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IT歌会の記録「原人の海図」 2


  1. (2001年以降(IT歌会の記録 「原人の海図」)

  2. 【水無月によせて】

  3. <詠草>

  4. ・首の無い馬が歩くよ水無月の手紙を待っている蛇使い

  5. ・水無月の雨の青さよアジサイの紫翳る雨の青さよ

  6. ・病み疲れ病み呆けてもいる花びらが水無月の文になりたいという 

  7. <番外>

  8. ・まだ雨は降っていますか 雨の日は痛む右手をどうしていますか

  9. ・雨降れば小さき渦のえごの花 流れて消えて水無月の川 

  10. ・命には命の水が必要です 葦、葭原に 鷺、カイツブリ 

  11. ・手品師の帽子の陰で鳩が言う 影も形も無い鳩なんだぜ 


  12. ・炎天にやすらう木陰なき蝶が身をよこたえる紫陽花のもと 

  13. ・夏の雪ゆうべ降るかと思うまで白き花びら散る木陰には 

  14. ・木の陰に蟻の行列見つけたり蟻が向かっている奈落あり 

  15. 【百年の孤独】

  16. ・「二百年後に最高の音を出す」 ヴァイオリンは夢を見ている

  17. ・百年後私は来る千年後あなたに会える 今かも知れない

  18. ・百年後千年のちも、さがそうよ 朝の露に濡れる蛍草

  19. ・ももとせもちとせもひとを待つゆえに人待つ姿残す渚に

  20. ・いつまでも愛しているし待っている海の果てには夕陽が沈む

  21. ・永遠の愛を誓ったわけじゃない ただ好きだった水の透明

  22. ・百年の恋より恋を焼き尽くす恋してみたく夏の終わりは

  23. ・千年の時超え君に逢うために生まれてきたと雨月の虚言

  24. ・吉野道・熊野古道 いにしえも今も変らぬ蝉しぐれ降る

  25. ・思い出せ君くる夜の足音を千年恋いて待ちわびる蛇

  26. ・うばたまの刻すごす身の朝霧に草露にぬれ帰る武蔵野

  27. ・遠く来て体温つたえ息はてし 瑠璃色の羽ふるわせながら

  28. ・海亀が卵を産むよ泣きながら 潮騒が呼ぶ海へ帰るよ

  29. ・浦島を乗せた海亀 月の夜人魚と遊ぶ僕は海亀

  30. ・さぁもう言い訳もできないくらい時間一杯とうとう告白しなけりゃならない

  31. ・だけどこれが難しいのさ 百年も君を恋していたなんて言えやしない

  32. ・ニュートリノ心に降れば眠れない夜のあなたを連れ去る銀河

  33. ・千年の愉楽極めて逝くゆえにもう怖くない一人で行ける

  34. ・みほとけにも神にも用はありませぬ百年後にも一人でもいい

  35. ・雨や風、降る雪ならば信じます レースのように薄い雪でも

  36. ・百年の愛と孤独は裏あわせ葉脈のぼる夏のソリトン

  37. ・求めなさい霞ヶ浦の面積を 百年後も帆船浮かべ

  38. ・その二人偕老同穴の誓いする 土星の環のような空隙

  39. ・カッシーニ、その空隙は誰のもの 愛のためこそディスタンスはあり 

  40. 【折句 夏の水 な・つ・の・み・ず 】

  41. ・夏来れば月見る月は野火止の水に映りて厨子にも入らず

  42. ・夏の恋 続きはあらず野薊の緑濃くなる図式通りに

  43. ・夏木立涼しき影を野の果てに水満々と図面の湖

  44. ・夏木立、ツクツクボウシ、野の仏 水清き里、厨子王の里

  45. 【題詠・夏の表情】

  46. ・白き蘭あなたのことだ満ちてくる記憶の中に射す晩夏光

  47. ・夏雲のゆきてかえらぬ夕暮れを香枦園浜から立ちてくる風

  48. ・風よどむ日の匂いがあるとあなたは言う 海の匂いを伝える手紙 

  49. 「題詠・ふるさと」

  50. ・帰ろうか 少し疲れてきた私 今、故郷の空の誘惑 

  51. ・菜の花が海までつづく道をゆく 海辺の道は潮騒の道

  52. ・黄昏の稜線見れば思い出す 母の笑顔や庭の打ち水

  53. <番外>

  54. ・故郷と言ったら何を思いだす 光る海とか薔薇色の海 

  55. ・私の故郷なんて無いのかも あるいは幾つもあるかもしれない

  56. ・故郷は青い海です鮮やかな それから鉛色した海も

  57. ・故郷に此処に家族は集うけれどあなたがいない 母のいない夏

  58. ・風鈴は土の風鈴 その塀も朽ちかけている土塀 椿の

  59. ・椿がゆれ椿の影がゆれている 土塀に夕日、掘割の水

  60. ・海辺には海辺の墓地が 故郷に私を待つ花の咲く道 

  61. 【題詠・硝子】

  62. 『硝子の狐』

  63. ─ 硝子のための103の断章 ─ 

  64. <濡れているのは私 ガラス越しではない雨の秋>

  65. 瑠璃、青玉、翡翠、水晶、硝子体 ルネ・ラリックの硝子の小壜

  66. ぎやまんに金魚浮かべて芥子ゆれて、阿片の誘う夢幻極楽

  67. 室内の硝子の床の下見れば錦の鯉も泳ぐ悪趣味

  68. この空の見えない玻璃を突き抜けてあなたの鳥が飛んでゆく秋

  69. あの夏の焦熱地獄一本の硝子の壜に立つきのこ雲

  70. 硝子溶け鉄筋が溶け人が溶け街は焦熱地獄 向日葵

  71. 向日葵は焦げ傾きて日静か頭上に割れるガラスの太陽

  72. 断頭台そのギロチンの露と消えるガラスのように繊い血脈

  73. 血は血にて贖うものを血の樽を硝子一個に換えて携う

  74. 血の色の葡萄酒色の硝子壷 一族全て死に絶えながら

  75. こんなにもきれいな虹を夏空の東の空の七色硝子

  76. 真実は誰にも見えず明かされずガラスの兎耳垂れている

  77. 太陽を憎んだサティ窓硝子つたう雨だけ愛したサティ

  78. ジムノペディ、グノシェンヌ、三つの夜想曲 硝子越しに見る裏庭の雨

  79. 夜がきて電車の窓に見えるのはあの人が住む遠い街の灯

  80. 城の奥、鏡の部屋に使われた硝子職人生き埋めの森

  81. 死が染めているのだろうか夢硝子 黄昏れてゆく窓の夕映え

  82. 薔薇・菫・オリーブ・檸檬・黄昏が硝子に射した夏の花束

  83. 硝子窓つたう水滴、雨のしずく窓に映っている灯と私

  84. この窓も窓の硝子もカーテンも古き佳き日の忘れ物でしょう

  85. 終電車レール軋ませ走るから疲れた男もいる硝子窓

  86. 夜明け前、その茄子紺の空の下 中村豆腐の硝子戸が開く

  87. その人に夕べの愁いあるらしき うすむらさきの硝子の埃

  88. 見ていたわ焚き火が消えたあの庭と硝子の破片のような夕映え

  89. 高熱にうなされながら死んだのねステンドグラスの百合と黒薔薇

  90. 熱い熱い炎える夕陽の紅の運河の街の硝子工房

  91. それはあのガラスの靴のお話の燃えないゴミになった結末

  92. クセナキス ホロス、エヴァリアリ、ノモス・ガンマ曇り硝子のような音楽

  93. <雪の夜にランタン赤き窓ありて 若き主人の古美術の店>

  94. 退屈は夢見る硝子 ベネチアの、ローマの酒盃に注ぐ葡萄酒

  95. その街に大きな硝子窓があり 通りを歩く人と樹が見え

  96. 街路樹が桜並木の葉が触れる大きな硝子窓のレストランがあり

  97. 学生も子供を連れたお母さんものんびり歩いている硝子窓の向こう

  98. 食卓の硝子の小壜 紫の露草に似た花が一輪

  99. 薄藍色の煙草の煙微かにゆれ燐寸は消える硝子の灰皿

  100. 飼猫はそこに居たはずだったのに 硝子の函が骨壷となる

  101. 透き通る仄かに点るペルシアンブルーのような瞳、硝子の

  102. 烏羽玉の夢かと思う夢なれと冬の硝子のような愛恋

  103. 「聖なる樹、ゲルニカの樹よ 永遠に」 硝子のように砕ける地球

  104. 我はもや花のもとにて春死なん 満月、湖(うみ)に硝子のように

  105. それからは死がすべてとなったから硝子戸を開け出てゆくゴースト

  106. さびしくて心砕けて散る硝子うすくれないの焼き場の煙

  107. 野火炎えて心焼かれてさまよって何処の土に帰る 玻璃割れ

  108. 武蔵野は昔、飛火野 飛火野の野焼きしてみよ 硝子の狐

  109. 蓬莱の山に鶴立ち鶴帰る鶴来という町の大通りの硝子屋

  110. 破綻する破水破裂破砕破船破調 硝子の白鳥

  111. 黄昏の野をゆく水の逃げ水の硝子のようなきらめきの秋

  112. その人のピアノの中のアラジンの魔法のランプ・硝子の小舟

  113. 海があるピアノの中に海がある硝子の小舟・水晶の舟

  114. 森には樹、海には魚 この街のガラスのような薄いニンゲン

  115. 焼けた砂、海辺の町にゆったりと時は流れて八月六日の硝子の太陽

  116. ああ、とうとう思考回路は遮断され脳は硝子のように溶けるよ

  117. 今宵八時と限られてみればまた書く玻璃の歌 あはれ涼しき死もあるらむに

  118. 硝子のこと昔は瑠璃と言ったのね 瑠璃、玻璃、硝子  水の透明

  119. 影法師 影踏み遊び硝子戸に影が重なる死の影遊び

  120. ピアノ聴くけだるき午后の瑠璃色のサティを聴けば夏の雪降る

  121. あてもなく無益に時を徒に玻璃、瑠璃、硝子 九月の驟雨

  122. 鸚鵡にはおやすみなさいを教えよう硝子の小壜が涙壷とも

  123. 月蝕のほおずき姉の産褥の枕辺に硝子のトレー

  124. 胎内にあかるき光りともす子の指を映して液晶硝子

  125. 夏蝉は遠く遥かに死絶えて私を待つ瑠璃の一族

  126. 蛇が巻く後ろの森の夜の月 硝子のような眼の梟よ

  127. 飛騨高山、四国内子町の和蝋燭 古い硝子戸開ければ燈る

  128. 秋の旅 古き湯宿の硝子窓、瑠璃紺青の海と白波

  129. 「出部屋」には産婦が抱く子が眠る硝子を染める海の夕焼け

  130. 海が凪ぎ月光があり炎えつきた硝子成分のような心音

  131. いいえまだ人生のプリズムのその一面しか知らなかったの

  132. 太陽を私は集めているのです この集光器の午后の太陽

  133. 悪徳の旗が靡いておりました背徳もまた硝子の仮面に

  134. 熱病に曇る瞳に黒天使 薔薇をかざして硝子のランプ

  135. 火の髪の火の飲食(おんじき)の弱法師 夏来ればニンゲンを返せと

  136. もの憂くて倦んで疲れて死にたくて心の奥の硝子砕けて

  137. 野火もえてまた野火もえて身は焼けて瑠璃の仮面の砕けて落ちて

  138. 天翔ける天使が私に言いました硝子をお前に与える野を焼け

  139. 詩と音楽、珍味佳肴につきものの二つも盛って硝子の器

  140. ボローニャの腸詰、マラガの干し葡萄、海老も冷たく硝子の大皿

  141. 難題は遡っても玻璃に映る残照のような当主の浪費

  142. 山海の珍味蒐めて還暦の馳走配って血潮の玻璃皿

  143. 露西亜からは硝子の壷とサモワール思い出だけを帰国の友に

  144. 火のように淋しがってるあなたには硝子の猫や白梟を

  145. 水槽にメダカ泳げば透明な硝子に水藻ゆれて夏来る

  146. 発作以来人が変ったようになり硝子の水盤には睡蓮を

  147. 憂愁・苦悩・絶望・悲惨・呪詛・傲慢あなたが見ていたのは万華鏡

  148. 一冊の書物のように傍に置く 氷のような硝子の文鎮

  149. 何という美しさだろう硝子より星より水は涼しく湧いて

  150. 街道の中心にして馬留めて清水を汲んだ硝子井の井戸

  151. カナリヤは死んでしまった坑道の空気、硝子のように吸い込み

  152. この水を空の真中に汲み上げる硝子のような刻があること

  153. その恋も額の熱も奪うためガラスに氷、水には花を

  154. 舟歌ははるかに川を下るから硝子の舟も泥の小舟も

  155. 終戦の直後には居た傷病兵 傷痍軍人義眼の兵士

  156. 笛吹いて少年少女鼓笛隊ガラスの仮面がパレードをする

  157. 焼かれたる金の野山の明烏 再び告げよ瑠璃の王国

  158. 遠く来て呼べど答えず谺せず玻璃の湖面に白鳥一羽

  159. 沈丁花、梔子、白きえごの花 花影ゆれる瑠璃色の日没

  160. 見殺しの父と母との杜子春の銀の硝子に似る蜘蛛の糸

  161. 遠火事を見ている夜の硝子窓 燃えればいいと誰かが言った

  162. 炎上をしている三島屋火薬店 冬の花火が硝子を揺らす

  163. 火の壷も炎の硝子瓶もある ただ着火する動機薄弱

  164. 青空の硝子のような輝きの真中を進む黒の一隊

  165. 卑弥呼病めば卑弥呼の国もまた病んで瑠璃色の海もまた病む

  166. 今日もまた夢を見ている夢見ればあなたに逢える 硝子の狐

  167. 「オノマトペ」歌会

  168. 茫々と風は海辺の村に吹く 人をどうして殺しちゃならぬ

  169. 海辺から海辺の村へさすらって 吹雪じんじん背黒のかもめ 

  170. 打ち棄てて人はいずこの空の下 ゆらゆら赤い赤い夕焼け

  171.  

  172. 鰊来て鯖きて人もきた村の砂押し上げる波のどどんこ

  173. 難破船、浜辺にあれば蟹遊び子供も遊ぶきらきらひかる 

  174.  

  175. 人呑んで船も沈めて波ざんぶざんぶざんぶと渚に寄せる

  176.  

  177. 眠れない一億の夜と人を抱き 地球はウオーン回り続ける

  178.  

  179. 今日今から?夜明けの珈琲でもいかが 蝉もみんみん鳴き出すでしょう

  180. 虚無の星、虚無の宇宙が大好きよ 夢が現実、現実が夢

  181.   

  182. この星のどこかに必ずいるだろう 反世界にも雨のかたつむり

  183. などを序章に詞書に ぽわーんぽわーん夢世界地球

  184. しんしんと雪は降るべし降り積もる 天上の川降りくる峰に

  185.   

  186. ぬらりひょんどこに行ったかぬらりひょん背中に負んぶしていませんか

  187. 君が鳴けばじんじじんじとかなしみも湧いてくるから八月の蝉

  188.  

  189. 桜鯛、瀬戸の小島の海水の匂いしているピチピチ尾ひれ

  190.  

  191. 異界には異界の音がするだろうゴーストたちのしゅわり衣擦れ

  192.  

  193. 洞窟に潮満ち潮引きさらさらと波の音だけ聞こえ天心

  194.  

  195. サリサリとセロリを食めば、朝採りの胡瓜、トマトも浮かぶ井戸水

  196.  

  197. ぎらぎらと太陽が照る油照り 狐が待っている曼殊沙華

  198.  

  199. 夕焼けよ何を弔う何を泣く 海に私の失くしたゆらゆら

  200.  

  201. 夕ぐれはしずかに来たり花びらはしんしんひらく夕顔の花 

  202. さようなら夜明け朝焼け海ほうずき夏の海辺のたんたん赤蟹

  203.  

  204. するすると器用に網を繕って、漁師の玄さんまた来いと言う

  205.  

  206. 水音がしている 音は山奥の水車ぐるるん回す水音 

  207. 「題詠・洗う」

  208. ・この水が黄に染まるとも岩洗う水はゆたかな中国の水 

  209. <番外>

  210. ・クレゾールの匂いしていた洗面器 呼吸停止の死児運ばれる 

  211. ・洗っても洗っても洗っても拭えない記憶の夏の神の指先 

  212. 「題詠・未来 」

  213. <詠草>

  214. ・婚約は月燭の夜 かぐや姫略奪委員会が留守の間に

  215. ・シャボン玉消えるみたいに消えた虹 未来の空の涼しい地球

  216. ・きっとこの石そっくりの魚もいて 石のふりして眠っているね 

  217. <番外>

  218. ・来世紀、私はどこにもおりません そう言っていた陽だまりの猫

  219. ・ love love love 薔薇も珊瑚もサボテンも明日の夢を見ているだろう

  220. ・ 夜明けにはめざめる魚 昨日見た夢がリアルで怖かったこと

  221. ・《mにはね砂漠のキツネいないけどバオバブだってコワクアリマセン》

  222. 「連想短歌」

  223. ・ぐんにゃりと木は立つサンレミ療養院 南を離れ北を恋う人

  224. ・荒れ狂う空の下にも麦畑 ヒース花咲く故郷へ向かう 

  225. ・烏の群れ飛ぶ麦畑 黄金の穂を笑う嘴太

  226. ・麦畑、ゴッホの烏飛んでいる 輝く穂波、ゆれる麦の穂 

  227. ・ゴーギャンが真犯人だという噂 ゴッホの耳を切ってタヒチへ 

  228. 〈自遊室〉黒衣

  229. 横顔の黒衣のひとを凝視めればいつか降りだす八月の雨 

  230. 逆光の中に立つ人みていれば振り向いた顔 死者である人 

  231. むごたらしい傷癒えることなくてその傷口の蛆を見た今日 

  232. 「温故知新」歌会

  233. ・烏羽玉の夜に目覚めて儚ければヴァイオリン・ソナタのための第二楽章 

  234. ・烏羽玉の夜を過ごす身の朝霧に草露に濡れ帰る武蔵野 

  235. 「クリスマス」歌会

  236. <詠草>

  237. ・しんしんと雪降り積もる夜の窓 夜の子供が待つサンタさん 

  238. ・クリスマスツリーを肩に歩く人 ピエール&シベールの樅 

  239. 〈番外〉

  240. ・地下街にホーキを持った魔女がいる雪も降らない降誕祭前夜(旧作) 

  241. ・聖夜にはいったい何が起こるんだ南極ではもう氷が溶ける 

  242. ・クリスマス祝う国ありクリスマス祝わぬ国あり暑いね冬も 

  243. ・地上には星が燿めく窓があり 雪しんしんと聖夜の祈り 

  244. 「いろ・おと 」歌会

  245. ・今日までは病気ではない明日からやるせないほど狂って虹に

  246. ・雨音が微かになれば聞こえますサビシイカナシイムナシイと虫

  247. ・描きかけのcanbas残し逝った人 その空白に映る鳥影 

  248. ・生まれざる花も生まれむ風たちは未生の夢を語り始める 

  249. 自遊室「ク・リ・ス・マ・ス折り句」

  250. ・苦しくて林檎倉庫に住いしたまだ若い日の素敵な歌人(斎藤史さん) 

  251. ・降誕祭 林檎の蜜が充ちるころ 素裸の木と真裸の基督すっぴんの人

  252.  

  253. ・クロッカスやリボンで飾るスイートピーマラガの葡萄も素敵な晩餐

  254.  

  255. ・ガラパゴス諸島の象亀 イグアナも重なりあって海を見ている

  256. 折句 去ぬる年「い・ぬ・る・と・し 」歌会

  257. ・いつまでも濡れていたのは瑠璃色の鳥の飛翔を信じていたから

  258. ・いつのまにか盗人萩は留守中に盗難予防のシステム解除

  259. ・いつだってぬれるナイフはルキーニにトート閣下の死神の犠牲者

  260. ・いつだってぬれる眼差しルシファーの遠き闇から死者呼ぶワルツ

  261. ・いつまでも温もりありて留守の間も年越し冬のシクラメン咲け 

  262. ・一度くらい「濡れ手で粟」が累損の途方もあらぬ死に在庫の原因

  263. ・生きていた沼には残ったループがあり飛べない鳥が死んだ夜明けに  

  264. ・いつよりか鵺(ぬえ)にすら似る類人猿 時には夢を死ぬほど抱(いだ)け 

  265. ・色と音塗りこめているルドンの薔薇 遠く氷雨の降るシスティン礼拝堂  

  266. ・石の影 ヌーヴォロマンの瑠璃の影 時が死を超え光りを放つ

  267. ・いつまでも脱いされない累々と時は無惨に屍骸を重ね  

  268. ・石蹴りと塗り絵とロウセキ留守番の年子に生まれた姉妹の遊び

  269. ・いつからか抜きつ抜かれつルーカスの遠い海辺のシーサイドゲーム

  270. ・今は夢ぬばたまの夢 瑠璃色の時が流れて死に至る夢  

  271. ・いつの日も温もりありて累代の墓の隣りの紫苑の花群

  272. ・抱きあう濡れる花びら瑠璃色の通り魔、雨の新宿御苑  

  273. ・生き生きと温もりありて瑠璃色の蜥蜴の子ども死にしばかりに

  274. ・居場所なき温もりのなき累卵の都会の危機は真珠抱くよう 

  275. ・いつ雨は濡らして降るの累代の永久の眠りに死者の眠りに  

  276. ・いつまでも泥濘(ぬかるみ)の中 流刑地の永遠(とことわ)の夢 死せるマンモス

  277. ・今を生きる泥濘のなか瑠璃鳥の透明の死は死よりも甘く  

  278. ・いままでの沼地に生まれた瑠璃色の鳥が探している死に場所はどこ  

  279. ・いつからか泥濘は消え瑠離色の鳥の飛翔を死が待っている

  280. 「カタカナ」

  281. 足跡をみんな消したら死にましょうマイマイツブリノヒカルアシアト 

  282. シャアが撃つ致命傷部を避けて撃つメガ・バズーカ・ランチャーで撃つ 

  283. ガザX光の中に消滅す 幾万の影ヒトガタノカゲ 

  284. 破壊者は優しい顔をしていますメロウなサウンド得意なミュージシャン  

  285. クレッシェンド、デクレッシェンド、森の奥 野ばらは水を 眠れひととき

  286. 炎えんとし炎えざるものは生焼けのギュスターヴ・モローが描くサロメにも似る

  287. グレゴール・ザムザが死ねばグレゴール・ザムザに似ている虫もまた死ぬ

  288. カフカ作『断食芸人』の台詞<タベタイモノガナカッタダケデス>

  289. アノヒトハイツモニコニコシテルケドタマニヤサグレタマニナキマス 

  290. 「ヒロシマノコトハヤムヲエナカッタ」と語りし天皇も逝きて八月 

  291. 『モシカシタラコノテデコロシタノカモシレナイ』などと思わずすめろぎゆえに 

  292. しばらくは桜の夢を見たかしら桜伐られたラネ―フスカヤ夫人 

  293. 昨夜いいお芝居を観たらしい 幸福ファントム、「オペラ座の怪人」 

  294. 「ニンゲントシテモシンヨウデキナイ」と言われているよ夏の掲示板 

  295. 機関車は水を飲んでる機関区の給水基地で ユキドマリデス 

  296. アクサンテギュ、アクサングレーブ、ウムラウト、アクサンシルコンフレクス、

  297. アンダーライン、ピリオド 

  298. 『マルチニック島、蛇使い』「震えるピン」のアンドレ・ブルトン

  299. <またそれは分散和音のようで窓から見る海の風景>

  300. 神々の黄昏、ジークフリート、鳥の歌 サウスカロライナでは聴かないな 

  301. 『偶然の音楽』からのファンなんだ エージェントには電話を入れて 

  302. 人生は意味を為さないナンセンス ミラ・ソルヴィ―ノの顔が貼られて 

  303. 熊笹の笹の葉みたいにあっさりと バッハ「シャコンヌ」のヴァイオリン 

  304. 【シーン、Z】レディ・イン・ザ・ダークのある意味じゃ最も小粋で大事な場面だ

  305. 「アンチェインド・メロディ」流れ時代は流れ優しい時間も流れていった 

  306. 遮光布使えば簡単にできるアラビアンナイト風ハードマスクで 

  307. 感情を見せて撮るなら二つだけ リアルの意味を教えてくれよ 

  308. リアルなど後生大事にする人の似非宗教的スーパーリアリズム

  309. オペラ座の梁で首吊る道化師は存在しないシネマ・パラダイス 

  310. ギロチンに架けられているフランス王ルイ十六世の日記を愛す 

  311. ゼフェッリの「空騒ぎ」とかP・ブルックの「真夏の夜の夢」軽い悲喜劇

  312. ベルリンで面白いからブレヒトがオモシロイとは限らないだろ 

  313. サポニンの血液サラサラにする効果 ホワイトアスパラガスの苦味成分

  314. カメラマンが何か言っていたライティング効果がなんとか仁王立ちでさ

  315. ケン・ヒル版「オペラ座の怪人」観てみたいロイド・ウエ―バー版には倦きたから 

  316. 「バロックは歪んだ真珠」三月の舞台 主催者は歪んだ春の震災の街

  317. 皇后は旅する皇后どこまでもこの世の外へ シシィの鴎

  318. <狂気の王ルードヴィッヒは湖に 湖に霧たちこめている> 

  319. 双頭の鷲の紋章掲げてもハプスプルクの灯消える 

  320. <ルドルフとマリー・ヴェッェラ 銃声が雪のマイヤーリンクに響き> 

  321. 美しいノイシュバンシュタイン城、白鳥城 バイエルン王ルードヴィッヒの夢の形象

  322. <イザナギはヨモツシコメに追われたる ヨモツヒラサカ桃投げて去る> 

  323. 「ピラミッド・スフィンクスには秘密がある」おいてけぼりの砂漠の狐 

  324. <カドモスを祖としラグダコス王家によって統治される古の夢ひらく王国> 

  325. 盲目のオイディプスが現れる従者にその手引かれ闇から 

  326. <地二住マイ脚ノ数ノミ変化スル地ヲ這イ空飛ビ海オヨグスフィンクストハ如何ナルモノゾ>

  327. スフィンクスの謎は解かれて都なるテバイは災厄より甦る

  328. ≪比喩と音楽≫

  329. 「華麗なるギャッツビー」そこに全身で優雅な破滅する人がいる 

  330. その著書によればスコット・ジェラルド夫妻よりマーフィ夫妻こそ禁治産的 

  331. 才能もお金も浪費・乱費して一生パーティみたいに生きた 

  332. 真実の断片だけが残っている 存在すれば生きたことです 

  333. 作品の一つも世には評価されず 望みのままに遊び暮らした 

  334. もしかするとそこはあなたの左耳 愉しい比喩や音楽のこと

  335. ディアギレフがきっと嫌がる 最終の遊覧船の横波嫌う 

  336. あの時代、のすたるじっくなあの時代 ハカナイユメのような時代だ 

  337. スコットの妻のゼルダは美しい 一挙手一投足が芸術 

  338. とはいってもゼルダは神経を病んでる 対岸で見る落日みたいに

  339. 落ちてゆく夕陽みたいにかなしくて 湖みたいにやさしかったね

  340. 『パーティのせいじゃないのよ お互いが好きだっただけ みんながみんな大好きだっただけ』

  341. 情熱を傾けていたジンセイにゲイジュツなんかじゃないジンセイに 

  342. 繊細な回転のよいその様子 一族だって徴みたいに

  343. 横着な反抗的な様子だが、ホントハタノシンデルンダその子供たちも 

  344. <街角の海>

  345. 夏に降る雪のサティを聴いたのは昨日の私、海を見ていた  

  346. もう一度海が見たくて故郷にジェームズ山の廃家見たくて

  347. ドメスティックなる夕暮のP.T.S.D患者という女優の胸の赤トンボ&l
祥  * 『 毅 歌会 2 「原人の海図』 * 22:13 * comments(0) * trackbacks(0)

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