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空の濁音

水揚げをされたホッケの開いた口 渚に上がるカタクチイワシ
知床の自然をカメラが写していて海の底から伝えるいのち
移動する海老や蟹にも手足あり 手足なければ泳げたものを
疲れきって頭の中が空っぽだ 鳥が羽ばたく 空の濁音
封印を解いてあなたは何思う 何一つない明日のために
どことなく不機嫌そうな猫の場合最後の最後まで牢名主っぽく
緋縅の鎧冑に金色の太刀持つ人の漆黒の船
黒塗りのただ一艘の盲船 竜神祀り天翔ける船
暁の村上水軍、八幡船 霧の中より黒塗りの船
海賊と言っても海賊大名の九鬼様もいた中世の海
擬態する 空中静止する葉っぱ 楡の若葉にさみどりの葉に
熊野沖、船が炎上しています 九鬼水軍の海だった海
1ミリもなくて生まれる団子虫 枯葉の寝床に雨待ちながら
「なせばなるなるようになるケセラセラ」百歳の人笑って言えり
永遠がただ一本の樹となって吹雪く花びら散らす夕ぐれ
古典と言い伝統という様式の劇性露わにしてほとばしる
それゆえに今日のひと日の明るさと陽の耀きとひとときの燦
命炎え心炎やしてやがて死ぬ 例外もなく消えゆく灯り
この後の悲喜にどうして堪えてゆく靄と霞と霧の差ほどの
近づいてみれば空洞だったから ただびゅうびゅうと風の音して
この場合夢をあきらめたわけでもなく夢すらなぜか胡散臭くて
夕日には夕日の事情ありまして 雲に隠れる日もありまして
さらになお闘う人の眼も視える かつて歌いし「地球(てら)を蹴る」歌
来週の二十四日は河童忌で芥川龍之介が命絶った日
何事も変わらぬままに変わりゆく日々に疲れて散る沙羅の花
夏の花、沙羅のみずえに花咲けば 自死を果たした人の眼も見ゆ
消防士そのものに似た消火栓 黄色いカンナが囲む工場
退屈という名の至福あるように弛緩している七月の蝶
幾度目の夏がめぐって乱れ雲 あとどれくらい生きていられる
雪降れば雪、風吹けば風 最後の日にも雲雀は揚がる
また今日もすすき、刈萱、萩、桔梗 音韻として生まれる生は
幕開きの桜吹雪と鏡面のほかには船の率い出される
なんという長い退屈 絢爛な退屈として「十二夜」がある
その穴子背びれ胸びれ削ぎゆけば 身をくうるりと反らせる稚さ
船端に潮満ちくれば牡蠣舟の牡蠣の生簀にめざめる小海老
母さんに抱きついている小猿にもやがて生存競争の刻
その人の瞳の中を落ちてゆく夏降る雪に似てえごの花
エゴノキの花降りやまぬ夕つ方 彼岸の風もここ過ぎながら
山の辺のなんじゃもんじゃの花降れば木下闇の夕べの明かり
雨降れば雨の三鷹の禅林寺 あの頃はまだ小堀杏奴も
今日七月九日三鷹禅林寺 森林太郎の墓に雨降る
雪の朝、隣家があるということに気づいた 1年が過ぎていた
王国の王の選任補佐官の支配被支配拡大の域
死の淵をさまよっている魂が 月みれば月に花みれば花に
微笑みを湛えた画家のキャンバスに雨の朝に生まれた蕾
今朝の雨 夜通し降ると言っていたあの雨だろう 文月の雨
swingをしながら歌うその人の声が掠れてきたのを知った
蜂蜜のようにとろりと金色の夢を蒐めて海馬は眠る
雨の日に蝸牛這い枝を這い 黒鍵の音弄るらしき
「天邪鬼」それは私だ 炎え上がる不動の像の下の石塊
ドラゴンの口から水が溢れ出る 龍頭の滝と呼ばれる蛇口
明日は雨 傘のマークが並んでる 龍伝説の池に雨降る
出航の銅鑼鳴り鎮む船体の傷に明日も降り注ぐ雨
紫陽花の小径を通り涼しげな蹲に浮く睡蓮二つ
隠れ家のような小さなパン屋さん 学園通りの裏道に入る
1500万ヒットだそうだ勝谷誠彦氏「イラク3馬鹿」等とまだ書き
さびしさの理由は☆がいないこと雨が巣立ちを促している
ほんとうは今日は私は何をしたく何をしたくなかったのか懼れる
一本の木になったとき一本の木は汲み上げる水の百年
ただ踊る踊るに任せ褒めもせず叱りもせずに育てるという
黒翁の面を被った子供舞 神楽を舞えば神楽の心
旋回し眩暈している中枢の薔薇星雲の無限混濁
梔子の色鮮やかに純白に やがて汚れる花ゆえの白
採取され攪拌された血液は夏の真昼を眠っているか
限りなく胃を傷めながら胃はこのままでもいいのかと問う
目の錯覚かと思ったら向こうで扇風機が回っていた
破竹茹で蕗茹で雨の日の無聊 雨には雨の光りあること
六月も今日で終りという朝 花も蝸牛も聴く雨の音
サングリア ジュリエッタにはこの酒を F・フェリーニ注ぐ美酒
お終いになるまで少しある時間 木は空洞に音を楽しむ
苦しくてならぬと傾いでゆく身体 大王松の一生終わる
絶望に傾いてゆくこの町の送電線にカラスがとまる
碾き臼を引くとき驢馬は何思う 窓を持たない小屋と碾き臼
身を窶し心を隠す夜叉鬼が夜の神楽の男となりぬ
その中に現人神であった人 万歳三唱されていた人
歴史という一つの言葉に括られて大方の人、罪免れて
何ゆえに沖縄であり何ゆえに本土以外の沖縄だったか
贖罪と義務の思いはサイパンへ 生まれて以来雲上の人
水無月の「傾く」歌会・「褻」の歌会 言霊というものの怖さよ
映像に映る飛行機、人骨をよぎって泳ぐ綺麗な魚
帰りゆく時の流れのその果てにバンザイ・クリフという奇妙な名
万歳と天皇陛下万歳と身を投げた海 バンザイクリフ
ただ青くただ美しく見えるだけサイパン島の今日の映像
赤ひげのような先生いる町の診療室の二十四時間
金色の海に浮かんだ島影が遠くなるまで夢になるまで
石段の上にも下にも湯煙が 滾る地底の水底の青
やがてこの夕闇の中に消え或いは溶けてしまう群青
紫陽花に雨、茗荷に雨、暑さが嫌いな私にも雨 でも昼頃には上がるらしい
山の実が熟れてあなたを迎えます もう夏の日の風をまとって
瑠璃色の帽子の中の木苺のオリーブ色の光りの泉 
木苺の熟れた粒々太陽と山の恵みの甘さ酸っぱさ 
永住を放棄したわけじゃない 蜜蜂が移動を開始しはじめだけ
最悪の結果を招いた経過ならその過去ログが保存している
こんにちは おはよう おはよう こんにちは 鸚鵡のように交わす挨拶
悲しみが木苺色に染まるとき もう夕焼けは始まっている 
木苺が風に揺られていたという 夏の陣馬に吹く青い風
たらの芽は用心深い 山菜の王と呼ばれるたらの芽なれば
夏なれば守宮もガラス這うらしき感情という棲家に入りて
漂流は始まっている 一艘の小舟も隠す海の朝霧
陽のあたる石の隙間に見えていた 蜥蜴の尻尾が生えてくる
たらの芽は頂芽の他に脇芽、胴芽あり 予備の芽多く持った山菜
一切は流れ流れて空の果て 彩雲生れて老残を見ず
かぶくこと好きだったのか江戸末期、水色袴の日記の断片
確実に何かが終わったと感じている歌人の多さが塚本さんの死
靖国にこだわっている(小泉さんの)日本の 孤立してゆく思想の行方
六月の朝、割かれた魂が再び出逢う天国の門
大切なものも次々消えてゆきもうおしまいかな十薬匂う
死の螺旋めぐりめぐりて夏の朝 再び生れむ湖の巻貝   
退屈で死にそうなのと青虫を産みつけに来た揚羽がひらり
サボテンは水がなくても生きるのか駱駝は水を湛えているか
変わったこと何もなくても死にそうな気分が残る烏も鳴くし
戦争の責任ならば全員に なかんずく天皇の名で始められ
行き暮れて心乞食はさすらってこの世の水を甘露と飲んだ
アドルフと言えば私にはコンスタンのアドルフ。 ヒトラーじゃなく
赤裸々に生な自分を描けと言う 『アドルフの画集』の画商の言葉
「傾いた道しるべ」という歌があり その歌が好きな私がいた
あの街を襲う雨粒、窓叩く ただ真っ白な驟雨 水無月
もう一度海への手紙書いてみる 梅花空木がまた咲きました
重なってゆくとき理由は消えてゆきただ憂愁の兆す夏の日
藤の木に白い藤咲き藤散れば夏が始まる水無月の川
野火止に残った鴨も旅立って ただエゴの木の白い花散る
流されて流れて育つ水鳥の姿見かけず夏とはなりぬ
ST波下がる理由はともかくも暑い季節に散歩は無理です
さざめきが聴こえるでしょうどこからか平原綾香の声に向かって
シルエットから始まって絢爛の豪奢にいたる次第、夜の部
染五郎、松緑、海老蔵、菊之助、獅堂、勘太郎 七之助も加わって公演終る
はなやかなその色彩は一転しモノクロームの雪降る世界
雪になり紅葉になって映える死の 嗜虐美という繚乱の華
欠点といえば面白すぎること 鷺娘ほどの静謐がよく
野田秀樹の頭の中の広さそのまま舞台の広さ
歌舞伎座の舞台が二倍にもなって見えていたのは野田秀樹の才能
野次馬の残酷さには変わりなく 取り巻き、囃し、殺しを好む
日本版瀕死の白鳥「鷺娘」 玉三郎の鷺の凄絶
野田秀樹、勘三郎の共通項煮含めて出す『研辰の討たれ』
魚屋も飛脚も手代も虚無僧も 遊女も瓦版売りも通って行った
舞台には時空をこえる橋が架かり 江戸のすべてが通って行った
生きていてよかった助かった そう思った時、討たれて死んだ
仇と言い敵と呼ばれ逃げ惑う俄侍、辰次の最期
大勢の町人どもが囃し立て追いつめられて辰次は死んだ
「研辰の討たれ」討たれ紅葉のように血は散って命大事の辰次は死んだ
黄金色の鶏がいて薔薇咲いて絵本の 中の噴水の青
彼岸への旅に似ている巡礼は 夕暮れ時に飛ぶしろばんば
花を食べ木の実を食べて育つから綺麗な声で鳴くのだろうか
雨期の森 蝶、蝉、飛蝗 ヤマセミの運ぶ餌にも流れる時間
勾玉も鯨の骨も埋めている海辺の村の火祭りの夜
神さまと仰いでいたのか白い山 霧の向こうに滝の向こうに
恐竜も鯨も虹を見たかしら 嵐が置いてゆくという虹
仲間を持ち家族をもって恐竜は群れて集って滅びて行った
板状の骨は飾りじゃないという防御、調温機能もないと
新説は仲間を見分けるためというステゴザウルス背中の秘密
コククジラ背筋から痩せ肉落ちて東京湾に溺れ死ぬという
ボルボラ島 エアーメールの写真にはその「絶海の孤島」が浮かぶ
一日中南の風が吹いていた 虹は嵐の後に立つもの
特になし何にもなしという理由 理由に非ずと退けられる
必要もないのに撮っているような レントゲンには映らない翳
透明の意味を思っておりましたレントゲンには透ける心臓
かなしみの極まりゆけば他愛ない指人形や影絵の劇が
雹が降る嵐のような雷雨あり ゴッホ展を待つ長い行列にも
えごの花うつむいて咲き仰向いて落ちる 着地するとき翻る花
ゆっくりと築いてさっと突き崩す 終わりはいつも突然の雨
本を捨てる多分三百冊くらい 資源ゴミの日まで二週間
二年余り花を見花の枯れるを見 淡い時間が流れて消えて
完全に削除するのは簡単なさるさる日記web日記
旧街道脇本陣の菖蒲園、紫陽花寺につづく石畳
この後の驟雨の季節蘇る旧い街道沿いの庭園
「具体的に進まなければ前へ前へ」そうね行きなさい
倦怠は秘かに兆す夏の日の陽炎ゆれる道に水辺に
後ずさりしている蝦蟇の背後にはヤマカガシ棲む雑木の林
清浄な骸は光る 透明な雨の雫のような音楽
コククジラ、虹を作るという鯨 東京湾は今日花曇り
コククジラ東京湾に現れて 灰色鯨は藤壺を乗せ
話せない死者の代りに語るべき車両も次々片付けられる
運転士死亡のために甦る 古い諺、死人に口無し
事故車両、関連現場の保存なく 撤去、解体、切断される
整備不良、欠陥車両のこともあり ブレーキ痕のない理由など
違うんじゃないのと思ういつもながら その意味を取り違えること再三再四
山中というわけでなく住宅街 二十分は長くはないか
救急車、消防車の到着は遅いからいつでも現場住民が頼り
墜落し炎上しやがて爆発し警視、警部、警部補焼き尽くす
警察のヘリが墜落してからの救急、消防、警察が来るまでの遅さも
点は点、線は線でしかないことに 集合体に脳がないこと
あるとしても全く機能していないことに更に驚く
危機管理情報室らしきもののない交通機関があるということ
報道が報道としての役割を果たすためには何が必要だろう
うんざりだなんていったらもしかして非国民とか言われるのかしら
いつのまにか沈む夕日の中にあり石見の人、森林太郎とのみ刻む
白夜でもないのだろうに黄昏も過ぎただろうに妙に明るい
まっすぐに稲田を渡り海に出て風はひとりであることを知る
そのように時間は過ぎて機能麻痺、運動麻痺が近づいて来る
構造と捉えてみれば明らかに 平井弘の仕事の意味も
震災のあった工場の多い町 尼崎という町で起きたこと
音楽も色彩もまた上昇する風は砂漠の形を変える
初夏の川、橋の袂のせせらぎの音聞く音の中の魚
密集と過密の悲劇 空間、時間、生命奪う
私たち日本人の生き方が背景としていつでもあって
秒単位で生きる日本人だから無言の重圧かけているから
設計のミスもあるかもしれないねレールと車体、カーブの曲線
羽根ペンのマークの記事を書いている 半月が覗く硝子窓の中
算盤の珠を弾いて計り売り そういう時間が昔はあった
魔の時間ふっと来る人だったのか 瞬間的な記憶喪失
通常ブレーキの効きが悪かったから非常ブレーキを引く羽目になったということはないのか
きっかけは何であっても暴走し加速し制御不能となっていたもの
むごたらしいまでに晴れている朝 大型連休初日の金曜日
106人目の遺体を収容し襤褸襤褸になった車体を引き出す
マンションの外へ引っ張り出されてきた運転士のいた先頭車両
オーバーラン、1分半の遅れ、猛スピード、急ブレーキ、転覆、激突というこの間何分間の出来事
「ありえない」ことがありえて浮き上がり転覆脱線した事故車両
運転士自身の責任はもとよりではあるが一人のせいにして終れない
事故原因究明よりも責任を逃れたいという隠蔽的体質に見え
「プレッシャーのない教育はない」というJR西日本会長の言
責任は到底逃れられるはずのないJRが「聞いていません」と言う
脱線時自ら巻き上げ巻き込んだ砂礫痕ゆえ軽微な痕跡
出来るなら置き石であれと願うようなJR発表「粉砕痕」
JR西日本の会見は沈黙するに等しい会見
岩井俊二『花とアリス』の一場面 沙羅の花弁が開いたような
春四月、地獄の季節 すごいねと風が囁く春の跳躍
川底の石に似ている何かがいて動き出します 山椒魚です
春雷が通り雨にも伴って 執拗にまだ糸を張る蜘蛛
どの鶴がリーダーだろう海を見て河を見て越えてゆく
燦々と降る月光の川があり 筏となって流れるさくら
いつしかに逸脱すれば逸脱の果てに青空流れゆく雲
温度差はただ我儘と解されて伝わざりしか皇太子の思い
レプリカの剣、神器となるもよし更なる軽さ求めてやまず
天皇の選択としての「国体護持」 雨師でありしか稲穂の国の
遅らせたその数日のために死んだ広島の人長崎の人
八咫鏡、草薙の剣、八尺瓊勾玉  「国体護持」と原爆投下
宮中に三殿ありて祭祀する 壇ノ浦には草薙の剣
遥かなる雲の上にも人はいて砂噛むような日常もあれ
病気ではなくて気質であるならば気質を矯正させることもまた罪
その事については自由で民法の適用事例の一つに過ぎず
病気なら治せるはずだし環境を変えて出直すことも出来るし
大正天皇の場合は何という病気であったか心身を病む
雅子さんの統合失調症という病気については情報がない
存亡の危機にある時発揮される蓄積された情報の力
足利家15代、徳川家15代 天皇家125代 際立って高いノーハウを持つ
岐阜蝶のその営みは静かにして葉裏に卵産みて休めり
巣作りを始めてコゲラ  女帝には禁忌も少し多くなるという
稲を植え、蚕を飼って祀りして 長く続きし尊卑の文脈
天皇というより主に祭祀長 雪のごとくに降り積む言の葉
最悪のこともありうる最悪の事起こりうる漂流家族
原武史、小熊英二氏1962年、島田雅彦氏1961年の生まれ
何となく引くタイトルではあるけれど島田雅彦ならやさしいサヨク
紀伊國屋書店へ行った 島田雅彦と二人の学者の「いま天皇・皇室を語る」
巣穴からジャッカルの子が顔を出す 海辺の砂漠に生きるジャッカル
見えませんここには梟はいないから 唯青空に伸びてゆく杉
フクロウの子の三つ四つ止まる枝 NHKの深夜放送
紫の花大根に陽はさしてしずかに時は流れてゆけり
花に鳥 何の憂き世と思うまで 花喰い鳥の憩う時の間
辛夷散り山桜散る野火止の黄の菜の花や大根の花
「私は葡萄畑の葡萄摘み」法王庁の空飛ぶ鶫
香櫨園、芦屋、魚崎、石屋川 生まれ育った街の水際
紫の花だいこんに陽はさしてしずかに時は流れてゆけり
病院と海水浴場だけがあった 海と砂浜だけが見えていた
遠い昔 遥かに遠い昔のこと 埋め立て以前の芦屋の海辺
潮風と海の匂いのする駅は阪神電鉄香櫨園駅
紫の雨が降るらむ 六甲に硝子を伝う雨があるらむ
四月尽 見知らぬ駅で降りてみる花降る銀河鉄道の夜
四月、まだ後半があるんだね 一日一日若葉が増えて
ちょっとした偶然、それで人生は決まる 霧が谷底から湧いて来る
15年前のあの日を忘れない 無防備だった心が出会い
氷雨にも耐えた桜が微風にも散ってゆきます春暮れる頃
優しさが残酷さでもあるような晩春の風身にまといゆく
見放され見棄てられたと感じている 強制収容所を想像している
真実を告げることこそ良心であるから残酷さとは優しさ
思いやり深い神さま最後までせめて一緒に戦う医者を
「私にはもうしてあげられることがない」 医師である人の言葉を思う
そして今も初めて会った日のように無防備なまま生きている人
六甲の緑芽吹く日 Kさんが四度目になる入院をする
その国は阿片の毒に酔ったように日本の下にも苦しんだこと
中国をわざわざ「支那」と勝谷誠彦氏 1000万アクセス誇ると言うが
カンボジア・ベトナム・ラオス・インドネシア・タイの場合も同じく思う
ある時は奪われながらも抵抗し抵抗しながら生んだ文化か
私は何も知らないことを知る この隣国の通史でさえも
38 水曜の午後 sho - 2005/05/22 15:48 -
日本の周りにあった海もなく護りの盾となる山もなく
大いなるあの中国の支配から逃れ続けた国の不思議さ
私がとっても不思議に思うのは半島にあった国の千年
元々は誰のものでもない島や海が分割、領有される
争えば果てしもあらぬ境界は山にあり海にあり入り合う
入り合いという制度あり 入り合って分け合っていた天地の恵み
「自虐史観」 あの人たちはよくそう言う 他虐よりよい史観と思う
九条を改悪したり常任理事国入りをしたりそれは嫌です春の獏でも
誤解される方もいるので念のため申し添えれば獏は私
本当はこれが現実なのでしょう 日本人は嫌われている
原爆を日本が忘れないように日本の侵略も歴史の事実
「熱狂をしやすい人たち」とも言うが (日本が)理性を失くし起こした戦争
「好戦的な国」とあなたは言うけれど 自覚症状ない日本も
耳垂らすポチの看板、中国では。 「リチャード・ギア似の」小泉首相
反日の感情激しくかの国に、また別の国に現実にある
これほどの憎しみの対象として私たち 憎悪のシチュー煮詰まって今
未確認飛行物体現われて桜吹雪の空のまぼろし
見上げれば唯一点の切片の核弾頭の幻の見ゆ
爛漫の春の最中に人はいて 黒点一つ無き青空を
日本に桜が咲いて陽が照って 恙無ければ憂いなき如
とどめたいと思ったって無駄なんだと諦めている馬車馬の馬車
国連の常任理事国入りを果たし憲法を変える 望んでもいないのに
反日のデモが起きても興味なく 日本政府と日本国民
鳳凰が羽を休めるその閑に歴史は動く動かされてゆく
江戸時代竹を刈るとも竹島はさらに遡ること何世紀もあり
正しく知ることを教えなかった双方の歴史があって小さき島や
我が国の歴史を共に主張して知らざりしかな隣国の歴史
そもそもが歴史のどこに現われてどこから消えてどこへ行くという
双方が主張している島のこと 中国人は「岩」と言ってた
タンジェリン 5滴ヴァニラCO2, 3滴 後悔のない明日のために
水曜の午後もまだ降る春の雨 シャガ、花大根、連翹に降る
フリージァが咲いていることにも気づかずに 桜ばかりに気を取られていて
花言葉、検索されている文字のどんな言葉も分身の花
隠し廊下、座敷の間の壁一つどんでん返しを遊んだ姉弟
茗荷沢、滝の逃げ道 鉱泉に続く迷路のような裏道
鬱蒼と山は覆って黄金沢 鉱泉近きただ細き沢
金山を秘かに護り伝え来て千諏訪公の古屋敷の址
静脈も指紋も認証されなくて透明人間だとわかるまで
掌で認証させるそのためにあなたは誘拐されるかもしれない
その麻は雪に晒され藍鼠色の小千谷縮みの涼しさとなる
題詠の「背中」まで来てさらす背の 尾羽ふうわりと雪の白さに
春の夜は眠れ眠れよ夢ふかく 泡浮く水の中に病む魚
さみどりの欅若葉や花水木 季節は移る ふりむけば夏
爛漫の春の吐息の中にいる 鬱陶しさの極まる卯月
岩を抱き天に向かって伸びてゆく巨木の腕に擁かれていた
鳳凰が羽を休めるその閑に歴史は動く動かされてゆく
江戸時代竹を刈るとも竹島はさらに遡ること何世紀もあり
知ることを教えなかった双方の歴史があって小さき島や
我が国の歴史を共に主張して知らざりしかな隣国の歴史
そもそもが歴史のどこに現われてどこから消えてどこへ行くという
双方が主張している島のこと 中国人は「岩」と言ってた
昨日より暖かくなる季節の中 陽炎もえるようなさびしさ
大切な一人の不在 鳥はもう海峡を越えただろうか
淋しさの中心にいる火のように沈む小石のようにひとりで
火を煽る風があるなら火を鎮め心を労わる風もあること
和楽器と競演しているヴァイオリン ゆるされてゆく罪を歌って
木管が恋の炎のクレッセンド 哀しみ歌うハープの調べ
半鐘と共演しているヴァィオリン 八百屋お七を弾くヴァィオリン
ただ眠り眠り続ける春の日の三寒四温身を過ぎてゆく
私はこの頃空を見ていない 花の向こうに空はあるのに
地震雲を見たって親子の乗客が バスの窓から富士が見える日
菜の花のような四月の日暮れ時 あなたは元気にお過ごしですか
だからってキリンのようにうなだれて遠い眼差しするだけなんて
いいのかな言われっ放しでそのままで理路整然と片づけられて
正直のレベルを上げよと山田ズーニー氏 春三月の花の明るさ
正直の練度のことを言っている 司馬遼太郎の言葉だという
破線にて縫い取る世界があるならば縫い取られない私も生まれる
宮崎県産シラス、しらす干し 未だ幼く海を忘れず 編集
「冬将軍」眉を動かすばかりなり さよなら春はもう半ば過ぎ
変らない日々の中にも終楽章もう近いことを告げて花咲く
サンミシェル私の時は流れゆきすべての先に死があることを
柿のへた、柿のたねではありません。枇杷のへたってないようですね。
動かせない最終期限をケツカッチンとは知らなかったよ嗚呼今日だよ
人は人、私は私 春の日の気球が浮かぶ空の水色
アライグマ捕獲作戦 迂闊にも捕獲されたと「不機嫌なアライグマ」
北前船船主寄贈の随身門 金襴、緞子、祭礼の絵馬 
丸亀藩婆沙羅の系譜、宇和島藩伊達の系譜の綺羅好む血よ
三月の二十七日観音寺琴弾公園にて勢揃い
一本は四国へ一本は鞆へ七卿落ちの道にも分かれる
太鼓台伝播のルート辿る時、見えて来るもの街道が囲む
戦国の支配領域に重なって伝播したらしい太鼓台文化圏
ちょうさという祭りがあって太鼓台文化の祭り祇園山鉾
LA CHAMADE 敗北の太鼓にならないよう 遠い太鼓は空耳だろう
春の日は静かに暮れてゆくばかり 遠く聴こえる祭りの太鼓
効き過ぎる薬は効かない薬より怖いものだと年寄りも言う
タミフルという名の薬の副作用いまさらながら怖いと思う
路地裏の焼肉屋さんの室外機どういうわけか猫のお気に入り
一匹はその夜、次の朝ほかの子が 春というのに凍えて死んだ
物置で白い野良猫は子を産んだロミオのようなハンサムな子を
この猫は随分人気があるらしい手を折り曲げて眠っている猫
三月の乳白色の空の下 白木蓮の花に降る雨
今日の雨 白木蓮は七分咲き 静かに降っている雨がある
茗荷沢 タラの芽、蕨、ふきのとう 苦味ほろほろ今年の春の
お彼岸は毎年寒いと子規の母 この山里は日向の匂い
浮き島にユリカモメ来て鳴く夕べ サティのチョコの溶けゆく甘さ
香水になぜか兎が付いて来て大きな耳を垂れております
何だったあれは風ではなかったか ただ裏山の夜の梟
心臓に硝子の破片突き刺さる 硝子は虹のように輝く
この日射しつよくあかるくのどかにて上水に呼ぶオナガ、鶯
華麗なる変奏曲を聴くように春の逃げ水走る野火止
フランソワ一世、黒い毛のプードル 引っ越してゆく人の飼い犬
夢の中夢から覚めても騒ぐのは赤い和金の金魚注意報
信じたい思いの先に何がある あの人ならば出来るかもしれない
劇的なことは何にも起こらないそういうことに馴れ過ぎていた
道のりの一歩一歩を確かめるようにゆっくりゆっくり歩くこの旅
35 彩色の鴨 祥 - 2005/03/27 13:25 -
完全に死んだかどうか確かめる 何を 私のブログの行方
歌を書き歌を読んでいる  三月の曇り空にも飛ぶシャボン玉
『腐れ外道』と誰かが言っていた 腐れ外道ゆえ書けることもある
夜毎聴く魑魅魍魎や鵺の声 異形の鬼を垣間見る春
あの人の登場こそが期待され今日も見にゆく「題詠マラソン」
海賊が今でも出没するというマラッカ海峡 船の名は「韋駄天」
そして死が森を覆った 秘かに爛れてゆく記憶です
この人の心に傷をつけたこと多分一生忘れない思い
風はただそこに吹くだけ木はそこにただ眠るだけ 水よ流れよ
水辺には淡いピンクの睡蓮とウオーター・レタス数匹の稚魚
不器用に生きて滅んだ一族の何を伝えて火祭り残る
合戦の記憶いずれか遺伝子に残るともなく百手、流鏑馬
半分は眠って暮しておりまして花粉降るころ私は眠る
金絲猴、ロクセラーヌの鼻のサル 金色の夢、金色の風
一刹那一瞬の青奔り去る 風が光りを光りが風を
前線を突破してゆくホリエモン 今コーナーを回ったところ
剥離して浮遊してくる何ものか微熱のように憂鬱な春
横町の猫の集会豆腐屋のタマは近頃なかなかの威勢
集会を仕切るボス猫 閉店を決めた丹後屋酒店の猫
春の日の猫の集会、妊娠をしているらしい白い雌猫
あの人がもういないのに私が歌を書いたって何になろうか
と思えば明日は四月上旬の陽気になると気象予報士
亜熱帯日本になったと思ったが豪雪地帯でもあって日本
暖かくなって花粉も飛ぶという憂きこと多き春浅き空
川岸の鴨が寒さに蹲る 鴛鴦模様の彩色の鴨
クリスタルビーズのような耀きを知らずに今朝の泥に汚れて
曖昧な距離感覚の朝靄の中に小鷺か鴨か見分け難くいる
大小の足跡つけて雪の道 三月四日歩くほかなく
さらさらと細雪降る雛の夜 明日東京は白い街になる
或いはそれは自信の問題かも知れず水仙の咲く水辺水際
春なれば蛙も土竜も顔を出し記念撮影するらしかしこ
千年を遥かに越えて生きている大きな樹ならわかってくれる
三月は優しい雲と逃げ水と 玉川上水沿いの蝋梅
濁流にのまれていった人、車 深夜再び見ている『津波』
三月には祖母と舅の命日があって陽射しもやわらかくなる
急坂をのぼれば台地、八幡と隣りあうのが主(おも)と西新屋
清薫院真蓮妙観大姉なる位牌の祖母に故郷の水仙
降る降らぬ決して降っていない雪  春の心を吹く紙吹雪
明日から弥生三月 こぶし咲き木蓮が咲き名残り雪降る
まるで一人の人が語ったように世界は語られる 複数の私によって
金箔と漆がつくる空間に珊瑚の粒子のような残照
魂に低温火傷あるらしくまだひりひりと小雪降る夜
牡丹雪降れば降るゆえ降るからに明日の雪道、早朝の道
肩が凝って肩が凝ってと言いながら冷たい骨になっていたらどうする
日干しする煉瓦に命奪われて石窟寺院の壁画の剥れ
今日は普通明日も普通 水辺には揺れる水草、緋色の真鯉
お隣りの日記は誰が書いている 日々変りゆく「お隣り日記」
過去ログは時間を生きる 悠久の言葉、言の葉、言霊の森
土色の遺跡の中の壁画には極彩色の釈迦とその弟子
地獄変屏風の炎、人々の頬を照らして焼けゆく牛車
フリードリヒ・グルダのためのコンサート 弦とピアノと一つの記憶
リコ・グルダ、パウル・グルダに父グルダが愛していると伝える楽譜
エストニア土産のカップ 可愛いね どうぞ増田さんによろしく
円柱は静かに光浴びており甲府湯村のエンタシスの寺
楡の木が育てる水の豊かさを確かめている春の雌鹿
私ならきっと話してしまうだろう 枇杷の木に吹く風のことなど
ここにおいでここにあなたの枝がある不格好だが座ってごらん
トネリコの大樹は空を覆うかと思うまで高しトネリコの空
戦国の時代に生まれ露草の命を武器に戦って殺されていた前世の鷹
バス停を降りると海が見えていた 鉛色したあの日の海が
どこまでもひとりっきりの縄梯子 天の草原降りきっただけ
解ってます解ってます解ってます解ってますが悲しいのです
外は雨、氷雨降る朝 関東の直下の鯰身をうねらせる
存在が威圧そのもの 当然のように無言の石臼の稗
とりわけて最長老の雀右衛門 枝折戸に置く手の美しさ
保名より保名のように妖艶にあはれに舞って「二人椀久」
鴎外の小品「ぢいさんばあさん」は伊織とるんのあかるさがいい
久松の籠かき二退三進し花道を去る 籠かきにも花道
去ってゆく上手下手の花道に 久松は籠、お染は舟に
全部嘘、たとえそれでもいいじゃない 舞台には降る太鼓の雪が
33 水の痕跡 祥 - 2005/03/07 11:52 -
あの日からずっとひとりで生きている あなたのいない時間が過ぎる
何回も書き直した線が綺麗であるわけがない推敲を認めない
カンガルーの赤ちゃん2,5cm体重 1g! 私の猫が目を瞠る画面
変換が利かないキーで打っている 羅馬字入力事始哉
島民が帰った村は神が待ち墓が位牌が待つ埜古呂島
「北海道が舞台になってる本ない?」文庫一冊旅行鞄に
ヘラヤガラ、黄色い竜の胤し子(に似たもの)が珊瑚の林泳いでいます
いろいろなことどうしたらいいかわからない軒先に降る雨の雫よ
瀕死なのは海か私か まやかしでさえありえない今日
黄金の油凪ではありえない 瀕死の海の穏やかな顔
完璧に停止している何もかも この苛々はそのせいなのだ
タイタン 雨を降らせる海があり風を起こして飛ぶ宙がある 
ホイヘンス降下してゆく風の音 地球に届く風の産声
退屈な木曜日です午後三時 孔雀時計は宮廷で鳴る
蜃気楼はるかに見えて春の海 海の真青を求めていたり
明らかになればなるほど実体は淋しいばかりの夕暮である
牡蠣舟の残骸のこす財田川 三架橋から見る冬の川
しんとして雪降るような曇り空 薄柔らかな衛星タイタン
北限の猿は追われていたりけり 青森、下北半島脇野沢村の猿
野火止の朝靄のなか泳ぐ鴨 鴨が川面をたたく水音
湧水も小径もすでに消え絶えて蝶の行方もまた靄の中
村人は何処の森の 銀色の茸も普通の茸も消える
銀色の茸のありて愉しめど洞窟すでに彼を生やさず
荒廃はなお魂に及ぶから タイタン画像の水の痕跡
意味もない不安なのかも漣がひたひたと今砂地を洗う
再びは帰らぬ海の丸木舟 月の小舟は雲の間に消ゆ
原人はどこへ行ったか洞窟に描かれているのは唯未知の鳥
石積みの隙間を水と草が被いやがては水と草だけになる
大いなる樹があり樹には魂が春の日向を流れるように
「始まりは鳥が運んだ一粒の種」であったとナレーションに言う
人混みの人をカウントする人の手に集って統計その2
駅前の舗道に置かれたポックスにアンケート用紙が回収される
GODZILLAなお地球のどこか海底の火口湖にその卵を産みつけ
怪獣の足が通って行きました富士五湖でしょうかあの湖は
従兄弟がねゴジラ映画の助監督をしておりました何本かですが
(唯一人のみを除いたどなたでも)さよならゴジラさらば怪獣
TVではカサゴが大きな口を開け藤野真紀子さんの手で捌かれる
何という言葉もなくて明ける年 被災している脳の中枢
ナイアガラの滝が襲ってくるように高波が来る津波の映像
沢山の高提灯が先導し三社祭の神輿が帰る
浄瑠璃の三味は太棹 「守・破・離」というは術の真髄
人形といえども人形使いの太夫ほどある身丈心の丈も
人形の手足幾つもぶら下がる古典芸能文楽の楽屋
三色の幕が上がれば登場する世阿弥の語る花継ぐ面
「千里が外も雲晴れて」能の本を書くこと世阿弥命也
高貴なるという幾人か高みにあり群集は振る小さな旗を
宮城に向かう人々掲げ持つ「天皇陛下萬歳」の旗
一万人あまりの人が宮城に向かって歩き日の丸を振る
晴れの日も雨の日もなく薄氷張る一月の水甕の水
冬らしくなってストーブ赤々と大晦日まで後二日です
スペインに大雪スリランカに津波 滾り始める冬の環礁
微笑みの国にも津波襲うという 押し上げられて来る水位線
何十年か前の街のジングルベル 静かになった日本の聖夜
否定する人の多さが変わらない喫水線を越えることなく
空海の命日ゆえに京都では東寺に師走の市が立ちます
何もない多分何も無い毎日 でもその中に私がいる
半島と孤島の間に隠岐の島、西ノ島ありて櫂流れつく
空海の命日ゆえに京都では東寺に師走の市が立ちます
何もない多分何も無い毎日 でもその中に私がいる
川岸に茶色い馬の数頭が水を飲むらし雲湧く村に
野生馬もやがて捕われ牧畜や農耕の具として生きる一生
草原は穏やかに暮れ穏やかに夜の帳にすべてをつつむ
草原を流れる水の一筋が仔馬養い人の子養う
連れ帰る馬の一頭まだ乳を飲みたがってる子馬であれば
野生馬を追う青年の手の長い紐つきの棒 犬獲りを思い出す
草原に白い羊が群れていてそこがモンゴルだろうと思う
「悲しい人生」と誰かが呟いて始まる映画 米国の映画
退屈といえば退屈日曜の午後も見ているwowowの映画
幸福の白い梟 北国の森の泉を囲む樹の洞
絞り込み検索をして犯人を唯一点に追い詰めてゆく
日々何もないのに書く日記何もないから書けるのだろう
ささやかな暮らしはさらにささやかに 定率減税廃止の方向
初めから無かったものは失ったとは言わないわけであって産土の
失った一つの心思うとき遠い地震の二ュースが終る
流星群見ることもなく眠れば朝焼けの空を二つに切りゆくジェット機
震度5強 北海道でまた地震 飛行機雲が空を分けた日
新月で10日後はもうChristmas 2005年の陽もまた昇る
氷雨でもない雨が降り木蓮の蕾が開く不思議な師走
片隅に投げ出されている<私>の命名欄の無限空白
永遠に書かない人か永遠に書けない人か私の場合
暖かい日々が続いて幸福な日々も続いて忘れてしまう
どんな奇病かとモザイク病の葉かと 失えば時間は大事
気がつけぱのっぺらぼうの今日の冬景色 いつのまにか
樹はいつもそんな感じを味わっているのだろうか冬が来ると
はらはらとばさばさと剥がれて落ちる そんな怖い夢を見た
大切に大切に大切に御身大切に 過ぎてゆく夢になるまで
昨日がなく明日がなくて今もない耀く冬の空のオリオン
絵葉書を買って来ました「炎舞」です上村松篁の「白い孔雀」も
シチュエーションは十分暗いせめて心は明るく なるほど
青空と黄金樹林の冬である 線路向こうで昼啼く鶏よ
素裸の木々に電飾施して夜には燈る冬の街路樹 
野火止はまだ秋の色 黄金色の秋 素裸の木と黄金纏う木と
赤手蟹なるほど確かに手が赤い 満月なれば子を産む儀式
別人の可能性ではなく別人 見知らぬ二人分の骨と判明
開戦の日でレノンの命日でそしてどちらも忘れ去られて
水曜日午後零時半睡魔あり 小春日和のカノンとジーグ
書くこともないのに書いている日記 苺の莟ふくらむ小春
曇り日の土曜の午後の天気図にコサックダンスする冬将軍
ガラの言う宝石よりも美しい麺麭一欠けら冬の晩餐
究極のシュールは写実であるというダリの直感的なパンの絵
しんしんと雪降り積もる雪の夜 赤穂浪士の討ち入りの夜
過去ログが速く流れてゆけばよい速(と)く速く流れゆけよ
目前の死が急がせて1200点の作品群が生まれる
鉛筆の素朴ないえ巧緻な一筆描きのクレーの天使
逃げるしかない人生があることを酸漿色の冬の夕暮れ
閂のかかった門の中に降る落葉の中にひきこもる蝦蟇
最近見たニュースの中であの人の言葉がそのまま語られていた
熱っぽくだるい終日 団栗も気づかぬうちに落ちてこの秋
壊れたら壊れたままでそのままで 過ぎゆくものは過ぎゆくままに
沢山の高提灯が先導し三社祭の神輿が帰る
冬将軍」まだまだ馬に跨れず 準備体操している画面
NHKの天気予報に「冬将軍」来たりて準備体操をする
深まった秋の徴のような雲 黄昏なればこの国の空
ほろ苦きこの蕗、佃煮にしてもどうにも煮詰めきれない短歌
「両親を殺した」  ミステリー終了次第ニュース始まる
退屈な午後は古畑任三郎 再放送であればなおよく
明確に似ている点を追うならば動機に至る致死痕がある
犯人は確かに特定されたがり発信されてゆく点と線
ライブラリー探ってみれば明らかに殺意の動機、受信履歴に
犯人は必ず何かをミスるもの 再現される事件の経過
ほっそりと若い男であったなら女であっても仮装の範疇
切り口がいよいよ鋭利になってゆく立派な喜劇から悲劇まで
甲羅干し甲羅を洗う石亀も 勤労感謝の日の亀の池
牡丹も茄子も兎も猫も豆の花も御舟が描けば御舟の心
混沌と地底にマグマある時も湖の色考えている
レイアウト崩れていって神さまも悪魔も今は眺めるだけで
残虐も非道も全て許される 許されるものとニュースが語る
戦争のニュースが世界を駆け巡る ドラマを映画を封じてみても
アメリカの猟奇映画のような事件 その足元を濡らす滴り
竜巻が三百棟を壊すのも日本のことと思われなかった
アザラシも鯨も日本の川泳ぎ 越前水母が黒潮に入り
そういえば異常発生していたね蝉の脱がら舗道に屋根に
春頃は私たちにも災難が襲っていたよと鶏も来て
白黒になったら殺されないかしらパンダ羨む裏山の熊
広がることの怖さ飽きたらなさどちらもあってどちらでもなく
こんなにも晴れ上がる空 酷いまでではなく普通に綺麗に
東京はまだ暖かい日曜の午後で冬薔薇小さく咲いて
三匹の猫は二匹となり残る木枯らし2号が吹き降ろす朝
一年ののちに逢おうと約束し一年ののち結界に入る
遠い遠い星座の絵本に光る星 等間隔に瞬くツリー
すり抜けてゆく風だったこともある何時より生えし木の根、草の根
もう一歩さらに一歩を踏み込めば引き返すことあたわざる闇
とある日の風であったか春の日の夢であったかすれ違う影
一歩歩けばガチャリガチャリ頸木の音か足枷の音か
もし私が梟でも土鳩ても烏でもなければ 私は自由であっただろうか
さてさよならをしよう暫く この世のことをうずめにいこう
秋の陽がためらうように翳る空 白鳥がいま海峡越える
華やかな宴の後のシンプルなさびしさにも似て音楽終る
芙蓉から山茶花までの推移みる白く仄かに香る垣根に
鮮やかに紅葉していた花水木まばらとなって冬の散歩道
クーデター起これば蔦の絡む窓 蔦絡むまま朽ち果てるがよく
六文字のメールに写真添付するナビ機能付きケータイの惨
立錐の余地無く配置されているドミノ倒しのドミノの不安
永遠の憧れとして存在する白い孔雀であった火の鳥
つむじ風お前が這った草原の何を攫って舞い上がる風
襲われてしまえば終り竜巻に 「上から襲ってくるのが竜巻」
虚しさの理由が解れば虚しさの半分くらいは消えるだろうか
雨の日の車道の水を跳ねる音 今日また一人子供が死んだ
死者多き年なり春を待たずまた雪の津軽へ二人で行こう
備長炭入ても跳ねるトルマリン入れても跳ねる金魚警報
「良心」は消えて兵器が登場する最終兵器ライス長官
ある時はただそれだけであることが虚しく思えた日もあったのに
私の私による私のためだけの歌、笹の葉の舟
星月のさししろしめす空の下 黄金の葉の散り敷く季節
さみどりにひかりあふれていつのひかうたのわかれを
後鳥羽院御製に続き 横雲の空の景色を 良経の詞書にも見るを
昨日知る歌の秘密を 藤原定家の横雲の空の歌 先だって家隆の歌
星々が見棄てた空に ただ満ちる雲の絢爛
夜空にはもうシリウスもオリオンさえも姿を見せない 冬が来たのに
夜明けには啄ばむ雀たちの声 今ではそれも聴こえなくなり
山際を明るく染めていた夕陽も見えなくなり月の光りも見えなくなった
音楽が聴こえない音楽が聴こえない いつからか
死の町になってしまったファルージャを最後に 去ってゆくパウエル氏
私の歌は日記でしかなくてそれ以上でもそれ以下でもなく
本当のことも書けないでも嘘は書きたくないWEB日記の曖昧の靄
もっこりとふくらむ鴨が水を掻く 冬が来ている野火止用水
オレンジの飛行機雲と星と月 午前六時の東京の空
ファルージャの総攻撃も支持すると小泉純一郎氏は語る
笛を吹く男に貌がないことも見えない 後ろ姿を追えば
私たちがんじがらめにされながら抗う力も奪われながら
胎動も微動もなくて滾る熱 空白域の直下に溜まる
白い月、白い金星、白い心 2004年の日本の秋
日本を戦場にする首相でも或いはだからか支持率上がる
作中の二重構造 作者とか作中主体の着ぐるみの熊
美しい三日月の舟浮かぶ空 木立の影の透ける朝の
変わり果てた姿になって少しずつ土嚢積まれて水の引く村
逆説と皮肉に満ちた一章を読んでいました「アメリカ日和」
アメリカは雲一つなく晴れていて世界は霙、霙降る秋
ひりひりと誰かが告発するのだろう飛蝗が地球を覆う夏の日
そしてその理由はどんなわけがあり或いはなくて切断の首
やがて死はその足元に這うだろう貴方や私のこの足元に
子犬の生よりも軽いという生の相対死観の真実の位置
そうではなくもしも自分の嗤いならその嘲笑に地球は乾く
自分ではなくて他者を詠っているんだね他者の傍観、軽視の中の死
試練につぐ試練につぐ試練につぐ試練 永久被災のパンドラの函
残酷な性剥き出しにして過ぎる 一本の川そこを過ぎゆく
されど川は水嵩を増し抜けゆけりその本来の姿のままに
タイミング悪く語れば非難あれ 土砂災害の土砂の言い分
濁流と呼ばれる水が突き刺さる濁れる川の水底の村
一揺れで覆すのが天然の自然の性質で本来の姿
すぐそこに今手が届くそのそこにあなたの影が角を曲がった
見過ごしているはずがないから見逃してあげているのねあの人らしく
生きていることが淋しく辛い日は賀茂茄子の味噌田楽でも如何
日本ではまず同胞に殺される 愚か者よと切り捨てられる
ブッシュ氏の再選決る夜の月 東の空の黄なる半月
ブッシュ氏の勝利宣言も真近くて生暖かい晩秋である
恐ろしい時代が来るという気がする罅割れている時代の背中
心地よく街を吹く風天国はこの世にあると風に吹かれて
楽天の夢は叶って平泉黄金郷の夢をまた見る
顎鬚に白さ目だってビンラディン 誰に向かってか話し始める
「証生」は生の証と青年の母の語る日晒された首
言の葉に言霊こもると猶思う身をもって証かす明らかにする
空を飛ぶ鯨を見ない編隊を組んだ雁金部隊も見ない
母さんに似てるねそんな器用さも纏ってゆく髪の流れも
「とてつもない」いったい何が?白鷺のかぼそい脚を包む朝靄
運命を深く真深く受容してひまわりが咲くロシアの土に
映すのはやめて下さい被災者の一人は疲れた明日の私
ふらふらと歩いていたら何故悪い 無防備は悪といつからなりぬ
「待っててね、待っててね」強い強い強い男たちの優しい言葉
諦めてしまえば終わり二歳児が教えた無垢のしなやかな力
情報は二転三転しているが香田証生、生命証して
蜜蜂の目覚めはいつも静かだが時々死んでいることもある
穏やかで何もない日の何もなさ 今朝、山茶花が零れ始めた
憂うつなのは世界中の時計が止まったせいじゃない
海を見る覚城院の一隅に在りし都の花零れ咲く
鞆の浦、福山、鷲羽、仙酔島 流され公卿七人の戯歌
廻船の航路はとだえ常夜燈、港に遺る 三国に鞆に
海上を西に東に往来し 北前船は夢運ぶ船でありしか
殺されて投げ出されている満月の夜選ばれた生贄として
死の狐 満月の夜の血の祝祭 紅海に満つ潮が引くまで
執拗に狙って向ける銃口の先にいったい何があるのか
真実の影に怯えるアメリカが拒み続ける本当の自分
奇跡の終わりを告げて光りが消えてゆく
包む毛布、担架、青いシート、照明灯 生と死がせめぎ合う
人間はこんなこともできるのか暗闇の中光り在る所
生きていた!!落石と土砂の重なる岩の真下で
日本の過疎を襲った大地震 過密を襲う日もカラス啼く
病いの時は病いに任せ死の時は死に任せ。。。出来たらねそれは。
終わりなき旅の始まり良寛の手紙の中の一節思う
新幹線車両トキ325号 ニッポニア・ニッポン乗客ヲマモリシス
全身でその衝撃を受け止めて新幹線「とき」横たわる
震度6強 地震が襲う天心が断層を切る月の引力
幼い日見た映像の大地震 道の亀裂に落ちた人たち
快晴の空の下にも泥土とか裂け目があって見る鰯雲
不確かな月の引力、半月は地球を切断する磁気送る
(遠くまで飛べないだろうか)海深くある日思った<天使の翼>
半月は置き去りになる不確かな記憶のように置き去りになる
何もせず何もできない一生がまだもう少し続くのだろう
モノクロの画面と静かなナレーション突然炎のごとく死は来る
画面ではジャンヌ・モローが微笑んで車と共に沼に沈んだ
濁流にのまれていった家のことあのあたりと指す人を見ている
神様に語りかけても神様はきっとお留守でこざいませうね
その声に拒否されていることもありダウンロードは叶わざりしよ
アクセスが集中する時アクセスの中心にある一つの言葉
雨傘はもう要りません私の心を隠す傘はないから
最終の戦いの日に雨降れば傘の花咲く雨の球場
傘さして見ている川の泪橋 落葉病葉渦巻き流れ
安曇野の月にかかった暈だとか富士の傘雲を愛した人に
流星のような驟雨の洗礼を受けて降り立つ折笠千秋
大雨か濡れてならない雨なのか傘をさそうよ尾鷲の傘を
吊り革がゆっくり揺れて吊り革の先に透明傘が一本
台風は蜥蜴という名と知りました昨日伊波さんの日記で
枇杷の木にケサランバサラン晴れた日の富士に笠雲 優しさは嘘
暗闇に燈るランプと月の暈 水晶宮に降る秋の雨
落葉あり おまえが散って明かるくなる 木々の根方にただ降りしずめ
いっそもう蛙にでもなっておしまい いっそもうこの世の果てへ行っておしまい
どこでもないどこか誰もいないどこか 魂だけで生きられたなら
白孔雀の子育てこそは忙しい尾羽の端にも気を遣わねば
レミングを追って飛びます白ふくろう雛は洞で餌を待ってます
目も開かない郭公の子が駒鳥の卵を落とす駒鳥の巣で
白鳥は嘴汚し胸汚し大飛行する旅に備える
群れをなす白鳥がいて湖は月光に濡れ狭霧に濡れる
湖では泳ぐばかりではありません速さを合わせ滑走もする
浮き巣には子どもが餌を待っているカイツブリには暇(いとま)も非ず
子育てをするには派手では危険だと雌の野雁は薄い茶羽色
正常で普通であってそれゆえに悪と思えり悪であらんと
されどまた狂気などにも興味はない 綺麗な玩具、夢の白鳥
美しいもの以外には興味がない ノイシュバンシュタイン、冬の白鳥
貝殻の中には夢と後悔と潮騒に似た夜の音楽
千年の血のつながりを疎んじた私の何が反応している
瀬戸大橋渡ってゆけば私の何かが疼く 紫紺の島影
今すごくゆっくりゆっくり揺れている遠い地震があったのだろう
「一期は夢よただ狂え」狂いて死せる宅間守か
悲しみを悲しみとして生きてゆく素直に生きて縊られる鶏
ゆっくりと俯瞰してゆく鳥の眼の視野の外なる彼岸の桜
虚しさもいかがわしさも同義語に思えて来たり動悸する如
目に映ることのいろいろ目にしたままこの絶望の世界の外へ
知ってます?おけらの花が咲いてます万葉植物園の陽だまり
草炎える不知火炎える野分来て神無月の真輝く赤
空中にプールを描く親子にも雨降り続く トタン屋根にも
ワールドカップ、オマーン戦は延々と続いて最前線の
百年間郵便局舎は維持されて無用の長物ゆえ返納す
日暮れはもうそこに来ているミッキーとプルートの時間始まる
さよならを練習すればさよならは永遠となるモニターの零
偶然の一つであれば私たち羅列されたる数字2・4
踏切を渡れば海で階段を上れば駅でその下が川、架橋駅
恐竜の痕跡こそが大切と毟り取られる鳥族の羽根
静岡県石廊崎では67,7m、生温かい風渦巻く東京
いつもは平手で今回は拳で殴る台風22号 
通過中 小さく硬くまとまって 台風22号を見送る
どうしても続きを読む≫が消えませんいったいどうしたらよいのでしょう
おそらくはそこにはいないあの人に 二度と逢えない胡弓の楽に
今日までの晴天となる空にして下弦の月のかかる中空
何事もなく過ぎたわけじゃない何事もない毎日を望んだ狐
細心の注意を払って生きない昨日生まれた月の繊さで
曇り空また台風が発生し南洋上蛇行しながら
雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨 甍に軒に私に降る
飢餓線上這ってゆく虫一列になって冬へと向かって歩く
ゆっくりとレールは別れ海に入る 船は入り江に生簀を運ぶ
気がつけばもう十月で閉じられた頁のように私がいる
人は死ぬ必ず死ぬと教えられ 姫神、森の中にて死せり
透明な青の世界に秋の月 星も瞬く夜明けであった
台風が縦断してゆく列島の無月の空によしなしごとを
私の歌ならいつでもどこにでも自由に転載してくださいな
「転載を禁じます」って紹介をしたいと思ったページの隅に
朱の回廊、水の回廊 海に浮き水鳥のごと羽を広げて
琵琶法師哀れを語る厳島 社殿冠水して神無月
雨でした雨のさなかの夕ぐれを赤いバイクが角を曲がって
時々は青空もみえた曇り空 次第に雲が厚くなってゆく
火の山河、水の山河を渡りつつ ニッポニア・ニッポン滅びてゆくも
ありがちな脚本だけど伝説の曲が流れて涼しいラスト
存在という不可思議の芒野を流れる川の岸辺の家族
幾度目の拒否を経験するマウス悲しみらしき青の点滅
いつだって置き去りになる石ならばいっそ知らせよ石塊の重さ
回廊を御柱を打つ波があり寄せくるときも青き潮騒
秋は好き秋に生まれた人といる彼岸の風のように儚く
鬱熱が潜熱となり気化熱となりゆくまでに滴る通草(あけび)
アクチュアリティとリアリティは違うと養老孟司氏がTV画面の中にて語る
黙示録の頁を捲る風があり今ほろほろと崩れゆく塔
海(かい)という名前の猫の本を読む海と子猫の海辺の日記
小紫、紫式部の園芸種  野火止の水ゆるやかな秋
沈黙に似つかわしくない夜だから昔話をしてみたばかり
砂を吐く浅蜊のように砂を吐く もっと美味しく食べてください
彼岸花咲く野火止の土手にして子猫の生まれた秋の日である
棚田には棚田の景色見えながら遠い夕やけ雲も映すよ
川底に無数の卵産み落とし黄金の鯉流れてゆけり
少しずつ時間を錯覚してゆくよ五分遅れの時計のように
主語の無い世界に生きていますから雲と霞と消える煙硝
大阪と福岡拘置所に於いて死刑執行同日二人
花は葉を葉は花を恋う彼岸花 泥色の稚魚泳ぐ野火止
十五歳少年の行く遍路道 雨の宇和島を過ぎて讃岐へ
いつだって置き去りになる石ならばいっそ知らせよ石塊(いしくれ)の重さ
三百人を越える遺体が横たわりと簡単に告げてニュース始まる
幾度目の拒否を経験するマウス悲しみらしき青の点滅
曼珠沙華夕べの道に灯るのは 赤々と咲き赤々と死す
さよならと手を振っていた母だった永遠の別れになると知ってた
「思川」という川の橋 その橋が投下地点と特定される
追いつめて追いつめられて草の原 放り出された二つの心
荒れた野の向こうに木立 木立の向こうに青空がある
丸亀に多度津に京極、宇和島に伊達 都に遠き流離の心
いずれわれら婆裟羅の裔の萩、桔梗 吹く風に萎え降る雨に散れ
海沿いの町が故郷 萩、すすき、彼岸花咲く丹尾の城跡
列島に猛烈な風吹き付けて増幅された何かも襲う
津波来るという警報に醒まされる逆流をする川を見た人
あちこちに少しずつ書く日記帳昨夜の記憶も分散されて
偶蹄目、牛科ミミナガヤギのこと母の命日だったあの日の
1996年10月24日、神戸王子動物園で一頭のミミナガヤギが生まれた
堪えかねて噴く火の色の美しさ千年神の水を湛えて
栗に似て栗より大きい滑らかな殻と木の実が落ちていました
満ち潮は高潮となり風孕み月が引きゆく海の高鳴り
マラトンの丘駆け抜ける選手団 希臘の青の澄みゆく時間
醗酵を待つ詩やパン種や葡萄樽  驟雨の後に光る雨粒
失って滅びていつか消えてゆくそれでも人は夢見るさくら
始まりも終わりも知らず生きていた知らないことが強さであった
火祭りの写真をどうもありがとう篝火はまだ燃えていますか
せせらぎの音聴きながら歩く道 木下闇をゆく水の音
紫蘇、茗荷、山葵、シシトウ、生姜など夏の終りの薄闇の胃腑
曇り日が好きな黄金色の鯉 橋のたもとの澱みの中の
九月になったら私は何をするだろう九月になればチェホフを読むよ
みんみんがつくつくぼうしが鳴き交わす晩夏になれば晩夏の心
やがて死がそこにひっそり掛けるから古い木椅子は木洩れ日の中
直下型地震に揺れるこの夜半東京湾に何が目覚めて
明日はまた東京は暑くなる 石垣島は暴風雨という
甍連なって向こうに白い山がある
投げ銭で決めてください歌集の値段
おとなしい羊のように群れてゆく 牧羊犬のようなパネラー  
教室はやはり教室どこまでも 机並べて短歌を習う
立秋も過ぎて八月十三日 残暑お見舞い申し上げます
まどろんでめざめる朝の白い蜜 季節はずれの鶯の声
向日葵の種と蜜蜂 太陽に背いて墜ちた日々の贖い
頼るものないとき頼る言の葉と今宵生まれた繊い三日月
約束の海の歌です遠い日の記憶のように光る海です
雨の日は飴細工師の小父さんも兎も犬も鳩もお休み
炎える樹は炎える火柱、火柱の尖端にして炎の骸
光る魚一網打尽にする網が見つからなくて月光遊魚
戦争は間違いだった間違いで滅んだ国の亡霊の夏
空白の時が流れて七月の海に浮かんだ島影一つ
アボカドもキゥイも伸びて七月の朝は紫紺の花も開いて
ネアンデル渓谷 遺伝子のネアンデルタール人の故郷
限りなくレイアウト崩れゆき私の歌は消えてしまった
鶏の頸締め付けているあの声だ高音で歌うのは疲れるだろう
夏空の乳白色の雲の舟ローラースケートしているピエロ
どれ程の取引をして日本はこの決定を得たのでしょうか
雷雲は遠くへ去って行きました あの大雨は嘘のようです
天邪鬼踏み据えられても逆らって逆らう程に怒りに触れる
ブログ一つ消えて半身不随に似て 水栽培のアボカド林
極端と極端会えば一点に還元されるヤコブの原理
富士に雪、新潟三条には豪雨そして梅雨明け今日の東京
七月の金魚が水に眠る午後 水はさゆらぐ光りの窓辺
天からは一瞬止んだだけの雨 日本の行方まだ雨の中
ボトルには甘いジュースと毒薬が沈殿物の透明の澱
ペテン師のペテンの語源は知らないが逃げ水という夏の陽炎
無理解は悪。 『沖縄ノ骨』の作者がそう語る 珊瑚の白い骨と混じって
大切な一日のため雨よ降れ しずかにひらいてゆく雨の薔薇
アリゲーターブルーアリゲーター深夜に奔る風を見つけた
生き残る人ゆえ覚悟の足りなさを責められている鬱熱の森
愚かしいことと思えてやめました二足歩行に戻る人鳥類
戦闘色消えたらしくて野を奔る王蟲の赤も一夜にて消ゆ
少しずつ気道を確保するようにゆっくり と夜の帳は下りぬ
呟きはここに変換できない何かに 誰かが泣いているとしても
眠くなる 最後は眠くなって死ぬのだろうか 鳥たちも
仰ぎ見る文月の空の流れ星 戦場に人は撃たれていたり
雷雲にまけてはいない入道雲 青い薔薇咲く2oo4’夏
川底にいても蛍は光るという 弟の手から姉へと蛍
拒否よりも手をさしのべてみる勇気 蔓性植物であろう何かも
天空を走る列車に名づけよう 薔薇星雲を横切る列車
山椒魚、山椒魚って可愛いね 石を枕にうたたねの夢
花が咲き実が生り花は花疲れ 曇り空から白い太陽
多分もう私はこれでお終いと紫陽花の青、紫陽花の雨
夏空に雲一つなき桜桃忌 台風はまだ東シナ海
O音の優雅さ雨の桜桃忌、鴎外忌にも驟雨来て去れ
約束の虹がどこかに立つという探査衛星カッシーニの旅
青い薔薇が咲きカッシーニが土星に着いても退屈がどうなるわけでもない
拒否反応たしかにあった気がしますパドックにいた葦毛の場合
春日井建、享年六十五歳の訃 一人の定家黄泉へ発つ夕
白皙の詩人は一人旅立ちぬ皐月の空に発つ白い鳥
桜桃忌すぎて三日の夕ぐれは哀しきものの見ゆる夕ぐれ
少しずつ眠るためまた生きるため真夏の夢の浅瀬を渡る
退屈の病に私は侵される 病であるから治るのだろう
「死に至る病」ではない憂鬱というのでもない 雨の気配か
雨のない六月だった台風が壊していった日除けを替える
誰かが歌い始めても夜は明けないかもしれないが
桜桃忌すぎて三日の夕ぐれは哀しきものの見ゆる夕ぐれ
さみしくて嵐が去った空を見る遠い山野に棲む獣たち
無意味でも無傷であった頃の城 海辺の町の夏越の祭り
眠ろうとしても何だか眠れない普通に戦争している時代
なんとなく批判をされているような夏来て白い太陽の
水無月の鬱をかかえて紫陽花の半球すでに黄昏れてゆく
一匹の鼠が町を走り出し真昼の雲が白く輝く
もう涼しい風が吹いていてこの世は極楽かもしれません
故郷は遠きにありてというドラマ見つつ琴弾浜の夕陽を
暮れ残る琴弾浜の銭型の寛永通宝、砂に描く文字
紫陽花が雨を知らせる朝顔はもう蔓を巻きつけている
ある夏のかき氷こそ命にて他には何も食べられなかった
夕暮れに風が通れば振り向けばあなたの背中見えた気がする
アナトール・サルバトーレの弦の音聴きつつ震えている夏の翅
鳴沢のジラゴンノなる溶岩の台地を覆う木と草に雨
水色の海と空とのあわいから聴こえる音をタクトにのせて
タイという優しい国で灰になる二人の夢に降る花の雨
隙間から一瞬見えた愛に似たものが欲しくて殺してしまう
心肺に貝殻虫が棲みついて殺してしまう少女がひとり
誰にでもある空洞に鳥を飼う 傷を負ってる鳥の目の青
鳥籠に鳥を飼ったら青空の果てを見せてはいけないという
地の底につづく階段下りてゆく 黄泉とは蛆の湧く土の底
窒息をするより前に死んでいた 狭い隙間も埋められていた
購い替えを待っていたって冷凍庫 解凍されてゆく時間たち
新鮮な生みたて卵のような黄の花芯もゆれて梔子の朝
後ずさりしながら戻る峠道 猪も熊も出る胡桃沢
家事をして運動をしてよく眠るさよなら私の夢を喰う獏
水無月の雨降る雨は心にもこの素晴しい世界の片隅
蜜蜂は蜜を集めて蜜の味 羽化する時は温かくなる
南風吹く東京の日暮どき 檸檬のような月も浮かんで
ダービーを制したキングカメハメハ 府中の空に浮かぶ半月
まだ熱が引かないけれどそのせいで見えるのかしら歪んだ檸檬
名も忘れ一人の男が虎になる中島敦の小説思う
感覚の教会に鳴る釣鐘や天井画など五月の空に
水色の尾長が飛んで上水に夏来る 夏の涼しさの青
ゴミからもアートは作れ工房の中鎮座するプラスティック蛙
熱が出る前の症状 動悸して片腕片肺酸っぱくなって
羊水の中から始る絵日記のような万智さんの「プーさんの鼻」
戦争が始る時と終る時 雨は烈しく降るゆえ儚
サッチモの声が聴こえたサッチモは「この素晴しい世界」と歌う
紫陽花の青の花火のひらく朝 小さく青く雨の紫陽花
何もかも重くなってる何もかも そう何もかも何もかも重い
突然にカミキリムシが這い出して紙切るという噛み切る勿れ
あきらかに社会的適合欠いている天道虫は星で分けられ
関わりもなく生きている淋しさに 美しいもの峠を行くも
石塊の僅かばかりの土にさえ咲く紫の花のひとひら
ここに咲く花の苞衣の中に充ち花の力となる何ものか
霧流れ霧が育てる茶葉がある霧が豊かに育んだお茶
こんなにも暑い日なのにあのひとは痩せた分だけ寒いと言って
スカーフを帽子代わりに巻いてゆくと締め付けられる痛さがないと
猫さへも何かを感じていなくなり庭先はもう二匹の広場
イラクでは毎日人が死んでいて殺害報告にも慣れる長官
基本的に安否の確認などできず仰せのままに頷くばかり
横雲の漂う空はパリの空 NHKの中継で見る
夕暮れの水の流れに沿ってゆく水の流れに運ばれてゆく
脱落と脱出の違い知らぬままこの世の淵をさまよっている
春の野の逃げ水、昼下がりの驟雨 夏には夏の烈しさに降る
日曜の小川に沿った道でした 鴨も小鷺も帰った夏の
香枦園、海と川との汽水には渦巻くものが見えて夏の日
川沿いに歩いて下る散歩道 美術館までゆっくり歩く
あの人はどうしているかと訊かれても訊かれなくても寂しい明日
ポルトガルの洗濯女という風情 曇りのち晴れの空が青くて
泥川に川魚かしら鯰かしら一瞬ゆれて再び沈む
木々の影、魚の影も見えている 湖の岸近くの葦原
葦の葉をのぼる天道虫のこと 蜘蛛の巣作り見ていたことも
川鵜来て鳥の楽園伝説の円形の縛、縮めてゆきぬ
遠く去る鳥には鳥の歌があり水没樹林に降る雨がある
飛ぶ蝶の無数無声の映像の夕映えてゆく金の鱗粉
鱗翅目、蝶や蛾にある鱗粉の身を守るため赦される毒
六月のドナウデルタの葦原の水と光りと小さな魚影
ペリカンが上昇気流に乗って飛ぶ 桃色ペリカン灰色ペリカン
やがて陽はシュヴァルツヴァルトの森蔭に蒼い馬棲むその森蔭に
(今日の気分には今日の歌 他にはどうしようもなくて)
断片は断片として断片の断片でしかない夢を夢見る
墨色の壷の一に銀彩は隠れてしまう芒の穂波
台風が近づいて雨、終日の雨に降られて空木の白が
遠くから「暫」の声 暫くと声をかけたるものの見えなさ
映像と詩も夢をみる 異次元の入り口に咲く一本の薔薇
本能寺の変よりときは今にして田楽刺しになる心地する
蒸し暑い夜には理科と算数を午前3時の3chで
攻撃の背後にあった八割の支持を充たした奇妙な果実
せっかくの自由も空しくなるわけを少年の目は見ていただろう
金銭に代えられないというけれど金銭のこと量り難しも
計算し演出し演じてみせヒトラーがヒトラーになる一つの過程
ヒトラーのあの髪型の何分の一の狂気を分かつ私たち
今日は雨 雨の中にいる幸福を感じているか葉裏の蝸牛
日の国は火の国、赤く篝火が炎えて 望月に矢も放たれて
地下深く深く堆積滞留し核を守っているマントルよ
温泉は蔵王の含鉄釜の湯の湯の花の咲く蓬生のお湯
汚れなくイノセントであるということの 初夏の空の
春蝉が啼いていました新緑の萌える林の一本の幹
春蝉が啼く季、遠い日の夕べまどろむように沈む太陽
なんとなく残骸めいた掲示板 桔梗咲く頃削除しましょう
黄金色の麦藁帽子出荷する小さな町の小さな港
鮮やかな血の色に染まる基督のメル・ギブソンの映画も完成
私には見られないけれど意味はあるそのリアルには必要性が
退屈という名の病い果てもなく水没樹林の画像見ている
ある人は父をある人は母を亡くして母の日の雨
今日の日が無事に過ぎたということの続きに咲いて深山苧環
「右ゑちご左やまみち」道標の紫に猶暮れ惑う道
塩倉に釘は使わず 塩運び塩を守って千国街道
茗荷竹、茗荷の茎のすくすくと育って茗荷畑の茗荷
茗荷竹、アケビ、筍、ハバの蕗、木苺熟れて夏の五箇山
鋳型にて涅槃の釈迦はとられけり入道雲が見ている真昼
古典的に日輪一つ落ちてゆき薄桃色の夕空となる
大相撲夏場所がもう始ると 水面に光りさす隅田川
非表示の選択あれば埋もれ木の埋もれるままに朽ちゆくもあれ
フェルディナンド・フォン・ツェッペリン伯爵の飛行船 その中空の船
虚しさのかぎりもなくて赤い月 明け方に見る皆既月食
花水木はらはら散れば花筏 一期一会としたためよ歌
言の葉の繁りて散りて五月雨 メイストームの過ぎてしばらく
猫だって家出もするさ家出した猫が子猫を連れて帰るよ
屋根裏に蛇の脱殻、雀の巣 鼬も出入りした穴の跡
憂鬱に似た感情の夕まぐれ 気まぐれ気まま我儘の果て
川原にも陽が射し石に蜆蝶 ナンジャモンジャの花咲いて夏
東北に行ってみたいと思います角館とか太宰の金木
夏の日に剪定鋏光らせて花咲く花の咲かせ方など
いずこにか鋸菊が育つからもう枯れ始めているベンジャミン
花壇にも教育主事は入り来たりタチツボスミレの谷の群落
雨の日の竜巻、晴れのつむじ風 何の尻尾か見えて夕暮れ
誰だって海を釣り上げることは出来ない 海につむじ風
蚕豆が弾けて夏はもう間近 遠くでゆれている青い麦
やわらかく弦の音から始って木管楽器が続くその後
マーラーの『復活』を聴く演奏はルツェルン祝祭管弦楽団
流木が打ち寄せられて来るように悲しい心の切片もまた
妖艶な鐘馗空木の花が咲き 上水の夏始るらしき
いつまでも若く美しくあらねばならぬと『火の鳥』の婆
ファルージャは萌黄色に見える萌黄色の中の桃色の炎
まだ青い小さい苺が五つ六つ四月下旬の涼しい朝
眠くってだるくて疲れてしんどくてそんな日ばかりの春ではあった
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
シマウマの後姿を見ています夕陽に向かって歩くシマウマ
象がいてキリンがいて河馬がいて縞馬がいる 地球楽園伝説を継ぐ
金太郎飴よく見ればみな違う顔 それぞれに泣きそれぞれに笑う
春が逝く四月が終る蜜蜂の羽音が聴こえ蝶も生まれる
薔薇も咲き守宮も硝子戸を這って迷宮の森ひらくこの朝
竜川と書いてリョンチョン爆風に吹飛ばされた国境の町
前近代ぬっと顔出す春の闇 火山性ガス噴き出す気配
それぞれの中の戦争も終るから静かに頁閉じられてゆく
大方は主義や主張にあらずして多分表情筋の迷走
列島を寒波が襲う四月尽 春夜の夢に帰り紛れて
イラクへはもう戻れないとアナン氏が 紅砂の海に埋まる部隊
こんなにも殺風景になったわけ 紙風船のような黄のチューリップ
国境の駅のある町壊滅する黒い地蜂が群れて飛ぶ朝
すでにあるものなぞっているだけの危機という名の安逸の胡麻
ニューサマーオレンジ、小夏、日向夏 柑橘系の夏が来ている
宿題を残したままの20日間 風邪後遺症だるさがとれず
黄の花が終れば次は白い花 小さな虫喰いだらけの絵本
雨上がる林の道の腐葉土の中のドングリ芽を出す朝
漆黒の腐葉土ありて金色の朝陽の中の辛夷、木蓮
松毬や泰山木の実の集り 命果ててもなお生きるもの
「自爆する男」画面の金の花 田島征三、木の実のアート
地に落ちたヤシャブシ伊豆の海岸の岩に置かれて花咲く木の実
椿咲く、椿の赤や白の花 渚の水を水盤として
木の実って生命力の塊でゆえに滅びて後もつよくて
今朝落ちた木の実のうすいやわらかい明日花咲くばかりの花胞
海辺には打ち上げれた海草が遥かな時を伝えています
知らされなければ知らないで今日の一日の画面の向こう
なま物の命を運ぶ春の月 花水木咲き躑躅も咲いて
突然に夏来るように最後の日 難読氏名の話題の続き
魂には晩年 亦来る春の終る日の風もない日に散るリラの花
でそれから誰が報道するのだろうそこに虐殺ある日の朝
「揺るがない」大統領と風の墓地 遺体七百埋まるファルージャ
花水木が咲きポピーが咲いているこの夕暮れの濁りゆく空
湿気のない爽やかな日で見残した桜も咲いて今日の一日
夕焼に染まって緋色の鳥となる熱帯雨林の鳥かと思う
ほの甘き千枚漬けの千枚の襞に隠れている赤唐辛子
長さんも弥七も逝って東京に四月の雪を降らせていって
これが春これが四月の気温差か雨が上がれば欅の若葉
折鶴蘭、ムラサキシキブ遅れ咲く薔薇の一輪 雨の日の雨
恐ろしい真実は唇が閉じたがって言えない 春浅く黄泉をゆく舟
木苺と射干の花咲く裏道の水のほとりの羊歯にも降る雨
朧月、卯月の空の月の暈 さくら花びら散りゆく刹那
花ぴらはもう葉桜のやまざくら透ける翠の白い花びら
孔雀はもう羽根をたたんだ月光の銀青色の夜が来る前に
街空に煙たなびき消えゆけり卯月の木の芽さみどりの苗
桜散る空掘川の河川敷 渡り鳥来て今年の春も
川霧がたちこめていたのは冬の頃あの頃すでに鷺は来ていた
雨の中咲いて仄かに匂う花 深夜零時に雨雲は去り
紫木蓮、白木蓮が並び立つ白木蓮から零れて落ちる
満開の桜が空に吸われてゆき吹雪となって散る地蔵堂
風もなくお花見日和 今頃はアークも桜祭りの頃か
晴れた朝詩人の誰がいなくてもさくらさくらと声低き歌
花が咲く季節は花を雪の舞う季節は雪を月は見ている
晴れた空が青かったから思い出す空の色
川縁に桜が咲いて待っている春の終りの雨が降るのを
夜になって雨 雨のなか走り去る時曳く雨の音
バイパスを作ったというバイパスの管を通ってゆく舟がある
白湯で服む薬のいくつほんとうの薬であるのか毒であるのか
木蓮が茶色くなって枯れている春に三日の命もなくて
明日はまた雨降るという三月の雪に変わってゆく夜の雨
モビールのイルカが泳ぐモビールを動かす春の風があるから
存在を主張している背表紙に別れを告げて今日の花びら
アルヤバン日本も次に標的にしているというニュースの一文
木蓮、辛夷、桜の莟 のんびりとした春の水曜
東讃の屋島、西讃の観音寺おなじ四国のサヌカイト哉
日本はテロと戦うということで警備の警官多数見かける
混迷を深めているねバグダッド レジスタンスは激しさを増し
なるようにしかならないのだし運なんだしって言って顰蹙を買う
ある時は死にかけていた琉金も春を迎えた奇跡のようだ
爛漫の春よ驕りの春であるよ昨日縊れた鳥もいた真昼
賑わいの市に背を向け山麓の道の傾斜をゆっくり上ると
山麓の南病棟、陽が当たり月も仄かに射してよいと言う
満月は一昨日だったそういえば花のもとにて春死ぬ烏
ぴったりと風がやんだね夕凪の夢のまどろみにも似たやすらかさ
水際に風が流れて風がやむ海岸線に河口にカモメ
洋燈に照らされている雪の日の硝子工房、運河のほとり
混乱は全て収束する形 終息までは言えない形
千年を眠るためには千年を眠れる言葉が必要であり
中和する形としての一章を今からそこに書き加えます
忘れているわけではないが忘れている他人事だった私にとって
朴の葉に餅を包んで藁蘂でとじて村の社の天狗にしんじょ
簡単にあなたも私も殺すだろう虐殺列島住人なれば
鳥、卵、山積みになり棄てられて 殺して埋めてヒト科のヒトは 
群像の絡んだ腕と腕と腕 乳白色の丸い眼球
アポロンが追いかける時ダフネーの指が木の葉に変わるその時
熊の仔は走る熊の親も走る 阿寒の冬は終ったらしい
砂漠に
風間祥  * 『倉庫・間奏曲』 * 16:19 * comments(0) * trackbacks(0)

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