田中弥生さん/『乖離する私−中村文則』、『スリリングな女たち』

田中弥生さん

ご冥福をお祈りします。

 

祥  * 『読書/単行本・新書』 * 09:37 * comments(0) * trackbacks(0)

水村美苗さんの講演会 「漱石と日本と日本語と日本文学」

昨日、横浜の中華街の駅で降りて、坂の上の神奈川近代文学館に行って来た。
芥川も森茉莉も、好きな作家はみんな死んでしまっていて、
生きて会うことは出来なかったが、
水村美苗さんは、現存の作家だから、
初めて生きて会える(見る)ことのできる憧れの作家ということになる。

講演は2時から始まって何時までだったか、時間を見なかったが、
講演が一通り終わってからの質問コーナーで、
答えている水村美苗さんが面白かった。

結構早口で、時々どもり気味になりながら、
時々、大笑いもしながら、質問に答えていた。



帰りに、「100年目の漱石」ということで、
展示室に漱石の軌跡を追った展示品があるというので寄ってみた。

まず最初に、入口を入ったところで、驚いてしまった。
家の書棚がある。三段式の100年ほど前のものだが、
現役で私が使っている。
我が家で見たほかに、どこでも見たことのない古い形式のものだ。
漱石山房を再現した部屋。
愛用の火鉢や、紫檀の机、硯などと一緒に、
漱石の座った背後に置かれていたらしい。
漱石は、その書棚の他にも沢山の書棚を使っていたということで、
パンフレットに映っているのは、他のデザインのものだ。
家のと同じのは、双子のように似ているが、
漱石山房の方が、少し材質が柔らかい感じで、我が家の方が堅い材質だ。
そして我が家のは洋風で、漱石山房のは和風だ。
にも関わらず、そっくりと感じるほど本当によく似ている。
兄弟に会ったように懐かしい気がしたから、
それが映っていたら買おうかなと思ったけど、
他の写真は沢山映っているのに、
最初の展示室の漱石山房の居室の写真だけがなかった。
漱石が座っている居室の写真もあるが、それは展示室の清閑なものでなく、
雑然とした山積みの本と一緒のものだった。
もしかしたら特別展と常設のもので分けているのだろうか。
漱石山房のあのコーナーだけはいつもあるのかもしれない。
私は、神奈川近代文学館は初めてだったからわからないが。



それから中へ入って行くと、原稿用紙や初版本や絵もあった。
漱石は絵がとても上手だ。
昔の文人というのは、本当に博識で、
小説のひらめきや思いつきも英語で書いてあったり、
(英語で考えていたのだろうか。)
正岡子規ほか、知人との手紙のやりとりも頻繫だったようだ。
漱石の字は、向かって左へ流れる癖があったんだね、とも思った。
生い立ち、家族、兄弟のことが最初の方にあったが、
若く亡くなった長兄という人の写真が、森鷗外の写真に似ていた。



漱石は、明治の日本が幸運にも得た奇跡だと、
水村美苗さんは言っていたが、
私はあまり漱石を読んだことが無いからわからない。
「夢十夜」の一節が飾ってあって、
「100年待つ」なんて、ロマンチストだったんだな、と思った。

 
祥  * 『読書/単行本・新書』 * 18:24 * comments(0) * trackbacks(0)

辻邦生・水村美苗『手紙、栞を添えて』

18年も前に購って、度々の断舎利にもめげず、
私の本棚に残っていた(ほったらかされていた)本。
辻邦生さんと水村美苗さんの往復書簡。


「つまらぬ、くだらぬ・・・・・これが一生か、一生がこれか」
樋口一葉の『にごりえ』の一節も引用されている。

一度も面識のない、一度は病院にお見舞いにも行きながら、
あえて会おうとしなかった二人の、文学をめぐり、生をめぐり、
蛍が明滅するように飛び交う思念が記され、
書くことの根源的な意味が語られている。
読後、『嵐が丘』が読みたくなった。



「さて、どこから始めましょう。
そう。まずは告白から始めることにいたします。
こうして辻さんとの朝日新聞での連載が終わった今、辻さんは、
私にとって、世にも特別なかたとなってしまいました。
生きているかぎり、なんとしてもお目にかかりたくない、
唯一のかた━━、本当に唯一のかたになってしまったのです。
ものを書くかたにはふだんから会いたいとは思いません。
でも会う機会が偶然ふってわいたら、その場から逃げ出そうとは思わない。
ところが、辻さんは別です。もしどこかで偶然ご一緒になるようなことになったら、その場で煙のように消えてしまいたい。
いったいいつから、かくも特別なかたになってしまったのでしょうか。」
       『手紙、栞を添えて』プロローグ 最後の手紙 より




久しぶりに読んで、
続いて、全てずいぶん前に書かれた本だが、
『日本語が滅びるとき』、『母の遺産』上・下
そして、水村美苗さんの母である水村節子さんが
70歳を越えて初めて書いた小説という『高台にある家』も読んだ。    
やはり、小説は重たく、
『手紙、栞を添えて』が一番良い。

アントン・チェーホフと女優オリガ・クニッペルの
『チェーホフとクニッペルの往復書簡』も読み直した。
祥  * 『読書/単行本・新書』 * 13:05 * comments(1) * trackbacks(0)

いい本を読んだよ今日は 平川克美さんの『俺に似たひと』
















この本のよさは、読んでみないとわからない。

祥  * 『読書/単行本・新書』 * 23:09 * comments(0) * trackbacks(0)

『ホームレス博士』/水月昭道・『発達障害に気づかない大人たち』/星野仁彦

『ホームレス博士』/水月昭道(みづきしょうどう)
光文社新書 

大量に生まれた博士。
大量に生まれた非正規雇用の教員(非常勤講師・研究員)。

ボーナス・退職金の非支給は勿論、雇用保険もない。
大学側からすれば、いつでも首を切れる安く使える使い捨てのコマに過ぎない、
どんな意味でも、保障というものからは縁遠い存在。

専任教員(教授、准教授、講師)とは、
天と地ほどの待遇格差、給与格差を受け入れる他に、
臨時的にすら明日の職場を持てない雇用形態。
期間満了後の雇用延長は、運にまかせるほかはない。
約束されているのは、身分の不安定さと低所得。
極めて短い雇用期間が終れば、非正規の、先生と名のつく仕事を探すか、
食べるために、職種を選ばないアルバイト探しをするか、
どちらにしても、生きるためのギリギリの闘いの日々が待っている。
蓄えも出来ないまま雇い止めになれば、生活に困窮し、
「ホームレス博士」にならなければ幸いというだけの。



『発達障害に気づかない大人たち』/星野仁彦(ほしのよしひこ)
祥伝社新書

【「片づけられない」「すぐ切れる」「話を聞けない」
───子どもたちではありません  
あなたのことです!!帯文より



ADHD(注意欠陥、多動性障害)
アスペルガー症候群」「自閉症」「学習障害」など、
(とりわけ学習成績も優秀な子どもの場合、
そのまま気づかれず大人になってしまう場合が多いという。)

不注意・注意散漫、成績の偏り、飽きっぽさ、凝り性、衝動性、
仕事の先延ばし、期限が守れない、ストレスへの過敏反応、
空気が読めないといった対人スキル、社会性の未熟、等々。

大抵の人にいくらかは思い当たる性癖、性格とのみ思われていたことが、
微細脳の欠陥を原因とした発達障害でありうる可能性があることを示唆し、
その対処法や治療法を述べる。

祥  * 『読書/単行本・新書』 * 15:03 * comments(0) * trackbacks(0)
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