<< えごの木 | main | 街角の海 >>

ブラインド越しに見ている街の空 赤い屋根から濡れはじめている

.光る海、海見る丘に吹いた風 その気軽さが好きだったのに


.「問題は数学ですね。」今回は私は母として聞いている


.放心をしているような午后の空、春のプールに揺れている影


.教室の窓から遠く眺めていた 鉛色したある日の海を


.青谷を降りれば海星女子学院、聖母子像も遥かなる街


.春早き神戸の街の花吹雪今年の桜見ずに終りぬ


.昨日来て今日帰りゆくような旅 親しみ薄き街になりゆく


.この駅は久坂葉子の死んだ駅、阪急六甲通過している


.もう一度風に逢うため私も一つの風となるための旅


.私は急ぎ始めているらしい生き急ぐというほどではないが


.老残を見せたくはない見たくない、風を誘って散る花がある


.距離感が私を誘う 水流は風を含むと中国の詩に


.この街にカラスが飛んでくるわけは死臭が漂いはじめたからさ


.蜘蛛の巣の繊細な糸かけられてついに息やむまでの宙吊り


.物置に蛇のぬけがらいたちの巣迷宮の入口というわけではないが


.燃える街、暖炉に落ちた焼夷弾 母の記憶の中のその夏


.ふりむけばいつでもそこに街角に、海があったが夢かもしれない


                      「短歌人」「玲瓏」より 

祥  * 『歌画集「えごの花」』関連 * 09:39 * comments(0) * trackbacks(0)

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