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2006年10月の歌













世界史がすっぽり抜けていることも世界樹の葉が茂らぬことも
そのことの危険も承知しつつなお始まり終わり忘れてしまう
「月満ちるまで懐胎しそれから産む」とリルケの言う その時が来て贈られる本
想像を絶することは多分なく ああそうかとこと切れていん

断片に解体されてそこにある焼き菓子のようなヒロシマ
さてここでは夏が来るたび白さ増す鱧の椀にも似たる輝き
永遠に問う答え無き問いを 木の間を抜ける大黒揚羽
日本を支えたものが消えてゆく 小さな郵便局や山村、漁村
ひさかたの光のどけきゆえ多忙 『若草物語』なども視ながら

溶岩の隙間に生まれた鳥の子が 雪降る湖の雪を見ている
ゆすりかの幼虫がいて殻を脱ぎ 蚊柱となる外つ国の湖
ストーブや焚き火が好きで洋燈や篝火も好き 火の色の秋
その切なさがいちいち私にはわかりそれでいてただ通りすぎている
逆らおうという心さえなくなってすでに長病む心であるよ

添削を受けた短歌を自歌などと呼べる心の疑わしくて
押し込められたというのは原武史氏の説ではあるが説得力を持って昨今
背景としての自由の時代も遠ざかり 遠眼鏡にて見てもなお遠く
その前後、大正デモクラシーの時代、銀座にはモボ・モガ 阪神間には阪神間モダニズム
思えばあの大正天皇は押し込められ彼の時代の自由も終わり

誰かの思ういい国と誰かの思ういい国は違う  子供たちに残したい国も
明らかにするべきことが沢山ある 硝子の書庫にあるβファイル
木洩れ日の道を通るよ 泥色の鯉がゆったり泳いでいたよ
秋日和だっていうのに体調が少し悪いという日も続く
少しずつ秋が深まり少しずつ木の葉が散って鴨遊ぶ水

ならず者、テロリストって言うけれど あなたたちのことは何て呼べばいい
核のない世界は夢のまた夢か みな黒焦げになるまで戦うのか
冷酷さの代償として受け取った 小さな核の模型とメモを
そして今、北朝鮮の人は飢え 北朝鮮は世界の鬼子
日韓を併合したのは日本だし戦勝国米・ソ(露)は半分こしたのであるし

そもそもの一つの国家の分断に至る原因の当事者でもあって責任のある日本は
北朝鮮の将軍様は真似をする三万発の核超大国
今はただ参賀の風景にてあれど日の丸の小旗振る人の行進
天皇に万歳をして土下座して そんな昔の皇居前広場
「ならず者国家」と比較するなって流れ弾など飛んで来ませんよう

戦前の日本に似ている北朝鮮 窮鼠猫をの構図のところ
レトリックで生きる生物ねこじゃらし短歌31音の詩形
未知からの遭遇に似て辿りつく一つのコミュのURL
千年の森の時間が止まるとき地球の皮を一枚捲る
まだ少し生ある時間続くから 緋色の糸も切れ切れながら

ある時は時代の転換点にいて右往左往を常態として
「なめてる」という人たちがいる 「なめてる」ってなぜ言うのかな
ガジュマルは寺院に絡み被さって 滅んでいるのか育っているのか
中学校の保健室に架かっていた額に《七つの子》がいて烏の子がいて
戦略的互換関係たしかめて敵はその敵を助けるものと知る

神獣が向き合う カンボジアにはタプロムという樹をもつ遺跡がある
黒い馬、茶色い馬や白い馬草原をゆく尻尾ゆらして
嫌われていたのでしょうか何ゆえに普通に烏というだけなのに
漆黒の水彩に描く濡羽色 あざやかにして美しい黒
木橋には烏、小川には小鷺  多色刷りにはなりえぬ構図

ニューヨーク、マンハッタンにビルは燃え 午前四時半のニュースの中に
黒猫が来たみたいです 私が毎日見ている『ねころぐ』の家に
『悲しい本』の装丁が好きで谷川俊太郎さんの訳文も好きで
何ともまぁ今夜のジュゲムは重かった 待つことを繰り返して朝である
何事も因果応報 原因はあるものである あるものであるよ

眠れない夜のためにはミステリーよりもよく効く星座の話
大丈夫大丈夫なんて言われたくないだろうけど大丈夫(ダトオモイマスヨ)
大切なものは平衡感覚と希臘の酒盃や李朝の壷が
時空間移動するだけ 死んだってつまらないから生きていましょう
秋の日の薄桃色の雲見えて夕暮れは来る雪の山頂

北朝鮮の核実験が実施され この秋の日の青空の下
ロシアでは記者が殺され日本でもいつしか消えているものがある
秋晴れとはこのようなものなのか 風はさやかに赤とんぼ来よ
真っ青な雲一つない空でありただそれだけの晴天である
ジョニー・デップがジョニー・デップに見えないわ『ネバーランド』のジョニー・デップは

社会的適応をして私は大事なものを棄てて来ました
中天に十五夜の月輝いて 喪の日からはや一年が過ぎ
雨上がりの川を小鷺が歩いている いつのまにかそんな季節に
重力の違いであったという説明 その大きさが決めた運命と
なんとなく命からがら生きているような昨今 雨は激しく 

アメリカの轡しっかり嵌まっている <言わない>総理はとてもおとなしい
水面には波紋広がる 水馬、蜻蛉、蛙、井守がよぎる
私はどう生に関わり私の生はどう私に刻印されているか 書くことはそれを知ること
フロンティアだったメイフラワー号だった水平線にマストが見えた
屈託がないと言っているSさんやFさんの方がずっと屈託がない

そのように離れる思いだけがあって雲は流れる光り播きながら
突然に絶望的になることがあります歌から離れます
「駄目教師はやめていただく」(まず最初に愛国心の無い教師から) 
IDは不在、でもそこにいた人の言葉を信じています
抵抗の手段としては弱すぎる もちろんそういうことはあります
祥  * 『制作日付け順、月別』 * 23:45 * comments(0) * trackbacks(0)

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