銀河最終便
WEB日記

『ローズアパート』〜ひとつの老いのかたち〜 ドキュメント×京都 BS・TBS                 

BS・TBS『ローズアパート』を視ている。

京都のアパートで、

「肩を寄せ合って」

と、よく言われるような、

京都の清水寺に近い一角に建つ、

レトロな玄関を持つ築50年のアパート。

 

半自生、半共同生活をする人たちのアパート。

それぞれの人生の軌跡や

ひととなりや、

薄くも厚くもある付き合い方や、

その交流の中で、

少しずつ変わる住人間の距離や

考え方の変化や関係性の変化などを、

2016年初頭から追いかけている。

 

それぞれ孤立した

孤独死をしかねない老人が何人か、

そのまま暮らして行きそうだったのを、

ある時、ある人が(彼も住人)、

空き部屋を使って、

みんなでコーヒーを飲める空間を作り、

住人の交流を可能にする。

頑なに心を閉ざして他者との交流を絶ち、

孤立し孤高を保とうとする人の心にも、

少しずつ変化が起こる。

 

 

煙草好きで、煙草だけが楽しみの、

今時、街角からも追放されそうな、

それでも、煙草がやめらず、

胃潰瘍で入院先の病院から逃げ出してまで

煙草を吸っていた、

空き部屋喫茶室提案者の男性、

(若い頃は、ヤクザで、あったそうだ。(前科16犯と)

ただ一組、夫婦単位で暮らしている。

全体のことを考える習性があるらしく、

ここでは、それが良く作用している。) 

 

他の、最高齢の男性

(と言っても、94歳が二人いるのだが、

一人は、まだまだ元気で散歩もし、

80歳台くらいにしか見えず、

喫茶室の常連でもあった。

しかし彼も、後に圧迫骨折し入院する。

 

語り口が、江戸っ子のように歯切れよく、

その口調も、坊主頭もそのままに、

現役の落語名人のようだ。)

 

を、思い遣り気遣って、

みんなが集まる場所では喫煙禁止をルール

とする取り決めを、提案し、

他者にも注意し自らも、

その最高齢の男性が入院中で居なくても実行する。

 

 

部屋に籠っている方の最高齢の男性には、

息子が二人いるそうだが、

絶縁状態のようで、

何があっても連絡はしないでいいと言う。

子どもは、出て行ったら他人も同じと、

心に思い定めているようだ。

 

何度も冷たくあしらわれたのか、

子どもたちにとって、

最貧層に落ちている親は、

近づけば重荷でしかなく、

もはや親子として接したくないことを、

94歳の男性は、重々知った口調で、

誰の助けを乞う気もないようだ。

ここで自分が死ぬのをただ待っている。

 

それでも、

空き部屋喫茶室に出て来ない男性を

部屋に訪ねて、何か手渡す、

心優しい元ヤクザの男性に、

笑顔で、「ありがとう、ありがとう」

と何度も感謝の言葉を。

 

(何日に一度しか来ないヘルパーさんの食料補充の隙間で、

食品が食パンの端っこ一切れで放置されていたらしい。

住人は、勝手に買い物など代行すると、

ヘルパーさんに怒られるのだという。

男性が見かねて、何か食品を届けたようだ。)

 

 

この人の部屋は、

他の人の部屋が狭さもあって

物が溢れているのに、

スッキリしていた。

この人は若い頃、

南座の裏方をしていたということで、

若い頃の日本髪の母親と、

40年前に亡くなったという奥さんの写真と

赤ちゃんの写真を飾っていて、

記者にも、

「ええやろうお母さんの写真、嫁さんの写真」

と示す。

若い頃に見た華やかな世界と、

若く綺麗な母や奥さんの思い出を

今でも大切にしているようだ。

 

止まったような時間の後の長さを思えば、

この人の足腰は弱りながらも、かくしゃくと背筋を伸ばして

話す口調も頑固さも、理解できるような気がする。

 

 

黒猫を愛し、黒猫にだけ語りかけていた女性も、

人との会話を楽しむようになる。

 

 

黒猫の飼い主とはまた別の女性。

87歳の現在も毎朝化粧し、

お洒落を忘れない元祇園の芸者さん。

くだんの元ヤクザのリーダーっぽい男性にも、

入院先から帰って、しおたれて、だらしないと注意し、

若い頃のダンディだった頃を忘れたらあかんと諭す。

見ているもん(奥さん)が可哀想やと。

(意味だけ、うろ覚えで書いている。

確か「伊達男が。昔みたいに綺麗にしい!」と言っていたと思う。)

 

今でも、三味線を持てば似合いそうで、

とてもしっかりしていたが、ある日、

倒れているところを住人に発見され、

救急車を呼んでもらい入院、恢復。

 

他者を少しずつ受け入れて、

他者に少しずつ心を開く人たち。

 

 

 

私が興味があるのは、
このアパートの大家さん。
画面には出て来ないし、
説明もない。
(スタート何分かは視ていないのだけれど)
でも、高齢者にアパートを提供し、
空き部屋の使用を賃貸人の自由に任せて許している。
生活保護を管轄する京都市役所かどこか、
行政と連携しているのだろうか。

篤志の人なのだろうか。
人助けのため以外にはないような、
家賃の差額を、市から補助があったとしても、
ろくな収入にもならないアパートを、
取り壊しもせず、駐車場等に転用もせず、
最近流行の外人観光客相手の民泊にもせず、
古い住人の使用を認めている。
どんな人で、
どんな考えを持っているのか。
興味を感じた。

 

 

ここの住人を行倒れにしないのは、

何よりもこの大家さんがいてのことだから。

 

行路病者として果ててもいいと思って京都に来た

住人の一人の、落語名人のような印象の男性は、

NPO法人の紹介で、この「ローズアパート」

に来たということだったから。

 

このアパート、このアパートの大家さんがいなければ、
ここに住むことが出来なくなる危うさを抱えながら、
生きている住人の一人一人でもあるのだから。

 

あともう一人の住人もいる。

黒猫のクロ。

住民間に諍いがあった時、

クロは微妙な動きをする。

他の住民には我儘と見え、

孤立している当人には、

やむにやまない気持ちがある時、

飼い主ではないその人の部屋へ入って行って、
寄り添って眠っている。

 

 

 

※視ながら書いたので、ところどころ

事実と相違しているところがあるかもしれません。

 

: 『映画・演劇(宝塚)・TV・コンサート』 : comments(0) : trackbacks(0) : posted by 風間祥  :
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