光りあること
六月も今日で終りという朝 花も蝸牛も聴く雨の音
サングリア ジュリエッタにはこの酒を F・フェリーニ注ぐ美酒
お終いになるまで少しある時間 木は空洞に音を楽しむ
苦しくてならぬと傾いでゆく身体 大王松の一生終わる
絶望に傾いてゆくこの町の送電線にカラスがとまる
碾き臼を引くとき驢馬は何思う 窓を持たない小屋と碾き臼
身を窶し心を隠す夜叉鬼が夜の神楽の男となりぬ
その中に現人神であった人 万歳三唱されていた人
歴史という一つの言葉に括られて大方の人、罪免れて
何ゆえに沖縄であり何ゆえに本土以外の沖縄だったか
贖罪と義務の思いはサイパンへ 生まれて以来雲上の人
水無月の「傾く」歌会・「褻」の歌会 言霊というものの怖さよ
映像に映る飛行機、人骨をよぎって泳ぐ綺麗な魚
帰りゆく時の流れのその果てにバンザイ・クリフという奇妙な名
万歳と天皇陛下万歳と身を投げた海 バンザイクリフ
ただ青くただ美しく見えるだけサイパン島の今日の映像
赤ひげのような先生いる町の診療室の二十四時間
金色の海に浮かんだ島影が遠くなるまで夢になるまで
石段の上にも下にも湯煙が 滾る地底の水底の青
やがてこの夕闇の中に消え或いは溶けてしまう群青
紫陽花に雨、茗荷に雨、暑さが嫌いな私にも雨 でも昼頃には上がるらしい
山の実が熟れてあなたを迎えます もう夏の日の風をまとって
瑠璃色の帽子の中の木苺のオリーブ色の光りの泉 
木苺の熟れた粒々太陽と山の恵みの甘さ酸っぱさ 
永住を放棄したわけじゃない 蜜蜂が移動を開始しはじめだけ
最悪の結果を招いた経過ならその過去ログが保存している
こんにちは おはよう おはよう こんにちは 鸚鵡のように交わす挨拶
悲しみが木苺色に染まるとき もう夕焼けは始まっている 
木苺が風に揺られていたという 夏の陣馬に吹く青い風
たらの芽は用心深い 山菜の王と呼ばれるたらの芽なれば
夏なれば守宮もガラス這うらしき感情という棲家に入りて
漂流は始まっている 一艘の小舟も隠す海の朝霧
陽のあたる石の隙間に見えていた 蜥蜴の尻尾が生えてくる
たらの芽は頂芽の他に脇芽、胴芽あり 予備の芽多く持った山菜
一切は流れ流れて空の果て 彩雲生れて老残を見ず
かぶくこと好きだったのか江戸末期、水色袴の日記の断片
確実に何かが終わったと感じている歌人の多さが塚本さんの死
靖国にこだわっている(小泉さんの)日本の 孤立してゆく思想の行方
六月の朝、割かれた魂が再び出逢う天国の門
大切なものも次々消えてゆきもうおしまいかな十薬匂う
死の螺旋めぐりめぐりて夏の朝 再び生れむ湖の巻貝   
退屈で死にそうなのと青虫を産みつけに来た揚羽がひらり
サボテンは水がなくても生きるのか駱駝は水を湛えているか
変わったこと何もなくても死にそうな気分が残る烏も鳴くし
戦争の責任ならば全員に なかんずく天皇の名で始められ
行き暮れて心乞食はさすらってこの世の水を甘露と飲んだ
アドルフと言えば私にはコンスタンのアドルフ。 ヒトラーじゃなく
赤裸々に生な自分を描けと言う 『アドルフの画集』の画商の言葉
「傾いた道しるべ」という歌があり その歌が好きな私がいた
あの街を襲う雨粒、窓叩く ただ真っ白な驟雨 水無月
もう一度海への手紙書いてみる 梅花空木がまた咲きました
重なってゆくとき理由は消えてゆきただ憂愁の兆す夏の日
藤の木に白い藤咲き藤散れば夏が始まる水無月の川
野火止に残った鴨も旅立って ただエゴの木の白い花散る
流されて流れて育つ水鳥の姿見かけず夏とはなりぬ
ST波下がる理由はともかくも暑い季節に散歩は無理です
さざめきが聴こえるでしょうどこからか平原綾香の声に向かって
シルエットから始まって絢爛の豪奢にいたる次第、夜の部
染五郎、松緑、海老蔵、菊之助、獅堂、勘太郎 七之助も加わって公演終る
はなやかなその色彩は一転しモノクロームの雪降る世界
雪になり紅葉になって映える死の 嗜虐美という繚乱の華
欠点といえば面白すぎること 鷺娘ほどの静謐がよく
野田秀樹の頭の中の広さそのまま舞台の広さ
歌舞伎座の舞台が二倍にもなって見えていたのは野田秀樹の才能
野次馬の残酷さには変わりなく 取り巻き、囃し、殺しを好む
日本版瀕死の白鳥「鷺娘」 玉三郎の鷺の凄絶
野田秀樹、勘三郎の共通項煮含めて出す『研辰の討たれ』
魚屋も飛脚も手代も虚無僧も 遊女も瓦版売りも通って行った
舞台には時空をこえる橋が架かり 江戸のすべてが通って行った
生きていてよかった助かった そう思った時、討たれて死んだ
仇と言い敵と呼ばれ逃げ惑う俄侍、辰次の最期
大勢の町人どもが囃し立て追いつめられて辰次は死んだ
「研辰の討たれ」討たれ紅葉のように血は散って命大事の辰次は死んだ
黄金色の鶏がいて薔薇咲いて絵本の 中の噴水の青
彼岸への旅に似ている巡礼は 夕暮れ時に飛ぶしろばんば
花を食べ木の実を食べて育つから綺麗な声で鳴くのだろうか
雨期の森 蝶、蝉、飛蝗 ヤマセミの運ぶ餌にも流れる時間
勾玉も鯨の骨も埋めている海辺の村の火祭りの夜
神さまと仰いでいたのか白い山 霧の向こうに滝の向こうに
恐竜も鯨も虹を見たかしら 嵐が置いてゆくという虹
仲間を持ち家族をもって恐竜は群れて集って滅びて行った
板状の骨は飾りじゃないという防御、調温機能もないと
新説は仲間を見分けるためというステゴザウルス背中の秘密
コククジラ背筋から痩せ肉落ちて東京湾に溺れ死ぬという
ボルボラ島 エアーメールの写真にはその「絶海の孤島」が浮かぶ
一日中南の風が吹いていた 虹は嵐の後に立つもの
特になし何にもなしという理由 理由に非ずと退けられる
必要もないのに撮っているような レントゲンには映らない翳
透明の意味を思っておりましたレントゲンには透ける心臓
かなしみの極まりゆけば他愛ない指人形や影絵の劇が
雹が降る嵐のような雷雨あり ゴッホ展を待つ長い行列にも
えごの花うつむいて咲き仰向いて落ちる 着地するとき翻る花
ゆっくりと築いてさっと突き崩す 終わりはいつも突然の雨
本を捨てる多分三百冊くらい 資源ゴミの日まで二週間
二年余り花を見花の枯れるを見 淡い時間が流れて消えて
完全に削除するのは簡単なさるさる日記web日記
旧街道脇本陣の菖蒲園、紫陽花寺につづく石畳
この後の驟雨の季節蘇る旧い街道沿いの庭園
「具体的に進まなければ前へ前へ」そうね行きなさい
倦怠は秘かに兆す夏の日の陽炎ゆれる道に水辺に
後ずさりしている蝦蟇の背後にはヤマカガシ棲む雑木の林
清浄な骸は光る 透明な雨の雫のような音楽
コククジラ、虹を作るという鯨 東京湾は今日花曇り
コククジラ東京湾に現れて 灰色鯨は藤壺を乗せ
話せない死者の代りに語るべき車両も次々片付けられる
運転士死亡のために甦る 古い諺、死人に口無し
事故車両、関連現場の保存なく 撤去、解体、切断される
整備不良、欠陥車両のこともあり ブレーキ痕のない理由など
違うんじゃないのと思ういつもながら その意味を取り違えること再三再四
山中というわけでなく住宅街 二十分は長くはないか
救急車、消防車の到着は遅いからいつでも現場住民が頼り
墜落し炎上しやがて爆発し警視、警部、警部補焼き尽くす
警察のヘリが墜落してからの救急、消防、警察が来るまでの遅さも
点は点、線は線でしかないことに 集合体に脳がないこと
あるとしても全く機能していないことに更に驚く
危機管理情報室らしきもののない交通機関があるということ
報道が報道としての役割を果たすためには何が必要だろう
うんざりだなんていったらもしかして非国民とか言われるのかしら
いつのまにか沈む夕日の中にあり石見の人、森林太郎とのみ刻む
白夜でもないのだろうに黄昏も過ぎただろうに妙に明るい
まっすぐに稲田を渡り海に出て風はひとりであることを知る
そのように時間は過ぎて機能麻痺、運動麻痺が近づいて来る
構造と捉えてみれば明らかに 平井弘の仕事の意味も
震災のあった工場の多い町 尼崎という町で起きたこと
音楽も色彩もまた上昇する風は砂漠の形を変える
初夏の川、橋の袂のせせらぎの音聞く音の中の魚
密集と過密の悲劇 空間、時間、生命奪う
私たち日本人の生き方が背景としていつでもあって
秒単位で生きる日本人だから無言の重圧かけているから
設計のミスもあるかもしれないねレールと車体、カーブの曲線
羽根ペンのマークの記事を書いている 半月が覗く硝子窓の中
算盤の珠を弾いて計り売り そういう時間が昔はあった
魔の時間ふっと来る人だったのか 瞬間的な記憶喪失
通常ブレーキの効きが悪かったから非常ブレーキを引く羽目になったということはないのか
きっかけは何であっても暴走し加速し制御不能となっていたもの
むごたらしいまでに晴れている朝 大型連休初日の金曜日
106人目の遺体を収容し襤褸襤褸になった車体を引き出す
マンションの外へ引っ張り出されてきた運転士のいた先頭車両
オーバーラン、1分半の遅れ、猛スピード、急ブレーキ、転覆、激突というこの間何分間の出来事
「ありえない」ことがありえて浮き上がり転覆脱線した事故車両
運転士自身の責任はもとよりではあるが一人のせいにして終れない
事故原因究明よりも責任を逃れたいという隠蔽的体質に見え
「プレッシャーのない教育はない」というJR西日本会長の言
責任は到底逃れられるはずのないJRが「聞いていません」と言う
脱線時自ら巻き上げ巻き込んだ砂礫痕ゆえ軽微な痕跡
出来るなら置き石であれと願うようなJR発表「粉砕痕」
JR西日本の会見は沈黙するに等しい会見
岩井俊二『花とアリス』の一場面 沙羅の花弁が開いたような
春四月、地獄の季節 すごいねと風が囁く春の跳躍
川底の石に似ている何かがいて動き出します 山椒魚です
春雷が通り雨にも伴って 執拗にまだ糸を張る蜘蛛
どの鶴がリーダーだろう海を見て河を見て越えてゆく
燦々と降る月光の川があり 筏となって流れるさくら
いつしかに逸脱すれば逸脱の果てに青空流れゆく雲
温度差はただ我儘と解されて伝わざりしか皇太子の思い
レプリカの剣、神器となるもよし更なる軽さ求めてやまず
天皇の選択としての「国体護持」 雨師でありしか稲穂の国の
遅らせたその数日のために死んだ広島の人長崎の人
八咫鏡、草薙の剣、八尺瓊勾玉  「国体護持」と原爆投下
宮中に三殿ありて祭祀する 壇ノ浦には草薙の剣
遥かなる雲の上にも人はいて砂噛むような日常もあれ
病気ではなくて気質であるならば気質を矯正させることもまた罪
その事については自由で民法の適用事例の一つに過ぎず
病気なら治せるはずだし環境を変えて出直すことも出来るし
大正天皇の場合は何という病気であったか心身を病む
雅子さんの統合失調症という病気については情報がない
存亡の危機にある時発揮される蓄積された情報の力
足利家15代、徳川家15代 天皇家125代 際立って高いノーハウを持つ
岐阜蝶のその営みは静かにして葉裏に卵産みて休めり
巣作りを始めてコゲラ  女帝には禁忌も少し多くなるという
稲を植え、蚕を飼って祀りして 長く続きし尊卑の文脈
天皇というより主に祭祀長 雪のごとくに降り積む言の葉
最悪のこともありうる最悪の事起こりうる漂流家族
原武史、小熊英二氏1962年、島田雅彦氏1961年の生まれ
何となく引くタイトルではあるけれど島田雅彦ならやさしいサヨク
紀伊國屋書店へ行った 島田雅彦と二人の学者の「いま天皇・皇室を語る」
巣穴からジャッカルの子が顔を出す 海辺の砂漠に生きるジャッカル
見えませんここには梟はいないから 唯青空に伸びてゆく杉
フクロウの子の三つ四つ止まる枝 NHKの深夜放送
紫の花大根に陽はさしてしずかに時は流れてゆけり
花に鳥 何の憂き世と思うまで 花喰い鳥の憩う時の間
辛夷散り山桜散る野火止の黄の菜の花や大根の花
「私は葡萄畑の葡萄摘み」法王庁の空飛ぶ鶫
香櫨園、芦屋、魚崎、石屋川 生まれ育った街の水際
紫の花だいこんに陽はさしてしずかに時は流れてゆけり
病院と海水浴場だけがあった 海と砂浜だけが見えていた
遠い昔 遥かに遠い昔のこと 埋め立て以前の芦屋の海辺
潮風と海の匂いのする駅は阪神電鉄香櫨園駅
紫の雨が降るらむ 六甲に硝子を伝う雨があるらむ
四月尽 見知らぬ駅で降りてみる花降る銀河鉄道の夜
四月、まだ後半があるんだね 一日一日若葉が増えて
ちょっとした偶然、それで人生は決まる 霧が谷底から湧いて来る
15年前のあの日を忘れない 無防備だった心が出会い
氷雨にも耐えた桜が微風にも散ってゆきます春暮れる頃
優しさが残酷さでもあるような晩春の風身にまといゆく
見放され見棄てられたと感じている 強制収容所を想像している
真実を告げることこそ良心であるから残酷さとは優しさ
思いやり深い神さま最後までせめて一緒に戦う医者を
「私にはもうしてあげられることがない」 医師である人の言葉を思う
そして今も初めて会った日のように無防備なまま生きている人
六甲の緑芽吹く日 Kさんが四度目になる入院をする
その国は阿片の毒に酔ったように日本の下にも苦しんだこと
中国をわざわざ「支那」と勝谷誠彦氏 1000万アクセス誇ると言うが
カンボジア・ベトナム・ラオス・インドネシア・タイの場合も同じく思う
ある時は奪われながらも抵抗し抵抗しながら生んだ文化か
私は何も知らないことを知る この隣国の通史でさえも
38 水曜の午後 sho - 2005/05/22 15:48 -
日本の周りにあった海もなく護りの盾となる山もなく
大いなるあの中国の支配から逃れ続けた国の不思議さ
私がとっても不思議に思うのは半島にあった国の千年
元々は誰のものでもない島や海が分割、領有される
争えば果てしもあらぬ境界は山にあり海にあり入り合う
入り合いという制度あり 入り合って分け合っていた天地の恵み
「自虐史観」 あの人たちはよくそう言う 他虐よりよい史観と思う
九条を改悪したり常任理事国入りをしたりそれは嫌です春の獏でも
誤解される方もいるので念のため申し添えれば獏は私
本当はこれが現実なのでしょう 日本人は嫌われている
原爆を日本が忘れないように日本の侵略も歴史の事実
「熱狂をしやすい人たち」とも言うが (日本が)理性を失くし起こした戦争
「好戦的な国」とあなたは言うけれど 自覚症状ない日本も
耳垂らすポチの看板、中国では。 「リチャード・ギア似の」小泉首相
反日の感情激しくかの国に、また別の国に現実にある
これほどの憎しみの対象として私たち 憎悪のシチュー煮詰まって今
未確認飛行物体現われて桜吹雪の空のまぼろし
見上げれば唯一点の切片の核弾頭の幻の見ゆ
爛漫の春の最中に人はいて 黒点一つ無き青空を
日本に桜が咲いて陽が照って 恙無ければ憂いなき如
とどめたいと思ったって無駄なんだと諦めている馬車馬の馬車
国連の常任理事国入りを果たし憲法を変える 望んでもいないのに
反日のデモが起きても興味なく 日本政府と日本国民
鳳凰が羽を休めるその閑に歴史は動く動かされてゆく
江戸時代竹を刈るとも竹島はさらに遡ること何世紀もあり
正しく知ることを教えなかった双方の歴史があって小さき島や
我が国の歴史を共に主張して知らざりしかな隣国の歴史
そもそもが歴史のどこに現われてどこから消えてどこへ行くという
双方が主張している島のこと 中国人は「岩」と言ってた
タンジェリン 5滴ヴァニラCO2, 3滴 後悔のない明日のために
水曜の午後もまだ降る春の雨 シャガ、花大根、連翹に降る
フリージァが咲いていることにも気づかずに 桜ばかりに気を取られていて
花言葉、検索されている文字のどんな言葉も分身の花
隠し廊下、座敷の間の壁一つどんでん返しを遊んだ姉弟
茗荷沢、滝の逃げ道 鉱泉に続く迷路のような裏道
鬱蒼と山は覆って黄金沢 鉱泉近きただ細き沢
金山を秘かに護り伝え来て千諏訪公の古屋敷の址
静脈も指紋も認証されなくて透明人間だとわかるまで
掌で認証させるそのためにあなたは誘拐されるかもしれない
その麻は雪に晒され藍鼠色の小千谷縮みの涼しさとなる
題詠の「背中」まで来てさらす背の 尾羽ふうわりと雪の白さに
春の夜は眠れ眠れよ夢ふかく 泡浮く水の中に病む魚
さみどりの欅若葉や花水木 季節は移る ふりむけば夏
爛漫の春の吐息の中にいる 鬱陶しさの極まる卯月
岩を抱き天に向かって伸びてゆく巨木の腕に擁かれていた
鳳凰が羽を休めるその閑に歴史は動く動かされてゆく
江戸時代竹を刈るとも竹島はさらに遡ること何世紀もあり
知ることを教えなかった双方の歴史があって小さき島や
我が国の歴史を共に主張して知らざりしかな隣国の歴史
そもそもが歴史のどこに現われてどこから消えてどこへ行くという
双方が主張している島のこと 中国人は「岩」と言ってた
昨日より暖かくなる季節の中 陽炎もえるようなさびしさ
大切な一人の不在 鳥はもう海峡を越えただろうか
淋しさの中心にいる火のように沈む小石のようにひとりで
火を煽る風があるなら火を鎮め心を労わる風もあること
和楽器と競演しているヴァイオリン ゆるされてゆく罪を歌って
木管が恋の炎のクレッセンド 哀しみ歌うハープの調べ
半鐘と共演しているヴァィオリン 八百屋お七を弾くヴァィオリン
ただ眠り眠り続ける春の日の三寒四温身を過ぎてゆく
私はこの頃空を見ていない 花の向こうに空はあるのに
地震雲を見たって親子の乗客が バスの窓から富士が見える日
菜の花のような四月の日暮れ時 あなたは元気にお過ごしですか
だからってキリンのようにうなだれて遠い眼差しするだけなんて
いいのかな言われっ放しでそのままで理路整然と片づけられて
正直のレベルを上げよと山田ズーニー氏 春三月の花の明るさ
正直の練度のことを言っている 司馬遼太郎の言葉だという
破線にて縫い取る世界があるならば縫い取られない私も生まれる
宮崎県産シラス、しらす干し 未だ幼く海を忘れず 編集
「冬将軍」眉を動かすばかりなり さよなら春はもう半ば過ぎ
変らない日々の中にも終楽章もう近いことを告げて花咲く
サンミシェル私の時は流れゆきすべての先に死があることを
柿のへた、柿のたねではありません。枇杷のへたってないようですね。
動かせない最終期限をケツカッチンとは知らなかったよ嗚呼今日だよ
人は人、私は私 春の日の気球が浮かぶ空の水色
アライグマ捕獲作戦 迂闊にも捕獲されたと「不機嫌なアライグマ」
北前船船主寄贈の随身門 金襴、緞子、祭礼の絵馬 
丸亀藩婆沙羅の系譜、宇和島藩伊達の系譜の綺羅好む血よ
三月の二十七日観音寺琴弾公園にて勢揃い
一本は四国へ一本は鞆へ七卿落ちの道にも分かれる
太鼓台伝播のルート辿る時、見えて来るもの街道が囲む
戦国の支配領域に重なって伝播したらしい太鼓台文化圏
ちょうさという祭りがあって太鼓台文化の祭り祇園山鉾
LA CHAMADE 敗北の太鼓にならないよう 遠い太鼓は空耳だろう
春の日は静かに暮れてゆくばかり 遠く聴こえる祭りの太鼓
効き過ぎる薬は効かない薬より怖いものだと年寄りも言う
タミフルという名の薬の副作用いまさらながら怖いと思う
路地裏の焼肉屋さんの室外機どういうわけか猫のお気に入り
一匹はその夜、次の朝ほかの子が 春というのに凍えて死んだ
物置で白い野良猫は子を産んだロミオのようなハンサムな子を
この猫は随分人気があるらしい手を折り曲げて眠っている猫
三月の乳白色の空の下 白木蓮の花に降る雨
今日の雨 白木蓮は七分咲き 静かに降っている雨がある
茗荷沢 タラの芽、蕨、ふきのとう 苦味ほろほろ今年の春の
お彼岸は毎年寒いと子規の母 この山里は日向の匂い
浮き島にユリカモメ来て鳴く夕べ サティのチョコの溶けゆく甘さ
香水になぜか兎が付いて来て大きな耳を垂れております
何だったあれは風ではなかったか ただ裏山の夜の梟
心臓に硝子の破片突き刺さる 硝子は虹のように輝く
この日射しつよくあかるくのどかにて上水に呼ぶオナガ、鶯
華麗なる変奏曲を聴くように春の逃げ水走る野火止
フランソワ一世、黒い毛のプードル 引っ越してゆく人の飼い犬
夢の中夢から覚めても騒ぐのは赤い和金の金魚注意報
信じたい思いの先に何がある あの人ならば出来るかもしれない
劇的なことは何にも起こらないそういうことに馴れ過ぎていた
道のりの一歩一歩を確かめるようにゆっくりゆっくり歩くこの旅
35 彩色の鴨 祥 - 2005/03/27 13:25 -
完全に死んだかどうか確かめる 何を 私のブログの行方
歌を書き歌を読んでいる  三月の曇り空にも飛ぶシャボン玉
『腐れ外道』と誰かが言っていた 腐れ外道ゆえ書けることもある
夜毎聴く魑魅魍魎や鵺の声 異形の鬼を垣間見る春
あの人の登場こそが期待され今日も見にゆく「題詠マラソン」
海賊が今でも出没するというマラッカ海峡 船の名は「韋駄天」
そして死が森を覆った 秘かに爛れてゆく記憶です
この人の心に傷をつけたこと多分一生忘れない思い
風はただそこに吹くだけ木はそこにただ眠るだけ 水よ流れよ
水辺には淡いピンクの睡蓮とウオーター・レタス数匹の稚魚
不器用に生きて滅んだ一族の何を伝えて火祭り残る
合戦の記憶いずれか遺伝子に残るともなく百手、流鏑馬
半分は眠って暮しておりまして花粉降るころ私は眠る
金絲猴、ロクセラーヌの鼻のサル 金色の夢、金色の風
一刹那一瞬の青奔り去る 風が光りを光りが風を
前線を突破してゆくホリエモン 今コーナーを回ったところ
剥離して浮遊してくる何ものか微熱のように憂鬱な春
横町の猫の集会豆腐屋のタマは近頃なかなかの威勢
集会を仕切るボス猫 閉店を決めた丹後屋酒店の猫
春の日の猫の集会、妊娠をしているらしい白い雌猫
あの人がもういないのに私が歌を書いたって何になろうか
と思えば明日は四月上旬の陽気になると気象予報士
亜熱帯日本になったと思ったが豪雪地帯でもあって日本
暖かくなって花粉も飛ぶという憂きこと多き春浅き空
川岸の鴨が寒さに蹲る 鴛鴦模様の彩色の鴨
クリスタルビーズのような耀きを知らずに今朝の泥に汚れて
曖昧な距離感覚の朝靄の中に小鷺か鴨か見分け難くいる
大小の足跡つけて雪の道 三月四日歩くほかなく
さらさらと細雪降る雛の夜 明日東京は白い街になる
或いはそれは自信の問題かも知れず水仙の咲く水辺水際
春なれば蛙も土竜も顔を出し記念撮影するらしかしこ
千年を遥かに越えて生きている大きな樹ならわかってくれる
三月は優しい雲と逃げ水と 玉川上水沿いの蝋梅
濁流にのまれていった人、車 深夜再び見ている『津波』
三月には祖母と舅の命日があって陽射しもやわらかくなる
急坂をのぼれば台地、八幡と隣りあうのが主(おも)と西新屋
清薫院真蓮妙観大姉なる位牌の祖母に故郷の水仙
降る降らぬ決して降っていない雪  春の心を吹く紙吹雪
明日から弥生三月 こぶし咲き木蓮が咲き名残り雪降る
まるで一人の人が語ったように世界は語られる 複数の私によって
金箔と漆がつくる空間に珊瑚の粒子のような残照
魂に低温火傷あるらしくまだひりひりと小雪降る夜
牡丹雪降れば降るゆえ降るからに明日の雪道、早朝の道
肩が凝って肩が凝ってと言いながら冷たい骨になっていたらどうする
日干しする煉瓦に命奪われて石窟寺院の壁画の剥れ
今日は普通明日も普通 水辺には揺れる水草、緋色の真鯉
お隣りの日記は誰が書いている 日々変りゆく「お隣り日記」
過去ログは時間を生きる 悠久の言葉、言の葉、言霊の森
土色の遺跡の中の壁画には極彩色の釈迦とその弟子
地獄変屏風の炎、人々の頬を照らして焼けゆく牛車
フリードリヒ・グルダのためのコンサート 弦とピアノと一つの記憶
リコ・グルダ、パウル・グルダに父グルダが愛していると伝える楽譜
エストニア土産のカップ 可愛いね どうぞ増田さんによろしく
円柱は静かに光浴びており甲府湯村のエンタシスの寺
楡の木が育てる水の豊かさを確かめている春の雌鹿
私ならきっと話してしまうだろう 枇杷の木に吹く風のことなど
ここにおいでここにあなたの枝がある不格好だが座ってごらん
トネリコの大樹は空を覆うかと思うまで高しトネリコの空
戦国の時代に生まれ露草の命を武器に戦って殺されていた前世の鷹
バス停を降りると海が見えていた 鉛色したあの日の海が
どこまでもひとりっきりの縄梯子 天の草原降りきっただけ
解ってます解ってます解ってます解ってますが悲しいのです
外は雨、氷雨降る朝 関東の直下の鯰身をうねらせる
存在が威圧そのもの 当然のように無言の石臼の稗
とりわけて最長老の雀右衛門 枝折戸に置く手の美しさ
保名より保名のように妖艶にあはれに舞って「二人椀久」
鴎外の小品「ぢいさんばあさん」は伊織とるんのあかるさがいい
久松の籠かき二退三進し花道を去る 籠かきにも花道
去ってゆく上手下手の花道に 久松は籠、お染は舟に
全部嘘、たとえそれでもいいじゃない 舞台には降る太鼓の雪が
33 水の痕跡 祥 - 2005/03/07 11:52 -
あの日からずっとひとりで生きている あなたのいない時間が過ぎる
何回も書き直した線が綺麗であるわけがない推敲を認めない
カンガルーの赤ちゃん2,5cm体重 1g! 私の猫が目を瞠る画面
変換が利かないキーで打っている 羅馬字入力事始哉
島民が帰った村は神が待ち墓が位牌が待つ埜古呂島
「北海道が舞台になってる本ない?」文庫一冊旅行鞄に
ヘラヤガラ、黄色い竜の胤し子(に似たもの)が珊瑚の林泳いでいます
いろいろなことどうしたらいいかわからない軒先に降る雨の雫よ
瀕死なのは海か私か まやかしでさえありえない今日
黄金の油凪ではありえない 瀕死の海の穏やかな顔
完璧に停止している何もかも この苛々はそのせいなのだ
タイタン 雨を降らせる海があり風を起こして飛ぶ宙がある 
ホイヘンス降下してゆく風の音 地球に届く風の産声
退屈な木曜日です午後三時 孔雀時計は宮廷で鳴る
蜃気楼はるかに見えて春の海 海の真青を求めていたり
明らかになればなるほど実体は淋しいばかりの夕暮である
牡蠣舟の残骸のこす財田川 三架橋から見る冬の川
しんとして雪降るような曇り空 薄柔らかな衛星タイタン
北限の猿は追われていたりけり 青森、下北半島脇野沢村の猿
野火止の朝靄のなか泳ぐ鴨 鴨が川面をたたく水音
湧水も小径もすでに消え絶えて蝶の行方もまた靄の中
村人は何処の森の 銀色の茸も普通の茸も消える
銀色の茸のありて愉しめど洞窟すでに彼を生やさず
荒廃はなお魂に及ぶから タイタン画像の水の痕跡
意味もない不安なのかも漣がひたひたと今砂地を洗う
再びは帰らぬ海の丸木舟 月の小舟は雲の間に消ゆ
原人はどこへ行ったか洞窟に描かれているのは唯未知の鳥
石積みの隙間を水と草が被いやがては水と草だけになる
大いなる樹があり樹には魂が春の日向を流れるように
「始まりは鳥が運んだ一粒の種」であったとナレーションに言う
人混みの人をカウントする人の手に集って統計その2
駅前の舗道に置かれたポックスにアンケート用紙が回収される
GODZILLAなお地球のどこか海底の火口湖にその卵を産みつけ
怪獣の足が通って行きました富士五湖でしょうかあの湖は
従兄弟がねゴジラ映画の助監督をしておりました何本かですが
(唯一人のみを除いたどなたでも)さよならゴジラさらば怪獣
TVではカサゴが大きな口を開け藤野真紀子さんの手で捌かれる
何という言葉もなくて明ける年 被災している脳の中枢
ナイアガラの滝が襲ってくるように高波が来る津波の映像
沢山の高提灯が先導し三社祭の神輿が帰る
浄瑠璃の三味は太棹 「守・破・離」というは術の真髄
人形といえども人形使いの太夫ほどある身丈心の丈も
人形の手足幾つもぶら下がる古典芸能文楽の楽屋
三色の幕が上がれば登場する世阿弥の語る花継ぐ面
「千里が外も雲晴れて」能の本を書くこと世阿弥命也
高貴なるという幾人か高みにあり群集は振る小さな旗を
宮城に向かう人々掲げ持つ「天皇陛下萬歳」の旗
一万人あまりの人が宮城に向かって歩き日の丸を振る
晴れの日も雨の日もなく薄氷張る一月の水甕の水
冬らしくなってストーブ赤々と大晦日まで後二日です
スペインに大雪スリランカに津波 滾り始める冬の環礁
微笑みの国にも津波襲うという 押し上げられて来る水位線
何十年か前の街のジングルベル 静かになった日本の聖夜
否定する人の多さが変わらない喫水線を越えることなく
空海の命日ゆえに京都では東寺に師走の市が立ちます
何もない多分何も無い毎日 でもその中に私がいる
半島と孤島の間に隠岐の島、西ノ島ありて櫂流れつく
空海の命日ゆえに京都では東寺に師走の市が立ちます
何もない多分何も無い毎日 でもその中に私がいる
川岸に茶色い馬の数頭が水を飲むらし雲湧く村に
野生馬もやがて捕われ牧畜や農耕の具として生きる一生
草原は穏やかに暮れ穏やかに夜の帳にすべてをつつむ
草原を流れる水の一筋が仔馬養い人の子養う
連れ帰る馬の一頭まだ乳を飲みたがってる子馬であれば
野生馬を追う青年の手の長い紐つきの棒 犬獲りを思い出す
草原に白い羊が群れていてそこがモンゴルだろうと思う
「悲しい人生」と誰かが呟いて始まる映画 米国の映画
退屈といえば退屈日曜の午後も見ているwowowの映画
幸福の白い梟 北国の森の泉を囲む樹の洞
絞り込み検索をして犯人を唯一点に追い詰めてゆく
日々何もないのに書く日記何もないから書けるのだろう
ささやかな暮らしはさらにささやかに 定率減税廃止の方向
初めから無かったものは失ったとは言わないわけであって産土の
失った一つの心思うとき遠い地震の二ュースが終る
流星群見ることもなく眠れば朝焼けの空を二つに切りゆくジェット機
震度5強 北海道でまた地震 飛行機雲が空を分けた日
新月で10日後はもうChristmas 2005年の陽もまた昇る
氷雨でもない雨が降り木蓮の蕾が開く不思議な師走
片隅に投げ出されている<私>の命名欄の無限空白
永遠に書かない人か永遠に書けない人か私の場合
暖かい日々が続いて幸福な日々も続いて忘れてしまう
どんな奇病かとモザイク病の葉かと 失えば時間は大事
気がつけぱのっぺらぼうの今日の冬景色 いつのまにか
樹はいつもそんな感じを味わっているのだろうか冬が来ると
はらはらとばさばさと剥がれて落ちる そんな怖い夢を見た
大切に大切に大切に御身大切に 過ぎてゆく夢になるまで
昨日がなく明日がなくて今もない耀く冬の空のオリオン
絵葉書を買って来ました「炎舞」です上村松篁の「白い孔雀」も
シチュエーションは十分暗いせめて心は明るく なるほど
青空と黄金樹林の冬である 線路向こうで昼啼く鶏よ
素裸の木々に電飾施して夜には燈る冬の街路樹 
野火止はまだ秋の色 黄金色の秋 素裸の木と黄金纏う木と
赤手蟹なるほど確かに手が赤い 満月なれば子を産む儀式
別人の可能性ではなく別人 見知らぬ二人分の骨と判明
開戦の日でレノンの命日でそしてどちらも忘れ去られて
水曜日午後零時半睡魔あり 小春日和のカノンとジーグ
書くこともないのに書いている日記 苺の莟ふくらむ小春
曇り日の土曜の午後の天気図にコサックダンスする冬将軍
ガラの言う宝石よりも美しい麺麭一欠けら冬の晩餐
究極のシュールは写実であるというダリの直感的なパンの絵
しんしんと雪降り積もる雪の夜 赤穂浪士の討ち入りの夜
過去ログが速く流れてゆけばよい速(と)く速く流れゆけよ
目前の死が急がせて1200点の作品群が生まれる
鉛筆の素朴ないえ巧緻な一筆描きのクレーの天使
逃げるしかない人生があることを酸漿色の冬の夕暮れ
閂のかかった門の中に降る落葉の中にひきこもる蝦蟇
最近見たニュースの中であの人の言葉がそのまま語られていた
熱っぽくだるい終日 団栗も気づかぬうちに落ちてこの秋
壊れたら壊れたままでそのままで 過ぎゆくものは過ぎゆくままに
沢山の高提灯が先導し三社祭の神輿が帰る
冬将軍」まだまだ馬に跨れず 準備体操している画面
NHKの天気予報に「冬将軍」来たりて準備体操をする
深まった秋の徴のような雲 黄昏なればこの国の空
ほろ苦きこの蕗、佃煮にしてもどうにも煮詰めきれない短歌
「両親を殺した」  ミステリー終了次第ニュース始まる
退屈な午後は古畑任三郎 再放送であればなおよく
明確に似ている点を追うならば動機に至る致死痕がある
犯人は確かに特定されたがり発信されてゆく点と線
ライブラリー探ってみれば明らかに殺意の動機、受信履歴に
犯人は必ず何かをミスるもの 再現される事件の経過
ほっそりと若い男であったなら女であっても仮装の範疇
切り口がいよいよ鋭利になってゆく立派な喜劇から悲劇まで
甲羅干し甲羅を洗う石亀も 勤労感謝の日の亀の池
牡丹も茄子も兎も猫も豆の花も御舟が描けば御舟の心
混沌と地底にマグマある時も湖の色考えている
レイアウト崩れていって神さまも悪魔も今は眺めるだけで
残虐も非道も全て許される 許されるものとニュースが語る
戦争のニュースが世界を駆け巡る ドラマを映画を封じてみても
アメリカの猟奇映画のような事件 その足元を濡らす滴り
竜巻が三百棟を壊すのも日本のことと思われなかった
アザラシも鯨も日本の川泳ぎ 越前水母が黒潮に入り
そういえば異常発生していたね蝉の脱がら舗道に屋根に
春頃は私たちにも災難が襲っていたよと鶏も来て
白黒になったら殺されないかしらパンダ羨む裏山の熊
広がることの怖さ飽きたらなさどちらもあってどちらでもなく
こんなにも晴れ上がる空 酷いまでではなく普通に綺麗に
東京はまだ暖かい日曜の午後で冬薔薇小さく咲いて
三匹の猫は二匹となり残る木枯らし2号が吹き降ろす朝
一年ののちに逢おうと約束し一年ののち結界に入る
遠い遠い星座の絵本に光る星 等間隔に瞬くツリー
すり抜けてゆく風だったこともある何時より生えし木の根、草の根
もう一歩さらに一歩を踏み込めば引き返すことあたわざる闇
とある日の風であったか春の日の夢であったかすれ違う影
一歩歩けばガチャリガチャリ頸木の音か足枷の音か
もし私が梟でも土鳩ても烏でもなければ 私は自由であっただろうか
さてさよならをしよう暫く この世のことをうずめにいこう
秋の陽がためらうように翳る空 白鳥がいま海峡越える
華やかな宴の後のシンプルなさびしさにも似て音楽終る
芙蓉から山茶花までの推移みる白く仄かに香る垣根に
鮮やかに紅葉していた花水木まばらとなって冬の散歩道
クーデター起これば蔦の絡む窓 蔦絡むまま朽ち果てるがよく
六文字のメールに写真添付するナビ機能付きケータイの惨
立錐の余地無く配置されているドミノ倒しのドミノの不安
永遠の憧れとして存在する白い孔雀であった火の鳥
つむじ風お前が這った草原の何を攫って舞い上がる風
襲われてしまえば終り竜巻に 「上から襲ってくるのが竜巻」
虚しさの理由が解れば虚しさの半分くらいは消えるだろうか
雨の日の車道の水を跳ねる音 今日また一人子供が死んだ
死者多き年なり春を待たずまた雪の津軽へ二人で行こう
備長炭入ても跳ねるトルマリン入れても跳ねる金魚警報
「良心」は消えて兵器が登場する最終兵器ライス長官
ある時はただそれだけであることが虚しく思えた日もあったのに
私の私による私のためだけの歌、笹の葉の舟
星月のさししろしめす空の下 黄金の葉の散り敷く季節
さみどりにひかりあふれていつのひかうたのわかれを
後鳥羽院御製に続き 横雲の空の景色を 良経の詞書にも見るを
昨日知る歌の秘密を 藤原定家の横雲の空の歌 先だって家隆の歌
星々が見棄てた空に ただ満ちる雲の絢爛
夜空にはもうシリウスもオリオンさえも姿を見せない 冬が来たのに
夜明けには啄ばむ雀たちの声 今ではそれも聴こえなくなり
山際を明るく染めていた夕陽も見えなくなり月の光りも見えなくなった
音楽が聴こえない音楽が聴こえない いつからか
死の町になってしまったファルージャを最後に 去ってゆくパウエル氏
私の歌は日記でしかなくてそれ以上でもそれ以下でもなく
本当のことも書けないでも嘘は書きたくないWEB日記の曖昧の靄
もっこりとふくらむ鴨が水を掻く 冬が来ている野火止用水
オレンジの飛行機雲と星と月 午前六時の東京の空
ファルージャの総攻撃も支持すると小泉純一郎氏は語る
笛を吹く男に貌がないことも見えない 後ろ姿を追えば
私たちがんじがらめにされながら抗う力も奪われながら
胎動も微動もなくて滾る熱 空白域の直下に溜まる
白い月、白い金星、白い心 2004年の日本の秋
日本を戦場にする首相でも或いはだからか支持率上がる
作中の二重構造 作者とか作中主体の着ぐるみの熊
美しい三日月の舟浮かぶ空 木立の影の透ける朝の
変わり果てた姿になって少しずつ土嚢積まれて水の引く村
逆説と皮肉に満ちた一章を読んでいました「アメリカ日和」
アメリカは雲一つなく晴れていて世界は霙、霙降る秋
ひりひりと誰かが告発するのだろう飛蝗が地球を覆う夏の日
そしてその理由はどんなわけがあり或いはなくて切断の首
やがて死はその足元に這うだろう貴方や私のこの足元に
子犬の生よりも軽いという生の相対死観の真実の位置
そうではなくもしも自分の嗤いならその嘲笑に地球は乾く
自分ではなくて他者を詠っているんだね他者の傍観、軽視の中の死
試練につぐ試練につぐ試練につぐ試練 永久被災のパンドラの函
残酷な性剥き出しにして過ぎる 一本の川そこを過ぎゆく
されど川は水嵩を増し抜けゆけりその本来の姿のままに
タイミング悪く語れば非難あれ 土砂災害の土砂の言い分
濁流と呼ばれる水が突き刺さる濁れる川の水底の村
一揺れで覆すのが天然の自然の性質で本来の姿
すぐそこに今手が届くそのそこにあなたの影が角を曲がった
見過ごしているはずがないから見逃してあげているのねあの人らしく
生きていることが淋しく辛い日は賀茂茄子の味噌田楽でも如何
日本ではまず同胞に殺される 愚か者よと切り捨てられる
ブッシュ氏の再選決る夜の月 東の空の黄なる半月
ブッシュ氏の勝利宣言も真近くて生暖かい晩秋である
恐ろしい時代が来るという気がする罅割れている時代の背中
心地よく街を吹く風天国はこの世にあると風に吹かれて
楽天の夢は叶って平泉黄金郷の夢をまた見る
顎鬚に白さ目だってビンラディン 誰に向かってか話し始める
「証生」は生の証と青年の母の語る日晒された首
言の葉に言霊こもると猶思う身をもって証かす明らかにする
空を飛ぶ鯨を見ない編隊を組んだ雁金部隊も見ない
母さんに似てるねそんな器用さも纏ってゆく髪の流れも
「とてつもない」いったい何が?白鷺のかぼそい脚を包む朝靄
運命を深く真深く受容してひまわりが咲くロシアの土に
映すのはやめて下さい被災者の一人は疲れた明日の私
ふらふらと歩いていたら何故悪い 無防備は悪といつからなりぬ
「待っててね、待っててね」強い強い強い男たちの優しい言葉
諦めてしまえば終わり二歳児が教えた無垢のしなやかな力
情報は二転三転しているが香田証生、生命証して
蜜蜂の目覚めはいつも静かだが時々死んでいることもある
穏やかで何もない日の何もなさ 今朝、山茶花が零れ始めた
憂うつなのは世界中の時計が止まったせいじゃない
海を見る覚城院の一隅に在りし都の花零れ咲く
鞆の浦、福山、鷲羽、仙酔島 流され公卿七人の戯歌
廻船の航路はとだえ常夜燈、港に遺る 三国に鞆に
海上を西に東に往来し 北前船は夢運ぶ船でありしか
殺されて投げ出されている満月の夜選ばれた生贄として
死の狐 満月の夜の血の祝祭 紅海に満つ潮が引くまで
執拗に狙って向ける銃口の先にいったい何があるのか
真実の影に怯えるアメリカが拒み続ける本当の自分
奇跡の終わりを告げて光りが消えてゆく
包む毛布、担架、青いシート、照明灯 生と死がせめぎ合う
人間はこんなこともできるのか暗闇の中光り在る所
生きていた!!落石と土砂の重なる岩の真下で
日本の過疎を襲った大地震 過密を襲う日もカラス啼く
病いの時は病いに任せ死の時は死に任せ。。。出来たらねそれは。
終わりなき旅の始まり良寛の手紙の中の一節思う
新幹線車両トキ325号 ニッポニア・ニッポン乗客ヲマモリシス
全身でその衝撃を受け止めて新幹線「とき」横たわる
震度6強 地震が襲う天心が断層を切る月の引力
幼い日見た映像の大地震 道の亀裂に落ちた人たち
快晴の空の下にも泥土とか裂け目があって見る鰯雲
不確かな月の引力、半月は地球を切断する磁気送る
(遠くまで飛べないだろうか)海深くある日思った<天使の翼>
半月は置き去りになる不確かな記憶のように置き去りになる
何もせず何もできない一生がまだもう少し続くのだろう
モノクロの画面と静かなナレーション突然炎のごとく死は来る
画面ではジャンヌ・モローが微笑んで車と共に沼に沈んだ
濁流にのまれていった家のことあのあたりと指す人を見ている
神様に語りかけても神様はきっとお留守でこざいませうね
その声に拒否されていることもありダウンロードは叶わざりしよ
アクセスが集中する時アクセスの中心にある一つの言葉
雨傘はもう要りません私の心を隠す傘はないから
最終の戦いの日に雨降れば傘の花咲く雨の球場
傘さして見ている川の泪橋 落葉病葉渦巻き流れ
安曇野の月にかかった暈だとか富士の傘雲を愛した人に
流星のような驟雨の洗礼を受けて降り立つ折笠千秋
大雨か濡れてならない雨なのか傘をさそうよ尾鷲の傘を
吊り革がゆっくり揺れて吊り革の先に透明傘が一本
台風は蜥蜴という名と知りました昨日伊波さんの日記で
枇杷の木にケサランバサラン晴れた日の富士に笠雲 優しさは嘘
暗闇に燈るランプと月の暈 水晶宮に降る秋の雨
落葉あり おまえが散って明かるくなる 木々の根方にただ降りしずめ
いっそもう蛙にでもなっておしまい いっそもうこの世の果てへ行っておしまい
どこでもないどこか誰もいないどこか 魂だけで生きられたなら
白孔雀の子育てこそは忙しい尾羽の端にも気を遣わねば
レミングを追って飛びます白ふくろう雛は洞で餌を待ってます
目も開かない郭公の子が駒鳥の卵を落とす駒鳥の巣で
白鳥は嘴汚し胸汚し大飛行する旅に備える
群れをなす白鳥がいて湖は月光に濡れ狭霧に濡れる
湖では泳ぐばかりではありません速さを合わせ滑走もする
浮き巣には子どもが餌を待っているカイツブリには暇(いとま)も非ず
子育てをするには派手では危険だと雌の野雁は薄い茶羽色
正常で普通であってそれゆえに悪と思えり悪であらんと
されどまた狂気などにも興味はない 綺麗な玩具、夢の白鳥
美しいもの以外には興味がない ノイシュバンシュタイン、冬の白鳥
貝殻の中には夢と後悔と潮騒に似た夜の音楽
千年の血のつながりを疎んじた私の何が反応している
瀬戸大橋渡ってゆけば私の何かが疼く 紫紺の島影
今すごくゆっくりゆっくり揺れている遠い地震があったのだろう
「一期は夢よただ狂え」狂いて死せる宅間守か
悲しみを悲しみとして生きてゆく素直に生きて縊られる鶏
ゆっくりと俯瞰してゆく鳥の眼の視野の外なる彼岸の桜
虚しさもいかがわしさも同義語に思えて来たり動悸する如
目に映ることのいろいろ目にしたままこの絶望の世界の外へ
知ってます?おけらの花が咲いてます万葉植物園の陽だまり
草炎える不知火炎える野分来て神無月の真輝く赤
空中にプールを描く親子にも雨降り続く トタン屋根にも
ワールドカップ、オマーン戦は延々と続いて最前線の
百年間郵便局舎は維持されて無用の長物ゆえ返納す
日暮れはもうそこに来ているミッキーとプルートの時間始まる
さよならを練習すればさよならは永遠となるモニターの零
偶然の一つであれば私たち羅列されたる数字2・4
踏切を渡れば海で階段を上れば駅でその下が川、架橋駅
恐竜の痕跡こそが大切と毟り取られる鳥族の羽根
静岡県石廊崎では67,7m、生温かい風渦巻く東京
いつもは平手で今回は拳で殴る台風22号 
通過中 小さく硬くまとまって 台風22号を見送る
どうしても続きを読む≫が消えませんいったいどうしたらよいのでしょう
おそらくはそこにはいないあの人に 二度と逢えない胡弓の楽に
今日までの晴天となる空にして下弦の月のかかる中空
何事もなく過ぎたわけじゃない何事もない毎日を望んだ狐
細心の注意を払って生きない昨日生まれた月の繊さで
曇り空また台風が発生し南洋上蛇行しながら
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨 甍に軒に私に降る
飢餓線上這ってゆく虫一列になって冬へと向かって歩く
ゆっくりとレールは別れ海に入る 船は入り江に生簀を運ぶ
気がつけばもう十月で閉じられた頁のように私がいる
人は死ぬ必ず死ぬと教えられ 姫神、森の中にて死せり
透明な青の世界に秋の月 星も瞬く夜明けであった
台風が縦断してゆく列島の無月の空によしなしごとを
私の歌ならいつでもどこにでも自由に転載してくださいな
「転載を禁じます」って紹介をしたいと思ったページの隅に
朱の回廊、水の回廊 海に浮き水鳥のごと羽を広げて
琵琶法師哀れを語る厳島 社殿冠水して神無月
雨でした雨のさなかの夕ぐれを赤いバイクが角を曲がって
時々は青空もみえた曇り空 次第に雲が厚くなってゆく
火の山河、水の山河を渡りつつ ニッポニア・ニッポン滅びてゆくも
ありがちな脚本だけど伝説の曲が流れて涼しいラスト
存在という不可思議の芒野を流れる川の岸辺の家族
幾度目の拒否を経験するマウス悲しみらしき青の点滅
いつだって置き去りになる石ならばいっそ知らせよ石塊の重さ
回廊を御柱を打つ波があり寄せくるときも青き潮騒
秋は好き秋に生まれた人といる彼岸の風のように儚く
鬱熱が潜熱となり気化熱となりゆくまでに滴る通草(あけび)
アクチュアリティとリアリティは違うと養老孟司氏がTV画面の中にて語る
黙示録の頁を捲る風があり今ほろほろと崩れゆく塔
海(かい)という名前の猫の本を読む海と子猫の海辺の日記
小紫、紫式部の園芸種  野火止の水ゆるやかな秋
沈黙に似つかわしくない夜だから昔話をしてみたばかり
砂を吐く浅蜊のように砂を吐く もっと美味しく食べてください
彼岸花咲く野火止の土手にして子猫の生まれた秋の日である
棚田には棚田の景色見えながら遠い夕やけ雲も映すよ
川底に無数の卵産み落とし黄金の鯉流れてゆけり
少しずつ時間を錯覚してゆくよ五分遅れの時計のように
主語の無い世界に生きていますから雲と霞と消える煙硝
大阪と福岡拘置所に於いて死刑執行同日二人
花は葉を葉は花を恋う彼岸花 泥色の稚魚泳ぐ野火止
十五歳少年の行く遍路道 雨の宇和島を過ぎて讃岐へ
いつだって置き去りになる石ならばいっそ知らせよ石塊(いしくれ)の重さ
三百人を越える遺体が横たわりと簡単に告げてニュース始まる
幾度目の拒否を経験するマウス悲しみらしき青の点滅
曼珠沙華夕べの道に灯るのは 赤々と咲き赤々と死す
さよならと手を振っていた母だった永遠の別れになると知ってた
「思川」という川の橋 その橋が投下地点と特定される
追いつめて追いつめられて草の原 放り出された二つの心
荒れた野の向こうに木立 木立の向こうに青空がある
丸亀に多度津に京極、宇和島に伊達 都に遠き流離の心
いずれわれら婆裟羅の裔の萩、桔梗 吹く風に萎え降る雨に散れ
海沿いの町が故郷 萩、すすき、彼岸花咲く丹尾の城跡
列島に猛烈な風吹き付けて増幅された何かも襲う
津波来るという警報に醒まされる逆流をする川を見た人
あちこちに少しずつ書く日記帳昨夜の記憶も分散されて
偶蹄目、牛科ミミナガヤギのこと母の命日だったあの日の
1996年10月24日、神戸王子動物園で一頭のミミナガヤギが生まれた
堪えかねて噴く火の色の美しさ千年神の水を湛えて
栗に似て栗より大きい滑らかな殻と木の実が落ちていました
満ち潮は高潮となり風孕み月が引きゆく海の高鳴り
マラトンの丘駆け抜ける選手団 希臘の青の澄みゆく時間
醗酵を待つ詩やパン種や葡萄樽  驟雨の後に光る雨粒
失って滅びていつか消えてゆくそれでも人は夢見るさくら
始まりも終わりも知らず生きていた知らないことが強さであった
火祭りの写真をどうもありがとう篝火はまだ燃えていますか
せせらぎの音聴きながら歩く道 木下闇をゆく水の音
紫蘇、茗荷、山葵、シシトウ、生姜など夏の終りの薄闇の胃腑
曇り日が好きな黄金色の鯉 橋のたもとの澱みの中の
九月になったら私は何をするだろう九月になればチェホフを読むよ
みんみんがつくつくぼうしが鳴き交わす晩夏になれば晩夏の心
やがて死がそこにひっそり掛けるから古い木椅子は木洩れ日の中
直下型地震に揺れるこの夜半東京湾に何が目覚めて
明日はまた東京は暑くなる 石垣島は暴風雨という
甍連なって向こうに白い山がある
投げ銭で決めてください歌集の値段
おとなしい羊のように群れてゆく 牧羊犬のようなパネラー  
教室はやはり教室どこまでも 机並べて短歌を習う
立秋も過ぎて八月十三日 残暑お見舞い申し上げます
まどろんでめざめる朝の白い蜜 季節はずれの鶯の声
向日葵の種と蜜蜂 太陽に背いて墜ちた日々の贖い
頼るものないとき頼る言の葉と今宵生まれた繊い三日月
約束の海の歌です遠い日の記憶のように光る海です
雨の日は飴細工師の小父さんも兎も犬も鳩もお休み
炎える樹は炎える火柱、火柱の尖端にして炎の骸
光る魚一網打尽にする網が見つからなくて月光遊魚
戦争は間違いだった間違いで滅んだ国の亡霊の夏
空白の時が流れて七月の海に浮かんだ島影一つ
アボカドもキゥイも伸びて七月の朝は紫紺の花も開いて
ネアンデル渓谷 遺伝子のネアンデルタール人の故郷
限りなくレイアウト崩れゆき私の歌は消えてしまった
鶏の頸締め付けているあの声だ高音で歌うのは疲れるだろう
夏空の乳白色の雲の舟ローラースケートしているピエロ
どれ程の取引をして日本はこの決定を得たのでしょうか
雷雲は遠くへ去って行きました あの大雨は嘘のようです
天邪鬼踏み据えられても逆らって逆らう程に怒りに触れる
ブログ一つ消えて半身不随に似て 水栽培のアボカド林
極端と極端会えば一点に還元されるヤコブの原理
富士に雪、新潟三条には豪雨そして梅雨明け今日の東京
七月の金魚が水に眠る午後 水はさゆらぐ光りの窓辺
天からは一瞬止んだだけの雨 日本の行方まだ雨の中
ボトルには甘いジュースと毒薬が沈殿物の透明の澱
ペテン師のペテンの語源は知らないが逃げ水という夏の陽炎
無理解は悪。 『沖縄ノ骨』の作者がそう語る 珊瑚の白い骨と混じって
大切な一日のため雨よ降れ しずかにひらいてゆく雨の薔薇
アリゲーターブルーアリゲーター深夜に奔る風を見つけた
生き残る人ゆえ覚悟の足りなさを責められている鬱熱の森
愚かしいことと思えてやめました二足歩行に戻る人鳥類
戦闘色消えたらしくて野を奔る王蟲の赤も一夜にて消ゆ
少しずつ気道を確保するようにゆっくり と夜の帳は下りぬ
呟きはここに変換できない何かに 誰かが泣いているとしても
眠くなる 最後は眠くなって死ぬのだろうか 鳥たちも
仰ぎ見る文月の空の流れ星 戦場に人は撃たれていたり
雷雲にまけてはいない入道雲 青い薔薇咲く2oo4’夏
川底にいても蛍は光るという 弟の手から姉へと蛍
拒否よりも手をさしのべてみる勇気 蔓性植物であろう何かも
天空を走る列車に名づけよう 薔薇星雲を横切る列車
山椒魚、山椒魚って可愛いね 石を枕にうたたねの夢
花が咲き実が生り花は花疲れ 曇り空から白い太陽
多分もう私はこれでお終いと紫陽花の青、紫陽花の雨
夏空に雲一つなき桜桃忌 台風はまだ東シナ海
O音の優雅さ雨の桜桃忌、鴎外忌にも驟雨来て去れ
約束の虹がどこかに立つという探査衛星カッシーニの旅
青い薔薇が咲きカッシーニが土星に着いても退屈がどうなるわけでもない
拒否反応たしかにあった気がしますパドックにいた葦毛の場合
春日井建、享年六十五歳の訃 一人の定家黄泉へ発つ夕
白皙の詩人は一人旅立ちぬ皐月の空に発つ白い鳥
桜桃忌すぎて三日の夕ぐれは哀しきものの見ゆる夕ぐれ
少しずつ眠るためまた生きるため真夏の夢の浅瀬を渡る
退屈の病に私は侵される 病であるから治るのだろう
「死に至る病」ではない憂鬱というのでもない 雨の気配か
雨のない六月だった台風が壊していった日除けを替える
誰かが歌い始めても夜は明けないかもしれないが
桜桃忌すぎて三日の夕ぐれは哀しきものの見ゆる夕ぐれ
さみしくて嵐が去った空を見る遠い山野に棲む獣たち
無意味でも無傷であった頃の城 海辺の町の夏越の祭り
眠ろうとしても何だか眠れない普通に戦争している時代
なんとなく批判をされているような夏来て白い太陽の
水無月の鬱をかかえて紫陽花の半球すでに黄昏れてゆく
一匹の鼠が町を走り出し真昼の雲が白く輝く
もう涼しい風が吹いていてこの世は極楽かもしれません
故郷は遠きにありてというドラマ見つつ琴弾浜の夕陽を
暮れ残る琴弾浜の銭型の寛永通宝、砂に描く文字
紫陽花が雨を知らせる朝顔はもう蔓を巻きつけている
ある夏のかき氷こそ命にて他には何も食べられなかった
夕暮れに風が通れば振り向けばあなたの背中見えた気がする
アナトール・サルバトーレの弦の音聴きつつ震えている夏の翅
鳴沢のジラゴンノなる溶岩の台地を覆う木と草に雨
水色の海と空とのあわいから聴こえる音をタクトにのせて
タイという優しい国で灰になる二人の夢に降る花の雨
隙間から一瞬見えた愛に似たものが欲しくて殺してしまう
心肺に貝殻虫が棲みついて殺してしまう少女がひとり
誰にでもある空洞に鳥を飼う 傷を負ってる鳥の目の青
鳥籠に鳥を飼ったら青空の果てを見せてはいけないという
地の底につづく階段下りてゆく 黄泉とは蛆の湧く土の底
窒息をするより前に死んでいた 狭い隙間も埋められていた
購い替えを待っていたって冷凍庫 解凍されてゆく時間たち
新鮮な生みたて卵のような黄の花芯もゆれて梔子の朝
後ずさりしながら戻る峠道 猪も熊も出る胡桃沢
家事をして運動をしてよく眠るさよなら私の夢を喰う獏
水無月の雨降る雨は心にもこの素晴しい世界の片隅
蜜蜂は蜜を集めて蜜の味 羽化する時は温かくなる
南風吹く東京の日暮どき 檸檬のような月も浮かんで
ダービーを制したキングカメハメハ 府中の空に浮かぶ半月
まだ熱が引かないけれどそのせいで見えるのかしら歪んだ檸檬
名も忘れ一人の男が虎になる中島敦の小説思う
感覚の教会に鳴る釣鐘や天井画など五月の空に
水色の尾長が飛んで上水に夏来る 夏の涼しさの青
ゴミからもアートは作れ工房の中鎮座するプラスティック蛙
熱が出る前の症状 動悸して片腕片肺酸っぱくなって
羊水の中から始る絵日記のような万智さんの「プーさんの鼻」
戦争が始る時と終る時 雨は烈しく降るゆえ儚
サッチモの声が聴こえたサッチモは「この素晴しい世界」と歌う
紫陽花の青の花火のひらく朝 小さく青く雨の紫陽花
何もかも重くなってる何もかも そう何もかも何もかも重い
突然にカミキリムシが這い出して紙切るという噛み切る勿れ
あきらかに社会的適合欠いている天道虫は星で分けられ
関わりもなく生きている淋しさに 美しいもの峠を行くも
石塊の僅かばかりの土にさえ咲く紫の花のひとひら
ここに咲く花の苞衣の中に充ち花の力となる何ものか
霧流れ霧が育てる茶葉がある霧が豊かに育んだお茶
こんなにも暑い日なのにあのひとは痩せた分だけ寒いと言って
スカーフを帽子代わりに巻いてゆくと締め付けられる痛さがないと
猫さへも何かを感じていなくなり庭先はもう二匹の広場
イラクでは毎日人が死んでいて殺害報告にも慣れる長官
基本的に安否の確認などできず仰せのままに頷くばかり
横雲の漂う空はパリの空 NHKの中継で見る
夕暮れの水の流れに沿ってゆく水の流れに運ばれてゆく
脱落と脱出の違い知らぬままこの世の淵をさまよっている
春の野の逃げ水、昼下がりの驟雨 夏には夏の烈しさに降る
日曜の小川に沿った道でした 鴨も小鷺も帰った夏の
香枦園、海と川との汽水には渦巻くものが見えて夏の日
川沿いに歩いて下る散歩道 美術館までゆっくり歩く
あの人はどうしているかと訊かれても訊かれなくても寂しい明日
ポルトガルの洗濯女という風情 曇りのち晴れの空が青くて
泥川に川魚かしら鯰かしら一瞬ゆれて再び沈む
木々の影、魚の影も見えている 湖の岸近くの葦原
葦の葉をのぼる天道虫のこと 蜘蛛の巣作り見ていたことも
川鵜来て鳥の楽園伝説の円形の縛、縮めてゆきぬ
遠く去る鳥には鳥の歌があり水没樹林に降る雨がある
飛ぶ蝶の無数無声の映像の夕映えてゆく金の鱗粉
鱗翅目、蝶や蛾にある鱗粉の身を守るため赦される毒
六月のドナウデルタの葦原の水と光りと小さな魚影
ペリカンが上昇気流に乗って飛ぶ 桃色ペリカン灰色ペリカン
やがて陽はシュヴァルツヴァルトの森蔭に蒼い馬棲むその森蔭に
(今日の気分には今日の歌 他にはどうしようもなくて)
断片は断片として断片の断片でしかない夢を夢見る
墨色の壷の一に銀彩は隠れてしまう芒の穂波
台風が近づいて雨、終日の雨に降られて空木の白が
遠くから「暫」の声 暫くと声をかけたるものの見えなさ
映像と詩も夢をみる 異次元の入り口に咲く一本の薔薇
本能寺の変よりときは今にして田楽刺しになる心地する
蒸し暑い夜には理科と算数を午前3時の3chで
攻撃の背後にあった八割の支持を充たした奇妙な果実
せっかくの自由も空しくなるわけを少年の目は見ていただろう
金銭に代えられないというけれど金銭のこと量り難しも
計算し演出し演じてみせヒトラーがヒトラーになる一つの過程
ヒトラーのあの髪型の何分の一の狂気を分かつ私たち
今日は雨 雨の中にいる幸福を感じているか葉裏の蝸牛
日の国は火の国、赤く篝火が炎えて 望月に矢も放たれて
地下深く深く堆積滞留し核を守っているマントルよ
温泉は蔵王の含鉄釜の湯の湯の花の咲く蓬生のお湯
汚れなくイノセントであるということの 初夏の空の
春蝉が啼いていました新緑の萌える林の一本の幹
春蝉が啼く季、遠い日の夕べまどろむように沈む太陽
なんとなく残骸めいた掲示板 桔梗咲く頃削除しましょう
黄金色の麦藁帽子出荷する小さな町の小さな港
鮮やかな血の色に染まる基督のメル・ギブソンの映画も完成
私には見られないけれど意味はあるそのリアルには必要性が
退屈という名の病い果てもなく水没樹林の画像見ている
ある人は父をある人は母を亡くして母の日の雨
今日の日が無事に過ぎたということの続きに咲いて深山苧環
「右ゑちご左やまみち」道標の紫に猶暮れ惑う道
塩倉に釘は使わず 塩運び塩を守って千国街道
茗荷竹、茗荷の茎のすくすくと育って茗荷畑の茗荷
茗荷竹、アケビ、筍、ハバの蕗、木苺熟れて夏の五箇山
鋳型にて涅槃の釈迦はとられけり入道雲が見ている真昼
古典的に日輪一つ落ちてゆき薄桃色の夕空となる
大相撲夏場所がもう始ると 水面に光りさす隅田川
非表示の選択あれば埋もれ木の埋もれるままに朽ちゆくもあれ
フェルディナンド・フォン・ツェッペリン伯爵の飛行船 その中空の船
虚しさのかぎりもなくて赤い月 明け方に見る皆既月食
花水木はらはら散れば花筏 一期一会としたためよ歌
言の葉の繁りて散りて五月雨 メイストームの過ぎてしばらく
猫だって家出もするさ家出した猫が子猫を連れて帰るよ
屋根裏に蛇の脱殻、雀の巣 鼬も出入りした穴の跡
憂鬱に似た感情の夕まぐれ 気まぐれ気まま我儘の果て
川原にも陽が射し石に蜆蝶 ナンジャモンジャの花咲いて夏
東北に行ってみたいと思います角館とか太宰の金木
夏の日に剪定鋏光らせて花咲く花の咲かせ方など
いずこにか鋸菊が育つからもう枯れ始めているベンジャミン
花壇にも教育主事は入り来たりタチツボスミレの谷の群落
雨の日の竜巻、晴れのつむじ風 何の尻尾か見えて夕暮れ
誰だって海を釣り上げることは出来ない 海につむじ風
蚕豆が弾けて夏はもう間近 遠くでゆれている青い麦
やわらかく弦の音から始って木管楽器が続くその後
マーラーの『復活』を聴く演奏はルツェルン祝祭管弦楽団
流木が打ち寄せられて来るように悲しい心の切片もまた
妖艶な鐘馗空木の花が咲き 上水の夏始るらしき
いつまでも若く美しくあらねばならぬと『火の鳥』の婆
ファルージャは萌黄色に見える萌黄色の中の桃色の炎
まだ青い小さい苺が五つ六つ四月下旬の涼しい朝
眠くってだるくて疲れてしんどくてそんな日ばかりの春ではあった
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
シマウマの後姿を見ています夕陽に向かって歩くシマウマ
象がいてキリンがいて河馬がいて縞馬がいる 地球楽園伝説を継ぐ
金太郎飴よく見ればみな違う顔 それぞれに泣きそれぞれに笑う
春が逝く四月が終る蜜蜂の羽音が聴こえ蝶も生まれる
薔薇も咲き守宮も硝子戸を這って迷宮の森ひらくこの朝
竜川と書いてリョンチョン爆風に吹飛ばされた国境の町
前近代ぬっと顔出す春の闇 火山性ガス噴き出す気配
それぞれの中の戦争も終るから静かに頁閉じられてゆく
大方は主義や主張にあらずして多分表情筋の迷走
列島を寒波が襲う四月尽 春夜の夢に帰り紛れて
イラクへはもう戻れないとアナン氏が 紅砂の海に埋まる部隊
こんなにも殺風景になったわけ 紙風船のような黄のチューリップ
国境の駅のある町壊滅する黒い地蜂が群れて飛ぶ朝
すでにあるものなぞっているだけの危機という名の安逸の胡麻
ニューサマーオレンジ、小夏、日向夏 柑橘系の夏が来ている
宿題を残したままの20日間 風邪後遺症だるさがとれず
黄の花が終れば次は白い花 小さな虫喰いだらけの絵本
雨上がる林の道の腐葉土の中のドングリ芽を出す朝
漆黒の腐葉土ありて金色の朝陽の中の辛夷、木蓮
松毬や泰山木の実の集り 命果ててもなお生きるもの
「自爆する男」画面の金の花 田島征三、木の実のアート
地に落ちたヤシャブシ伊豆の海岸の岩に置かれて花咲く木の実
椿咲く、椿の赤や白の花 渚の水を水盤として
木の実って生命力の塊でゆえに滅びて後もつよくて
今朝落ちた木の実のうすいやわらかい明日花咲くばかりの花胞
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
知らされなければ知らないで今日の一日の画面の向こう
なま物の命を運ぶ春の月 花水木咲き躑躅も咲いて
突然に夏来るように最後の日 難読氏名の話題の続き
魂には晩年 亦来る春の終る日の風もない日に散るリラの花
でそれから誰が報道するのだろうそこに虐殺ある日の朝
「揺るがない」大統領と風の墓地 遺体七百埋まるファルージャ
花水木が咲きポピーが咲いているこの夕暮れの濁りゆく空
湿気のない爽やかな日で見残した桜も咲いて今日の一日
夕焼に染まって緋色の鳥となる熱帯雨林の鳥かと思う
ほの甘き千枚漬けの千枚の襞に隠れている赤唐辛子
長さんも弥七も逝って東京に四月の雪を降らせていって
これが春これが四月の気温差か雨が上がれば欅の若葉
折鶴蘭、ムラサキシキブ遅れ咲く薔薇の一輪 雨の日の雨
恐ろしい真実は唇が閉じたがって言えない 春浅く黄泉をゆく舟
木苺と射干の花咲く裏道の水のほとりの羊歯にも降る雨
朧月、卯月の空の月の暈 さくら花びら散りゆく刹那
花ぴらはもう葉桜のやまざくら透ける翠の白い花びら
孔雀はもう羽根をたたんだ月光の銀青色の夜が来る前に
街空に煙たなびき消えゆけり卯月の木の芽さみどりの苗
桜散る空掘川の河川敷 渡り鳥来て今年の春も
川霧がたちこめていたのは冬の頃あの頃すでに鷺は来ていた
雨の中咲いて仄かに匂う花 深夜零時に雨雲は去り
紫木蓮、白木蓮が並び立つ白木蓮から零れて落ちる
満開の桜が空に吸われてゆき吹雪となって散る地蔵堂
風もなくお花見日和 今頃はアークも桜祭りの頃か
晴れた朝詩人の誰がいなくてもさくらさくらと声低き歌
花が咲く季節は花を雪の舞う季節は雪を月は見ている
晴れた空が青かったから思い出す空の色
川縁に桜が咲いて待っている春の終りの雨が降るのを
夜になって雨 雨のなか走り去る時曳く雨の音
バイパスを作ったというバイパスの管を通ってゆく舟がある
白湯で服む薬のいくつほんとうの薬であるのか毒であるのか
木蓮が茶色くなって枯れている春に三日の命もなくて
明日はまた雨降るという三月の雪に変わってゆく夜の雨
モビールのイルカが泳ぐモビールを動かす春の風があるから
存在を主張している背表紙に別れを告げて今日の花びら
アルヤバン日本も次に標的にしているというニュースの一文
木蓮、辛夷、桜の莟 のんびりとした春の水曜
東讃の屋島、西讃の観音寺おなじ四国のサヌカイト哉
日本はテロと戦うということで警備の警官多数見かける
混迷を深めているねバグダッド レジスタンスは激しさを増し
なるようにしかならないのだし運なんだしって言って顰蹙を買う
ある時は死にかけていた琉金も春を迎えた奇跡のようだ
爛漫の春よ驕りの春であるよ昨日縊れた鳥もいた真昼
賑わいの市に背を向け山麓の道の傾斜をゆっくり上ると
山麓の南病棟、陽が当たり月も仄かに射してよいと言う
満月は一昨日だったそういえば花のもとにて春死ぬ烏
ぴったりと風がやんだね夕凪の夢のまどろみにも似たやすらかさ
水際に風が流れて風がやむ海岸線に河口にカモメ
洋燈に照らされている雪の日の硝子工房、運河のほとり
混乱は全て収束する形 終息までは言えない形
千年を眠るためには千年を眠れる言葉が必要であり
中和する形としての一章を今からそこに書き加えます
忘れているわけではないが忘れている他人事だった私にとって
朴の葉に餅を包んで藁蘂でとじて村の社の天狗にしんじょ
簡単にあなたも私も殺すだろう虐殺列島住人なれば
鳥、卵、山積みになり棄てられて 殺して埋めてヒト科のヒトは 
群像の絡んだ腕と腕と腕 乳白色の丸い眼球
アポロンが追いかける時ダフネーの指が木の葉に変わるその時
熊の仔は走る熊の親も走る 阿寒の冬は終ったらしい
砂漠に
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 16:19 * comments(0) * trackbacks(0)

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2006年1月-6/18


1 残された時間を生きるほかはなく花を眺めて歌を歌って
2 覚悟を決めよう 泥でも塵でも芥でも 命あるだけ命を生きる
3 六月十八日 今日は辛い日になった 石榴が割れるようにざっくり
4 煉獄のこの世を出でて蓮の花迎えるお釈迦様の世界へ
5 南無地獄 南無南無地獄 殺生の噂絶えざるこの世の地獄
6 四万斗の雨降りそそぐ梅雨の空 ゆきて帰らぬ鳥のいる空
7 梔子の雨に打たれて変わりゆく蜜蜂色に変わるその色
8 梔子と百合が開いた雨あがり 昨日の雨が茎をのぼって
9 そしてまた田村高広さんの声がする干潟の二重ドキュメントのナレーション
10 生きてゆく世界はいつも苦しくて 空ゆく鳥の喘ぐ 声無く
11 『一塊の土』思い出す芥川の 淡々としたモノクロームの
12 戦争に往かせないため目を刺した清作の妻のその物語
13 モノクロの映画でよかった鮮血の飛び散る様を見ないでよかった
14 この二人合うのだろうか「模範兵」清作と反抗的人間、情念の妻
15 あらくさのしとねに逢瀬重ねゆく 清作とその妻になるひと
16 『清作の妻』を観ている 亡くなった田村高広も出ていて若尾文子と
17 急速に興味なくしてゆくように言葉が消えてゆく夏の闇
18 銅に見る塩素の反応 黄の煙たちこめる試験管
19 「折り返し鍛錬」という鍛え方「繰り返し鍛錬」まで昇格する刀鍛冶
20 明日もまた暑さの中で働いて それが思えば格差であるか
21 スキャナーには頭蓋の形撮られていてシンメトリーの影絵のように
22 保護膜のように時間が必要で空間もまた必要ではある
23 いつだって変わらない時がめぐって深夜のルーシー・ショー
24 しとしととなお降る雨を喜んで蝸牛這う葉裏ありけり
25 六月の雨は静かに降るものを コサックダンスするような雨
26 ムツゴロウ泥の中にて立ち上がるそれが求愛の姿だという
27 たましいのさいはてに咲く花に似て火縄銃にも人の手が要る
28 春の夜の夢は幻過ぎゆけば シルヴェスター・リーヴァイ楽曲の誘惑
29 私の場合はここに抜け道があると思っていた真暗闇
30 蝋燭は今華やかに炎えていて 絵本の中の白鳥は死ぬ
31 今日一つだけいいことがありました 綺麗な声で鳴く夏の鳥
32 再放送を見ておりました なでしこや芍薬の咲くターシャさんの庭を
33 腹を摺るコギー犬ではあるけれど日陰を選ぶ花の木の下
34 この年になれば許されるというターシャさん 貴女ならいつでも赦されている
35 どんな日か忘れてしまうどんな日か 北北西に雲が流れる
36 その庭の紫色の勿忘草 ここにいるよと咲いてきたよと
37 もうここに何があるかもわからないそんな時にも水仙香る
38 九十歳のターシャさんは痩せてコギー犬のメギーは太って花の咲く庭
39 ターシャは言う 「春は奇蹟ね」花が咲き鳥が鳴きだす命生まれて
40 春は来る いつでもそれは突然に 緑がそよぐ 風が生まれて
41 ターシャにはターシャの時間流れゆき 黄金の明りのきらめく絵本
42 待つことに喜びがある 小机にスケッチブック開くその人
43 窓際のゼラニウムにも陽は射してターシャの庭の温室がある
44 雪の庭 ターシャの庭に花はなく暖炉に燃える薪はぜる音
45 金魚絵や菖蒲の団扇配られて 紫陽花もまだ咲き誇る頃
46 薔薇の木も瓦礫に埋まるとナレーション ヒルデスハイムの薔薇の閲歴
47 重力をもって飛ぶから凧 びゅんびゅんと今風を切る音
48 暴力は連鎖するという そんなとき攻撃的な競技始まる
49 この国は集団発狂していると ゴミを漁ってつついてカラス
50 毎日のように事件は起こるらし 親子が殺しあって梅雨空
51 小授鶏がチョットコイチョットコイって鳴いている雨が上がった上水の道
52 月光はなお燦々とふりそそぎ いざなってゆく夜の恒河沙
53 満天の星空、銀の河の水 天の柄杓を傾けて汲む
54 流星も蛍も虹もやませみもその山奥の村で見る夏
55 この夜の果てを旅してゆくような綺麗な軌跡描いて消えて
56 お隣に板坂さんがおりましていささか先生と言いそうになる
57 雨の日の雨のモビール透明の青のモビール雨の雫の
58 チョットコイ、チョットコイって小授鶏が 水色の尾の尾長が雨に
59 かたつむり、蛙、紫陽花、シャガの花 雨が好きなら私の仲間
60 熱っぽい今日は一日降る雨のこの密やかさ愛していたり
61 『さよならをもう一度』をもう一度 イブ・モンタンやイングリッド・バーグマンを
62 臆測が飛び交う風土 百年も経ってもきっと変わらぬ風土
63 多分あの勝気な人はそのこともすでに気に入らないのであろう
64 この頃はエレベーターもシャッターも殺人あるいは殺人未遂を
65 鉄焼ける匂いがしたよ 火事の夢 殺人事件の報道ばかり
66 第一の犯罪隠すためにある第二の場合の理由の詳述
67 中国の映画であって山奥の村をつないでいる道がある
68 三連の水車が回る川岸に木切れ集めて焚き火する人
69 このようにして六月の蟹遊ぶ 死者と生者を分かつ水際に
70 カクレミノ、隠れ隠れて枯れるまで その葉の蔭に瑠璃色の蝶
71 シュノーケル青蛙という全身が黄色い蛙や梟の話題
72 寒気団、心に入りくる六月の鬱々として楽しまぬ日の
73 説明の代りに流れる音楽があればいいのに何もないのだ
74 左手を息子の肩に置き歩く 木村栄文氏のドキュメント
75 藁屋根に灯ともる遠景に楡の枯れ枝、早春の雪
76 愛媛県の小さな町の座敷雛 初節句の子の雛を町中で
77 初生りの苺一粒ようやくに 延命地蔵の前垂れの赤
78 レンゲツツジ、ドウダンツツジ、山ツツジ 蜜蜂、蜜をあつめるツツジ
79 花がらを摘めば花がら山となり水盤になお数日生きる
80 塩山に大菩薩あり高原も三窪高原近くの躑躅
81 人工の花で覆った祭壇に虚ろなものの満ちる夕暮れ
82 やっぱりとみんなが思うその人が事情聴取を受けるその朝
83 復讐を遂げたる者のありやなし第七の封印解かれる朝
84 トリュフォーの「隣の女」グルノーブル郊外に住むひとりの女
85 木曽路には奈良井宿あり清水湧く中仙道の馬つなぐ石
86 その町は郡上八幡、湧き水の水の音聴く水の音楽
87 白鳥の雛が生まれる水無月の湖の岸、岸辺の家族
88 燭光が見えるようなら十字星 離れて光るあの遠い星
89 そろそろかまだか諸株は崩落し明日の行方はまだ霧の中
90 無理矢理の分離が起こり血が流れ分離不能なもののゆくさき
91 世界には破壊願望あるらしく世界とは神であるかもしれず
92 世界同時株安再び 再建の途上にあって危うき足元
93 天上に吊り上げられてゆく船があり再び落下する船があり
94 失速をしている日本経済のこの先にまだ何があるのか
95 希臘には希臘の青があるようにヒマラヤの空映す青い芥子
96 気まぐれで生きているとは思わない 夏咲く花は夏に逝くばかり
97 西空に夕日が沈むその後は小曾根真のボレロで終わる
98 いま雪が降ってほしいな見てみたいな 冷たい雪の切片などを
99 今月ももうお終いということにまたもどこかで傷ついている
100 眠くって眠くて半分死んでいる 十五時を打つユンハンスの時計
101 雲仙の峠道には桃色のミヤマキリシマ咲いて朧に
102 六甲は滴る緑、初夏の海の光りの中に兆す死
103 あのひとも今さまよっている死線 海の光りを見る白い部屋
104 切ないねみんな誰かに育てられみんな誰かに見守られて逝く
105 沖合いに浮かんだ大きな貨物船 係留されてだるま船もゆく
106 はしけが曳く本船であるだるま船 万世橋のたもとに舫う
107 夢みれば夢のまにまに立つ影の小さくゆれて傾いだ影の
108 切なさを今見ています牡蠣舟と水辺の葦と降る雨の川
109 折からの雨に濡れていた泥の道 右と左に分かれていった
110 希望もなく目標もなく生きてきた 何かが私を助けてくれた
111 第四章「きのうの雨」が好きだった 菜月さんの歌集『空は卑怯だ』
112 大切な時間が過ぎているはずの今をどうしていいかわからない
113 「吾輩は文豪であって悪霊ではない。」と、主婦みどりなる漱石居士は
114 欲しいです雷蔵映画のDVD 「炎上」「ぼんち」「ある殺し屋」など
115 狂四郎シリーズなど観たいもの 円月殺法、月光の青
116 メイショウサムスン勝ってダービーも終わりいよいよ六月、水無月に向かう
117 木はのぼり木は広がって密生す ジャスミンの木の香る三叉路
118 降るような降らないようなとある日に 三叉路の家のジャスミン香る
119 雨上がる 烏がそれを告げている 等間隔に啼いて晴れると
120 パリの空の下セーヌは流れ♪フイッツジェラルド夫妻の背景に流れ
121 500円のDVDで見ています『グランド・ホテル』『雨の朝パリに死す』
122 太陽を孕んで産んで殺したと神話の女なげく雨降り
123 雨降って雨降って雨降って 降って私の心も濡れる
124 ブルーベリー、苺、チェリーのケーキなど 鴇色の灯が誘ってやまぬ
125 「恐ろしいのはお前の心」鶴屋南北の見た人の闇
126 その手紙見せよと迫る鬼女がいて 脚曳き歩く歌舞伎の女
127 降るような降らないようなとある日に 三叉路の家のジャスミン香る
128 さて歌も書かずはなりて候ほどに『一体二つの命ならずや』
129 退屈とたたかうために人生があるわけじゃなく木漏れ日の土曜日
130 少年の童心もちて夕茜 空と水とのあわいに染まる             
131 もう遠い昔のことだ過ぎ去った水の流れと時間の記憶
132 遠浅の海へ流れる川がある 昔遊んだ海と砂浜
133 その町の白い教会、異人館 蔦が覆っていた空屋敷
134 教会にあった小さな尖塔が夕日を浴びて輝いていた
135 山があり川と林と海があり 酒造会社に湧き水があり
136 遠くからでも見えた赤い屋根 鳥が運んだ実が育つ家
137 その町の砂を含んだ感触は松林まで続く感触
138 その日から現在までを俯瞰する望楼などはどこにもなくて
139 暖炉には火が燃えていて冬だった あなたが生まれたその年の冬
140 また無理をしている せっかくの気分をそして台無しにする
141 風吹けば風の歌書き雨降れば雨の歌書く今宵雨の歌
142 今年もまた同じ日の朝咲いている梅花うつぎの白い花房
143 復讐の雨降ることもあるような 川の流れの濃く深き淵
144 警察に復讐するということもあるのだろうか事件の背景
145 復讐的犯行として犯人と特定されるその家のX
146 人間という名の修羅の鬼子母神 <子盗ろ子盗ろあの子が欲しい>
147 特別に哀しい結果生むような花の明かりもない五月闇
148 たゆたって生きて虚しい日暮れどき逢魔が刻に華やぐものが
149 体調の不調なんかも言い訳に 午前が終わり午後過ぎてゆく
150 物事の処理能力に欠けている 読むべき本も積んで久しく
151 夏に病む母であったと今思う 夏の別れは短かかったと
152 水濁り水は流れる浮橋を叩いて夏の川は流れる
153 その知らせはいつか来るはず その日を恐れその日を思う
154 蓮池から今垂れている一本の糸に縋って救われたくて
155 カンダタの蜘蛛の糸です銀色のか細い糸が垂れて蓮池
156 人間の中にも深い洞窟や砂漠があって翡翠の泉
157 「欲望」のヴィヴィアン・リーもM・ブランドも銀河の彼方だれもいなくて
158 桜の湯、桃の湯、そして茉莉花の湯 日暮れになれば淋しきものを
159 人間てさびしい存在なんですねいつか必ず死ぬ私たち
160 巧妙に隠されている思いでも伝えてしまう波動粒子が
161 フラミンゴと言えばブランチの『欲望という名の電車』のホテル・フラミンゴ
162 フラミンゴ色にやさしい花びらの数葉を巻き起きあがる朝
163 どこまでも遠くゆらいでゆく火影 失ってゆく時間の記憶
164 燭台に赤い蝋燭立つように紅花橡の木、落葉高木
165 画面では霧の中厳かにレクイエム流れラクリモサ流れ
166 ヒトツバタゴ、なんじゃもんじゃの木の花の白く地上を染めて夏の日
167 失敗に人は懲りないものであり懲りたところで失敗はする
168 傍らを通りすぎてゆく人生に その大袈裟な帷子を脱げ
169 懐かしい思いは常に一定の容量を持ちあなたへ向かう
170 午後からは病院にゆく 曇るもよしいっそ止まない雨もまたよし
171 浅草を歩いた荷風山人の日々の天気と日々の足跡
172 先行きは吹雪であるかもしれぬゆえ 非情な時代の美しき危うさ
173 東証の株価指数も崩落し冷気漂う 夏になるのに
174 無患子(むくろじ)の実で羽子板の羽根を作る 今朝のTV の荻窪散歩
175 夜だから霧が湧くから雨だから理由は何でも風の扉開く
176 風が奔り月の仔馬が走り出す 翼を持てばペガサスとなる
177 幸福は第一楽章ではなくて第三楽章あたりに芽生える
178 私の今一番の友だちは小曽根真のピアノ きっとね
179 音楽と時間と怠惰 それだけですでに半分癒されている
180 私には一人の時間があるけれどもし無かったら・・・恐怖ではある
181 私に色があったら色を描き音があったら音を書くのに
182 歌などというもおこがましい徒然の日記に過ぎない気の葉言の葉
183 半分は私の心も病んでいて そのため書いている歌かもしれない
184 恋に狂い花に狂っているような 二人椀久、保名のような
185 木陰から木陰へ移動してゆけば蜜蜂が来て薔薇に触って
186 えごの木はちしゃのき、野茉莉、Japanese snow bellとも呼ばれサポニンを含み有毒という
187 誘拐を怖れることもないらしき 唯懼れつつ見ているばかり
188 第二楽章弦の音から始まってピアノへ 祈りのように移りゆく過程
189 『題名のない音楽会』で聴いたのはフジコさんの弾く繊細な《皇帝》
190 とても長い歳月が流れ 音を視る力を失ってゆく歳月が流れ
191 えごの花また咲く季節 木の枝に地に水面に二度三度咲く
192 雨ののち黄色く咲いて棕櫚の花 むっくり起き出した亜熱帯
193 雨の日の川の岸辺にエゴの花 稚魚も成魚も消えた水辺に
194 雨の中うすむらさきのシャガの花 白山藤の樹の下に咲く
195 疎水には風も流れて飛び石の庭につづいてゆく小径あり
196 錦鯉たくさんいたが今はいない雪解け水が流れていた町
197 生成の秘密、偏見あると知る 幾千年の時が流れる
198 雑草の伸び放題の逞しく 地を這うものは滅びを知らず
199 清浄無垢 私たちにはそれがない 絵巻の中に雪月花あり
200 この花は知ってるだろうか私たち人間がどんなに沢山人を殺したか
201 何をするでもなくて日が暮れて ぼんやり浮かぶ白い満月
202 雨雲の動きをヤフーで確かめる 伊豆上空を通過している
203 遅生まれ低気圧ゆえ迷走し力弱くして洋上に去る
204 五月闇 雲が覆って月もなく花の明りを見ることもなく
205 五月半ば薄曇る空暮れかかり 花の明りも木の下に消え
206 牛、豚、鶏、鳥獣の命を喰べて地球を荒らして
207 例えばヒロシマ・ナガサキ、例えばアウシュヴィッツ、数限りなく
208 どれほどの人を殺してきたのだろう21世紀までに人類
209 橡の木の花は似ているルピナスに 樹の中に灯る白い蝋燭
210 悲しいくらい明るい陽が落ちて海はまもまく金色となる
211 アレクセイと命名された犬でさえ 狩の時間も眠ってしまう
212 それぞれの時間の中で生きてゆく 午睡の時間過ぎて翳る陽
213 モスクワとぺテルブルクを行き来する 孔雀時計は兄を示す
214 この世にはとても幸福な人がいて祝福された人たちがいて
215 いつまでか此処に彼処に飛び散らう魂の幾つか 青蛍となむ
216 時折は紙片のような蝶が来て 遥かな時を伝えてくれる
217 骨董の値打ちはひとつ今を生き今を感じる器であること
218 空木咲く季節にいつかなっていた 花明かりする上水の道
219 霧雨が上がれば夏の上水か 夏の扉が開く雨の朝
220 双頭の鷲の国から流れ出て薔薇の刻印背にさまよって
221 雪の降るぺテルブルクの片隅で1907年と刻印されて
222 クレムリン宮殿のあの葱坊主 騎馬連隊の青い制服
223 死の方はできれば御免蒙りたく されど我儘通り申さず
224 私は多分望んでいるのでしょう 夢の中なる一生午睡
225 選べば選べるかもしれない 「生涯連休」望まれますか
226 まだ蕾、蕾ばかりの紫陽花と 蝸牛這う櫟の若葉
227 六月はまだ紫陽花の片陰に眠り 漠然と不安のみ白く
228 新しい地平が現れても黄昏はここに 紫に空を染めて
229 退屈な午後ひとときの軽やかさ小曽根真の<ジュノム>カデンツァ
230 何か一つ突き抜けてゆくその時に手応えがある硬質の触感
231 『日曜日の朝』という絵の六匹の猫と出会った秋の日の画廊
232 踏み潰す相手がだんだんなくなって巨象の大足置き場所に困る
233 次期総理に安倍氏がなれば明らかに危険が増すと思うしかなく
234 ちゅんちゅんと雀が鳴いて薔薇咲いて良い雨が降る五月の朝
235 そのように過ぎてゆく日のありやなし 武蔵野の果ての逃げ水
236 あれは夢?そう夢だった何もかも全ては夢の出来事だった
237 福音書の一節に言う忘れがたく <怒りのために罪を犯すな>
238 重なって重なってゆく音韻のさやかに平安京の名残りの
239 琴弾浜その白砂の白よりも白き馬立つ八朔の馬
240 海辺には海辺の町の風習が 端午の節句と馬の節句と
241 馬節句、白馬の節句 八朔の団子の飾り馬の懐かし
242 帯止めになった私のお祖母さん 箪笥の一番右の抽斗
243 白珊瑚 珊瑚の海の薔薇の精 小さなピアスになってしまった
244 海蛍、いいえ私は蛍烏賊 青く光って漂う生体
245 ウニ、ヒトデ棘皮動物荒金の針千本に似ぬ柔らかさ
246 烏が鳴きまた現実が戻ってくる カクレクマノミ隠れ家は無し
247 足跡のほかには何も残さない その足跡も波が消し去る
248 そこもまた一つの故郷 黒アゲハ樹間に消える大菩薩の道
249 白樺とツツジと高く飛ぶ雲と 甲州市とは塩山、勝沼
250 行き暮れて見上げる空の太陽の白く翳りて墜ちる幻
251 春紫苑咲いて陽あたる道端に信号待ちをしている犬よ
252 なんとなく疲れきったという顔の老犬がいて黄金週間
253 鈴蘭の白、空白の時間あり 「鈴蘭の日」という五月一日
254 夏草の茂る廃屋 太陽が今薔薇色に染めてゆく海
255 雪が降り不協和音が奏でられ舞台にはまた時間が巡る
256 何かしら嘘の気配が濃厚で 夏の雲湧く螺旋階段
257 つくづくと薄情者で非人間 それが私と雨を見ている
258 白樫の間に黄薔薇、蜆蝶 こわれた船の部品の木椅子
259 残されて一人の川を越えゆけば都大路の桜かがやく
260 母の手が取ったであろう黒電話 二十年前その部屋にいて
261 はつなつのひかり放って今日の川 小鷺も鴨も消えた用水
262 具体性なき歌を書く私の具体性なき日常である
263 夢があり夢の色した街があり薔薇色の海を見ていた昨日があった
264 いかがわしい明日であればみんな纏めて引っ括られる覚悟はよいか
265 出獄の許可あり出獄する人あり 「共謀罪」論議なくして成立の運び
266 常夜灯一つ残して幕は下り舞台の上の光りも消える
267 金色の鳥籠に似た天蓋の線と鎖と光りの渦と
268 半眼の河馬の一日 終日を水に浸かって何を想って
269 愕然としている 何もかもなんと迂闊に過ぎたことだろう
270 手紙を書く 手紙嫌いの私が タンポポのいま綿毛が飛んだ
271 『炎を孕む』蔵本さんの歌集が来た 白い孔雀が炎となって
272 花終わる季節であれば花疲れ 四月最後の木曜の午後
273 蟹味噌と洗濯物もお土産に新入社員研修終わる
274 歌いたくなくなったのなら歌をやめればいい牛蛙来て牛蛙啼く
275 ヤマボウシ、ミズキいずれか上水に 胡蝶のように 落下流水
276 遅れ咲く紫木蓮にも陽があたり 遠い記憶の中の歌声
277 誰かが語り始めると夜が明けるという 聞き逃しているかもしれない私  
278 まだ少し眠り足りない猫柳 橡の若葉が生まれる朝
279 寒暖の二つの季節摩擦する 空がこんなに悲鳴を上げる
280 落ち込んでいます地蜂の溺死体 水溜りには今日も青空
281 中村屋! まだ暮れ残る春の空 舞台には猶舞う紙吹雪
282 明らかにここ過ぎてゆく落ちてゆく卯月の雁を眺めておりぬ
283 ヤコブ病、認知症との境界の曖昧にして不明の構図
284 人間を殺してしまうためにある 全世界的儲けの機構
285 古山の楮、三椏、漆の木 千年和紙の里に星降る
286 まだ何も変わっていない地球にはシュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星近づく
287 権力が仕掛けた罠と生贄と 堀江貴文まだ塀の中
288 移動性高気圧が呼ぶ花や鳥 人の動きも忙しくなる
289 水色の空に光りの泉あり 空の楽譜を奏でていたり
290 透明な天使クリオネ別の名をハダカカメガイ肉食の貝
291 残された時間もなくて成し遂げたい夢もないから日常である
292 生きてゆく手立て一つも持たないで この世に生を受けて飛び立つ
293 純粋といえば純粋プリシラは 極楽鳥のように純粋
294 一日の終わりは早い 散り急ぐ花であったと時間を思う
295 何事もなくて幸福 それぞれの虚しささえも幸福の徴
296 火山性微動、空には地震雲 そのようなことになりませんように
297 じわじわと感染してゆく牛がいて ホモ・サピエンス春の朦朧
298 本日は休日なりの看板を掲げて花のかたえに休む
299 何一つ変わっていないつまらなさ敵と味方を取り違えても
300 天空に大いなる虹または塩 葉っぱに乗った水滴の虹
301 天上の銀の塩降る砂時計 蛞蝓を消すゲームだという
302 曇り日の空の下には上水の花を集めてゆく花筏
303 この辛夷今年は花を咲かせない 去年伐られた兄妹の樹よ
304 橡の木の目覚めはとても明瞭な目覚めであるから天を突く芯
305 動物は多分死にたいと言わない そのせいだろう綺麗な瞳
306 どこまでも遠くゆらいでゆく火影 失ってゆく時間の記憶
307 密林の奥に潜んでいた虎が火に追われている カンボジアの赤い土 もちろんこれは映画の話
308 孤児になった迷子の虎がいて まだ乳をのむベンガル虎で
309 今危機を脱出したというように逃がしてやりたい森の奥へと
310 幸福の記憶鮮やかに甦る 青空の下咲く花水木
311 眠り病かもしれないと思います 身体の中に眠る春です
312 生きていることも生きていないことももしかしたら同じ月の裏表
313 忘れたいことや忘れるべきことに足をとられて躓いている
314 前世を占う人の多くして末世があらば末世であろう
315 胸騒ぎする夜があり朝がある 禽獣を抱く森に風立つ
316 花びらが吹き寄せられる汽水域 海と川とが相会うところ
317 ジャングルに残っているのはナマケモノ 水没ジャングル泳いで渡る
318 立ったまま眠る大木 森の木々 水没ジャングルアロワナの森
319 好きなのは水没ジャングル いえ水が何より好きなだけかもしれない
320 大陸がそこにあるからこの空に黄砂が舞って春の日本
321 現実と少し違って繊細な虚数微妙に配合されて
322 木々の間に光を追ってゆくように 声追うばかり鶯はどこ 
323 深夜にポール・マッカートニーLiveを視る ブラームス2番に続く放送
324 華麗なる春がゆくとき一斉に芽吹きはじめる夏の草木
325 繊毛は何を探してそよぐのかミカドウミウシ裸鰓目
326 寄りかかるところ失くしてヤドカリのヤドカリとして終える一生
327 学校の兎は死んだらしいという 兎のいない校庭の小屋
328 いつのまにか飼われていたよ その兎 誰にも望まれないのにいつか
329 落ち着かず眠れない日がありまして不安のようなものがよぎって
330 木の枝に木の枝が触れて告げるでしょう 季節が変わる四月の朝
331 十重二十重取り囲まれて藪の中 現実というしがらみの中
332 実存を鷲づかみする方法を知っているって言ってましたが
333 爛漫の春の光の青空に 紙飛行機の一つが消える
334 誰も最後は知らなくてただひとときの夢の波照間
335 花散らす雨が降るから湖に小舟もなくて春のみずうみ
336 いつまでの桜吹雪か生きて逢うこれが最後と四月の吹雪
337 金色の浄土とも見る大乗寺、開け放つ時、応挙の伽藍
338 雨の日に晴れの日に咲く花があり 花を揺らしてすぎる風あり
339 長く長く生きてみるのもよいものと百歳の翁笑みつつ語る
340 昨年の秋、叔母が死にわが家の私までの血脈終る
341 格差あり格差の下のその下の下に溜ってヘドロとなって
342 .世の中は弱肉強食 食されて砕けて消えた命だろうか
343 寝台に埋もれたままの一生が穏やかに過ぎ 逝きて春の日
344 羽の無い白鳥に似て野鴨にも劣る存在 オブローモフよ
345 双頭の鷲が統べていた帝国の地方貴族のオブローモフは
346 埃及の王墓の壁のレリーフに猫の手らしき肉球の跡
347 一瞬に昇華してゆく命あり トリノ五輪の花となりゆく
348 あの世から見ているような写真があり生前、死後を渡る精霊
349 生きるともいえない生活ともいえない鵺のようなる生の実体
350 わが内の鳥獣戯画を完成し涅槃の釈迦のそばにやすらう
351 死んでいた あなたの大事なあの人は 墓地には小雨が 映画の話
352 春の日が窓越しに射す館内の小さな白い動物の骨
353 一週間前まで元気だった人 敬礼をして去るように逝く(追悼・久世光光彦)
354 どくどくと血潮見せれば怯えよう 桜咲く日も散る日も淡く
355 だらだらと過ごしていれば日は移り花咲き散って日も暮れかかる
356 白色の鶏走る庭にして 生々流転、死の側に入る
357 そういえば他には思いようもなく束の間の生、束の間楽しむ
358 リアリスト牛くんの教え現実を受容すること幸福の掟
359 ビッグママ、羊が連れられて行ったのは七面鳥が炙られる朝
360 一言を聞き逃したらその後は百万年後の夜になるはず
361 賢明な人なら解る偽善でも愚かな私たちには嬉しい
362 虹色の毛糸玉であるそのわけは鼠の合唱隊のご所望
363 転がった毛糸玉にも行き先があって運命みたいに
364 演説が上手なアヒル 「助けてほしいんだよブタくん」
365 犯罪を企む家鴨の共犯者 お馴染みのベイブの出番
366 何という悲しい朝が来ているの 遠い水面に落ちてゆく雨
367 小忌衣(おみごろも)得体知れない衣装なれど義経が着れば貴人の衣
368 だんまりのような春来て薄闇を動く人影、散るさくら花
369 ひとたびは生まれて生きた命ゆえ終の日までも花を見んかな
370 地震来てゆれているのを感じながら遠野の雪の画面見ている
371 今日咲いた花が明日は散るのなら人の命は長いとも思う
372 花に嵐 さすがに風も吹いてきて夜には雨も降り出すという
373 「ふるさと切手・近畿の花」 枝垂桜の白き憂鬱
374 鹿の絵の郵便切手10円の切手の中の草炎える春
375 結局は苦しいだけの延命を選びたくない私ならば とは思う
376 九州で地震があった。震度5弱 春の列島ゆらぎはじめる
377 生命は海に生まれて海に死ぬ 海鳥→魚の危険を思う
378 海鳥が大量死して流れ着く 海にウイルスなければいいが
379 美しさ際立っていて誰よりも妖精に似るキミー・マイズナー
380 あの頃は見知らぬ町の見知らぬ川 その川の今ほとりに住んで
381 南天荘書店ってあの頃ありました 震災後の駅をまだ知りません
382 六甲の八幡神社のその社殿囲む緑の中の鳩たち
383 架橋駅、阪急六甲 急行とバスの背中が・・・ 遠くに海も
384 死に上手 白木蓮の咲く頃のとある日暮れの落花のように
385 桜咲く 春の心は朧にて衆院懲罰委員会の質疑は続く
386 感情を剥き出しにして磨かれてその牙高値で売られておりぬ
387 コヨーテは橋を通ってやってきた 風は深夜に駆け抜けていた
388 柳田さん吉増さん本当の学者や本当の詩人 瞳を見ればそこにあるもの
389 言葉にも日溜りがある 日溜りに土筆んぼうが顔を出している
390 まんさくの花が咲いたよ花言葉は「呪文・霊感」春の先駆け
391 原爆と等価交換されていた天皇制の存続が今
392 生死には関わりもなき病にて無病にあらぬ 人の世疲れ
393 危うくて危うくなくて時は春 やさしい風となる沈丁花
394 何事もないように来る春があり 蕗の薹出る陽だまりがあり
395 紫の花大根や菜の花の咲く春が来て 春がまた来て
396 当然のように季節はめぐるのに 桜大樹は伐り倒されて
397 wbn Ra m pt太陽神ラーが昇って天空へ ヒエログラフの鮮やかな鳥 
398 白漆喰、千本格子、虫篭窓 光があれば影も生まれる
399 憂鬱になるきっかけはどこにでも ふっと嫌いな名前を見たり
400 野火止の土手に桜が咲いていて鶯の初鳴きも聴く三月半ば
401 ブナの樹が吸っているのは白神の千年の水いのち継ぐ水
402 母の樹の樹皮から生まれ育つ苗 千年の時湛えブナの樹
403 古書店に「氷の宮殿」の原稿が流れていると村上春樹氏
404 どうしようもなく気分が悪いこんな日はどうすればいい 低気圧のせい?
405 新田次郎、藤原てい氏のご子息と伺いましたが不思議な言辞
406 精神のヤコブ病かもしれないね藤原正彦氏の説く日本の伝統
407 いいですとまた断っている声が聞こえて今日の春日は暮れぬ
408 押し倒し蹴倒し前へ前へ進む集団があり身を引く自転車
409 或いはそのひしゃげたブーツの中にでも 小人を隠した森の中にも
410 しかしその世界がどこにあるかしら向日葵畑の向日葵の種
411 本当は世界を一つ創造し世界を一つ葬ることだ
412 墓地近き蜜柑畑やオリーブの畑にも降る春日照り雨
413 耕して天に至るという村の蜜柑畑にも雨降りやまず
414 雨降っていますね雨が花びらがどこかでひらきはじめていますね
415 花びらを散らして春の疾風吹き九道の辻を巻くつむじ風
416 花びらは去年の花を漬けたもの塩漬け桜の花びらである
417 縞々のPさんちの猫がいて桜の花を食べたいという
418 おそらくは世界は背中で裂けている 一筋の血が流れ始める
419 フィジー諸島、イロイロ大統領を選ぶ3月8日ネットニュースに
420 憂鬱がそこまで来ていて立ち止まり窺っている黄昏の垣根
421 疲れ疲れ疲れ疲れて足跡も残さず去って夢の負い紐
422 半分は崩れたままに身をさらす 西の館の分れと呼ばれ
423 樫の木の樽の中には芳醇な葡萄酒ねむる冬の地下室
424 みなすべて普通のことと思いたい 変わらぬことも変わったことも
425 結局のところ財力なのであり高きところにハイデルベルク
426 渦巻いているのは汚れ塵芥 春の川面に泡立つ濁り
427 何がこう悲しいのかもわからないだけど悲しい時があるよね
428 それらの全てが夢であったと解ったのはずっと後 醒めてからしばらく後の
429 それがリアルであるために幾つの山川抜けて春来ぬ桃色の
430 川霧の中に白鷺立っている 三月五日、雛の日も過ぎ
431 花歌会、冬には冬の花が咲き春には春の花が咲くこと
432 白鳥の大量死する映像や「へたり牛」なる牛の映像
433 鳥類の悲惨は続く 白鳥が今朝十万羽焼却された
434 軽蔑の心が生まれてくることをとどめようなく嘴太烏
435 違和感の塊となる気がしている微分細分したる大鋸屑
436 インフレの足音だって聞こえてくるこの先の道が怖いね
437 姫神が担当していたふるさとの伝承シリーズその音源に関わる
438 真実の深い心で話せたら 消えてしまった砂の風紋
439 生きてゆく場所が違って青空の飛行機雲の線も崩れて
440 残された記憶のような一本のほつれ始めた機のより糸
441 紡いだり縄をなったりするように荒れた大地を耕して春
442 歌声は深く優しく響くとも諸行無常と鳴る鐘の声
443 哀しみについては既に語れない 檸檬の苗木育つ裏庭
444 湖に花びら流れ岸近く渦巻くものも見えて春の日
445 何事か変わった気がする二人にも長い時間がいつか流れて
446 明日また楽しい夢を見られたら 半年という試練の後に
447 それにしてもこの羊たちはどうやって演技をしたのでしょう それから豚も
448 人間が考えることは唯一つ 働かなければ食べてしまうよ
449 生きている間は豚で死んじゃえば豚肉になると 猫が教える
450 ポークとかベーコンになると教えている 性格の悪い猫だと名指された猫が
451 「おやすみママ」 ベイブはフライを母親と思っているのか おやすみベイブ
452 狼は羊を殺した 青草は倒れた羊の血で汚された
453 敷藁に臥せっているのはママ犬のフライ 友だちの羊が死んだ
454 犬が追い羊が逃げる牧羊豚ベイブがお話ししている間
455 狼の一族だった犬などとはそこが違うと諭されている
456 言語機能劣った羊に向かってはゆっくり優しく スローペースで
457 ボス犬は同居している牧羊犬 黒毛のフライそしてレックス
458 ベイブ君今日は大活躍なのです羊泥棒から羊を守る
459 ベイブにはしっかり者のボス犬が見守っているから大丈夫だね
460 教育が絡めばまたも怒りだす人がいるのさ弥生の春に
461 うわばみがいるのでしょうか 膨らんだ御腹に詰めた蛙でしょうか
462 そこにあるブラックホール 呑み込まれ消えてしまった私の歌
463 無関心な人々がいて湖の透明な水が映す青空
464 今夜には雨が降りだす模様ゆえ白鳥はもう姿を見せず
465 天皇という矛盾あり存在に絶対矛盾があって統合を欠く
466 海近い道ゆえ砂を含む道 芦屋、魚崎 今は昔の
467 光る風 浜に吹く風 きさらぎの終りとなればボートもあらず
468 「夏頃に孫が生まれる予定なの」 放射線科に入院の報
469 生きる希望 死ぬ覚悟をも越えるから 豌豆の芽が今育つから
470 塔があり教会があり川がある 海へつづいてゆく松並木
471 エストニア生まれの果実 エストニア土産の絵皿ならここに在り
472 あの川のほとりに建っている教会 白い小さな教会の塔
473 舞台にはロシアの雪が降っていて 架空の雪といえど生雪
474 何事にも既に動かされなくなっている 連翹の一枝に花
475 面接は終りましたか新卒の求人広告すでにしてゴミ
476 どんよりと緞帳下りるそのように雪の匂いをさせて曇り日
477 空白の時が待ちうけ空虚より他には風も通らない道
478 ここより先何も無いっていうときに 海か山かへ分け入って行く
479 前へ前へ進んでゆけばいつかしら進めぬ時に直面もする
480 金色のあるいは青い透明な海に向かって桟橋に立つ
481 共感はできないまでも理解ならできると言って理解の限界
482 「希望、血潮、トゥーランドット」 カラフ王子の答えた言葉
483 治郎氏が次郎氏、となる一行に春の斑の雪の足跡
484 潮満ちてくるらし春の魚のぼる汽水域あり春の河あり
485 水仙の花が咲いたら春だよと尾浦へ抜ける崖で老人
486 午後からは雨降るというその通り春らしくもない冷たい雨が
487 鳥籠にあなたは眠り鳥籠にあなたは目覚め 鳥籠の時間
488 ニコライの治世の終わる頃出でて帰ることなき懐中時計
489 ヒロインのアンナの胸に吹く吹雪 『欲望という名の電車』へとつながる
490 原作を読んでみたいと思います 家出老人レフ・トルストイ
491 最後には光の中へ消えてゆく光りとは闇の終点
492 約一名、不協和音を歌う人 キティそれは現代音楽風のアレンジ? 
493 松井るみ その人の描く色彩と線の繊細さと大胆さ
494 シンプルな舞台美術の真髄を僅かな素材だけで見せている
495 冒頭に、ラストに雪が、人工の雪降りづづく『アンナ・カレーニナ』
496 劇場を出たらまた雪 ラストシーンの続きのように
497 精神を病む人多い春真昼 異形の鬼の立つ交叉点
498 母親が捕らえられたという続報 以前にもあったね園児の母が
499 小さな子がまた刺されたというニュース 午前九時過ぎの滋賀県の事件
500 十分な捜索をされることもなく海底に 多分そのまま海の藻屑に  
501 紅海に沈んだ船のそののちの数百人の行方不明者
502 この世のこと何事も思うようにはなりませぬ バオバブの種に水遣り
503 永遠の不死を願ったエジプトの眠るミイラの華奢な左手
504 クローンで復活することさえもある三千、四千年前の死を超え
505 人生は長く苦しい旅であり時に儚い夢でもあって
506 国民のために開いてもらいたい天皇陵という古代への扉
507 皇室はおそれ多くもかしこくも触れてならない神聖家族?
508 許されることがあるなら次の世の徳仁天皇の時代だろうか
509 「男系の男子のみにて相続」の荒唐無稽、天照笑う
510 「箸墓のもとに戦う」壬申の乱があり 卑弥呼の墓とも言われる箸墓のもとに
511 レプリカの剣を祭るそれもよし三種の神器というただ徴ゆえ
512 ラムセスやクフ王の墓、発掘し天皇陵はなぜ開かれない
513 不確かな歴史の闇にさす光 御陵に眠る古代史がある
514 古代史の解明のため国民の総意のもとに御陵を開く
515 天皇陵。とりわけ仁徳、応神陵  御陵を開ける時が来ている
516 午過ぎの懈怠だろうか春ゆえのだるさだろうか理由なく頭痛して
517 春の鬱 微熱とともにくるだるさ しばらく身体を休めましょうか
518 四字熟語「天真爛漫」「支離滅裂」「臥薪嘗胆」←最後の、それが運命
519 燭台を盗んだ男に声かける神父の歌の心しむ優しさ
520 「大奥」と「チャングムの誓い」の共通項 厨房から世界を覗く
521 追放も毒殺もある 政変とリンクしている宮廷のたたかい
522 奪われぬためには奪うこともある宮廷女官チャングムの世界
523 そしてなお続く政争、新王朝 阻止し奪取し擁立もする
524 昔読んだ『貴族の階段』 舞台裏の駆け引き、策謀、政略、陰謀
525 宮内庁、官邸、東宮、秋篠宮邸、皇居もまじえてドラマがあった
526 それよりも明日の危険は年金の給付見直しだったりもする
527 使用済み核燃料や肉骨粉 身辺危険材料ばかり
528 故に血をもって尊しとなす考えをそろそろ考え直しませんか
529 天を分け地を分け争う原因の一つとしての血の哀しみよ
530 半分は群馬の商人であり半分は和歌山の百姓であり半分は村上の下級武士であり
531 万世一系と言っても、薄まった一系でありさらに薄まる一系である
532 などと一生問うことも思うこともない雪のさらさら
533 何よりもかけがえの無い価値の一つ自由であるとはどういうことか
534 柔らかい差別ではあり微笑みに似た儚さであったりもする
535 だからってどうしようともどうなるものとも思いませんが
536 日本の社会の差別の原点に天皇制があることは確かで
537 御懐妊一色となる日本のマスコミであり国民であり
538 積雪のある日のニュース その雪のように寂しく聞く人もあれ
539 東京に今年二度目の雪が降り 多摩には少し積雪もあり
540 そしてまたマスコミ狂奏曲起こり これに乗じて忘却を願う人あり
541 望まれ願われ企まれて粛々と終わった一つの完全犯罪
542 「アル・サラーム98号」紅海に燃えて沈んで多数の行方不明者
543 超音波診断結果の発表は その日を迎えるまでないのでしょう
544 争乱の火種は尽きぬことといえ再び起こる壬申の乱
545 輪をかけて男系、女系、姦しく内閣、世論二分してゆく
546 秋篠の宮に男子が生まれたら 皇位継承のことは如何にと
547 演奏の途中で弦が切れるより悲惨なるものではないのでしょうか
548 この雪がしんしん積もりどこまでも町を埋めて降りつぐでしょう
549 ヒルズ族は額に汗することなく、と コメンテーターと称する人が
550 「誤解を怖れずに言えば」という前置きはどういうわけか省略されて
551 「何だってお金で買える、金が全てと言うホリエモン」と要約されている
552 人間の命に軽重はないという 言葉だけならそれは言えるね
553 エジプトの人たちでなくアメリカやヨーロッパの国の人でもしあったなら
554 死者、行方不明者数百人に及ぶという BS7のみの放送
555 今夜には雪降るという東京の和光の時計が指す11時
556 日本にとって貴方が何なのか時に考えてみたいことがある
557 国体に関わると言い国体の護持と言い国体とは単に天皇家の・・・・
558 ここにまた「国体」の二文字現れて 終戦を遅らせた時に似て
559 終焉は薔薇の垣根の向こうにも春の朧のような空にも
560 急がなければならない時が来ています既に終りが始まっている
561 肉球の跡点々と雪の中 ドン氏と呼ばれる猫の足跡
562 階層が固定してゆく社会から弾き出された泥球一つ
563 九月には辞めるって言った総理はその時から炉心溶解始まる高炉
564 死に体はともかくレイムダックって差別用語にならないのかしら
565 粛清の嵐が吹くのでございましょう 峡谷に水凍えるように
566 偶然に見つかるようなものではなく探してもまた見つからないもの
567 遥かなるミトコンドリアDNA 春は優しく光りをつなぐ
568 純粋な培養液の中に棲む諸行無常を培う因子
569 何ゆえになぜ尊いかの議論なく尊いゆえに尊きとして
570 血に頼り血を尊いとしてつなぐ十六花弁の菊の紋章
571 女系を選んだとしてそれでいったい何代続かせられる
572 男系を選んでみたとしてそれでいったい何代続くのだろう
573 複雑な縫合線が美しいアモンの神の鹿の角笛
574 始まりは雌雄同体 七千年前にっぽんは海の水底
575 男系の場合父方を辿ってゆけば天皇に至るという。アンモナイトよ
576 その真偽 詳しく問えば何かしら整合性を欠くこともあれ
577 万世が一系というそのことの何が尊く またはそうでなく
578 南北朝時代は知らずそののちもその前にもある空白の時
579 天皇のルーツ辿って辿り過ぎ 分岐地点で有耶無耶となり
580 旧宮家の皇籍復帰をするべきと 宮家経費の膨張私案
581 血の系譜 どの血の系譜 男系の女系の 「天皇」とは何
582 明日の日の約束の無い偶然に頼って生きてのちの千年
583 その他にいったい何が そのことを皇祖の御霊告げているかに
584 「国民に愛され続ける天皇家」必要にして十分?条件
585 危機感がそうさせたのかもしれなくて こののちのこと次の世のこと
586 この国の安らけきこととこしえにと代る人なく祈りを捧げ
587 三殿の祭りに最も熱心な天皇であり皇后であり
588 古稀すぎてハードな日々を送られる天皇、皇后の長い歳月
589 天皇と皇后陛下のお務めの宮中三殿参拝のこと
590 天皇といえば昭和であったころ生まれて美空ひばりも聴いて
591 天皇の即位を御大典と呼ぶおおよそ百年ほど前の古冊子
592 突然に曇る空から降るみぞれ 霙のなかの連翹の花
593 春鹿が水を飲みに来る行者川 その川沿いの山葵田の春
594 樅の木の森があったね山梨のおじいさんが育てた西の平に
595 約束の時間はすでに過ぎたのに森はめざめの時を忘れて
596 水流れ林に雪が降り積もり 落葉の上に新雪積もり
597 東禅寺山門に降る春の雪 「立春大吉」降る雪の寺
598 ゆったりとちゃらんぽらんにたゆたって地獄極楽どちらへとなりと
599 分身の術かもしれない正体は 等圧線がぎっしり埋めて
600 運命に後ろ髪なしチャンスより後退するべき道の崖っぷち
601 耐震偽装、ライブドア粉飾、狂牛肉、防衛施設庁談合事件etc.etc
602 蛸足が広がるように殖えてゆく  弛緩し飽和しもう無関心
603 怒るべき事件も事故も多すぎて矛先すでに曲がり始める
604 飽き性の日本人ゆえどのような事件も事故も忘れてしまう
605 現実のあなたがそこにいないから聞けば聞こえる脈打つ鼓動
606 青草のグラスホッパー飛んでゆけ しゅわしゅわと鳴る尾にも飛び乗り
607 幽閉の青山半蔵にも似たり 乗馬しているシシィにも似て
608 一度目は悲劇、二度目は喜劇だと言いますけれど 乖離する病い
609 春の日は黄の菜の花や紫の花だいこんを用意している
610 大抵は僅かな段差に躓いて転んだりする それがきっかけ
611 身動きもならないようになるのです ほんの少しの油断のために
612 過去、伝説の二千六百数十年 百二十数代を継ぐ身となれば
613 象徴という抽象であり具体 生身の人間でもある不思議さに
614 如何ともなしがたきかな血をもってつなぎゆくこと 千年の闇
615 天皇が男系であれ女系であれ存続のこと危うからずや
616 木に花が咲くとき遠い空の下 蜃気楼見る氷見の海岸
617 その寺も港も町も寂れては 今は昔の物語となむ
618 萬屋の嘉左衛門さんが造ったといわれる港の寺の猫塚
619 萬屋の船でも猫を飼っていた ロシアをおろしゃと言っていた頃
620 昔はね船には猫を飼っていた 北前船の時代日本でも
621 有名なワインを守る猫の話 酒造会社の正社員猫
622 その毛並 というよりは粗々と反り返る素材それが可愛く
623 ピーターとジェニーの旅が始まって 白猫ピーターと虎猫ジェニー
624 グラスゴー行きの船から見えるのは空に瞬く北斗七星
625 人間の船に乗ったら仕事をする 猫の仕事は鼠を捕ること
626 船倉にもぐり込んだよ猫たちは グラスゴーへ行く船に飛び乗り
627 これはねぇポール・ギャリコの原作でただ今お気に入りの人形劇
628 貧しくても気楽に気まま暮らそうよって誘われる 貧しいおじいさんは良い人?
629 ピーターは教えられている「ミルクは舌を使って飲むのよ」
630 ほんとうは人間だっていう猫が一人前の猫になるよと
631 銭湯のタイルに描かれた絵のような富士など見えて西方の空
632 富士を見る南斜面に桃、杏、ブルーベリーの花咲く畑
633 雪煙上げる富士山その映像、わかさぎ釣りも解禁という
634 だんだんと溶けてゆくのがたまきわる命あるいは雪の運命
635 ここに来て保守本流の揺り戻し 女系天皇論も揺り戻し
636 改革の最後は何気なく<天皇制解体>だったらある意味凄い
637 官憲の取り締りという言葉がありルールを守れと諭されている
638 地検とは軍部に似ていて粛清の嵐も吹いて来るようですね
639 筑紫の君「磐井」の墓があるという 密やかにして叛乱の系譜
640 屋台曳き歩くおばあさんの映像が一月最後の日曜日の映像
641 本当に自殺だったかも知れないが もう少し慎重さがと誰でも
642 簡単に自殺と断定されたゆえ耳に残って鳴る非常ベル
643 朝焼けの海は薔薇色 禍々しい噂も出でて日本の早春
644 思惑がただあるだけで実態は何も無くて見事に空洞
645 不安から不安へ針が動くとき 最大級の雪崩が襲う
646 「八女」という地名は松本清張の『砂の器』でいうなら「亀嵩」
647 ライブドア関係者野口英昭氏 何を知りえて命を落とす
648 すみやかに遺体は灰になったゆえ 順序どうりに灰に尋ねよ
649 事件とか疑獄と呼ばれる何らかに集約されるその国の性質
650 ライブドア、耐震偽装、とぐろ巻く蛇の縞々模様のように
651 質問中落ちつかなげに何回も安倍氏の口に運ばれた水
652 安全な場所かもしれない塀の中 万里の長城ほどに築けば
653 烏羽玉のblack moneyに手を出せば闇に烏が啼くと言います
654 送信は失敗しました蝶々は韃靼海峡越えられません
655 春風が通って行ったようでした 木橋を渡る蝶がいました
656 「生協の白石さん」のような優しいお答えを待っております春待つ蛙
657 草原に雪降りつもり雪上がり 野兎が今目覚めたところ
658 叡山を焼き討ち髑髏を酒盃とす 水無月二日明け方の死者
659 信長の望遠鏡に地球儀に 春の陽炎ゆれていたこと
660 「人間の屑」と誰かが呼んでいて 屑と呼ばれるまで落ちた人
661 風穴は再びめでたく塞がれて安泰である無風空間
662 このような方法がまだあると次回からは教えられる外資に
663 粉飾は確かにいけませんけれど日本国に比べればまだ
664 老人や金持ちばかりに占有を許さない方法の一つが消える
665 国債という名の不良債権も積もると聞きます 罪は問われず
666 あるいはまたありえませんか 複数の外国企業との株式交換
667 日本郵政株式会社は大丈夫? ファンドを通して買われませんか
668 第二位という株主がやって来て宝塚歌劇団を上場?
669 市町村大合併はどうなんです? 三菱東京UFJは?
670 虚偽にして涙ぐましく時価総額上げる方法 あなたの場合は?
671 クリフォード・バクスター氏と野口氏と双方一人自殺?していて
672 エンロンとやはり似ているスケールは違うけれどもエンロンとライブドア
673 雪国に猶まだ雪の降り続く ポーランドでは死者150人という
674 情報はタダでも要らない時代だと要約されてタイトルを読む
675 このように一罰百戒あるゆえに 磔獄門、さらし首など
676 そのために消えた噂もありましてほっとしている政治家もいて
677 本体の粉飾決算などあって有罪は動くことなきといえ
678 風説の流布なり偽計取引なり どのような兇悪犯罪なのでございましょうか
679 万が一にも無罪であれば「風説の流布」にあたるのでしょうか
680 堀江氏は容疑者であり何ゆえかヒューザー小嶋氏は容疑者ではなく
681 風説を流布した罪も深いという マスコミがそう伝えています
682 「容疑者の声」を放送されている 推定無罪の原則はどこ
683 耐震偽装の場合いまだ伊藤公介氏の喚問もなく このスピードの違いは何
684 堀江氏の逮捕はとても早かった あっと言う間に逮捕に至る
685 「切ないって言葉わかるかい?」天井の軋む音と降る雪
686 新潟県津南町にも雪積もり 秋田県上小阿仁村にもまた雪積もり
687 昨日見たテレビの中のおばあさん 秋田県八木沢地区の独り住まいの
688 明日は晴れ されど寒さはいや増すと 北北西の風と落葉が
689 凍結に注意と呼びかけられている 水道道路と呼ぶ遊歩道     
690 森タワー回転ドア事故からライブドア事件に至る1年10ヶ月
691 キラキラと光る塔です六本木ヒルズに雪が降っていました
692 木の橋や鉄の小さな橋架かる 小川に雪が降って流れて
693 そういえばもうすぐ雛の祭りです 桃も節句にも雪降るかしら
694 横浜の海には雪が降っていたと 海に降る雪を初めて見たと
695 おぞましいニュースが続く今週の日本列島 雪国に春はいつ
696 雪豹もレッサーパンダも喜ぶと寒気団来る6時のニュース
697 笑い事ではなくて大袈裟でもなくて貴族と奴隷に分かれてゆくね
698 積雪は13cm綿帽子被った垣根の山茶花の赤
699 氷点下1.1度に冷え込んで北風も吹く東京という
700 デイーリングの結果利益を合算しトータルベースにしただけのつもりかな
701 この際とばかりに逆襲始めたりいろんな人の素顔が見える
702 解剖医はしっかり調べたのでしょうか 死体は語ると言いますけれど
703 県警が自殺と断定した上に焼いてしまえばそれまでですね
704 非常べルを鳴らして自殺する人がいるんですねぇ、不思議ですねぇ。
705 この人の声が浮くのはこの人が嘘を言う時の癖でヒューザー小嶋氏
706 一日で雪は降り止み川岸に身を寄せあった水鳥がいる
707 日は昇り日はまた沈む 有為転変、諸行無常の一期の空を
708 この間、刺客に望んだことなども忘れたように笑っているね
709 悪魔とも魂を交換するような政治家たちが笑っているね
710 巨悪あり極悪ありの世の中に ホリエモンとは如何なる悪か
711 花束が微かにゆれて陽がさして その陽のようなゆらめきの中
712 過ぎ去った日々は短く成し遂げたことは何もないなんてこと
713 いつか死ぬ人と私と冬日中、湖に来る白鳥の多さを
714 何ものも変わらぬまでも時に雪、時に氷雨と濡れて歩けり
715 もう過去のものと葬り去るようなこの書き方だって問題ではある
716 青空に風車が回る映像の白い風車の三本の翼
717 世の中は結局何も変わらずに絶好調の社会でしょうか
718 延々とのびてゆきます中国の万里の長城 夕日果てるまで
719 砲火台、シルクロードを見下ろしてポプラのそよぐ畑の中に
720 それならばわざわざ断ることもなく自分の道を行けばよいだけ
721 雨を呼ぶ霧であろうか 慈雨とよぶべき雨降るや降れ
722 そしてまた生まれたばかりの蝶々が吹雪のように飛び立つだろう
723 今回のドラマのクライマックスは何と言っても東証の暴落
724 乱高下しながら上げるトレンドもチャートも全て焼き払う勢い
725 機嫌よく遊んでいればそれでよく盾つく時はお縄にすると
726 いつだってその息の根を止められる 生殺与奪の権限誇示す
727 主流なす力を持つのは相変わらず私達と霞ヶ関が
728 風説の流布っていったい何でしょうそれってどういう罪なのでしょう
729 銀杏を一つ一つ剥いて焼き食べております 銀杏翡翠
730 権力に潰されながら権力の側を愛しているのが大衆(って言葉も何ですが)
731 喚問は不発に終わったようでした 雪に埋もれてゆく次第です
732 前日に強制捜査が入るのもいつでも同じ手法と言える
733 額に汗し体を労することのない人に災い降ることもあれ
734 摩天楼知らずに育った世代ゆえ低層階に落ち着く暮らし
735 ゆくりなく落ちてゆくのも致し方なしと思えて自然に落ちる
736 愚鈍なる多くのものと俊敏な少数者がいてヒルズの栄え?
737 笑えますがまた一方で真実の側面もある要約の方法
738 親の子の子の子の孫のその子まで意欲低きは下流の徴と
739 その上に二度と復活できないと孫子の代まで烙印を捺され
740 低層というより既に最下層 奴隷に近い昨今である
741 要するに上と下とは分けられてその一方の低層にいる
742 下流とは下層と違うと言うけれど言っている意味はほぼ同じ意味
743 しかしそれは自分らしいと言えるのか自分らしいとは何だったのか
744 自分らしく生きてやがては蔑まれ落ちてゆくのは意欲なきゆえと
745 かにかくに敗者復活なきものと『下流社会』は教えていたり
746 集落が集落をなす限界を自然が奪う冬が来ている
747 地震が襲い、水害が襲い雪が襲い 雪崩が襲う村の棚田か
748 青年を待つ両親は心臓を病んで仮設の住宅にいた
749 道を作りブルドーザーを動かして一人こつこつ作っていた池
750 願わくは積もる雪にも潰れずに春待つ池と親鯉であれ
751 暖かい町の養殖池などにもう引越しているかな鯉は
752 青年が精魂こめて作っていたあの池は今どうなったのだろう
753 気になるものの一つに 山古志の鯉を養殖していた棚田  
754 木蓮の固い蕾が膨らんで紫色の光りを放つ
755 川岸の氷が溶けてさらさらと水が流れてクロッカス咲く
756 錦郡槐の根方に埋める符 乾、巽は鬼門にて候
757 黄の色の蝶が来ていて陽だまりに小さな花が咲く雨あがり
758 透明なネットに包む夜の闇 インターネットの水の痕跡
759 忘却は一部のことと思いたり その蕁麻に火を放たれて
760 ミネルバの梟鳴いて夜が来て 魑魅魍魎の支配する夜
761 透明な水晶、砂金に似た光り 野生のけもの湯治する川
762 上尾根に日本羚羊見たという ただ一頭で見下ろしていたと
763 木小屋にも畦にも雪は降り積もり 露天の水桶、筧も凍る
764 街にいて山奥に降る雪のこと思ってみても仕方がないが
765 人は何故どうして生きる孤立する集落がある新雪が降る
766 間違いがまたもう一つ増えただけ 淵がだんだん深くなるだけ
767 みごもった真珠の虹を見つけたら貝は自身を溶かしたものと
768 暗い暗い暗い人生の虹がどこかに立つと暗渠の蜆
769 三十数か所とも言われ切り刻まれて蘭奢待香る
770 香木の蘭奢待さえ切り取られ権力の座にあるものの傍へと
771 人生の苦難を負って生まれてきたヤドカリに似た貝の文様
772 そのような思いは一度もなくて死ぬ 黄昏の中沈む日輪
773 そののちを一人生きれば用水に流れた芥かもしれぬ生
774 桜散るドラマの中ではらはらと花びらが散る若き死がある
775 問題は終わってしまってから生きるその生き方のことではあるが
776 夢を見る獏の人生なんてもうとうに終わってしまったんだねきっと
777 結局のところ他人の生であり夢喰う獏とは関係がない
778 山村を漁村を時代は呑み込んで何事もないかのような風雪
779 私たちの田舎の家もいつか消えただ生い茂る藪となるべし
780 山村では人は住めない 過疎の村今年度幾つ消失するか
781 私をうちのめしているものが何なのかもちろん私は知っております
782 脱力し発熱したり寝込んだり 雪も降らない東京にいて
783 「敗北の太鼓」が鳴って迎えに来る遠い未来が挿入される
784 熱の出る前兆、人それぞれに違い 何か酸っぱい心臓の痛み
785 このようにスタートしている新年は芹の芳香、すずしろの白
786 寒気がして身体が痛いその上に怪我までしている 心気を痛む
787 寒気がして動悸している耳下腺かリンパ腺かも腫れているらし
788 顧客より大事な売買部門ゆえシステム補完吝かならず
789 誤発注基金も創設されるという 気安く間違い気安く補填し
790 今回は大和証券SMBC 膨れ上がった出来高の陰に
791 誤発注、日常茶飯事にてあれば 損失5億円もはした金のよう
792 温かい雨降るという東京の液晶画面を吹く磁気嵐
793 その海の浅瀬でそよぐ海苔、若布 しばらくぶりにお台場に雨
794 トラノリヒビに網掛けられて海苔の芽は海の浅瀬で育つというが
795 私が海苔であったら海苔巻きにされるのは多分いやであろうな
796 あるいは死もまた一つの生であり 生の欠片であるやもしれず
797 歌うことよりも不得意、生きること 生きてそれから死んでゆくこと
798 白い空、白い心をもてあます 白雪冴えて涼しかるらむ
799 そう言って死んだ作家がいましたが 雪の季節の三鷹を歩く
800 無理でした 生きる力に欠けていて生まれて来たのは間違いでした
801 ぎりぎりと最終局面が迫り しんしんとなを降り積もる雪
802 人は城、人は石垣とは言えど黄金費えて武田氏滅ぶ
803 国宝も分散されてそれぞれの神社にありて眠る四百年
804 「城崩し」なる異名もつ築城のプロでもあって金山奉行
805 人口に比べて常に多すぎる寺の理由か甲州金山
806 金山と温泉の湧く道筋に寺社仏閣の堂宇の数多
807 黄金を掘っていたその鉱山に沿って流れていた黄金沢
808 冬なれば桃も葡萄の木も眠り枯れ草色の高原に雪
809 眼下には桃源境が広がって葡萄の丘がそれに続いて
810 桃畑少なくなって一葉の道の桃源境もいつまで
811 お隣の敷地に薪はうずたかく積まれて越冬準備は万全?
812 遠く遠く視界は広く富士山に南アルプス連山に雪
813 二本木の道を登れば上萩原、大久保平、白樺の道
814 養蚕の町でもあった甲州市、甘草屋敷のある旧塩山市
815 和紙の里、市川大門 桑の葉の饅頭を作り饂飩を作り
816 生きてゆくことの重さに似ています 積雪四メートルを記す新聞
817 春の夜の夢の浮橋とだえたり 途絶えしのちも逆しまに顕ち
818 新しい悲劇は生まれ前代のそれより速く巻き込んでゆく
819 もう既にその足音は聞こえていて時代は確実に変化していて
820 団塊の世代が去って夜が明けて2007年日本は変わる
821 抒情して春の雪さえ消えるゆえ命ながらうべきにもあらず
822 許されて楽しく軽やかだった日の昔日となる須臾の間にして
823 こののちに生きてあること衰えて貧しく老いて 雪の重みに
824 最低限、生きていかなければならない 欠片、木っ端に砕ける団塊
825 楯無鎧、風林火山の旗、南蛮具足の二匹の蜻蛉
826 青空の向こうの向こうまで一人 一番好きな時間の形
827 自衛隊、軍隊、郷土防衛隊 どんな名前にしても兵隊
828 空母があり零戦があり嬉々として見入る男の掌のプラモデル
829 雪鬼の降らせる雪の身の丈を越えたころから春までの燦
830 加賀山中、白山山中、能登金剛 寒気団来て白い氷壁
831 雪かきを手伝う人もいないから帰ってくればイラク派遣隊
832 俯瞰なく世界がなくて日本と大和のミクロコスモスがある
833 前線は確かにそのようであり 前線に至るまでの狂気を除けば
834 仲代さんまでがどうして出るのです戦争を知らない世代でもないのに
835 結局のところ「大和」が誇らしく「大和」を愛しむ人たちがいて
836 前線の愛と戦争 書かれざる背景としての狂気の坩堝
837 背後の人、命令下す人のこと 何処にもなくて『戦艦大和』
838 渡さんの声で流れるナレーション やめてくださいなこういうの
839 玉藻よし讃岐の国の玉垣の八幡宮の鯨捕る絵馬
840 養殖に活路見い出す人もあり活魚に販路を開拓する人あり
841 天然の海を回遊する魚 稚魚のたぐいも獲りつくされて
842 それが今は海の扉が閉められて酸素不足になったかのよう
843 その海の鯛、海老、平目、蟹やシャコ 海はゆたかに耀めいていた
844 昔々瀬戸内海にも天然の鯛がたくさんいました 「魚島」の季節
845 蓄養という名の漁業 養殖のマグロの餌になる天然魚
846 養殖の海老に蓄積する薬害 過密、腐乱と抗生物質
847 マングローブの森の薬草、海老や蟹 失い失われていった楽園
848 海に雪、町に雪降る寒の入り サンパウロは気温30度という
849 蜘蛛の巣の糸が震えて雨の中 幾何学模様の牢獄がある
850 戦禍なを心にいたるこの国が 未だ醒めない夢を見ている
851 そのように男は召され女たちはそして子どもは殺されていった
852 ある時は核攻撃もやむなしと ある時そこに風が生まれて
853 死者と死者、他者と他者とを交換する 殺しているのは敵だけという
854 たとえそれがどんな人たちなのであれ置き換えられる立場にはなく
855 命令を下されるため私たちは生まれて来ているわけではなくて
856 守れずに死んでゆくもの戦争は 殺し合うこと殺されること
857 再びの水漬く屍や再びの死屍累々の戦艦大和
858 自分よりかよわいものを守るという (そんな戦争なんてなかった)
859 自分よりかよわいものを守るという (そして戦禍は拡大してゆく)
860 自分よりかよわいものを守るという (そんな論理にすりかえられる)
861 そのことについては語らないことにするしかなくて虚無よりも虚無
862 その論理少し違うと思うばかり いつでも同じ同じ論脈
863 そう言ってさらに罪の無い人たちを虐殺もする 集団となり
864 最終のランナーが来て大手町ゴールに多くの戦い終わる
865 山を登り海辺を走り倒れこみバトンを渡し続けてここに
866 キャプテンの高岡君が泣いている早稲田大学は13位に終る
867 10秒差 この10秒が来年を決定的に分ける10秒
868 ギリギリで入りましたね日体大、東洋大学、シード権をとる
869 亜細亜大が初優勝になるかしら駒沢大の五連覇はなく
870 そのタスキ渡して倒れることだろう 難波祐樹の走る姿が
871 蛇行してセンターラインをゆれながら難波祐樹がゆれて走って
872 駒沢大、堺選手が追いかける 間もなく順位が入れ替わるだろう
873 あと残り、9区、10区を残すだけ 8区は残り2kmの攻防
874 監督がボトルを持って給水に 強い陽射しとアクシデントと
875 給水のポイント過ぎて先頭の難波祐樹の脱水症状
876 2位争い激しく競ってあと6km 順天堂大、難波祐樹を追う
877 店晒しされているこの一冊の本にもあったはずの春の日
878 芦ノ湖のゴール地点に雨は降り往路1位の今井が入る
879 雲はいま峰を下ってゆくからに往路のクライマックスも来る
880 山道も悪路も関係ないという今井正人が5人抜き去る
881 トラック順天堂、今井正人が抜いてゆく後6kmを残してトップに
882 次々とスーパールーキーなるものが現れ出でて入れ替わる1位
883 氷雨降るゆえに痙攣起こるらし 残り9.2kmが苦しくなるらし
884 霙降る箱根駅伝、宮ノ下の急坂登る 霧も出ていて
885 浮橋の途絶えてのちも中空にたなびく雲の思い橋一つ
886 切断をしました今後の予定なら北斗十字の柄杓に汲んで
887 新年の挨拶なども出来ませんが 波が描いた文字を見ました
888 活動を停止しているあなたです 雨、雪、霰、氷雨が続く
889 やがてもう死もなく生もない世界 時が洗っていった砂浜
890 姫神の曲も終わって故郷の潮騒すでに聴こえなくなる
891 時を隔て波を隔てて語りあう 幾千の闇越えて見たもの
892 浜辺には連歌の人の庵跡 遠浅なれば青の漣
893 弟の、その子の、養子先のなど烏帽子・直垂の絵を分かつ如
894 そのように自害した人幾人も連枝連雀、炎の蒔絵
895 城は火を放って落ちる 自害してその人の子も夢も炎に
896 一切の敵に離れて春の城 連歌に遊ぶ 滅びてあらむ
897 一滴の血のつながりのありやなし 四季花鳥図のかささぎほどの
898 その人が愛した茶碗と掛け軸と歌に連なる一筆の書と
899 「いつも口ひげのあたりに春風が遊んでいるような男」と司馬遼太郎の書くその人
900 キリスト教布教を許した戦国の武将は微風を纏うその人
901 信長が開く以前に開かれて許す以前に許されていた
902 その町は活気に溢れ賑わった自由交易都市の始まり
903 修羅の人信長以前、キリスト教布教を許し茶人利休を友としていた
904 大徳寺襖絵に見る花鳥図のエネルギッシュな中世の力
905 百手という弓矢の神事 本年の「鬼」を射抜いた射子衆の射子
906 神楽舞う男ありけり昼の舞、夜の舞、なお続く炎の舞
907 聚光院殿、歌に連なり歌を書き利休の墓に並び眠れる
908 掛け軸も襖も常に変わらずにそこにあるかのように鈍色
909 八百年続いた井戸の透明さ 神の社につながった水
910 懸けのいおと発音している智恵さんはウオではなくてイオと懸けの魚を
911 田畑を失くし山林を失くしあらゆる一切を失くし 儀式行事だけを伝える
912 灰を持ち清めているのは知恵さんで支店から来た本家のお嫁さん
913 正月が終って家屋敷清める魔除けの灰も一周
914 神棚に飾る注連縄を作るのは男の仕事とオモのおじさん
915 民俗の伝統辿るシリーズの一巻として《ふるさとの伝承》
916 白砂に波打ち寄せてふるさとはNHKの画面の中に
917 さやぐ日のさやぐ心を忘れている ひろやかにしてのびやかな心
918 新年と言っても昨日の今日である 何も変わらぬ日常である



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<初期歌篇>    風間 祥
4390 存在の奥の欠落埋めがたく夾竹桃の夏もすぎゆく
4391 雪の夜にランタン赤き窓ありて若き主人の古美術の店
4392 坂道の西洋館の風見鶏ひとりぼっちでくるくる廻る
4393 落陽の海見る丘の墓地近き外人学校新学期の秋
4394 幸福は街の夜店の青い鳥 青く塗られたひよこなのです
4395 縞馬と駱駝が見える公園の土手から見ていた朝焼けの海
4396 授業抜け白紙答案出してきて校長室で書いた始末書
4397 転生を願うことなき涼やかさ 今を最期のひぐらしの杜
4398 アリのんでいるパンをすずめがひょいと食べてしまった
4399 「邪魔だったから」家族殺しの少年のつぶやき夏の草いきれ
4400 無残なる日々を生ききて今ひとり陶器の店を商う女あり
4401 たとえば歌など何のためにこんなに空が青く澄んでいる
4402 生きているだろうかまだ私は日々の渇きの充ちる時まで
4403 今はもう絵空事です言葉です「気儘に風に吹かれるように」
4404 荒海の船を導く火のありかセントエルモス・ファイアー消えたり
4405 ひとすじの煙が空へ消えてゆく宙とつながる心のように
4406 誰も知らない私があるように私も知らない私がいるだろう
4407 青春の謝肉祭なら知っている 紙吹雪なら一枚残っている
4408 反宇宙、反銀河、反地球、反私。何処にあっても今日の飲食
4409 この村は星の里ですその昔隕石落ちたほこらがあります
4410 弔いの夜の彗星は鳥だよと墓掘りながら村人が言う
4411 雪山の端より月は上り出づ夜を照らして死を弔って
4412 忍野村その八海の水底に幽界はあり光る魚あり
4413 母病んでいる日の庭に鳥が来て昨日のパンをわけあっている
4414 春になれば花も咲くさと陽だまりの土を踏んでみている
4415 「パリの灯点って一周年」テレフォンカードの国立の秋
4416 冬の樹の梢の彼方に消えてゆく黄色い飛行船を見ている子供
4417 ひとときに人は死ねないものだから幼き者へ手紙を書こう
4418 夕暮になれば富士山影になり石段降りる猫も影になり
4419 どんぐりが帽子被って落ちているゆうべ風が吹いたらしくて
4420 山椒の赤い実を腹いっぱいに詰めているよ香ばしそうな鳩だよ
4421 白黒のぶちと茶色の子猫が林で生まれてさざんかも咲いた
4422 風はまだ吹かないけれどいつか吹くと誰かが言っているような秋
4423 往き帰り枯葉の寝床にうずくまる白い猫見るこの幾日か
4424 駅前にビル増えてきて柿色の空のむこうの富士が小さい
4425 犯罪の多そうな日だ今日一日春の嵐が吹き荒れている
4426 明日のこと誰も知らない今日までの続きと思って葱きざんでいる
4427 重くて古い自我などと言われているよNHKから来たディレクターは
4428 スカラ座は閉館しますの貼り紙が雨にちぎられ飛ばされている
4429 閉館の今日は優しい切符切るシモーヌ・シニョレに似た小母さんも
4430 老館主右脚少し曳きながら閉館の日のロビーを歩く
4431 難破船漂うように映写室雨降る中に残されている
4432 網元の暗き湯殿にほの白き午前零時の湯気立ちのぼる
4433 甲冑の触れ合う音のする如き黒き家並みの果てに海あり
4434 断崖の上の老樹のそのもとに墓地あり小さき葬列が行く
4435 白壁と定紋瓦、長屋門 昔日知らぬ子等の落書
4436 その昔合戦ありという杜の傍ら行けば風花が舞う
4437 舟隠し洞窟潮の引くときに小さき魚の残る岩陰
4438 坂道に篭をおろして老人は道を尋ねしわれ案じ待つ
4439 夕焼けの墓地に海見る少年は熟れしばかりの無花果を食む
4440 花びらの雪降る朝は死者たちの今年最初の声とどく朝
4441 やがてその石に夕焼けが射せば薄桃色の馬頭観音
4442 夢を見るうつらうつらのうたたねに信濃追分あたりを歩く
4443 今日もまた優しい嘘をついている富士の笠雲雨呼んでいる
4444 ごまかしてもっと上手に誤魔化して泥の小舟で湖を渡るの
4445 半年もほったらかされた天皇の異常のデータ朝刊に読む
4446 子を残し空に帰れぬ鶴がいて夕べの雲を倦かず眺める
4447 禅林寺へ行ってみました三鷹で降りて 昨日どこへも行くところなく
4448 森茉莉も納骨されるはずだという森家の墓地の花枯れている
4449 花と酒、それも津軽の酒がある 太宰治は幸福な死者
4450 この町の七十軒の古時計ネジマキ屋さんにまかされている
4451 脚立持ち修理具入れた鞄持ちネジ巻き歩く古時計の町
4452 崖にある足跡一つ晴れた日に海を見ていた恐竜X
4453 鉛筆の芯折れている音がするどこかの沼で魚が跳ねる
4454 犯罪を犯したいほど雲一つ草木一つも動かぬ真昼
4455 街路樹の赤い風船ひきちぎり春一番の南風吹く
4456 私を支配しようとする人を紙飛行機に乗せて飛ばそう
4457 すねかじりすねをかじってかじりきりその一本を捨ててきている
4458 ひとり出かける日の駅前に浩平の好きなボンネットバス
4459 つつがなくうつらうつらとすぎていてカフカの変身他人事ならず
4460 こめかみのくぼみは何のせいだろう牙なき象のかなしみのため
4461 夕焼けを夕焼けとしか言えなくて他国の風に吹かれているよ
4462 前の家の庭の木を切り草を抜き蜜柑をひろいどくだみを摘み
4463 西向きの狭い小さなバルコニー咲いているもの花と呼ぼうか
4464 花じゃない西日わずかに陽と思い顔傾けて咲く花なんて
4465 一枚の葉は見つかりましたかと陛下と小倉遊亀さんの会話
4466 税務署と市役所と法務局行ったり来たりで日が暮れている
4467 たましいが何かにあたって鳴る音が風の中からきこえてくるよ
4468 春を抱く春の光を抱いているれんげ畑の小さな王女
4469 竹とんぼ自由一つを羽にしてただ風だけを友だちにして
4470 日常がただ日常で過ぎてゆく等身大の鏡の中で
4471 生きているとどんどん汚れていきますね表面積が大きくなって
4472 人は死に土塊になり灰になり空の雲より淡いものとなる
4473 太陽は天の赤道通過中眠気とだるさとたたかいながら
4474 一年はわずかな時間の経過だとスザンヌ・ヴェガの歌聴きながら
4475 「漁船の絵」アラン・シリトー読んでいる土曜の朝と日曜の朝
4476 アリさんも歌ってみればよかったのにキリギリスよりアリへの手紙
4477 四十代の女はみんな元気だという話聞いているうち疲れてしまう
4478 鴎外忌初めて暑い夏の日のその日の墓地に風もない日の
4479 絶版の「父の帽子」の中にいる父鴎外と森家の人々
4480 森鴎外、太宰治と森茉莉と静かに眠れ梅雨まだ明けず
4481 一葉の父のふるさと塩山のすもも花咲く二本木の道
4482 二本木行きバス終点のバス停の馬小屋の馬、留守番の馬
4483 何をしているかわからぬ家があり馬一頭が繋がれている
4484 あの窓の一つの窓に住んでいる 歩道橋を斜めに歩く
4485 一冊の本落ちている石の上、蟻が見ている旧約聖書
4486 旅立ちの支度をしているいつの日か来る私の旅立ちの日の
4487 こうもりが薄暮の空を飛んでいるまだ帰らない子供を待って
4488 夕空に一つ星あり三日月あり近づき消える飛行機もあり
4489 美しいというものはあるどこにでも小さな家の軒に降る雨
4490 お魚が雨傘さして歩いてる「エッフェル塔とロバ」の風景
4491 追憶のロシアが見えるフランスの海に河岸に空の向こうに
4492 こんな夜更けにまた火事らしい 窓に映っている灯と私
4493 ねずみ来て話してゆ
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 02:00 * comments(0) * trackbacks(0)

2

4503 東京の空から太陽消えている 医師団は血を入れ替えている
4504 土曜日の約束をして別々の道を帰って日常である
4505 こんな午后もしあったなら鴨川の石になってもよいほたる草
4506 されどされどさびしさびしと言う人よ雨の降る日の優しさごっこ
4507 昨日から熱あるようなないようなぼんやり過ごす雨の休日
4508 貴腐ぶどう熟れる夕陽の落ちる町あずさ九号通過する町
4509 少し汚れ少し壊れて美しい騎馬民族の王の水差し
4510 あの頃の夢がどこかへ消えたと言うどんな現実に捩じ伏せられて
4511 落ち着いて玉葱切っている時間 涙は何のせいでもなくて
4512 母が死んだ ただそれだけのことなのに親族一族すべてが視える
4513 栗の実を拾ったことも今ではもう遠い昔の夢のようです
4514 何もかもお終いだって知っていて何も知らないふりをしている
4515 ふるさとの海へ行こうと話してる春休みには大橋渡り
4516 ざる一杯バケツ一杯の海老やシャコおやつに食べていた漁師町
4517 浩平と二人で渡る瀬戸大橋海老の匂いのする町に来る
4518 ホラーでない異次元世界見たいから超高層の夕陽見ている
4519 広島のことはやむをえなかったと語りし天皇眠る天皇
4520 戦争の死者たちがもういいと言うあかげらの歌が寂しいゆえに
4521 明日ゆく日出ずる国の天子ゆく空襲の日の空に似た夕焼け
4522 血塗られた昭和の果てに血を替えて天皇はゆく何も告げずに
4523 冬ざれの史蹟公園散歩する缶コーヒーを片手にもって
4524 千曲川上流育ちクレソンを佐久の馬刺の大皿に盛る
4525 転がされ棄てられている一塊の土のようなる影のようなる
4526 細長い廊下の向こうに海があり座敷の向こうに海光る家
4527 この生のさなかに訣れし人あれば春立つ頃の月を忘れず
4528 半分は冗談だった薄情さ私の本質だっただなんて
4529 しばらくはこんな調子で流されて流れるままに流されてみて
4530 なまじっか愉しい日々があったから後の月日がさびしいのです
4531 夜行性みみずく一羽起きてきて日々の軽さに爪たてている
4532 物語(レシ)と呼ぶにふさわしい一生もあり母たちの世代
4533 畑にも庭にも雨が降っている蓮池に咲く花にも降るよ
4534 冬眠のがまとこの頃の私とどちらが先に目を醒ますのだろう
4535 鹿苑寺「白蛇の塚」の子孫かも赤と黒との小さな小蛇
4536 通夜の客若い日の名で呼びあって遥か昔の物語する
4537 見知らない記憶すらない一生に支配されゆく一生もある
4538 来たる闇行く世の闇の何処より光はありてわがいのち在る
4539 生きている私に砂をかけている耳をすませば弔いの鐘
4540 夜明けから降りだした雨昨日まであなたの庭に降っていた雨
4541 一日中雨が降ってる一日中雨を聞いてる蛙……私
4542 祈りにも似た暮しなどに憧れるこの春ゆえの軽い変調
4543 どこまでも空っぽだってことのほかその錯乱の理由を知らず
4544 メッセージはもうどこからも届かない何の憂いもないはずの日々
4545 光れ風 野分よ奔れ残生と呼ぶに短き時生きるため
4546 人の世の栄枯盛衰見てきたる烏梢にとまる夕暮
4547 平家谷、落人部落、桃源郷、杏花咲く村に来ている
4548 父と子と古い公図を開いている古屋敷二町歩八幡平五町歩
4549 犬目行きバスに揺られて四十分 君恋温泉今日は訪ねる
4550 本陣の道を歩けば土埃 四方津へ降りる最終のバス
4551 二重の生、二重の私を生きている梅雨入りの日の空々漠々
4552 家を売り家を購いまた家を売りそうして心はざらざらになる
4553 核融合試験官でもできるらし詩のようなもの創っているらし
4554 人恋うて人恋いやまぬ夕暮よ蛍の沢と呼びし深沢
4555 「夢だけに生きれば終り」腹が減ったか?と訊いてるレノン
4556 「憎しみは愛だけが消す」ジャワルナデ大統領の手の鳩が飛ぶ
4557 もう死んだ気になっているのか夏の蝶 幾何学模様の中に眠って
4558 突然に視界展けて富士がある木のトンネルを抜けて行ったら
4559 縁側に出て村を見る富士を見る南アルプス邑の朝焼け
4560 道端の小石を蹴って歩いている彼岸花咲く寺までの道
4561 富士よりも高く住むような村に来て無住の寺で聴く蝉しぐれ
4562 もっと引けもっとサラッと歌えという艶歌の竜のひばりへの注文
4563 私は暗いところで暮していた名だけ明かるい学園通り
4564 閑雅なるよきものなんてこの世には存在しないものかもしれない
4565 棄ててきた何かを思い出すように晴れた空から雨降ってくる
4566 優しくも強くも生きてゆけないしオブローモフにもなれないけれど
4567 失ったものの記憶は新しく脱け殻はみな標本になる
4568 遠く住む友の葉書を読んでいるその街はもう雪が降ってる
4569 思い軽く生きているよと告げている花と木のことだけ書いてある
4570 何よりもその見通しの明るさは人がお金を出しても買うもの
4571 身に即しあまりに近く身に即し息苦しくてならぬ石仏
4572 まるでもう今日の不条理のように暗い舞台を見せられている
4573 俳優の松田優作死んだ日に滝沢修のゴッホ観ている
4574 蝋燭のほかには何もない舞台、青い炎になった老優
4575 エピローグ、宇野重吉のナレーション死者に感動させられている
4576 利休の死、死の死があって残るもの、流派という名の形骸ばかり
4577 サイレント・マジョリティなどと呼ばれいつも何かに括られている
4578 西多摩のなんじゃもんじゃの旧家には「富貴安楽」の額掛けてあり
4579 街中の五重の塔をとり囲む墓一千基陣形に似る
4580 火だるまになって死ぬのも非業なら延命治療という非業死もある
4581 「萩の寺」その名おぼえて来てみれば墓地分譲は今盛りなり
4582 奥多摩の渓谷二千年前の海パレオパラドキシアの伝説
4583 生まれ落ちたる時の他にはドラマなく垣間見るだけの私の人生
4584 「そしてまた雨ふる今夜私の両手は緑いろ」とソーサの歌う
4585 焼き芋を売る声なども聞こえくる冬至の夜の駅裏通り
4586 地下街にホーキを持った魔女がいる雪も降らない降誕祭前夜
4587 魔女はもう空を飛べない世を忍ぶ仮の姿に地を這うばかり
4588 一人旅、寅さんの身に憧れる自分が少し壊れはじめて
4589 喪の明けた一月七日新年も〈貧しい庶民〉の暮ししている
4590 雪ちらちら春の岬に降ってきてスティル・ライフはもう終わるのです
4591 カムチヤツカ半島の先の点々に住んで原子炉の火も燃やしている
4592 立葵、義手にて描ける人もいてただ思い出のためだと言って
4593 北陸は能登能美郡根上町春の煙の立つ昼下がり
4594 ひかえめに静かに生きてみたくなる酸晴雨降る白い一日
4595 今は最期、とぎれとぎれのつぶやきのそのつぶやきのように降る雪
4596 切れ切れに想い出したりして雪に 終幕近いシーンの音楽
4597 昔見た夢のつづきをみるような「戦争と平和」の国の映像
4598 夢ロシア雪のロシアのサモワール世が世ならという祖母の口癖
4599 ここにいる私はいったい誰だろう春のうららの墨田川かな
4600 墨田川ベイエリアまで川下り未来が少し見えてくるまで
4601 もう誰の心も残っていないから風の別れのような青空
4602 虹立つは昨日一人の魂が空へ急いで帰った軌跡
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 01:59 * comments(0) * trackbacks(0)

3

4603 誰もいない午前の日差し浴びている昔の恋のような冬の陽
4604 簡単な引っ越しが済んでマイケルと呼ばれた猫の飼い主も去る
4605 生きていることさえ無駄の一つかも三月十日春雷を聞く
4606 脳細胞の数ほどの渦巻銀河系宇宙、ピケットフェンスを幾つ超えても
4607 ブラインド越しに見ている街の空、赤い屋根から濡れはじめている
4608 いつからか既にオールド・ゼネレーション ミック・ジャガーの皺深き顔
4609 南から吹いてくる風もう春が扉を叩いているのだろうか
4610 ゆっくりと見えない破滅に向かっている何にもない日の春の夕暮
4611 酸性雨降る雨の夜は鎧戸をおろして昔話をしよう
4612 温室になった地球で生きている半分死んで病んで狂って
4613 人が死にそしてそれから何もない 窓ガラスには雨の雫が
4614 離れ猿次郎は親を知らざれば自分を猿と思わざりしよ
4615 それぞれの運尽きるまで凩天にそよげよ風が流れる
4616 人生と共に息しているような気がしないんだこの頃私
4617 ぬかるみを歩いた人の足あとがぬかるみの中残されている
4618 吸いこまれそうな魔の淵 透明な水に透明な魚が泳ぐ
4619 月曜日の鬱のことなど書いてある「あなたも病気」という本を読む
4620 朝は昼に昼は夕べに夕べは朝に何の不思議もないのだけれど
4621 人類の子供二人を育てている春爛漫の空の真下で
4622 少しだけ暗いところが好きだった陽あたる丘に住んでいたから
4623 音のない雨を見ている音のない風を見ている一年の後
4624 向かいあい一人は絵地図一人は歌のようなものなど書いている午後
4625 煙突の見える場所から描いている五歳の地図の空の拡がり
4626 星空の下のテントで眠っている消息絶った重信房子
4627 隠れ家に日常があり石鹸の匂いしている幼児がいる
4628 地下鉄の地下に水湧き流れる音淋しい人が背中押される
4629 思う程死ぬのは簡単じゃないと呼吸不全に陥りながら
4630 病院の地下には霊安室があり待機している葬儀屋もいる
4631 究極のなれの果てなる同窓会初夏の銀座の三笠会館
4632 一九九〇年の街角でグレタ・ガルボの死を聞くばかり
4633 若い日は誰にもあったはずなのにシーラカンスのように眠って
4634 私のためというなら何のため私は生きているのだろうか
4635 日曜日の教会の裏は荒井呉服店 春の燕が通り抜けする
4636 体制は黄昏の色、世紀末漂流民は流氷に乗り
4637 黙示録開いてみたくなるような額の象徴もつゴルバチョフ
4638 魂の蛍明滅しただろうあなたが病んでいた夏の日々
4639 白い手のさよならだった細くなり小さくなって優しくなって
4640 長い夢みているような気がします醒めない夢をみているような
4641 エルドラド幻の郷エルドラド金の釣針のむ魚たち
4642 蛙、蛇、鰐棲む河の流域に栄えて滅ぶ エルドラドという
4643 地球儀の文字書き換えるミャンマーと、昔「ビルマの竪琴」を観た
4644 教科書も地図もすっかり役立たない世界史に風、新しい風
4645 NHK「七色村」のマリエさんプラハの春は再びめぐり
4646 さよならがどうもになって終ること長い時間が流れていたこと
4647 東洋の小男一人立っていてマチスの聖母子眺めているよ
4648 ドミニコ会ロザリオ礼拝堂の壁、線で描かれたマリアとキリスト
4649 美しいものは戦国乱世の落城の日の天守の自害
4650 国分寺の家に行ったら咲いているえごの花びらもう泥だらけ
4651 雨降れば傘さしてみる萼あじさい去年と同じ色に咲いてる
4652 降る雨のように触れられないならばいっそ何にも無いほうがいい
4653 気がつけば横になりたくなっている雨の日は雨の音聴きながら
4654 何一つ残さず消えてゆくのがいい感動だけがすべてだったと
4655 講習会「ゴキブリ団子のつくり方」、PTAの総会にいる
4656 学校は金太郎飴本舗ゆえ熟練工のような教師もいる
4657 規律説き正義押し売る人もいて胡桃を潰すように個を潰す
4658 まだ見えない雨を感じているような雨の匂いのする日曜日
4659 世界はもう遠くへ行ってしまったと微熱ある日の夕べの風が
4660 異型の子みごもる地球いつしかにチェルノブイリに雨は降りつつ
4661 家庭という殻が重たくなっている葉裏にひそむわがかたつむり
4662 鬱々と鬱を重ねてゆくばかり生気失せゆく今日鴎外忌
4663 難破した船から救い出すように絶版の書の数冊を購う
4664 言葉とは冬の桜と詩人が言う風たちの歌聴いて育てば
4665 「火薬庫」で火薬爆発、容赦なく苛酷に生きよと中東の風
4666 新安値つけている日の市場ゆえ避暑地の猫のように眠ろう
4667 そしてまた黄昏刻の映画館 「秋津温泉」「雪国」の恋
4668 完結が死であるならばこの旅は滅びの歌がよく似合うはず
4669 日本へこの子を連れていって下さいとチェルノブイリの若い母親
4670 誰が死んでも空は照り風は真夏の街馳け抜ける
4671 夕焼けが窓染めている安っぽい映画みたいだけれど綺麗だ
4672 午前五時「桑の都」の蒸気立ち「中村豆腐」の硝子戸が開く
4673 俊ちゃんと夏中行った香炉園、海水浴場だった昔に
4674 私の生まれた頃の魚崎の海もきれいに澄んでいたはず
4675 流木で沸かした産湯に入ったわけで漂いながら生きてるわけで
4676 去年まで母が元気でいた家が八月の雨と草木の中に立っている
4677 わけもなく今日は心が軽くなり九月初めの雨に濡れている
4678 空はもう秋の空だと雲が言う日本海には高気圧がある
4679 一顧だにかえりみられないもののため 石を積んだり崩してみたり
4680 そしてもう春は最後の春になり秋は最後の秋になるかのかも
4681 汗ばんで眠っていたのは睡蓮の葉かげに眠るおやゆび姫
4682 万人に見放されている気がしているたった一人の人を失い
4683 負へ負へと退却していた私の兵隊たちを呼び戻している
4684 ひまわりに似た花が咲く夏の朝それも晩夏の雨上りの朝
4685 〈カグー〉君は飛べない鳥と呼ばれているなぜそうなったのか誰も知らない
4686 深海魚うちあげている秋の海何を嘆いている海だろう
4687 国分寺の家の樹に似て太い幹蝉がとまっている夏の闇
4688 窓際に誰かが忘れていった本 風が読んでる「梁塵秘抄」
4689 私も月の小舟を一人漕ぐ「梁塵秘抄」の桂男のように
4690 始まりはイエスの方舟、ものみの塔、富士の裾野にオウム鳴くまで
4691 「オッチャン」は元気でいるか 方舟は夏の終りの海漂うか
4692 また空が小さくなったまた青いシートが空へ伸びてゆく街
4693 火炎ビン葦簀に移って燃え尽きた。三島屋商店炎上の経緯
4694 不安との道連れであるあまりいい人生送っていないのである
4695 その心見えなくなって長い日が、長い時間が過ぎてしまった
4696 思い出を少し残して消えてゆくいつかあなたもいつかあなたも
4697 レコードの針を降ろした時の音、多分忘れてしまうだろう音
4698 振ってごらん揺すってごらんもしかしたら記憶の底の音がするから
4699 生きて逢う最後の夏を見るように積乱雲をあなたは見ていた
4700 悲しみは時が癒すという嘘を信じるふりを誰もがしていた
4701 「苦楽園」誰が名付けし駅名と 小さな駅に人を待つ時
4702 北側の窓から猫が出入りするすすきが白い川べりのアパート
祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 01:58 * comments(0) * trackbacks(0)
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