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2010年3月の歌


・モザイクのタイル絵による向日葵も金に輝く孔雀時計も
 
エルミタージュとは隠れ家の謂いという女帝となったゾフィー・フレデリーケの
燦然と輝く王宮美術館 その陰に泣く無数の大衆
ポチョムキン グレゴール・ポチョムキン エカテリーナの心の拠り所として
2600点の絵画を蒐集しエルミタージュは翼広げる
世界一の美術館としての壮麗さ 孔雀時計が世紀を超えて

ゾフィーからエカテリーナとなったころ 廊下は二つの世界を結び
ポーランドから黒海のほとりまでエカテリーナは版図を拡げ
その頃ロシアではゾフィー・アウグスタ・フレデリーケが女帝となって玉座へ
その人は逃げて歩いてばかりいた だから何にも残さなかった
エリザベート ルドルフまでも失って 19世紀末の闇を纏って

十億の人が飢えているたった今 言葉、言の葉、吹く風となれ
異次元の再会となる二人には抽象的な空間が似合い
そうそしてジュリー・クリスティ 『ドクトル・ジバゴ』、『遙か群衆を離れて』のあの人
脚の悪い青年を演じたシャイア・ブルーフ 「アッパー・イースト・サイド」がよかった
日本からは岩井俊二監督作品も参加する 詩情溢れる映画十篇

アンサンブル・ムービー幾つのもの出会いと別れ街角の恋
期待せず時間潰しに観た映画 『ニューヨーク,アイラブユー』とても良かった
どこからか風が入ってくるようだ 何処に生れて此処を吹く風
このごろは道路工事でもするように辛夷が伐られ桜が伐られ
競うよう咲いていたのは昨年の春までのこと桜吹雪も

近くには明冶学院校門の桜もあって絢爛と咲く
雨降って明日は咲くと思ってた桜並木の桜が伐られた
警察の官舎の道の桜の樹、桜の並木 丸裸となる
昨年は八重桜伐られ今年は染井吉野が伐られ 来年は何の桜が伐られる
大枝も小枝も伐られて丸裸 春爛漫の光射す日に

三月に伐るとは四月に咲く桜 咲き終わるまでも待てず伐るとは
年度内予算のためか開花待つ桜の並木、丸坊主となる
改修の終った川の柵を割り樹の根膨らむ土が零れる
春よりもなお春の声、夢の声 あかときに聞く鴬の声
紫と白が終れば黄の花が野火止沿いに咲いて雨呼ぶ

いつの日かどこかの誰かに伝わるなら幾度か来る春は見ずとも
今日も無為、明日も無為の日が過ぎて クリスマスローズ太りゆく春
(こんなことをしている場合ではないと何もしないで終る一生)
(それならばせめて一つと決めてやりその一つだけでもやればいいのに)
(気ばかりはあれもこれもと急くけれど何かするには足らない時間)

このように春夏秋冬過ぎ行けば 出会頭に死の時も来む
「二月逃げ三月は去る」と昔人 確かに既に春逝く気配
夜空には星が煌くこともなく弥生三月黄砂の街で
整理して捨てたその後出て来るもの 半分だけの残りの方が
箪笥には片方ずつの靴下がいつも何足ずつか眠って

どういうわけか片方ずつになる靴下 流浪、漂泊、流離の旅人
こんなことで終ってしまう人生か 今日も靴下も片付けられなかった
ほんとうに来るのだろうかこの街を流れ海へと光求めて
白木蓮と辛夷の違いを聞く人よ 見ればわかると思うが如何
真新しい杭だけ目立つ用水の土手に今年の檀の苗木

今頃は大根の花咲いた頃 薔薇もエビネも根から抜かれて
用水の改修工事終るころ抜きつくされて土手の花々
鴨、小鷺、家鴨も時に踏み切りの傍の橋桁あたりに集う
厨房の下を流れる小川にも墨色の鯉多く群がる
踏み切りの傍の木橋の真下には黄金の鯉、緋の色の鯉

春の日は短く花の雨降らしブロッコリーも黄の花咲かす
巨大なる太刀魚に似て竜宮のつかいと呼ばれる大魚があがる
深海魚打ち上げられるニュースあり天変地異の前触れという
また地震、今日は地震が多いよね ゆらゆらゆれて福島震度5弱という
あるあると思って読んだこの頃の歌人O氏の歌の形良し

ホチキスやゼムグリップが懐かしい世代あるらし短歌を読めば
今生の別れを波の間に流しただ生きてゆく終の日までを
東北の地震がこんなところにも響く 震度4という ドラマ視ている
シャングリラ水の伝説あるいはまた水の城へと蛇行する川
富士川を遡るとき見えたのはゆっくりのぼる焼き場の煙り

あの川は笛吹川であったのか一本の樹に幾つもの巣が
烏が飛び幾百も飛びその烏迎えるらしき黒い巣と樹が
濁り空、黄昏の空、太陽の周りを包む虹もあること
明暗はどこで分かれて闇のなか九道の辻に枝垂れる桜
不安、不安、不安だらけの日常に春が来ていて夜明けは早い

渡辺あや脚本『メゾン・ド・ヒミコ』は5年前 オダギリジョーの白の眩しさ
旧い町並、大崎下島 白壁と本瓦葺 海を背にして
瀬戸内を舞台に展開するというその風景も必見である
忘れないよう予約録画にしておこう 室生犀星原作のドラマ
今日芸術選奨に選ばれた『火の魚』 今夜9時NHKで放送される

<芸術選奨、柳宣宏歌集『施無畏』> 素晴らしいことではないかこれは
丘の上、風台風が直撃しヒマラヤシーダ倒して去った
三匹の子豚の家のようでした俵のように膨らむ雨戸
音も無く崩れるものは私のあなたの心の中の尖塔
野鳥の森、泉水の川、雑木林、芝生をめぐる散策道路

震災の時にはどこより沢山のテントが張られるだろう公園
雪降れば雪野となって兔さえ跳び出しそうな中央公園
毎日のように薪が出されるゴミ置き場 落葉の袋の季節ののちは
八兵衛も何代目かの八兵衛で代々飼って来た鶏であるかも
農家風一軒残るおそらくはこの地に一番早くから住む

八兵衛と名付けた鶏に今一羽連れがいたこと呼応して鳴く
朝々に鶏鳴く声に目覚めると評判悪き鶏の声
一昨日の雪が残っている花壇 小人の被る小さな帽子
花粉飛ぶ季節は地獄の季節ゆえ南風吹く空を見上げず
隠れ蓑としては最適画像かも 此処に無くまた何処にもなく

現在の画像映しているような錯覚としてネット情報
放置され空き家になっていた古家 十数年の雨風の跡
グーグルの写真は何年前のもの?解体された古家の画像
生まれて来たこと親子であること 宿命という他にないこと
『宿命』と題された曲、作曲家、菅野光亮さんの永遠

まだ残る雑木林の一角に「三角屋根のお化け屋敷」も
あの寮の跡地に建った建売の棟が一瞬見えて過ぎ去る
願掛けの地蔵に向かって手を合わせ出かけていった歌手の卵たち
国立の渡辺プロダクションの寮、松本明子さんがいた頃
動脈瘤破裂で死んだ菅野さんいつも聴こえていたピアノの音

作曲家、俳優、みんな死んでしまっても残っているよ音と映像
三木巡査役の緒方拳、刑事の丹波哲郎共に亡き 佐分利信氏も加藤嘉も
そうそして菅野光亮さんもいた確かに生きてピアノを弾いていた
子を連れて遍路の道を歩いている加藤嘉がそこにいた春
wowowで今放映している松竹の『砂の器』のサウンド・トラック

お隣の菅野さんから戴いた古いレコードが今もまだある
和賀英良、幼い日々の思い出はその名とともに砂に埋めた
蕗の薹、タラの芽、蒟蒻、山くらげ、十三回忌も無事に終った
作品賞『ハート・ロッカー』幾つもの賞を攫って完璧である
おめでとうキャスリン・ビグロー初受賞テロと戦うハート・ロッカー

元夫妻ジェームズ・キャメロン&キャスリン・ビグロー 才能溢れる二人の監督
初受賞、主演男優賞はロード・ムービー『クレイジ・ハート』のジェフ・ブリッジス
どちらかというならキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』に決まってほしい
『カールじいさんの空飛ぶ家』作曲賞はカール・マイケル・ジァッキーノ
衣装デザイン、サンディ・パウエル『ヴィクトリア』中味の稀薄な映画ではあった

オスカー呼び声高い『アバター』は如何にもアメリカらしい映画で
『アバター』のマウロ・フィオーレ受賞する撮影賞の後に追悼パフォーマンス
ハンサムなジョージ・クルーニーもノミネートされて主演男優賞は誰に
アカデミー授賞式を視ている何だか怖い映画が多い血だらけだったり引き裂かれたり
助演女優賞モニークのスピーチ「人気が出ることよりも正しいことをやるべき」と

日々は夢、日々は幻、筧には清水流れて今も古里
真実を紡ぎ出すとは限らない 時という名の織機その糸
いつのまにか月日は流れ歳月が蝕みしもの形骸を晒す
午前11時、アカデミー賞授賞式 クレイジーハート♪静かに流れ
月の夜、白い狐が飛び跳ねる 病篤きは誰か 連れ去る

客席という海に向かって漕ぎ出だす花を飾った船が一艘   
ブランクを恐れなければなりません 現役オーラの大切さなど
惜しみなく蓄えたこと見聞きして考えたこと告げて意味がある
鎖国?出島もなくて交易は許されなくて 我が身を締める?
結社の壁、万里の長城築かれてあるらし 御身大切に 


祥  * 『制作日付け順、月別』 * 12:52 * comments(0) * trackbacks(0)

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